日蝕のアサルトレコード 作:その辺の残骸
「もうそんな時間か」
エリスはハッチを解放して、乗降用ワイヤーを使わずに飛び降りようとする。
先ほどの戦闘は長期戦だったし、確かに空腹だった。AMSのコネクタを外す。
「待って」その前にサブシートからレヴが立ち上がり、呼び止めた。
「何?」
「演算で疲れた。お姫様抱っこで降ろしてくれ」
「面倒臭いAIだな」
華奢な少女の躯体を抱き上げた。レヴの少女躯体の感触は人間と同じだ。柔らかく温かい。
「ちょっと汗臭いよエリス」
今のレヴには人間同様の知覚があり、飲食もできる。
「抱っこしてもらって文句言うなし」
白金髪のオートマタを抱え、華麗に飛び降りるエリス。長めの赤髪が靡く。
「お見事っす」
華麗に着地。すぐさまレヴを下ろす。
銀髪片目隠れのメイドが小さく拍車してくれた。名前は水凪ラキ。
隣のアークセイバーからも金髪ツインテールの美少女レイヴンが下りてくる。
その次に黒髪シニヨンのサブドライバーだ。
ササラはリゼが降り立つのを手伝った。
白色のグローブに覆われた手が黒いグローブに覆われた手を取る。リゼはササラの手を強く握り返していた。
二人とも実戦さながらの緊張感で臨んだエリスとの模擬戦で酷く汗を掻いており、股座のハイレグカットが目を惹くパイロットスーツは蒸れていた。
ナノスキンスーツの下の裸体を汗でびっしょりにしているエリスも含め、少女達は昼食の前にシャワーを浴びたかった。
「脱衣所にお着替えを用意してあります。ごゆっくり」
「ありがと、アリア」
金髪ロングヘアの長身メイドにエリスは礼を言う。
「いえいえ。これが仕事ですから~」
燈火アリアという名の少女メイドのメイド服を押し上げる胸は豊満だった。
ササラを先頭にシャワー室まで向かう。レヴも同伴している。白金髪のオートマタは汗は掻かない仕様だが、温水を浴びるのは心地良い。
サメのアバターを長く用いているせいか、レヴは泳ぐのも好きだった。
船内の廊下に硬質な靴音が四人分響く。
金髪のツインテールを颯爽と靡かせているササラが、おもむろにスーツのお尻の食い込みを直すのをエリスは見た。
(レオタード型のスーツって涼しいけど食い込むのがネックなんだよな)と再認識させられる。
「エリス」
後ろにいるレヴが声を掛けてきた。
「なんだよ?」
「日頃の僕への感謝を込めて、髪を洗えよ」
レヴが薄っぺらい胸を張って尊大に言い放つ。
思わず、エリスは「あぁ……!?」というヤンキーギャル全開のドスの効いた声を出していた。
「断る。さっきお姫様抱っこしてやったろ」
「あれは模擬戦の分だけだよ。今までどれだけ君を助けてやったと思ってるんだい?」
「痛ぅっ!」
エリスが悲鳴を上げたのは、レヴが深紅のナノスキンに覆われた豊かな臀部を指で抓ったからだ。
「じゃあ私が代わりに洗ってあげるよ」
リゼが申し出るとエリスのお尻が痛みから解放される。
「本当!? わーい、リゼお姉様大好き―! エリスお姉様嫌い―」
媚び媚びの可愛らしい声音を上げつつ、蠱惑的な黒髪シニヨン美少女に抱き着くレヴ。
「悪いねリゼ」
「いいのいいの。ササラがスキンシップさせてくれない分、楽しませてもらうから」
白金色の髪を優しく撫でるリゼの瞳は妖しくオートマタを見つめている。
シャワー室で相棒がどんな声を上げるか今から楽しみだった。
通路の反対方向からやってきたのは、この船の所有者でありメイド達の主人である桐嶋ミコだった。
西洋人形に和人形のテイストを加えたような可愛らしい容姿。ACバトル同好会がユニフォームとして使っている、レオタードタイプのパイロットスーツ姿。スーツは灰色と白色のカラーリングで、股座は運動性重視の急角度だ。
中学生と見紛う、小柄で可愛らしい容姿のミコが着ているとギャップがある。
学園で見せる余裕溢れる態度は欠片もなく、汗塗れで疲労困憊している。
ミコがエリス達に気付いて片手を上げた。
「やっやあ、私もレネにシゴかれて汗を掻いてきた所だよ。体を動かすのは気持ちがいいねはは……」
ミコは力なく笑っていた。
ACバトル同好会の部長である彼女自身もACを駆り、試合に参加している。
操縦に関してはACドライバーのメイド達に稽古をつけてもらっているだけあり大したものだ。
しかし体力に難があった。初参加となったアマチュア大会の決勝では疲労のピークに達して、部員達にフォローされていた。
その体たらくを嘆いた同好会の外部顧問にして、ミコ直属のメイドである村雨レネから特訓を施されていたのだ。
輸送船には小規模ながらトレーニングルームがあり、そこで汗だくになっていた。
脱衣所のロッカーに各自の着替えが用意してある。
パイロットスーツの着脱は容易だ。エリス達は下にインナーを付けていない。
文字通り、素肌に張り付けて装着している。
赤髪、金髪、黒髪の美少女の完成された裸体が並ぶ。
高い背丈。しなやかな筋肉がついた肢体。豊かに突き出た胸、細い腰から続く豊満な臀部。
スーツをロッカーに仕舞い込んだミコは羨ましそうにエリス達のボディラインを眺めていた。
一方、華美なゴシックドレスを着ているレヴの脱衣は時間がかかる。
エリスは相棒が口を開く前に手伝った。
「感謝するよエリス」
黒タイツを脱ぎ、フリル付きの下着も外してレヴの脱衣は完了だ。
十四歳前後の芸術的な曲線の肢体は幻想的でさえある。
こうして生まれたままの姿になった美少女達はシャワーでリフレッシュしている。
エリスの予想通り、レヴはリゼの玩具にされた。
二人は一緒にブースに入っていた。
「さあ、頼むよリゼ」
「うん、行くよぉレヴ♪」
オートマタ美少女が尊大に構えていられたのは最初だけだった。
髪以外も隅々まで洗われてしまい、決して他人には聞かせられない声を響かせていた。
「やっやめろリゼぇ! エリス助けぇ――――!」
レヴはリゼに後ろから強く抱き締められ、敏感な部分を洗われていた。
「このまま見ているのもいいな」
助けを求められた赤髪の戦乙女はシャワーを止めて、弄ばれる相棒を眺めている。
「いっ意地悪ぅ! エリスの意地悪! 本当に大嫌いになるぞぉ……!」
「こら、そんな事言っちゃダメでしょ」
「あひぃぃ! やっやだぁ! こっこんなぁ! 僕は、僕は、AIでこれは仮初の体に過ぎないのぃ、どうして、どうしてこんな……っ!」
お仕置きとしてリゼはレヴの躯体の急所を軽く撫でた。それだけで激しい感覚が白金髪の少女を貫いた。
「ほほーうこれは興味深い」
シャワー室で繰り広げられる珍事に元気を取り戻すミコであった。
「それくらいにしておけ」
リゼの暴虐を終わらせたのは、ツインテールを解いた金髪クール美少女だった。
柔肌を引っ叩く音がリゼの魅惑的な尻から鳴り響いた。
「ひゃん! 痛いよササラ!」
掌の形に真っ赤に染まった尻たぶを抑えながら、リゼは振り返った。
「行くぞ」
「わかっ、ちょ力強ぉ!?」
二人でシャワー室を後にする。
エリスはレヴを抱き締める。レヴは胸の谷間に顔を埋めていた。
「自分が自分でなくなるみたいで怖かった、怖かったよぉ!」
「ごめんごめん。リゼがあそこまでやるとは予想してなかった。次からはちゃんと助けるからな」
「絶対、絶対だぞエリス」
「約束するって――――てっこら尻を鷲掴みにするな!」
優しく髪を撫でて相棒を慰めるエリスであった。ミコは素っ裸のまま腕を組んで少女達の姿を見物していた。
その後、リゼはササラにこってり絞られたようだ。
リゼはレヴに平謝りして昼食のデザートを譲っていた。
その流れでエリスもデザートを譲ることになり、レヴは大層ご満悦であった。