「つかれた」
わたしはベッドにうなだれながらそう呟いた。今日は土曜日、トレーニングも今日は休息日に設定してある。ゲームや本をやるのも自由、だけどココ最近どうしても無気力というか虚無心に体が包まれていた。
「別に楽しい事が無いわけじゃないのにな」
フェイトちゃんと特訓するのも、はやてちゃんから聞く噂話も、アリサちゃんとやるゲームも、すずかちゃんとオススメの本を交換し合うのも、全部全部楽しくて大好きな事。それなのに心は動かない──いや、動けてない。
「疲れちゃったのかな……」
そう結論づけてわたしは力を抜きベッドに完全に身を任せた。
♢
数分経った頃、我が家のインターホンが鳴った事に気づき微睡み始めていた意識が再度覚醒する。
「んぅ、誰かな。来客の予定は無かったはずだし……………下にはお姉ちゃんが居るからいっか」
少し考えて、〝めんどくさい〟が勝ってしまいわたしは体も起こさず布団にくるまり続けた。するとどうだろう、来たのはどうやら客人らしくとたとたと足音が近づいてきて部屋の前で止まったのである。
「なのは?起きてる?部屋の中、入っても平気かな」
「え?!はい?ゆ、ユーノくん!?」
ノックの後部屋へ響いてきたのは何を隠そうわたしの恋人ユーノ・スクライアの声だった。
「ちょ、ちょっと待ってね!?すぐ開けるから本当にちょっと待ってね!」
突然の恋人の来訪に焦り半分ときめき半分で速攻着替えと軽いヘアブラシ掛けをし、扉を開けるとそこにはティーセットとスコーンとエクレアが載ったトレイを両手に持つ彼が居た。
「こんにちは、それともおはようさんって言った方がいいかな?なのは」
「うぅ、その言い方はいじわるさんだよ…おはようユーノくん」
部屋の中へ案内し、わたし達はティータイムを始めた。
「あ、このエクレア美味しい。これ翠屋じゃないでしょ」
「うん、こないだ散歩してた時隣町に良さげなお店を見つけてね…最近元気が無いって聞いたから、たまにはこういうのもいいかもって」
「ユーノくん…ありがとう、このお茶も初めて飲んだから探してくれたんだよね」
「まぁ、ね。なのはには元気で笑顔でいて欲しいからさ、そのお茶疲労回復によく聞くらしいからさ」
また飲みたくなったらみゆきさんにお茶っ葉渡してあるから良かったらと続けた、そんな彼に現金なわたしの恋心はぽっかぽかだ。
違うんだよみんな、みんなが好きなんじゃなくてユーノくんが特別なだけでみんな大好きなんだよ……と、誰にも届かない言い訳を心の中でこぼす。
「ご馳走様、ありがとうユーノくん。美味しかったし、嬉しかった」
「おそまつさま、喜んでもらえてよかったよ。他にもやって欲しい事はない?ぼくができる範囲でなんだってやるよ」
「え?」
なんだってやってくれる?ユーノくんが?
そんな甘言に魔が差してしまい、普段では絶対にしない事をお願いしてしまった。
「じゃあ、その……お願いしたいんだけど……」
「うん、何かな?」
「今着てるユーノくんのパーカーを着させて欲しい」
「え」
「そんでそのまま添い寝して欲しい」
「え゛?!」
「だめ、かな?」
「〜〜〜〜〜〜〜ッいいよ」
「やった!」
あんなにも眉間に皺を寄せて悩みまくってるユーノくん初めて見たけどやった!わたしはそのままユーノくんから手渡されたパーカーをはおり、ユーノくんの手を引きながらベッドへ横になる。
「あ、あのなのは?本当にどうしたの?」
「んー?いや、最近ちょっと疲れちゃってね……だからユーノくんであっためて貰おうかなって」
「ぼくで?」
「そう、ユーノくんで心も体もじんわりぽかぽか幸せハッピーてこと」
「ふふふ、本当におつかれさんなんだね。普段のなのはじゃ言わなそうなことだらけだよ」
「うん、でも普段から甘えたいなって思ってるんだ……これからもこうやって甘えてもいいかな」
「当たり前だよ」
そういうとユーノくんはわたしをギュッと胸の方に抱き寄せながら言ってくれた。
「なのはが辛い時も、悲しい時も、何時だって頼って欲しいんだ。もちろん、元気な時や幸せな時だってね」
「ユーノくん…うん、ありがとう」
「今日はめいっぱい休んじゃおっか、おやすみなのは」
「おやすみユーノくん」
そうしてわたし達はそのまま夕ご飯時まで寝て、流れのままお泊まり会が始まった。数日後ママさんネットワーク経由でわたし達の添い寝画像が友人各位にばら撒かれたのは言うまでも無い。