破壊と輪廻の巫女   作:シュオウ・麗翅

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作品違うけどカリ・ユガとブーニベルゼどっちが強いんやろ……?セリフ回しとか結構好きなんだよね。ブーニベルゼ。思い出補正もあると思うけど。

ブーニベルゼ+HARDは2週目勝てへんかったわ……(´・ω・`)


究極ロボ再び

ハガネ、及びヒリュウ改は黒海の港付近にあるセパストポリ基地に急遽出動した。

DC残党から襲撃を受けているという報告を連邦軍から受け、救助を頼まれたのである。幸い連邦本部があるジュネーブへの進路方向にあった為、即座に行動に移すことが出来た。

ダイテツ艦長は敵の罠……もしくは足止めや時間稼ぎが目的だと予想したが、状況が状況だ。やむを得ないだろう。

 

「……」

 

コスモリヴァルナのコクピットの中で、四方を魔法陣に囲まれて浮かんでいるユウは目を瞑る。

青みがかった長い銀髪が風になびくように揺れ動く。パイロットスーツは着ておらず、いつもの白を着物とカリ・ユガの鎧を組み合わせたような衣装を身にまとっており、頭には獅子……ではなく猫の帽子のようなものを被っている。

ユウは手をグーパーさせて機体の動きを軽く確かめている。コスモリヴァルナはユガの魔法陣に囲まれているユウの動きと連動しているのだ。

 

思い浮かぶのは、仮称ユガ隊に割り振られた部屋。その中で、布団にくるまってガクガク震えているカリ・ユガが居た。ちなみに紫を主体としたチェック柄である。

お風呂に一緒に入っても、一緒にお菓子やアイスを食べても、一緒に会話をしてもどこか上の空……どころか最早虚無だった。

 

人間の強い意志の力。集まれば宇宙すら創造できる無限の力を前に、正史の自分の最期というカリ・ユガのトラウマが再発した。

無論、あくまでもアレは正史の世界の出来事であり、この世界の出来事では無い。

とはいえ、一体それがどんな慰めになるというのだろうか。1つの確定した未来……無惨な末路を見せられてそれを恐れない人がいるのだろうか。自分の全てが崩壊した状態で。しかもifではなく正史で。

 

神に歯向かい逆らうならば……と強気に出れたら苦労はしない。

ユウがカリ・ユガと融合するまでの修行時代もちょくちょく似たような事があったが、特に今回の取り乱しようは凄まじかった。やはり未来の映像を見て身構えるのと、似たような事を実際に体験するのでは全然違うのだろう。事前知識があったのならば尚更だ。

 

「ユウ。カリ・ユガのあの取り乱しようは一体……?」

 

後部座席で機体のチェックとシステムの制御をやっている、ウェーブがかった髪型をオールバックにした金髪の女性はリリー・ユンカース。元コロニー統合軍の若き参謀である。なんやかんやあって今はユウと一緒にコスモリヴァルナに乗り、ヒリュウ隊とハガネ隊に協力している女だ。

 

ーーー臆しましたっ……!!私の全てが否定されるんですよ!?そんな事は有り得ない!!私は死にたくありません!!

 

神秘的な聖職者を思わせるような外見に、エアロゲイターを蹂躙する圧倒的なパワー。

ゼンガーとの戦いでも技量こそ負けていたものの、それを補うだけの圧倒的なフィジカルは凄まじいものだ。裏を返せば力押しだけでゼンガーを圧倒していたということである。最も、斬艦刀・疾風怒濤の時を除いてだが。

 

ーーーダメだ。トラウマが再発してる……。早く何とかしないと……。しかも今までで1番酷い……。

 

女神の巫女がそう呟いたのが耳に入った。カリ・ユガが酷く狼狽え、声を大にして言った情けないセリフ。守護女神のイメージが完全に崩れ去ったと同時に、あれほどの者があそこまで怯えるほどのトラウマとは一体何なのだろうか?

 

「えーっと……生まれてから今まで信じてきて続けてきた事を全否定されて取り上げられた挙句、完膚なきまでに叩きのめされる未来を見た……から……?」

 

ユウはリリーの疑問に対し、ある程度暈して説明する。

リリーはユウがスカウトした仮称ユガ隊の一員ではあるが、カリ・ユガの関係者から見ればただの人間だ。軍人と民間人程度の違いがある。軍人で当てはめるならば、カリ・ユガの真の力は最重要機密事項。国家機密レベルの物である。〝破壊と輪廻の女神〟という称号から普通に推測できそうなものだが、そこはツッコんではいけない。

 

カリ・ユガは平たく言えば宇宙規模でのリセットボタンだ。宇宙の寿命が尽きそうになった時、1度全てを消滅させて宇宙をメンテナンスした後、正常に戻して輪廻転生をさせるといった役割を持っている。

つまり、宇宙救済の為に1度宇宙を消滅させるというステップを踏む必要があるという事である。その事が知られればまず確実にカリ・ユガが女神から魔王に転落してしまう事は間違いない。全戦力を向けられてしまうであろう事は想像にかたくない。アルティメットクロス来ないで。ネオ・グランゾン来ないで。ゼンガー関係者来ないで。ちょ、ちょ、ちょっと待って下さい!待って!助けて!待って下さい!お願いします!ああああぁぁぁぁーっ!!

 

個人レベルに落とし込んだ解釈をするのであれば、「貴方が死ねば大勢の命が救われるので無駄な抵抗はせずに死んでください」と言われるような物である。仮にそれが事実だとしても抵抗しない人の方が少数だろう。人間、誰しも死にたくは無いのだから。敵と認定されても仕方がない部分はある。

 

それを聞いたリリーは一応納得はしたようだ。確実に詳細は暈しているのを分かっているのだろうが、それだけで察する事が出来たのだから。

それに、ユウが出撃する前のあの反応……。まるで怯えた子どもがそれを必死に隠すように……「大丈夫だよ」と取り繕っているようにも見えた。

 

そうこうしている間にコスモリヴァルナの発進シークエンスに入ったようだ。ユウは瞳をゆっくりと開け、人造リヴァルナを動かした。

 

コスモリヴァルナの性能を100%発揮出来るのは現状、ユウしかいない。コスモリヴァルナはユウ以外の人間が乗ると、性能がいいだけのコスモリオンでしかなくなるからだ。それは現在サブパイロットをしているリリーも例外ではない。

 

時が全てを癒す事を信じよう。カリ・ユガに必要なのは休息だ。今までずっと宇宙の守護の為に頑張ってきたのだから、少しくらい休んでも許されるだろう。『暫く1人にさせてください』とも言っていた為、ゆっくりと考える時間が欲しいのだろう。

ならば今するべきことは、少しでも早くユガの力に馴れる事。現状、その為の手段がコスモリヴァルナしか無い以上戦闘をする必要がある。

 

カリ・ユガもそれを望んでいる。今の彼女はまるで最初に会った時のような焦りがあるように感じたのだが、恐らくはトラウマが再発したのが原因だろう。ならばその焦りを解消させる為には早く終わらせねばならない。早くリヴァルナの……カリ・ユガの力を使いこなせるようにならなければならない。

 

 

そう思いながら機体を動かした。女神の巫女とサポーターを乗せたカラクリ天使は背中の天輪を輝かせながら外へと飛翔し、先に出撃していたサイバスターとヴァルシオーネの間に入るように位置取りをした。

 

 

 

軍港基地の上空に浮かんでいるのは、薄い紫色をしているガーリオン小隊と、その背後で王様のように佇んでいる見覚えのある2体の特機だ。

 

1機は、ガーリオンが特機サイズの鎧を装備したかのような不恰好な機体であるグラビリオン。

もう1機は、青いカラーリングをした将軍ヒーローのようなスーパーロボットのヴァルシオン。

 

「な、なんだ!?あのデカいロボットは!?」

 

ジガンスクードのパイロットであるバンダナの少年、タスク・シングウジが驚きのあまり大声を上げた。その内の1機、ヴァルシオンついてジャーダが説明し、グラビリオンはユウが解説する。

アイドネウス島の要塞内にて、ハガネ隊の総力で大苦戦しながらもようやく倒せたDC総裁が誇る究極ロボ、ヴァルシオン。

 

この世界ではアードラーが対カリ・ユガ用に開発したグルンガストをも超える巨体を持っている薄紫のグラビリオン。ガーリオンが追加パーツを装着した機体であり、巨体の割には全体的に細めなフォルムという歪さとアンバランスな見た目をしている。その性能は一言で表すならば劣化版ヴァルシオン。その巨体から繰り出されるパワーと多くの武装から発射される殲滅力は侮れない。

かつてはカリ・ユガにクロスコンバットの実験だけで瞬殺され、ハガネ隊の一斉攻撃で2度目の敗北を味わった機体でもある。

 

「よく来たな。ハガネ、ヒリュウ改……!!」

 

青いヴァルシオンに乗っているのは、少し前に砂漠で戦った自称策士、ジーベル・ミステルだ。

 

「ジーベル……!テメェ、性懲りも無く!!」

 

「黙れ!貴様らの……貴様らのせいで、俺が今まで築き上げた地位が全て崩壊したんだぞ……!!」

 

「……」

 

今までは余裕を持って戦いに臨んでいた……悪く言えば油断と慢心がデフォルトであったジーベルが初っ端から怒りを顕にしている。

 

彼はタクラマカン砂漠での戦闘で降下した部隊を全て失い、命からがらDC残党の本部であるアースクレイドルへと辿り着いた。

そこで彼は散々な目にあったのだ。アードラーからはこれでもかと言うほどに折檻され、テンザンからはめちゃくちゃバカにされ、DC残党兵からも冷たい目で見られている。

 

コロニー統合軍の少佐という高い地位も、策士であるという自負も、砂漠での戦闘の後はただの紙切れとなってしまったのだ。

DC残党では階級は半ば形骸化している所はあるとはいえ、これほどの屈辱は生まれて初めてだった。

 

「……目先の欲に眩んで任務を放棄した挙句、ボコボコにされたから当然の結果じゃないの?」

 

「黙れ!」

 

あの時のジーベルの任務は、統合軍の彼の保有している戦力と共にDC残党へと合流する事だった。

もし合流していれば、アイドネウス島での決戦時やマイヤーとの決戦時と匹敵する程の……若しくはそれを上回るほどの戦力を確保出来ていただろう。

だが、それはジーベルの独断により全ておじゃんになってしまったのだ。合流したのはゼンガーが率いた部隊のみ……。対してジーベル軍はジーベルただ1人を残して全滅してしまった。しかも一切の戦果を上げられずに。

 

DCが崩壊し、残党として活動してからは戦力の補強は中々難しい。それなのに貴重な戦力を個人の欲でドブに捨ててしまったのだ。もしこれが残党軍ではなく正式の軍隊だったならば、立場や階級所の話では無くなるだろう。

 

「この俺を散々コケにした貴様らを葬り去ってくれるわ!このヴァルシオンの量産試作機……ヴァルシオン改でな!!」

 

「なっ……!?DCの奴ら、あのヴァルシオンを量産する気なのか!」

 

ヴァルシオンの脅威はハガネ隊が1番知っている。一定ダメージ以下の攻撃を無効化する歪曲フィールドに、グランゾンのような重力武装を持つ究極の機体だ。

サイズはグルンガストよりも少しデカく、それに見合うだけのパワーを持ち合わせている。

かつてはグルンガスト、Rー1、サイバスターといった、高火力の武装がある3機を起点として戦い、なんとか倒したものだ。

だからこそマサキは驚いた。なんならハガネ隊の面々も驚愕を顕にしている。1機だけでもめちゃくちゃ強かったのだ。それが量産されるとなると、その脅威を体験した者にとっては恐怖以外の何物でもない。ヒリュウ隊で例えるならば、統合軍の旗艦マハトを量産されるようなものである。

 

「その通りだ。ヴァルシオンの量産が完了すれば、連邦を倒す事など容易く終わるからな」

 

「その声、テンペスト少佐……!?」

 

青いヴァルシオンの隣にいる薄紫のグラビリオン。そこから発せられた通信は、元教導隊の一員であるテンペスト・ホーカーの物だった。

 

「ハガネとヒリュウの戦士たちよ。ジガンスクードを渡せ。そうすれば俺はこの戦闘において、一切の手出しはしないと約束しよう」

 

「なっ……!?テンペスト!そんな勝手が許され……!」

 

ジーベルがテンペストに文句を言おうとしたが、テンペストの眼力によって強制的に騙されてしまった。

テンペストの本来の目的は、彼から妻と娘を奪った原因である腐敗した連邦の打倒だ。正史の世界では、彼は復讐のためならどんな犠牲も厭わないという、名前に偽りなしの冷酷な復讐鬼のような人間だ。

 

しかし、この世界では違う。太平洋にある小さな島での戦闘で、娘の面影を感じるラトゥーニの容姿を見て。そして、アイドネウス島での決戦でラトゥーニと戦い、DC界の外道爺とも言えるアードラーを蹴散らすカリ・ユガを見て、彼は迷いを感じてしまった。「俺の復讐は本当に妻と娘が喜ぶのであろうか?」と。

 

こうしてテンペストの復讐の炎はラトゥーニとカリ・ユガによって水をかけられて弱まったものの、彼の家族を失った原点とも言えるジガンスクードが出撃したことにより、心にあった火種が発火してしまったのだ。

ハガネ隊とヒリュウ隊は連邦の良心とも言える存在だ。エアロゲイターといった異星人相手に立ち向かい、市民を守っている。だからこそ、テンペストは今回の作戦にあまり乗り気では無かった。アードラーに命令されたからというのもあるだろう。

……だが、ジガンスクードなら話は別だ。問答無用で叩き潰す。

大切な家族を奪った原因が今目の前にいる。この状況で冷静でいられる人間が果たして何人いるのだろうか。そういう事である。

 

ジガンスクードのパイロットであるタスクは「何故この機体を狙う!?」とテンペストに聞き、テンペストはジガンスクードと当時の連邦軍が原因で妻と娘が死んだという事を言った。そして、トロイエ隊仕様のガーリオンに乗っているレオナ・ガーシュタインがその詳細を語る。

 

本来、ジガンスクードは当時のコロニーで盛んだったという独立自治権確立運動を牽制するために連邦軍が製作した大型固定砲台。故にジガンスクードの存在はコロニーの市民からの反発が強かったという。

その結果、ジガンスクードはテロリストに奪われ、それが自分達の手から離れる事を……自分達に向けられることを恐れた連邦軍は、テロリストが立てこもったコロニーごとジガンを破壊したという出来事があった。コレが〝エルピス事件〟に継ぐコロニー第2の禁忌である〝ホープ事件〟であり、ジガンスクードはそれを起こした原因とも言える存在だ。

 

それを聞いたタスクは絶句した。それと同時に、かつてゼンガーの攻撃から母艦を守った時にかけられた言葉を思い出した。

 

ーーーコレが、ゼンガー少佐が言っていたジガンの業。

 

コロニー統合軍と戦っていた時は、まるでジガンを家族の仇かと言わんばかりに襲いかかられた理由は分からなかったが、ホープ事件の全貌を聞いた今なら分かる。この機体が統合軍から狙われる理由が。

 

確かに、コロニーの人間……しかも、その事件の遺族がこの機体に恨みを持つのは分かる。復讐するのは分かる。だが、今はそういうことをしている場合ではない。

エアロゲイターの侵略は今も続いている。地球の近くに〝ホワイトスター〟と仮称されたエアロゲイターの基地があるのだから尚更だ。その上、インスペクターといった異星人がいつ攻めてくるか分からないこの状況で、人間同士が戦っている場合では無いのだから。

 

だが、理屈では分かっていても感情では納得できないというのが人間というものだ。

テンペストは今でこそ大人しくなっているが、それは無差別攻撃から一点集中に切り替わっただけにすぎない。それでも大幅な進歩ではあると言えるだろうが、やはりジガンスクードは自分の家族を奪った元凶の1つだ。簡単に割り切れるはずがない。完全に振り切れる筈がない。

 

「……残念だ。ならば俺は、16年前に誓った復讐を果たさせてもらう!覚悟しろ、ジガンスクードォッ!!」

 

テンペストの叫びと共に、グラビリオンの瞳に光が灯った。狙うは憎きジガンスクードだ。

 

ヒリュウ隊、ハガネ隊も譲れないものがある。戦う理由がある。それはテンペストも同様だ。

今ここに、互いの感情と思いを乗せた戦いが始まろうとしていた。






この世界でのテンペストの目的→ジガンの破壊1本狙い。ラトゥーニとカリ・ユガから娘と妻の面影を感じたせいで復讐に迷いを感じてしまった為に原作のような問答無用気質の復讐鬼ルートからは外れたが、その代わりジガンに対しては原作での憎しみ全部をジガンに叩きつけるかの如く向かってくる。連邦軍への怒りまでジガンにぶつけていくスタイルである。この世界ではグラビリオンに搭乗。
太平洋の戦いでのオープン通信でラトゥーニの容姿(ロリータファッションver.)は確認しており、エアロゲイターから守った事で「俺は腐った連邦のようにはならん!」と誓う。また、アイドネウス島の決戦でユウからアードラーの所業を解説された上、ラトゥーニからの疑問の投げかけとカリ・ユガがグラビリオンにかかと落としをした場面を見て迷いを抱いた感じで。
原作におけるリリーのポジションも担ってもらおうかなって……。
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