稲妻の物書き   作:狐うどん

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 妄想を書きなぐった。随所随所飛ばしていくと思うけどヨロ


第1話 『目狩り令』

 しゅー、しゅーっと線を引く音が室内に木霊する。音の発生源を見やると、一人の男がせっせと筆を走らせていた。その姿は文字を書いているというより、言葉を紡ぎだしているという表現の方があっている。

 時には熱に浮かされたような書きっぷりを見せ、時には思いつくままに字を走らせているようで。

 そんな彼の見惚れて暫く経った頃、彼が筆を走らせるという動き以外を見せたと思いきや、目の前に数枚の原稿用紙を差し出してきた。

 

 

「まさか、もう終わったのか……?」

「下書きと物語の構想はできている。今回は純文学で行こうと思ってるんだが、いけるか?」

 

 

 目の前の男の言葉に舌を巻き、次に納得する。―――そういえばこれを書いたのは夏川だったな―――と。

 夏川博一。急に界隈に現れて、瞬く間に注目を掻っ攫ってた超ビックルーキー。精通する分野は様々で、ミステリーやコメディなどの娯楽小説や、有益な哲学書や文学書なども彼は網羅している。

 

 

 そして、何よりも驚くべき彼の特徴は、期限を絶対に守るというところだろう。この界隈に入った大抵の新人は上手い言葉が出なくてペンが渋ったり、読者の評価にメンタルやモチベーションが変化して守れなかったりして―――まぁ理由は様々だが―――で期限が伸びるのに、彼は一度もそれがない。

 流行るのが、賞賛されるのが当たり前と言わんばかりに、彼はそこにいる。

 事実、彼が今までに出した本は全て【八重大賞】に受賞している。

 

 だが、それでもなお『不安』や『緊張』の感情を表に出さない彼の精神性は些かおかしいと言ってもいいだろう。

 そんな彼に、今持っている原稿用紙の総評を話した。

 

 

「純文学。いいと思うぞ。最近は娯楽小説ばかり書いてもらっていたし、そろそろ読者も飽きてきた頃だろう。ええと、題名は……『蜘蛛の糸』。ふむ……後でちゃんと読ませてくれ。それから判断する。まぁ、ざっと見た感じ大丈夫……というか、流行るな」

 

 

 『八重堂』に長いこと務めてきた俺の直感が言っている。「これは流行る」と。彼は否定するだろうが、何よりの証拠が彼の実績だろう。

 まぁ、仮にスベったとしてもそれはそれで話題性はあるしな。

 

 

「評価しすぎだろ」

「そんな事無いと思うぞ……よし、じゃあまた後日」

「また後日」

 

 

 俺は次に向かう場所を確認して、順吉かぁ……と気だるげに溜息を吐いた。

 

 

 

 

 

 

「ふぅー、終わった終わった。これで暫くは安泰だな」

 

 

 軽く肩の力を抜く。悠悠閑閑、虚心坦懐。それが今の俺の状態に大きく当てはまっている事だろう。

 

 

「いままで色々あったなぁ……」

 

 

 言わずとも知れたことだろうが、俺は転生者だ。独身だったが、最期は幸せに逝けたのだろう。心残りも後悔も全くない。まぁ、気が付いたら第二の生を歩むことになっていたのだが。

 

 

 今の生活も中々……というかかなり幸せだという自覚がある。美味い飯に恵まれた環境、それに加えて他人よりズルができる知識。可愛い子もいっぱいいるし、不満は何一つ……ないわけではないが。

 

 

 というのも、最近きな臭い話が俺の耳に届いたのだ。なんでも、『目狩り令』なるものが幕府から発令されたらしい。ここまでなら別に構わな……くもないが。

 

 

 俺の知識が間違っていなければ、神の目の所持者は全人口の一部程度のため一般市民にはあまり馴染みがなく、国全体の情勢にほとんど影響を及ぼさない程度に収まる筈であったはずだ。

 

 

 しかし、幕府と長年対立を燻らせていた海祇島の珊瑚宮が目狩り令に反抗する者達を取り込み、『抵抗軍』を組織して幕府に対し反旗を翻したんだとか。ていうか俺のとこにも来たし、勧誘の手紙。断ったがな。ガハハ!!

 

 

 今は抵抗軍と幕府の戦が拮抗しており、特に大きな出来事は起こっていないが。俺的にはファデュイやらアビスやらがこの混乱に乗じてなんかしてきそうだなぁ……って睨んでる。

 

 うわ、我ながらえぐいこと言ってんな俺。なんにせよ様子見が安牌だとは思う。あぁでも、戦況が『抵抗軍』に傾いたらどうしよう。ここ結構法律とか倫理観ガバガバだし、徴兵とか余裕でされそうだな……いっそのこと、宮司さんの所で隠れさせてもらうか?

 

 

 俺が一人思考を巡らせていると、玄関の方からコンコンと音が鳴った。

 「はいはーい」と言いながら玄関に向かい、ドアを開けると―――

 

 

「少し、いいか?」

 

 

 完全武装をした天領奉行の人間が数人立っていた。

 

 

 

 

 

 

 最初はいきなりの超展開に凄く焦ったが、話を聞く限り『目狩り令』に従って訪問してきたらしい。幾つか問答を交わした後、最後に「神の目を持っていない」と伝えると、「協力ありがとう」と言って去っていった。

 今に始まった事ではないが、まぁ色々おかしい……ので、宮司さんの所に尋ねることにした。あの人、確か将軍様とも関わりあったしな。何か、知っているだろう―――なんて、思いながら。

 

 

 




 胡桃が来る……ッ!! 気をつけろッッ!! 誘惑に負けるな、振り切れッッ!! なにッ!? 援軍だと!? ヌヴィレットォ!? 
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