音したメダルに誘われて   作:カワード

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 失われた真実を取り戻す。
 それだけの為に、ここまで来た。
 メダルの音がそれを示している。

 真実は目の前だ。何があっても辿り着いてみせる。


明天 その2

 

 

 飛び込んだ、扉の奥には、暗い場所に大きなモニターと、面をつけた2人がいた。

 

 それが誰なのかは、今は分からない。

 

 

 

 「明天、本当にやるのか?」

 

 面を付けた背が高い方の男(声色で判断した)が僕に話しかけてくる。

 

 明天?何でそう呼ぶんだ?

 

「えぇ、それしか方法はありません」

 

 今のは!?

 

 僕が喋ったのか!?

 

 えっ!?声が出ない!体も動かない!

 

 どうなってるんだ!?

 

 

 

 体を動かそうにも、瞬き1つもできやしない。

 

 だけど、さっき、僕の口から言葉が発せられていた。

 

 それは僕の意思じゃない。

 

 まるで、他の誰かの体に、自分の魂だけを憑依させた(実際にやったことは無いが)感覚?だ。

 

 

 

「私が、木野を救います。そのために、真実を永遠に忘れるように誘導するのです」

 

「分かってる、このままじゃ、自我が崩壊する。今は偽りの記憶で誤魔化したけど、いずれ、メダルの音が木野を真実へ導くだろう」

 

 

 

 偽りの記憶?

 

 

 

 モニターには、僕とリーダーが映っていた。

 

 映像から音は聞こえてこないが、しばらくして、映像の僕はリーダーに首を絞められていた。

 

 そうか、思い出したぞ。

 

 門宮を殺したのはリーダーだったじゃないか。

 

 どうしてそんな重要な事を忘れていたんだ?

 

 

 

 この映像が、あの時なら、僕が見ているのは明天の過去なのか?

 

 

 

「おい!このままじゃ、俺が死ぬぞ!」

 

 その時、面を付けた背の低い方が、慌てるようにモニターに映る僕を指し、明天に止めるように訴えている。

 

 

 

 俺、その一人称は、僕が小学生時代の一人称だ。

 

 なんだか、昔の僕と喋り方が似ているな。

 

 どうして僕の事を、俺と呼ぶんだ?

 

 

 

 疑問は残ったまま、映像は流れ続ける。

 

 僕はこの先を覚えている。

 

 明天が僕を助けに来て、リーダーは警察に連行された。

 

 あの時は、明天に感謝したが、今となっては、それも、僕を真実から遠ざけるために、やった事だったんだ。

 

 いや、待てよ。

 

 このまま、明天がここにいたら、僕は首を絞められて、殺されてしまう!?

 

 

 

「いやぁ、それは困りますねぇ。救いに行くとしますか。あなた方の未来を」

 

 ここで様子を見ていたのか、そしてこの時、僕の元へやってきたんだな。

 

 

 

 見られている。

 

 明天が言ったこの言葉は、面を付けた2人のことだったのか。

 

 

 

 明天は目を閉じた。

 

 そうすると、僕も強制的に目をつぶる事になる。

 

 視界が遮断される。

 

 

 

 恐らく僕が今見たのは、明天の記憶だ。

 

 電車の扉の先は、明天の記憶と繋がっていたのか?

 

 だとすると、このまま見ていけば真実に辿り着く、そんな気がする。

 

 

 

 面を付けた2人は、何者だ?

 

 背の低い方は、昔の僕に似ている。

 

 そして、背の高い方が言っていた、偽りの記憶、とは何のことだ?

 

 僕がリーダーに殺されそうになったのは、あの時思い出した真実だった。

 

 だが彼はその映像を見て、偽りの記憶で誤魔化していると、言っていた。

 

 そして何故か僕は、リーダーの事を忘れていたけど……あれ?

 

 

 

 それが偽りの記――思考を遮るように、目が開く。

 

 閉じていた時間は、ほんの数秒である。

 

 他に手掛かりはないか?辺りを見渡して……ダメだ。

 

 やっぱり体の自由が利かない。

 

 

 

 過去の追体験をしているから、行動は全て行った後、なのだろうか?

 

 だから、僕が明天の行動に対して干渉できないのだろう。

 

 なら今は、モニターの映像に集中しよう。

 

 

 

 同じ場所、同じモニター、そして面をつけた2人、視界にそれらが写った。

 

 場所に変わった様子は無い。

 

 でも、映像が切り替わっているから、時間が少し経ったのか?

 

 

 

 モニターの映像は、夜の森、屈んでいる老婆、ななと書かれた木の根元……この場所は、賽銭箱を担いで逃げた明天を、追って入った山の中だ!

 

 夜なのに、まるで映画のように映像が鮮明に見える。

 

 記憶…だからか……。

 

 

 

 映像をしばらく見ていると、画面の奥の方に犬が現れた。

 

 あれは、ななだ。

 

 あの時だ、この先は思い返したくない。

 

「そんな……嘘だ!」

 

「どうした!?」

 

 

 

 背の低い方が、映像に犬が写った途端、両膝を着き、崩れ落ちた。

 

 もう1人が心配そうに、問いかけるが、背の低い方は、泣き叫びながら地面を何度も殴り、暴れていた。

 

 明天はそれに対して、無反応なのか、動きはなかった。

 

 

 

「ななは!死んだ!死んでいたんだ!!」

 

「なな?」

 

「俺はぁ、信じたくなかった!だから、お婆ちゃんに頼んだ!ななはどこに行ったの?1人ぼっちで今頃寂しがってるよって!俺のせいだ!うわぁぁぁ!!!」

 

「おい!何があった!?明天、これはどういう事だ!?」

 

「思い出しただけですよ、面によって忘れていた記憶を」

 

 

 

 この子のお婆ちゃんだったのか。

 

 すまない……僕は、この時何も分かっていなかった。

 

 

 

「映像を止めろぉ!止めてくれぇ!この先は見たくなぁい!」

 

 うずくまって、両腕に顔を埋めて、涙声で映像を止めようと、モニターに手を伸ばす。

 

 そりゃ、見たくないよな……この先は。

 

 だけど、僕は見る事しか出来ない。

 

 顔を逸らす所か、目を瞑ることすら出来ないのだから。

 

 

 

 それでも、耐えろ。

 

 真実を知るために。

 

 

 

 映像のお婆ちゃんが、両手を広げて、ななに近づいた。

 

 来る、あの時の、絶望が!

 

 

 

「あぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

 

「これの、どこが問題なんだ?いい関係じゃ――あ……」

 

 

 

 犬がお婆ちゃんの首元に噛み付いた。

 

 僕が必死に止めに入るも、既に遅かった。お婆ちゃんは、僕の腕の中で死んだ。

 

 あの時と何も変わっていない、結末だった。

 

 

 

「ぁ……………」

 

 

 

 泣き喚くのを止め、うずくまったまま、ぐったりと動かなくなった。

 

 まるで生命の糸がプツンと途切れたように、活動を停止した。

 

 何度も地面を叩いた拳は、骨が折れているのか、血塗れで、歪な形をしていた。涙や血が彼の周りに散在している。

 

 その面は、バキバキに割れていた。

 

 

 

「おい!おい!しっかりしろ!」

 

 強く揺さぶっても反応は無い。

 

「明天、お前は知っていたのか!?この事実を!」

 

「いやぁ、どうでしょう?」

 

 何が起こったんだ?

 

 

 

 明天の表情は、僕からは分からないが、今確かに、笑うように口元が動いた気がした。

 

「知っていたんだな!ならどうして見せた!」

 

「見せる?彼は思い出したのです。大好きだったペットの死を受け入れることが出来ず、年老いたボケ老人に、探して、と懇願した事を。

 

 ななはどこに行った?と何度も何度も、懇願したのです。その結果、あの老婆は毎日、意味も無く、山の中に入り、死んだはずの犬を探し続け、最後は野犬に襲われたのか、転んだのか知りませんが、哀れな遺体で発見された。彼にとっては悲劇でしたね。そうして、身近な人が突然亡くなる事が、トラウマになったのです」

 

「……これが、本当に木野を救う事なのか?こいつは、この光景を目の当たりにしたのか?」

 

「いいえ、木野が体験したのは、彼の記憶、と言うより印象と言うべきでしょうか」

 

「印象?」

 

「事実を聞いた時に思った強い印象。老婆の遺体を見た時に、想像してしまった事、その時に思った強い印象が、このモニターに映った出来事なのです。お婆ちゃんは、山で遭難し、ななによく似た別の犬に殺された、と彼は思ったのでしょう」

 

 

 

 この子の強い印象、それが僕の体験した事だったのか。

 

 

 

「ななも、老婆も、現実では亡くなっている。その事実を知っているから、幽霊のようにあの場所から消え去ったのでしょう。まるで、元の記憶を思い出したかのように」

 

「そんな……」

 

 動かなくなった遺体のような彼に、顔を向け、声のトーンが低くなった。

 

 そうして、溢れ出た感情は、この子に対する哀れみではなく、明天にぶつける怒りだった。

 

「だってこいつは、過去――待て!明天、どこへ行く!?」

 

 

 

 彼が振り上げた言葉の拳を避けるように、明天はモニターに背を向け歩き始める。

 

 

 

「救うべきは、木野です。何を犠牲にしてもね。私が導かねばならない、真実とは逆の方向へ。あぁ、それと、あなたも面を付けているので、彼と同じような、もしくはそれ以上の、忘れたい記憶があるんじゃないんですか?」

 

「僕に……」

 

 彼が面の存在を知っているのかはどうかは分からないが、その意味を理解しているようだった。

 

「いやぁ、あなたには思い出せないでしょうがね」

 

 

 

 明天は、何がしたいんだ?

 

 この子の、トラウマを思い出させて、面を壊した。

 

 もう1人の方に、まるで脅すように、同じ事が起こると告げた。

 

 こいつは過去、背の高い方があの子に向かって、そう言っていた。

 

 

 

 過去?

 

 

 

 振り返った明天は、またしても目を閉じた。

 

 僕はまた、明天の意思で暗黒の世界へと、誘われる。

 

 

 

 だが考えなくては、真実へ辿り着けない。

 

 でも、状況がだんだん分かってきたぞ。

 

 

 

・明天は面を付けた2人と僕を監視していた。

 

・僕が殺されそうになった時、ここから明天が助けに来ていた。

 

・お婆ちゃんは、面を付けた子の祖母だった。

 

・お婆ちゃんもななも、過去に亡くなっている。

 

・その記憶は、あの子の過去のトラウマだった。

 

・僕があの時、体験したのは、あの子の、お婆ちゃんの死に対して抱いた強い印象だった

 

 

 

 こんな所か。

 

 それと1番気になるのが、

 

 

 

・リーダーが門宮を殺したのは、偽りの記憶。

 

 

 

 だった事だ。

 

 おかしい、僕はその記憶を忘れるために、自分にとって都合のいい記憶(リーダーが門宮を殺した)に改ざんした。

 

 だから、あれが本来の正しい記憶なはすだ。

 

 

 

 ……ここは、心の世界。

 

 

 

 僕の記憶から、この世界は作られているとして……どうして、偽りの記憶が必要だったんだ?

 

 

 

 それは、思い出したくない記憶だからか?

 

 

 

 そうか!だそしたら、そこに真――目が開く、薄い光が再び僕の思考を遮った。

 

 

 

 さっきと同じように、あの子は倒れたままだった。

 

 そして今度は背の高い方も、脱力したように倒れていた。

 

 モニターの映像には、電車と、その電車に轢かれたデーモンと、それを背に立つ僕の姿が映っていた。

 

 

 

 圧夢駅を出る前の時だ。

 

 圧夢駅での出来事が、彼にとってトラウマな思い出を掘り起こしたのだろうか?

 

 またしても面にヒビが入っている。

 

 

 

「僕は……どうして…あんな事を?」

 

 倒れた状態のまま、か細い声で、明天に尋ねる。

 

「激情していると、時に自分でも思いがけないような発言をしてしまうものです。直雄が殺人を犯した、その事実があなたにとって、許し難く、信じられなかった。だがら、あなたは直雄に対して、お前は人間ではなく化け物だ、と言い放ったのです。その言葉は、直雄だけではなく自分自身を傷つけた。身近な人が殺人を犯す事が、あなたにとって、トラウマになったのです」

 

 

 

 明天が話している途中で、彼は完全に意識を失ったよう、ピクリとも動かなくなった。

 

 明天は、倒れた2人に近づきかがんで話を続ける。

 

 僕が感じただけかもしれないが、明天の表情は強ばっていた。

 

「そう、その姿こそが、あなた達の本来の姿なのです。過去の形その物なのです」

 

 そう言って、明天はひび割れた彼の面に手を伸ばした。

 

 そうか、この面を、拾っていたのか。

 

 面を取り、彼の素顔が明らかになる。

 

 鏡でも見ているかと思った。

 

 この顔……僕じゃないか。

 

 正確には、昔の高校時代ぐらいの僕だ。

 

 人形のように無表情だ。

 

 生気が感じられない。

 

 

 

 だったら、圧夢駅での出来事は、僕の過去!?

 

 いや、正確には印象?なのか?

 

 そうか、だからあの時、僕は直雄の過去を、思い出したのか!

 

 忘れていたんだ、都合が悪い記憶だから!

 

 

 

 その後、明天の視線は、もう1人の方へ向いた。

 

 彼の方は、面が完全に無くなっていた。

 

 その顔にも見覚えがあった。

 

 まさか、そんな……!

 

 

 

 小学生の頃の僕じゃないか。

 

 

 

 そうか、彼らは、過去の僕だったのか!

 

 

 

 それじゃあ僕は、お婆ちゃんの事も、直雄の事も、全部忘れてたって事か!?

 

 

 

「いやぁ、木野の過去のトラウマ記憶を引きづり出して、体験させ、圧夢駅に留まらせようとしましたが、それでもメダルの音に引き寄せられてしまいましたか」

 

 

 

 やっぱり、明天はメダルの音から遠ざけるように動いていたんだな。

 

 

 

「ですが、私は諦めませんよ」

 

 

 

 明天は手に取った面を被る。

 

 その際、視線が下を向いた。

 

 明天の着ている服が一瞬見える。

 

 スーツだった。

 

 この服は、さっき電車であった時と同じだ。

 

 この後、どうにかして電車に来るのか?

 

 

 

「圧夢駅にいれば、楽だったのに。残念」

 

 例え想像の世界だったとしても、居れるわけないだろ、あんな所。

 

 

 

 明天は、スーツのポケットから何かを探った。

 

 手の感触が僕に伝わってくる。

 

 …丸い?そして薄い何か。

 

 これは、明天が持ち去ったメダルか?

 

 

 

 その予想は当たった。

 

 付着した血が、何よりの証拠だった。

 

 僕がずっと追い求めていた、メダルだ。

 

 取り出したメダルを親指と人差し指の間に挟み、じっくりと見つめる。

 

 

 

 メダルに、面を付けた明天の姿が映った。

 

 

 

「このメダルの音が原因だが、壊す事も、隠す事もできなかった。だからこうして持ち去った。木野の近くで音がならないように。でも無駄でした。音は木野を真実へと導いた。このメダルさえ、何とか出来れば……」

 

 

 

 メダルに映る面、僕が真実(偽りの記憶)を思い出した時に、初めて見た光景だった。

 

 今思い返したら、その時にも不可解な点がある。

 

 真実を思い返したはずなのに、僕の面にはヒビが入っていなかった事だ。

 

 

 

 それは、僕が何も思い出してない証拠だった。

 

 

 

「木野、あなたを救いたい。真実に触れてはならない」

 

 

 

 明天がメダルをじっと見ていると。

 

 まるで、僕が面を付けているような錯覚に陥りそうだ。

 

 実際そうなんだろうが、その真実を突きつけてくるような気がして、辛く感じる。

 

 

 

 このまま目を閉じてしまいたい。

 

 

 

 …閉じれた……!?

 

 閉じれた!?

 

 

 

 目を見開いた!

 

 体が動く!

 

 ここは、あの電車の中だ!

 

 僕の手は、血が付着したメダルを持っていた。

 

 

 

 そこに映ったのは面を付けた僕だ。

 

 

 

 驚きのあまりに持っていたメダルを離した。

 

 

 

 メダルが落ちる。

 

 そして音が聞こえるだろう。

 

 

 

 僕は真実にたどり着――パスッ。

 

 

 

 メダルは地面に落ちる直前に、誰が拾ったようだ。

 

「大事な物なんでしょう。落としてはなりませんねぇ」

 

 

 

 明天!

 

 

 

 僕の手元の下に手を伸ばし、メダルをキャッチしたのだ。

 

 

 

 どこから来たんだ!?

 

 電車が!元に戻っている!?

 

 真っ二つに割れていた、電車は元通りにくっついていた。

 

 いつの間に!

 

 

 

「もう離しませんよ。これ以上真実を追わせるわけにはいかない」

 

 

 

 明天は、メダルを握りしめた手を離さないように、グッと力を入れる。

 

 

 

 もう少し!あと少しだったのに!

 

 

 

「この電車は、圧夢駅に向かっています。このまま共に参りましょう」

 

 

 

 圧夢駅!

 

 しまった!このままじゃ、戻される!

 

 何か!ここを打破できる方法は!?

 

 

 

「無駄ですよ!メダルは私の手にあります!もう音は鳴りません!」

 

 

 

 いや、メダルはもう1つある。

 

 そのメダルは、この電車に様々な現象を起こしてきた。

 

 だが、そのメダルは、電車の投入口に入れてしまって、もう取り出せない!

 

 

 

 僕は周りを見渡した。

 

 車窓、机、扉、メダルの投入口、返却レバー?これだ!

 

「メダルはありません、大人しく――」

 

 

 

 僕は急いで、扉の前に行き、その返却レバー?を引いた。

 

「それは――何!?」

 

 明天は握っていた手を開いて驚いた。

 

「メダルが、無い!?」

 

 

 

 ちゃり♪

 

 

 

 落ちた!どこだ!?

 

 あった!机の端だ!

 

 あれを落とせばっ!

 

 

 

 間髪入れずに、机の上に飛び込み、血塗られたメダルに手を伸ばした。

 

 

 

「させるかぁ!」

 

 だが寸前の所で、明天が僕に覆い被さるように、机の上で押さえつけてきて、メダルの落下を阻まれた。

 

 僕は警察に取り押さえられるような形で、拘束された。

 

 僕の手がメダルに触れないように、手をしっかりと握られているから、全く動けない。

 

 かなり強い衝撃だったのにメダルは、机から落ちなかった。

 

 それは明天の意思だからか。

 

 

 

 だけど、指先をほんの少し伸ばせば届きそうなんだ!届けっ!

 

 人生で一番暴れてやる!

 

 僕は全力で抵抗した。

 

「このまま、圧夢駅まで行きますよ」

 

 

 

 そんな事させるか!

 

 手を、いや指先さえ、触れれば落ちるんだ!

 

 伸ばせ!もっと強く足掻け!

 

 

 

「止めろぉぉ!」

 

 明天の怒号が飛ぶ。

 

 

 

 ピキリと、僕の面にヒビが入る。

 

 動いた!もっと奥へ!

 

 ジリジリとだが、メダルに近づいている!

 

 いける!いける!いけぇぇえええええ!

 

 

 

 僕の指は、メダルに触れた。

 

 はずだった。

 

 

 

 届いた……のか?

 

 

 

 指先は何かに当たっている、だがそれは、メダルでは無く、スイッチだった。

 

 

 

 見覚えのある場所、ここは職場――ぐちゃぐちゃ、ベギィ!ゴギッ!

 

 

 

 ちゃりん♪

 

 

 

 ……………え?

 

 

 

 僕が押したのは、破砕機のスイッチだった。

 

 その破砕機からはみ出しているのは、真っ赤な人の半身だった。

 

 

 

 これが、真実だ。

 

 

 

 僕は門宮を殺した。





作品が難しくなってきたので時間はかかります
すいません!
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