破壊と輪廻の巫女   作:シュオウ・麗翅

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カリ・ユガのように目を瞑るのが最近のマイブーム。


〝準〟最強が1番好みな強さ。

現在カリ・ユガは暗い部屋で布団にくるまって震えながら体育座りの姿勢でちびちびと幼児用の紙パックジュースを飲んでいます。

難易度上げなきゃ……(使命感)セリフ回しや展開運びや色んな描写が上手い人ホントすごいですね。難しすぎる……(´・ω・`)
活躍させたいけどワイの力量不足ガガガ……


究極の硬さ

 

『……』

 

人間の強い意志の力。集まれば宇宙すら創造できる無限の力を前にした正史の自分の最期というカリ・ユガのトラウマが再発した。

無論、あくまでもアレは正史の世界の出来事であり、この世界の出来事では無い。

カリ・ユガはifの世界よりも正史の世界を重要視している。

UX世界では、ifの出来事が発生した時、宇宙の寿命という器には多めの水が注がれるという性質がある。つまり、ifの可能性は宇宙の寿命をより多く削るという事だ。

 

ーーーここにいるはずのない者たち…。あなたの可能性が、宇宙の命を奪ったのです。

ーーーあなたの命が、今そこにある事…。それがすでに、宇宙を脅かしているのです。

 

かつての己の言葉が。正史の己の言葉が今の自分を責め立てている。そう感じているのだろう。

生き残ったif。宇宙の寿命を更に縮める忌むべき存在に、カリ・ユガもなってしまった。その理由は、己の存在意義が崩壊した正史世界のような死を恐れたからだ。生存本能が極限まで働いた結果とも言うべきだろうか。

 

ーーー使命。役割。存在意義。

 

なまじ使命感が強かったばかりに。使命を果たせる程の大きな力を持っていたが故に。それを打ち砕かれた時の喪失感も大きかったのだろう。

自分が生き残る為に宇宙の寿命を削るという本末転倒な行動。でも絶対に死にたくないという生存本能。宇宙の守護という大きな使命を抱えていながらそれに反しているという行動から来る自己嫌悪。数多の意志がいつ自分を襲うか分からない恐怖。傍にユウが居ないという寂しさ。様々な感情が今のカリ・ユガを襲っている。

知らなければ、ここまで苦しむ事は無かったのだろうか。使命を放棄すれば、あそこまで苦しむ事は無かったのだろうか。こうして怯えることは無かったのだろうか。

 

ーーーそういえば、こういう風に感情が表に出るようになったのはいつからでしたっけ……?

 

元々、異なる世界にてユウを助けたのは、偏に自身の代理に作り替える為であった。これは死の運命を恐れたカリ・ユガが、どうにかして使命を果たそうと考えた1つの結論だった。

その為に天輪を埋め込んで神の使徒に変え、そして鍛え上げた。

その期間は数年。神にとっては短い年月。されど人間にとっては長い年月である。子どもならば尚更だ。

 

単なる人間の子どもでしか無かった少女は見習いとなり、神僕の試練を超えて守護者となり、精霊の試練を超えてプラーナへ。7色の試練を超えてオーラへ。巨色の試練を超えてヴァルナになっている。虹の試練はあと一歩及ばずアーディヤへの昇格は無しに終わったが、当時はそれに近い実力を有していた。早い話が、ユウは実質、人間の形をしたリヴァルナという事だ。

 

 

リヴァルナを介して外の様子を見てみると、どうやらユウがシュクラ・メイスを応用して巨大な槍を創ったようだ。姿形も浄化の槍と瓜二つである。槍の全長は相対している青い機体の剣と同じくらいだろうか。

『ユウ……』

階級こそ1ランク下ではあるが、今のユウの実力は虹リヴァルナ級。カリ・ユガとの融合が許容されるギリギリのランクだ。有象無象に負ける事は決して無いだろうが、あの青い機体……ヴァルシオン改との相性はよろしくないようだ。

 

ヴァルシオンは特機特有の機動力の低さを除いて、全てにおいて高水準だ。なんなら特機という枠組みの中であれば、機動力は極めて高いと言っていいだろう。

今ユウ達が対峙している青いヴァルシオンは、アードラーとかいう爺がアイドネウス島でのグラビリオンの反省を活かして防御面を思いっきり強化したのだろうと踏んでいる。

 

反対に、ユウが操縦するコスモリヴァルナは、オリジナルのリヴァルナと同じ機動力タイプである。

カリ・ユガの神僕とはいえ、耐久力とパワーに限っていえばライオットX以下だ。そこまで強くは無い。ダウングレード版なら尚更だ。

それを埋めるための氷の大槍なのだろう。大きさが大きさなので、昆のように両手で構えているようだ。

 

カラクリ天使がヴァルシオンの振り下ろした剣を槍で突き上げる。

バランスを崩したヴァルシオンに対し、槍を突き刺して右肩を貫いた。

そこにすかさず天輪から重力弾を生成し、ヴァルシオンを推し潰そうと頭上へと落とした。が、ヴァルシオンの防御力の前には少し凹んだ程度で終わっているようだ。

 

カリ・ユガはコスモリヴァルナの戦っている様子を見て強く心配するように呟いた。

 

『ユウの本来の武具は……双剣……』

 

武器も戦い方も、本来のユウとは全くの正反対なのだから。

 

『私はーーーーーー』

 

ーーーーーーー

 

 

全く表情には出ていないが、ユウは酷く焦っていた。

ジーベルが乗っている究極ロボの量産試作機、ヴァルシオン改への攻撃が全く効いていないからだ。

 

兎に角硬い。コレに尽きる。シュクラ・メイスもボラ・ボールも装甲を凹ませる程度のダメージしか与えられず、此方は相手の攻撃に当たってしまえば致命傷を負ってしまう程だ。

 

「……ッ!!」

 

もし、ヴァルシオンに乗っている相手がテンペストならば、冷静に立ち回れただろう。テンペストは元教導隊の一員であり、軍人としてベテランの域に達している。だからこそ充分に警戒するべき格上として認識している。コスモリヴァルナに乗っているのだから尚更だ。

 

だが、今ヴァルシオンに乗っている相手はジーベル・ミステル。少し前に砂漠で戦った時は策士だと聞いて警戒はしていたものの、蓋を開けてみればそこまででは無かった。

 

此方を見下し舐めきっている態度に加え、少しでも不利になると脳が処理落ちしてしまったのか、長時間何もできない指揮官。それがユウが抱くジーベルの印象だ。しかも、あの時から何も変わっていない。寧ろ此方を逆恨みしているせいで余計に酷くなっている。

 

本来ならば大したことない上、何もかもが酷すぎる相手が高性能な機体スペックに物を言わせてゴリ押ししているだけである。にもかかわらず、此方はロクなダメージも与えられない。組み合わせが悪いにも程があった。

 

 

「始まりの流氷。生誕の祝福を詠い、清らかな光を創造せん……」

 

目を瞑り、両手を伸ばし、ユウに刻み込まれた紋章とコスモリヴァルナの天輪を連動させ、強引に出力を上げて巨大な氷の槍を創り出す。

キラキラと輝く光と冷気を放ちながら出来上がった大槍の形は、浄化の槍と全く同じ物。

 

シュクラ・メイス・ヴィジャール・ランス。この武装の大元は氷のフレイルを生成する〝シュクラ・メイス〟であり、詳細は純度100%の氷を創造し、武器に変えるというものだ。

 

ユウはその解釈を広げて中身を応用し、氷の大槍を生成した。シュクラ・メイスは氷の形を整えてフレイルの形にしている。であるならば、武器の形を変えることも可能なはずだと判断した。

この世界でカリ・ユガが使用する〝終末の光〟のバリエーションを増やしたのも、ボラ・ボールを利用したバリアを生み出したのもユウの解釈によるものが大きい。

 

(リヴァルナやカリ・ユガの力は、所謂魔法のような物……イメージと、それに足るエネルギーがあれば……)

 

無論、この大槍を生成する為に使用するエネルギーはバカにならないほど多い。コスモリヴァルナのエネルギーを9割も使わなければならない程だ。

幾ら消費の少ないシュクラ・メイスとはいえ、これ程の武器を生成するのには莫大なエネルギーが必要である事は想像に固くない。それが浄化の槍を再現したものならば尚更だ。

 

「はぁ……はぁ……はぁ……」

 

そして、コスモリヴァルナで消費していないエネルギーは、ユウが負担している。

埋め込められた翠の天輪を媒介に、自身のユガの力を使っている。人間サイズのシュクラ・メイスやアディ・ソーサーならば苦にはならないが、機体を中継しているとはいえ、機体の倍ほどもある大きさの槍を創り出すのはさすがに無茶があった。そこまでやって尚、浄化の槍に及ばないのは当然として、カリ・ユガの武具である剣の足元にすら及ばない。なんならカリ・ユガの杖でぶん殴るよりも威力が低いと言わざるを得ないだろう。

 

カリ・ユガとの融合は解除されているが、リンク自体は繋がっている。不安な心が……恐怖心が……自分への心配が伝わってくる。ならば、早く帰還して安心させなければならない。

だから一気に終わらせる。パワーが足りないなら増やせばいい。今のユウには、ヴァルシオンにダメージをどうやったら与えられるかという事に取り憑かれている。

 

息を切らし、焦燥と不安に駆られているユウが乗っているコスモリヴァルナ。その足元には徐々に魔法陣が浮かび上がっていた。

 

 

 

 

(どうしたら……)

 

そんなユウの様子に、リリーは頭を抱えていた。

ユウが冷静では無いのは分かる。パワーを求めてスピードを殺している事に気づいておらず、本来とは違うやり方をしているからだ。

大槍を振るった時、慣れていないのか、上手くバランスが取れていないのか……時折次の行動が遅れている時があった。

とはいえ、ジーベルが乗っているヴァルシオンへの数少ない対抗策の1つに氷の槍が入っているのが彼女を悩ませている理由である。

 

氷の大槍を生成した事で機動力が下がったとはいえ、ただでさえ硬いヴァルシオンの装甲を貫いた。高い火力を持つ機体はいるが、他のメンバーは増援や伏兵の対処に追われている。しかも、その増援の中にはグラビリオンが複数いる始末だ。

ジガンスクードらはテンペストが搭乗しているグラビリオンと、彼が率いている部隊と戦っている。よって、必然的にこの3機でヴァルシオンに対処しなければならないのは当然であった。アルトアイゼンやグルンガストが加勢してくれればいいのだが、今の彼らは増援のグラビリオン部隊に手が離せないようだ。しかも練度がとてつもなく高い。

 

1番の火力を誇るサイバスターのコスモノヴァは1回の戦闘で1回しか撃てないと聞いた。それ故に使い所を慎重に見極めなければならない。

ヴァルシオーネのクロスマッシャーをフルパワーで撃てば大きなダメージを期待できるだろうが、そのチャージに時間がかかる。

 

コスモリヴァルナとサイバスターを囮にし、ヴァルシオーネのクロスマッシャーを最大出力でぶち当てる作戦も考えたが、相手も同様の武装を持っている以上厳しい……いや、ジーベルが相手ならば通用するんじゃないか?

どちらにせよ不安要素を無くすためにせめてあと1機……贅沢を言えば2〜3機援軍が来てくれればいいが……。

とにかく、今戦っている3機であのヴァルシオンを倒さなければならないだろう。

 

そんな時、再びDC残党軍の増援が襲来した。

 

 

 

ーーー始まりの時代。生誕する宇宙の産声を祝福せよ。迷える使徒に知識と救いを与えよう。始まりの元へ光あれ。輝きあれ。




ユガの階級

ランク付けあった方が分かりやすいと思ったので採用。

下から順に

見習い→守護者(一般量産機級)→プラーナ(ライオットX級)→オーラ(7色リヴァルナ級)→ヴァルナ(巨大7色リヴァルナ級)→アーディヤ(虹リヴァルナ級)→ミトラ(巨大虹リヴァルナ級)→サティヤ→トレーター→ドバーパラ。


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