破壊と輪廻の巫女   作:シュオウ・麗翅

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書いてる途中や保存した後作業している時に問題点があることに浮上してあーでもこーでもないと悩みました。「こうしたらこうなるからああしよう。でもああしたらああなるし……」みたいな。

やがてこのままだと一向に進まないと思った、設定やシチュだけは多少マシな事を考えつける位であとはてんでダメという、数だけは立派で実際はほとんどの要素においてシロウト級の私は閃きました。
「問題が浮上しても、後付けでなるだけしっくり来そうな理由付けをすればいいじゃない(?)」と。浮上した問題は未来の私に任せましょう。開き直ります。

不安要素をウダウダ考えるより書いてから理由考えた方がいい気がする。後付けバンザイ。
集団戦、ほんまムズすぎ……


アンビバレンス

戦闘で揺れるハガネの艦内の一部屋。ユウ、リリー、カリ・ユガに割り当てられている部屋の中で、カリ・ユガは独り、ベットの上で体育座りをしながらちびちびと紙パックジュースを飲んでいた。ちなみにお子様サイズである。

『……』

 

上空で監視しているリヴァルナとの視覚共有を利用し、コスモリヴァルナの戦闘をモニタリングしながらあの時の事を思い返していた。

 

事の発端は世界に違和感を感じて行動を開始した時、転移した先が荒廃した地球……即ち、V世界だった事だ。

〝外なる宇宙〟を越えた違う世界への転移。それはカリ・ユガにとって初めての出来事だった。

UX世界を超えたV世界への移動というハプニング。いつも通り侵入してきた〝無〟への対処が終わり、いざ帰ろうとした矢先のコレだ。

最初は、カリ・ユガ自身の探知能力が誤作動を起こしたものだと思っていた。宇宙の寿命が尽きそうになった時に顕現する彼女は、異物に対して非常に高い探知能力を持っている。ifの展開が起きた時なんかまさにそうだ。宇宙の寿命が多く削れるのだから、宇宙の寿命を計測し、守護しているカリ・ユガが探知出来ない方がおかしい。

 

カリ・ユガは空を飛んで周囲を探索する。恐らく、転移する時にたまたま異物に対する探知に引っかかってしまったのだろう。自分の身体の中にも何か違和感がある。コレは何だろうか。

なんか邪魔してくる緑色の戦闘機や戦艦がいたような気がするが、全長1999mオーバーの超特大サイズを誇るカリ・ユガにとって、そんなものはその辺の羽虫と同様の存在だ。

故にミサイルや機銃を受けても全くの無傷なのは当然だった。そして、カリ・ユガが軽く手を振るうだけで羽虫のように潰してしまうのもこれまた当然であった。敵パイロットは、めちゃくちゃデカい岩が頭上から落下していくような光景を思い浮かべながら殉職して行ったことだろう。

蛇や武具、神器を使うまでもなく素手で簡単に対処しながら探索を続けていくと、1人の少女が重症を負ってよろよろとしているのを確認した。

 

この少女こそ、カリ・ユガが感じていた違和感の正体だろう。まるでこの少女の中にカリ・ユガの知らない異物が入っているかのような気配を感じた。

正史の世界でも、ifの展開となった事を感じ取れるカリ・ユガにとって、異物の気配を察知する事は容易い。

 

ーーー貴女の存在は宇宙の均衡を揺るがしかねない存在。故に私の手で貴女を新たなユガへと送りましょう。

 

眠りなさい……と呟いた後、カリ・ユガは人間サイズへと小さくなった。

全力で裁きを下せばこの惑星諸共破壊しかねないからだ。

流石に異物を破壊するためだけに惑星を破壊するわけにはいかない。別世界に思いっきり干渉している気がするが、そこはそれ。世界を正常に戻す役割を持っているカリ・ユガにとって、そんなものは誤差の範囲でしかないのである。異物ダメゼッタイ。

 

世界の修正力とも言えるカリ・ユガが意識が朦朧としているであろう少女を掴んだ時、それは起こった。

 

『こ……これは……一体……?』

 

少女に触れた途端、カリ・ユガと少女の周囲が翠色の光に包まれた。その時だ。膨大な情報量がカリ・ユガの頭に流れ込んできた。

それは、遠い未来の出来事。宇宙の寿命が尽きかけている上、邪神の施した細工をどうにかしようと顕現した時の出来事だ。

 

『あ……ありえない……!!あってはならないことが……!こ……こんな事が起こるというのですか……!?』

 

抵抗した人間達に存在も、役割も、何もかもを取り上げられて否定された上、完膚なきまでに叩きのめされる未来を見たカリ・ユガの手は、誰が見ても分かる程に震えていた。

 

何度も何度も宇宙を守護し、正常に戻し、輪廻転生をしてきたカリ・ユガはこの瞬間、生まれて初めての恐怖を覚えた。

なんで自分が否定されなければならない?なんで自分が滅びなければならない?カリ・ユガの頭の中はそれで埋め尽くされた。

 

『……そうです。この異物を利用しましょう』

 

悩みに悩んだ結果、この少女を利用する事に決めた。

あんな結末が正史とは認めない。あんな結末が自分の最期だなんて認めたくない。……が、あれは間違いなく正史の世界だ。こんな状況でも、ifと正史を見分ける事は造作もない。

ならば、こちらもイレギュラーで対抗しよう。流れた映像を見た限り、敵対勢力もifの可能性を使っている。

向こうが好き勝手しているのだから、こちらだってやったっていいだろう。カリ・ユガの感情は恐怖やら怒りやら喪失感やら様々な感情が入り交じり、ぐっちゃぐちゃな状態だ。結構前に自分の中に入り込んでいた翠の異物もこの少女に反応しているようだったし、丁度いいと言えなくもない。

 

ーーー死にたくない。

 

宇宙を守護する自分が宇宙の寿命を縮める行為をするという矛盾。それがカリ・ユガの心の底に一滴の染みの如く付着したが、そんな事よりも自分が死ぬ事の方が問題だ。

自分が死ねば宇宙の守護は未来永劫叶わなくなる。仮にあの場面で人間達が新たなユガを創造出来たとして、次は?その次は?その次の次は……?

 

そうと決めたカリ・ユガは急いで自分の惑星へ少女を連れて転移する。幸い、この時のカリ・ユガの惑星付近は〝外なる宇宙〟に対処したばかりだったので何のアクシデントも無く無事に帰ることが出来た。

 

気絶した重症の少女に治癒を施していく。

先ずは一際翠に輝いている部位を虫の息である少女に移植し、杯の中身をぶっかけて応急処置を施した。その後神力による回復魔法のようなもので全ての傷を直した後、自分の血を少女に輸血する。

天輪は損傷しても、時間が経てば元に戻る。なんなら神力で治すのも有りだ。

少女に埋め込んだ天輪の一部はカリ・ユガにとっては異物が宿ったものであり、それが無くなった事でどことなくスッキリしたような表情をしている。この少女に近づくにつれてその部分が輝きを増していたような気がするが、今となってはどうでもいい事だ。

 

『この少女を私の巫女に……。そして、新たなユガには新たな女神を……。ユガの彼方に君臨し、宇宙の輪廻転生を……宇宙の守護を司る女神となりなさい』

 

カリ・ユガから治癒を施された少女の髪は青みがかった銀髪へと染まり、背中には天輪の紋章が刻み込まれた。

それを見たカリ・ユガはほっと一息ついた。今後の予定はどうしようかと考えた矢先、少女は目を覚まし、ゆっくりと起き上がる。

そして周囲をきょろきょろと見渡した後、こちらの方へと顔を向けて呟いた。

 

「……かり……ゆが……?」

 

それが、起き上がった少女の第一声だ。別世界の人間が……先程まで重症で倒れていた人間が、恐らくは自分の名前であろう単語を発した。その事実に驚きながらも、カリ・ユガは直ぐに平静を保って少女に告げた。

 

『そう……ですね。確かに、これからは名前が無いと不便ですね』

 

巫女(予定)は女神に助けられ、女神は巫女(予定)に名付けられた。

これが、カリ・ユガとユウの最初の出会いである。

 

 

ーーーーー

 

「全機へ通達する。敵がアレだけの戦力で基地を攻撃したとは思えん。伏兵や増援が来る可能性が高い。警戒を怠るなよ」

 

「了解」

 

今基地を攻撃しているのは、ガーリオン小隊とそのリーダー機であるグラビリオン。そして、青いヴァルシオンのみとなっている。ちなみにヴァルシオンの周りには1機も同伴しておらず、全てグラビリオンの方に着いているようだ。

グラビリオンとヴァルシオンだけでも過剰戦力な気もするが、切り札を使っているとはいえDC残党は切羽詰まっている状況だ。故にイングラムの懸念も一理あるだろう。

 

「……!!」

 

コスモリヴァルナに向かって一直線に向かってくるのは、青のカラーリングをした将軍とヒーローを組み合わせたような外見の特機、ヴァルシオンだ。

全長約60mの巨大な機動兵器が、全長約20mのカラクリ天使に向けて剣を振りかぶりながら、猛スピードで突っ込んで来るのだ。それに加え、ゲシュペンストやビルトラプター、ヒュッケバインといった味方機が放つビームや実弾を食らってもスピードを落とさず、寧ろ加速してきている。

その光景を例えるならば、軽自動車を運転している時、4トントラックが高速道路級のスピードで逆走して障害物を蹴散らしながら突っ込んでくるようなものである。

 

「くたばれ改造リオンンンンンンンッ!!!」

 

「なっ……!?」

 

目を血走らせたジーベルが叫びを上げ、マサキが思わず困惑の声を上げた。まさかヴァルシオーネとサイバスターを無視してコスモリヴァルナの方にむかって一直線とは思わなかったからだ。

砂漠ではアレだけ執着していたにもかかわらず、気に止める事もなくまさかのスルーという予想外の展開である。マサキとリューネは急いで機体をUターンさせ、ヴァルシオンを追いかける。

 

ヴァルシオンのサイズはコスモリヴァルナの約3倍の大きさを誇り、ヴァルシオンの剣……ディバイン・アームの大きさはヴァルシオンと同じくらいか、あるいは少しだけ小さい程度だ。

戦いにおいて、サイズ差とはバカにできない要素の1つだ。軽自動車が石を踏むのと、10トントラックが石を踏むのとでは全然違う。大きさとはそれだけで武器の1つになり得るのだ。ましてやそれがスピードを乗せて走っているのならば尚のことである。

 

「……ッ!!」

 

ユウは咄嗟にボラ・ボール・バリアを張った。黒い個体の重力弾を応用した、Gウォール級の防御力を持つ重力のバリアだ。

黒い渦のような重力のバリアがヴァルシオンの剣の前に展開される。

 

「そんなものがぁっ!!」

 

コスモリヴァルナが張った重力バリアは、ヴァルシオンが力任せに振るった剣によって砕かれる。

カリ・ユガの強度ならいざ知らず、コスモリヴァルナでは少し対抗出来ただけで無情にも破壊されてしまった。

 

「……ッ!?」

咄嗟に天輪の出力を上げてスライドするように後退する。振り下ろされたヴァルシオンの剣はコスモリヴァルナの顔面スレスレまで迫り、損傷を頭部の先端を切断するだけに抑えられた。

 

ユウは素早く体制を整え、ソマ・アローを放つ。ボウガンのような形状をした右手から発射された雷の矢はヴァルシオンに直撃。そこに間髪入れずにシュクラ・メイスを生成してぶん投げた。

 

「……硬った」

 

思わずユウは淡々と呟いた。コスモリヴァルナが放った雷の矢と氷の槌を直撃させて与えたダメージは、僅かに装甲が凹んだ程度に収まっている。

ジーベルが乗っている青いヴァルシオンは、ハガネ隊に猛威を振るった歪曲フィールドは搭載されていない。ビームを食らった時のみバリアが張られたのが確認できた為、恐らくはビームコートで代用しているのだろう。

歪曲フィールドは物理、実弾、ビームを問わずに攻撃の威力を四散させて軽減、無効化するというぶっ飛んだ性能をしているバリアだ。グランゾンやオリジナルのヴァルシオンが最凶と究極と呼ばれている要素の1つを担っていると言える。

 

目の前にいるヴァルシオン改にはそれがない。唯一軽減出来るビームも、氷の槌と雷の矢が相手だと何の効果も発揮出来ないが、逆に考えれば持ち前の防御力だけでコスモリヴァルナの攻撃があまり効かなかったということになる。

今まではカリ・ユガのパワーが強すぎた為にネオ・グランゾンを除いて気にする必要は無かった。しかし、今はリヴァルナの下位互換であるコスモリヴァルナに乗っている為、ここに来て相手の防御力の事を考える必要が出てきた。

 

「ククク……流石はビアン総帥が設計し、アードラーが再現した機体だな。凄まじい性能だ」

 

対するジーベルは高らかに笑う。これさえあればまず負けの目は無くなると言わんばかりの大声だ。傍から見ると狂ったようにも聞こえてくる。

ジーベルは笑いながらヴァルシオンを操作し、まるで力を見せつけるようにクロスマッシャーを発射する。

テキトーに放ったエネルギー波は機体に命中することなく着弾。建物を巻き込んで大爆発を起こしていく。

 

「く……ククク……ふふふふふ……ハハハハハハハ!!」

 

究極と呼ばれた力を得て、それに酔った自称策士の笑い声が、この戦域中に響き渡った。




「即ち……カリ・ユガ!!」←このシーンまで名も無き宇宙の守護女神だった説。

当時のカリ・ユガはなんでユウを助けたの?→自分の身代わりに仕立てるため。修行をつけて巫女にしたのもその為。「死にたくない。でも宇宙の守護の使命がある。だったら代理を立てればいいじゃない!」的な考えから。強い使命感と生存本能が強く働いた結果である。もしかしたら深夜テンション的なノリだったのかもしれない。アルティメットクロスが生存ルートという名のifルートを選ぶんだしカリ・ユガがifルート選んでも宇宙的には誤差だよ誤差。
ただし、それはあくまでも当時の機械のようなカリ・ユガの考えであり、少なくとも本編開始時からは全然違う。
要するにユウはカリ・ユガのルシみてーなもん。

異物を嫌うカリ・ユガ様→生存ルート解放組への特殊戦闘セリフより。ifや異物は一層嫌ってそう。

・ソマ・アロー

運動性低下のデバフを付ける雷のボウガン。黄色のリヴァルナが使用する武装。雷の矢で相手を射るというシンプルなもの。
対象を雷で覆う描写がある為、機体の内部にもダメージを加えて動きを鈍らせていると解釈できる。また、エグナーウィップのようにパイロットにも少なからずダメージがあると思われる。
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