破壊と輪廻の巫女   作:シュオウ・麗翅

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めっちゃ難産……


ユウ「ハンマーを投げる時〝〇殺〟って叫ぶのが流行ってるんだって」

カリ・ユガ『丁度よくシュクラ・メイスがありますし、試しにやってみますか?』

ユウ「やろやろ」

青リヴァルナ『……!!』←元気よく手を挙げてる

\キャッキャッ/

リリー「……早く寝なさい」


脳筋の策士

「皆、無事か。どうやら、間に合ったようだな」

 

『ユウ!無事ですか!?』

 

サイバスター達と合流したハガネから機動兵器部隊が出撃し、アルトアイゼンのパイロットであるキョウスケ・ナンブが安堵し、魔法陣から出てきたカリ・ユガは瞬時にコスモリヴァルナの元へと向かい、ユウの安否確認を行った。ちなみにグルンガストサイズである。

キョウスケはカチーナを心配し、カチーナは「お前にだけは言われたくない」とツッコミを入れた。

ユウはカリ・ユガに「大丈夫」という返事をした。見た感じ、機体のダメージ自体は無いようでほっとしているようだ。はじめてのおつかい成功である。

最も、コスモリヴァルナのエネルギーが少ないのはカリ・ユガにはお見通しなのだが。

 

これで数の差という不利はなくなり、必然的にジーベルの有利は無くなったも同然……というかジーベルが圧倒的に不利だ。

 

勿論数という意味もあるが、現在のハガネにはマイヤーを撃破したヒリュウ隊のメンバーもいる。つまり、マイヤーとビアンを撃破した両方の強豪部隊を相手にしなければならないということだ。

極めつけはカリ・ユガである。まだダメージや神力が完全回復していないとはいえ、あのグランゾンと渡り合えた存在だ。もしジーベルがネオ・グランゾンの存在を知っていれば今頃はカリ・ユガの存在に怯え、震えていただろう。

 

そんな相手に立ち向かわなければならないジーベルがある意味で可愛そうになってくるレベルである。

 

「それがどうしたというのだ!貴様らの母艦さえ沈めれば俺の勝ちだ!そして貴様らを殲滅すれば、俺のDCにおける地位は絶対的な物になる!!全機出撃せよ!!ここで奴らを殲滅するのだ!!」

 

「……ユン。あの人、本当に策士?」

 

「はぁ……相変わらずですね。あの男は……」

 

リリーは頭を抱えてため息を吐いた。

ジーベルの本来の目的は、DC残党と合流する事の筈だ。それがいつの間にか手柄を立てようとサイバスターやヴァルシオーネの撃破になり、コスモリヴァルナにイラついた結果コスモリヴァルナの撃破になり、ハガネと合流したのを見ればハガネの撃破になるなどと、本当に行き当たりばったりもいい所である。

 

そもそもの話、ジーベルはサイバスターらに出会った時に撤退すればよかったのだ。

流石に撤退の為に殿をさせる兵を出す必要はあるだろうが、それは戦術上仕方がない事である。ましてやサイバスターやヴァルシオーネが相手ならば尚更だ。何がなんでも味方と合流して戦力を整えるべきだった。

 

手柄を立てたいがために欲をかいた結果、この詰み同然の事態に陥ってしまったのである。ジーベルは泣いていい。

 

「あらあら。そういう事を口に出して言ってるから余計に小物感が漂うのよん。ほら、男は黙って有言実行って言うでしょ?」

 

「少尉、矛盾してませんか?ソレ」

 

『黙って……有言……?』

 

「ほら、困惑してる人が1人いるっスよ」

 

「神だから1柱が正解」

 

「あっ、そういえばそうッスね」

 

「言ってる場合ですか……」

 

突如として繰り広げられるコントのような会話。ゆるゆるなエクセレンが先陣を切り、真面目なブリットが対処した後、カリ・ユガが困惑。乗っかったタスクが更に畳み掛け、ユウが細かい指摘を入れ、リリーが呆れている。

どれもヒリュウ隊にとっては日常的な会話だったのだが、ハガネ隊の面々は一部を除いて少々困惑していたようだ。

 

「ち……調子に乗るなよ!!今ここで貴様らを倒す!!それで貴様らのふざけた態度を見るのがこれで最後となるのだ!!」

 

「上等!!反対に、アンタのセコイ策もこれで最後にしてやるよ!!覚悟しな!!」

 

もはや後がないと悟ったのか、イラつきがピークに達たのか……最早ヤケクソになっているようだ。どちらにしろ、ジーベルはこの場で総力戦をするという選択を取った。

お得意の毒ガスも無く、戦局をひっくり返しそうな秘密兵器もないのに何故無謀な戦いに挑むのであろうか。これならば対カリ・ユガ用にグラビリオンを用意していたアードラーの方がよっぽど指揮官に向いていそうなものである。あ、元トロイエ隊であるレオナ・ガーシュタインにボロくそ言われてる。

 

「……?」

 

「……言いたいことは分かります」

 

とはいえ、総力戦を選択したのはジーベルだ。ジーベルが乗っているコロニー統合軍の戦艦、ペレグリンから多くのAMが発進した。

ガーリオン、ランドリオン、バレリオン、リオン、コスモリオン……DCにおけるリオンシリーズが勢揃いしている。

 

『ユウ、リヴァルナからです。この地点に降下してくる部隊があると』

 

「……!!」

 

ジーベル軍とヒリュウ隊、ハガネ隊が動こうとしたその時だ。

突如として黒いグルンガストがこの戦闘領域に降下し、それに続くようにペレグリンと機動兵器も降下していく。

戦艦1隻にコスモリオン、ガーリオン……コロニー統合軍の機体がズラリと並んでいる。それを率いるように先頭に立っている黒いグルンガストの姿は、まるで兵を率いている将軍のように見えた。

 

「ゼンガー少佐。降下完了しました」

 

「ああ。ここは俺ひとりで食い止める。コロニー統合軍はこの中域を離脱。アースクレイドルへ向かえ」

 

スラスターモジュールを装備した黒いグルンガストのパイロット、ゼンガー・ゾンボルトが自分が率いている部隊に向けて言った。

降下したばかりのペレグリンに乗っている艦長は「無茶です!」と進言するが、「ここで俺も死ぬ気は無い。安心しろ」と言い聞かせて撤退を促した。

 

「ゼンガー!貴様、手柄を独り占めするつもりか!!」

 

降下したばかりのゼンガーの部隊が離脱していくが、当然ジーベルは戦闘を続行する。

ゼンガーが先程言ったコロニー統合軍の対象は当然、ジーベル軍にも適応する。ゼンガー自らが2度も制裁を加えたとはいえ、ジーベルも元々はコロニー統合軍の一員である。それに加え、DC残党にコロニー統合軍残党が合流するのが今回の任務だ。故に守ろうとするのは必然であった。

 

だが、ジーベルはゼンガーの事を邪魔者としか思っていない。

そもそも、ゼンガーは最初は連邦軍側に属しており、当時敵だったエルザムからの説得を受けてDCに入ったという経緯がある。その過程に葛藤や合理的な分析、DCの真意を看破するなどの様々な要因があったにしろ、敵対していたDCに唐突に鞍替えしたのは事実だ。DC設立後に入った者とは訳が違う。

 

だからこそジーベルはゼンガーを「ぽっと出の裏切り者の癖に自分よりも立場が上になった嫌な奴」としか見ていない。それなのに一丁前に成果だけは上げてきた挙句、総司令にも気に入られているとかいう有様だ。

例えるならば、コネ入社してきた元ライバル業者の社員が難癖も付けられないほどめちゃくちゃ優秀だった……と言ったところだろうか。

ジーベルにとって、1番気に入らない相手。それがゼンガーだ。故に彼がゼンガーに対して声を荒らげるのは当然と言えよう。

もし撤退を促したのがゼンガー以外……今は戦死してはいるが、仮にトロイエ隊隊長のユーリア・ハインケルが撤退を促したのならば、心の中で悪態を着くだけで終わっていただろう。どちらにしろ撤退する事は無いだろうが……。

 

「俺は手柄に興味はない。俺は俺の信念の元に任務を遂行しているに過ぎん。貴様と違ってな」

 

「ほざくな。口ではなんとでも言える……!!」

 

反対に、ゼンガーもジーベルの事は欠片も信用していない。

ジーベルの普段の態度から周囲の人間を道具としてしか見ておらず、自分が成り上がるための踏み台としてしか扱っていないというのが目に見えて分かる。たまに出る独り言がそういうものなのだから、ゼンガーを初めとして味方陣営からの信頼など無いに等しい。策士を自称しておきながら基本的に行き当たりばったりなのがそれを助長している。

その上、一時の勝利の為にコロニーの禁忌を2度も起こそうとしたのだ。もし、ライやエルザムがソレを聞いたのならば助走をつけてナイフで滅多刺しにした後、マシンガンで蜂の巣にするレベルの暴挙である。

幸いにも1度目はヒリュウ隊の活躍で。2度目はゼンガーの制裁によって未遂に終わったのだが、もし実際に成功していたのならば手柄所の話ではない。

 

ジーベルが一方的にゼンガーを敵視し、ゼンガーはそんなジーベルを腫れ物を扱うような目で見据えた後、カリ・ユガ……そしてアルトアイゼンの方へと視線を動かした。

その様子を見たエクセレンが普段のおちゃらけモードから一転、真剣な目つきになり、キョウスケも覚悟を決めたかのようにレバーを強く握った。

 

同じくゼンガーも自らが抱えている迷いを振り切り、冷静になる為に少し集中した後、大きく啖呵を切った。

 

「ハガネ!及びヒリュウ改の戦士たちよ!!お前達に告げる!!」

 

この領域の者全員の耳に響き渡るほどの声量。その迫力にヒリュウ隊、ハガネ隊共にゼンガーが乗っているグルンガストの方へと視線を向けた。ユウ、リリー、そしてカリ・ユガとて例外ではない。

 

「我が名はゼンガー!ゼンガー・ゾンボルト!悪を断つ剣なり!!ここを通らんとする者は、何人であろうと、我が零式斬艦刀にて一刀両断にしてくれる!!」

 

「ゼンガー……!!」

 

(零式……!?)

 

地面に剣を突き刺して仁王立ちするその様は、何がなんでも守ろうとする守護者のようだ。黒いグルンガストも、ゼンガーの意志に応えるかのように緑のツインアイを光らせ、咆哮をあげた。

その様子を見たリリーは少し安堵したような表情をした後、額から1滴の冷や汗を垂らす。

 

「な……なんだ!?あのバカデカい剣は……あれもグルンガストなのか……?」

 

『ユウ?あの黒いグルンガストは一体……?』

「グルンガスト零式。元々はグルンガストの試作機で、後に剣術用に特化させてゼンガー・ゾンボルト専用の機体になったもの。ゼンガーの師匠であるリシュウ・トウゴウがモーションやOS監修をしており、地面に突き刺さっている零式斬艦刀は取り回しが悪い分その大きさに見合うだけの破壊力を持つ。現段階ではリシュウ・トウゴウとゼンガー・ゾンボルトしか使いこなせないとてもピーキーな……」

 

「貴女はインスペクターの時と同じ事をするつもりですかっ!!」

 

「アダっ!?あ……アレ?欲求はだれ?知識はどこ?」

 

『……!!』

 

「俺より詳しくないか……?神託やべぇな……」

 

「……」

 

めちゃくちゃ早口で零式の解説を始めたユウに、リリーはこの上ない怒号をあげた。それにユウは思わずビクッと反応し、四方に展開されてある魔法陣に頭をぶつけた。

あの洞窟で一体何を聞いていたんだ?もう1回やってやろうか?と言わんばかりの笑顔を浮かべている。ただし目は笑っておらず、顔をピキピキと震わせている。

一瞬ユウの瞳が翠に変わったように見えたが、恐らくは気のせいだろう。今見えている瞳の色は海のような蒼だ。何も変わっていない。

味方の様子を確認すると、ATXのメンバーがゼンガーを説得している。

確かにブリットの言う通り、もうDC残党……と言うより、ゼンガーと戦う理由は無い。

伊豆基地の格納庫でユウからDCの本当の目的を聞いたのだから。もう試練は終わったのだから、もう壁として立ち塞がる必要は無いのだと。

 

そんなブリットの言葉に、ゼンガーは大きく喝を入れた。

 

「甘いぞ、ブルックリン!!戦士たる者、一度戦場に身を置いたのならば……眼前の敵を倒す事に専念しろと教えたはずだ!!」

 

「ですが、隊長!俺達の共通の敵はエアロゲイターの筈です!それに、カリ・ユガとその巫女がインスペクターという新たな異星人と戦ったという報告もあります!!今わかっているだけでも、2つの脅威が地球を襲っているんです!!今こそ力を合わせて……」

 

「問答無用!!己の信ずる道があるのならば、己の力で押し通って見せよ!!」

 

ゼンガーはブリットの説得をバッサリとぶった斬る。勿論、消沈するであろうブリットを鼓舞する事も忘れない。

こうなったゼンガーはテコでも意志を曲げることは無い。それをわかっているからこそ、エクセレンとキョウスケは腕に力を入れてゼンガーを真っ直ぐと見つめている。

「ブルックリン・ラックフィールド。試練はまだ終わってない。だから、ゼンガー・ゾンボルトはまだ高い壁になって俺達の前に立ちはだかってる」

 

「ど……どういう事なんだ!?」

 

ユウの思わぬ発言に、ブリットは驚いた。

DCを異星人だと仮定した実戦式のシミュレーション。それがビアンがDCを設立し、世界に宣戦布告を行った1番の理由ではないかとユウは言っていた。

 

DCに勝てなければ異星人と同じ土俵に上がれない。ビアンやマイヤーはそう考えていたのだ。宇宙の技術力は当時の地球よりも遥かに進んでいる。EOTという異星人の超技術がその証拠であり、南極事件で連邦軍が無条件降伏をやろうとした理由である。

 

そんな異星人に対抗する為、必死にEOTを解析して生み出されたのがゲシュペンストであり、リオンシリーズであり、グルンガストである。

無論、コレだけで異星人に勝てる訳では無い。

ゲシュペンストが正常に稼働するまで多大な時間がかかったし、そのゲシュペンストでさえもエアロゲイターのスパイダーやバグスとはスペック上ほぼ互角という性能だったのだ。

異星人の偵察機と同等のレベルの主力機など、異星人の本隊が来たのならば瞬く間に撃墜されてしまうだろう。一応は初めてバグスを捕獲したエルザムのように、パイロットに高い技量があれば格上ともまともにやり合えるのだが。

 

その本隊に立ち向かう為の出力を求めた結果グルンガストが開発され、バグス以上の機動力を求めた試作機としてリオンが開発された。

 

そして、対異星人用の超決戦兵器。その1つが究極ロボヴァルシオンであり、統合軍の旗艦であるアルバトロス級宇宙戦艦・マハトである。

ヒリュウ隊とハガネ隊がやっとの思いでそれに乗って戦っているビアンとマイヤーを倒した事で、DCの試練は終わったのだと思っていた。次は真の脅威である異星人との戦いだと。

 

なのに、試練はまだ終わっていないとユウは言った。カリ・ユガのように目を閉じて、まるで預言者か聖職者のように。

 

「……」

 

ゼンガーはそんなユウが乗るコスモリヴァルナの方へと顔を向ける。

ゼンガーの目に見えているのは、コスモリオンの面影を少しだけ残したようなカラクリ天使と、目を瞑っている多腕の女神。並んでいる様はまるで神と使徒のようだ。

(……確かめる必要があるな)

 

カリ・ユガは地球の守護女神だと言われている。実際にエアロゲイターという侵略者から多くの民間人や軍人を助けているからだ。連邦の広告塔としての意味合いもあるのだろうが、実際に幾つもの結果を残している。

美しい容姿に、侵略者を成敗し、人間を助けるその姿。それを成している圧倒的なパワーは正しく女神そのものだ。

 

だが、実際に女神と巫女を目にしたゼンガーは1柱に幼さを。1人には不気味さを感じてしまった。

女神がグルンガスト零式について質問し、巫女がそれに答える。一見するとなんということは無いやり取りだ。立ち位置が逆だったかもしれないが、それは些細な事だろう。

 

ーーーだが、ゼンガーには逆にそれが不気味に感じた。理由を言うならば単なる直感や第六感としか言いようがないが、あの女神が巫女を通して物事の全てを見透かしているように感じてしまったのだ。

それに、カリ・ユガから得体のしれないナニカを感じ取った。やはりゼンガーの超人的な感が働いた結果だ。もしかしたら異星人なんかよりも遥かにヤバいかもしれない。

 

「そこのカラクリ天使!並びに守護女神よ!!」

 

ーーー確かめねばなるまい。この女神が本当に守護女神なのか、はたまた地球を害しに来た邪神なのか。

邪神である可能性は、南極事件からここに至るまでの結果を見る限りだと限りなく低いだろうが、それでも0ではない。万が一というのもある。

 

今のDCに命を賭ける価値があるわけではない。とはいえ、己が試練の敵として現れた以上、見極める必要がある。そして、ゼンガーは一流の剣士だ。ならば剣で……戦いで語る他ないだろう。

拳士は拳で語り、剣士は剣で語る。

人柄が知れれば上場。欲を言えばカリ・ユガの得体の知れないナニカがなんなのか……。それを把握したかった。

 

「……俺と、戦え!!」

 




分離後のカリ・ユガがぶっ壊れ性能すぎてめちゃくちゃ扱いづらい……(´・ω・`)
極論言えば終末の光ぶっぱでゼンガー以外簡単に殲滅できるやろうしなぁ……手加減できそうにないし(´・ω・`)

Q:なんで神託が発動したの?

A:コスモリヴァルナはリヴァルナの一部。つまりはカリ・ユガの一部。
リヴァルナが子機ならコスモリヴァルナは孫機。つまりはカリ・ユガに触れているも同然。一種の抜け道のようだが、一応条件を満たしている。

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