弟転生〜シスコンな彼も本気出す〜   作:黒い柱

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ここから大学編です。ルディとは1学年年上になります


第三章 学園編(2人の姉編)
第23話 入学準備


 俺がフィットア領を発ってラノアに到着してから、おおよそ1年が過ぎた。リヴィン家とともに生活基盤もだいたい整っており、資金は十分に貯まっていた。しかし、肝心のシルフィ姉やゼニスさんの情報は未だに得られていないが。

 

 さて、その資金をどうやって得たのか。最初は学校でも開こうかと考えていたが、2人が見つかった場所が遠くにあった場合は、探すのが遅れてしまう可能性がある。つまり、何もしてなくても安定した収入を得ることができる仕組みが必要なのだ。

 

 そのために俺は自分の伝えたいことを教科書としてまとめることにした。そこまで難しいことではない。その原型は以前青空教室をしていたときにほぼ出来上がっていたからだ。そしてそれをまず、以前仕事を斡旋した企業に売りつけた。俺の書いた教科書を元に成長した従業員がいれば、それを知った周りの企業が欲しがるかもしれない。そうして知名度を上げていき書店にも売りつけて、大きな収入を得ることが可能になった。

 

 もちろん、それだけをするわけではない。ラノアの治安維持もなぜか請け負うことになったのだ。魔剣流の訓練を見ていた人に雇われ、夜の街の警備に向かうことになってしまった。この世界には警察という存在はない。王国の兵はいるが、彼らが目の届かないところをカバーしろ、とのことらしい。

 

 とはいえ、ミリスにいたときほどの激務ではない。時間の余裕は十分にあるし、リヴィン家を始めとして信頼できる社員もある程度いる。何か新しいことをするかと思っていた矢先だった。

 

「ラノア魔法大学、か…」

 

 大学から招待の手紙が来たのだ。先生としてではなく生徒としてだ。

 

「どうするの? レード先生」

 

 レフィアちゃんが聞く。彼女は何やら入学したそうな表情である。

 

「もしかして、入りたい?」

 

「ですけど、うちにそんなお金は…」

 

「金なら俺が出すよ。大学の授業料は今の俺にとって払うのが難しい額じゃないし。まあ、自分も大学に興味がないと言ったら嘘になるしな」

 

 金貨何枚が合計で必要になるかは分からないが、リヴィン家の家賃を考慮に入れても十分余裕はある。

 

「いいんですか? そんな贅沢して…」

 

 アーノスくんも申し訳なさそうに言う。

 

「かまわないさ。大学でも2人がいてくれた方が助かるだろうからね。それに、2人への礼や誕生日プレゼントとか渡せてなかったし」

 

 そういえば俺は10歳のときは何もなかったな。まあ、今更なくても困ったりはしないが。

 

「レード先生も入学するんですか?」

 

「ああ。そもそも俺に来た招待だし、先生やる人が学校出てないというのはおかしい話だろ?」

 

 この世界には教員の試験というのはないが、魔法大卒というのはそれなりのアドバンテージになるだろう。

 

 それだけではなく、実は俺は学校生活というのは憧れがあった。前世では病気で不登校気味だった上、その学校にも5年くらいしか通っていない。いわゆる青春というものを経験してないのだ。

 

(学食で友達と一緒にご飯食べたり、試験に向けて勉強したりとかは一度はしてみたいしな…。あわよくば恋人とかも作ってみたい)

 

 激務で忘れつつあったが、俺の生涯における目標は運命の人を見つけることだ。人が多く集まる大学はそれにうってつけだろう。まあ、それもシルフィ姉が見つかるまではお預けになるかもしれないが。

 

「そういえば、シルフィさんの情報、来てたよ? この大学に1人候補がいるみたい」

 

 アーノスくんが資料を渡してくれる。この1年間姉の情報はそれなりに上がっていた。というのも、無詠唱魔術が使える14歳の長耳族の少女とまで絞り込めば探しやすくもなる。が、だいたいが見間違いやデマだったパターンだ。

 

「なら、なおのこと行かなくちゃな」

 

 こうして俺は大学に向かうことになった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 手紙が届いて2日後、俺はラノア魔法大学へ向かった。ちなみに今日は双子はお留守番だ。特別生として招待を受けたのは俺だけだし、2人は一般入試で入学することになるだろう。

 

 受付で挨拶を済ませて中に入る。最初、自分はハ◯ー・ポッターのホ◯ワーツのようなところを想定していたが、どうやらここは魔法だけを学ぶ場所ではないらしく、商業人や貴族にも対応した学校のようだ。

 

 辺りを軽く見ながら歩いていき、案内された応接室と思しき部屋をノックする。

 

「どうぞ、お入りください」

 

 その声に合わせて俺は中に入る。そこにいたのは、俺に手紙を送ったジーナス教頭だ。

 

「おまたせしました。教頭のジーナスです」

 

「はじめまして。レーディスと申します」

 

 俺は目の前の椅子に腰掛ける。

 

「わざわざお越しいただきありがとうございます。レーディス様の名前はよく聞いております」

 

「大学の教授さんにとっては嬉しい噂ではないかもしれないというのは残念ですが」

 

 俺の教科書を読んだから、大学行かなくてもいいやと考える人もいるだろうし、そうなると教員としては喜べないだろう。

 

「いえいえ、そんなことはありません。フィットア領転移事件後、生徒の質が大きく上がり教員も授業をしやすいと言っております。その生徒たちの大半がミリス神聖国出身とのことです」

 

 自分がかつて教えた生徒の一部が入学した、ということだろう。

 

「それはなによりです。こちらも教え甲斐があったというものですね」

 

「ここからが本題なのですが、大学には在籍していただけますか?」

 

「もちろんです。こちらも魔剣流の研究を始めとして、ここでやるべきことがありますから」

 

 現状自分の魔剣流は初級から中級程度の使用者の負担になりにくい簡単な魔術を利用したものだ。しかし、それだけではオルステッドを始めとした強敵には敵わない。彼のような桁違いの相手に逃げる隙を作るくらいの強さは必要だ。

 

「無詠唱魔術と剣術の組み合わせですか…。にわかには信じられませんね」

 

「そこそこ剣術ができて無詠唱魔術ができるなら可能なものかと。ただ、戦闘として確立させるのは時間がかかりますが」

 

 難しい魔術を知れば、その幅も広がるだろう。

 

「特別生、とここに書いてありますが、試験などはあるのでしょうか」

 

「本来なら課すものですが、レーディス様の実力をはっきり知りながらそれを行う意味はないでしょうな。よって、免除ということになります」

 

 ありがたい。もちろん自分の魔術にはそれなりに自信はあるが、小学生で死んだ自分は人生で試験というものを受けたことがない。変なミスをしてしまうかもしれない。名前を書き忘れたり、マークミスをしてしまったり。

 

 ジーナス先生曰く特別生というのはかなり自由が効くらしい。校則や常識を守りさえすれば限りなく自由で、授業も受けたいものだけ受けて、なんなら出なくてもかまわないという感じだ。例えるなら就活も単位も完全に終了させた大学四年生に近いものがあるかもしれない。自分の場合はそれが7年もあるため、青春を過ごすには十分な期間だろう。

 

 問題なく説明を聞き終えた俺はその場で学費及び入学金の金貨3枚を手渡した。これで明日から晴れて大学生である。中高すっ飛ばして大学生になるというのは義務教育ガン無視だが。

 




ちなみにレードくんの資産は地球で言えば一流メジャーリーガーくらいはあります
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