時は平安────呪術全盛の時代
呪いの王と謡われた両面宿儺の前には、半刻前バチバチに戦いあっていた者が瀕死の状態で宿儺を見上げていた。
「強ぇなあ……やっぱ、俺みたいな奴は力を持つとすーぐ調子に乗っちまう……」
既に戦う力は持っておらず、戦う意志もそこにはない。
その様子を、宿儺は見下ろしていた。
「……貴様は、強かった。故に……誇れ。己の強さを。」
「ッはは。呪いの王にお墨付きを貰えるなんてぇ、嬉しい事この上ないなあ。」
「……貴様の様な強者と命を賭けた殺し合いが出来て、いい経験となった。」
「もう俺、死ぬんだけどなぁ。来世は宿儺と引き分けになれるくらいの強さにはなりたいなぁ。」
「もし、貴様に来世があるのなら、その時は喜んで相手をしてやろう。」
「そりゃぁ……期待出来そうだなぁ。」
その会話を最後に、男──両面宿儺と対等に戦い合った呪術師は息を引き取った。
「ではな、名も無き呪術師よ。来世があるならば今度は────」
目の前の遺体を見ながら、宿儺はそう呟く。
「やあ、どうだった?宿儺」
勝利の余韻にしばし浸るように遺体を見つめ続けていると、後ろから声が掛けられる。
「実に良い闘いだった。俺には及ばなかったが、それでも此度のは有意義な殺し合いではあった」
「……そうかい。それはよかった」
頭に縫い目のある男を見据えて、宿儺は少しつまらなそうにそう言った。
「……初めて、緊張が走った。」
基本的に、宿儺は格下相手であろうが、油断はしない。
格下相手でも時には油断を突いた一撃で一気に勝負を決められるからだ。
例え勝利したとしても、自身が負ける可能性について考え、次の戦闘に繋げるように行動する。
「それほどかい?」
「……次があれば、負けていただろうな。」
初めて抱いた敗北感に、宿儺は自然と頬が緩んだ。
「……気が変わった。死滅回遊の件、受けることにする。」
「そうかい。」
短くそう返した後、男は
「──1000年後だ。1000年で下準備を終わらせ、君を復活させる。」
宿儺はフッっと笑い、
「そうか。では、楽しみに待っている。」
そう呟いた
────その日、呪術界に衝撃が走った。
「……両面宿儺が……死んだ?」
***
「ばぶぅ……」
死んだら赤ちゃんになってた!?
あれ?俺宿儺とバチクソ殺し合って負けて、死んでなかった!?
いや、そもそも死んだかどうかも不明か。
じゃあ何で赤ちゃんになってるんだ?
……まあ、いいか!考えるのは止めよう! また人生をやり直すのか……
まあ前世では色々頑張って人生楽しんだし良しとするか!