ここだけミカの幼少期に幼馴染が2人いた話。   作:今井綾菜

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第六節 第一次特別学力試験

 

 

トリニティ総合学園、補習授業部仮部室

正義実現委員会の部室棟から場所を移して補習授業部の4人とサリナ、先生の6名はこの仮部室に集結していた。

 

「では、ここに揃っているのが補習授業部のメンバーということですか?」

 

「シュー、シュー」

 

「…………」

 

「は、はい……えっと、これでなんとか集まりましたね。補習授業部」

 

「トリニティの問題児の集まりじゃないか……」

 

事前に書類に目を通して知ってはいたもののこうして集まればなかなか曲者揃いだなとサリナはガックリと肩を落とした。

 

「ふふ、何をすれば良いのでしょうか?阿慈谷部長?放課後に人気のない教室で、素行の悪い女子高生と大人が集まって……ふふ、始まってしまいそうですね」

 

「始まる……?まあ、なんだって構わない。ちなみに私は本気を出せば、この教室で1ヶ月は立てこもれる」

 

「いや、籠城戦をするために集まってもらったわけじゃなくてね。ここで君たちには成績を挽回するための勉強をしてもらうんだよね」

 

「うぅ……死にたい……本当に死にたい……」

 

「え、っと……」

 

「ミハネ院長は私にここで何を経験させるつもりで……?もはや手に負えないのですが……?」

 

まさに収拾のつかない事態とはこのことと言わんばかりにまるで話が進まない状況にヒフミもサリナも先生も困り果てていた。

 

「もうだめ、先生……よろしくお願いします」

 

「あはは、えっと……私からもお願いします」

 

「……うん、頑張ってみる」

 

 

 

 

****

 

そうして先生主導のもと各々、軽い自己紹介を済ませてこの補習授業部でどんなことをするのかの説明を終えた。

 

「つまり、今先生が伝えたことがこの補習授業部で行われることで私がその補佐に就くために司法院から派遣されてきた生徒って感じです。今の話の中でわからないこととかあったりしますか?」

 

「大丈夫。これからは普通の授業に加えて、毎日放課後に特殊訓練があるってだけでしょ」

 

「えっと、訓練と言って良いのかはわかりませんが、そうです。私達が目指すのは、これから行われる特別学力試験で“全員同時に合格”すること、先生もサリナちゃんも手伝ってくれますし……みんなで落第を免れましょうね!」

 

「それに、チャンスは3回。そのうち一度でも全員合格が出ればそれで終わりだからね。ちゃんと勉強すれば一度で合格できる内容だろうし、さくっと終わらせてそれぞれの場所に戻ろうね」

 

どちらにしてもやること自体は単純明快だ。

試験勉強して、試験を受けて合格する。

そんなに難しいことじゃないしあとはハナコのやる気次第だろうとこの時、サリナは思っていたのだ。

 

 

 

それから数日、放課後に教室に集まり毎日数時間先生とサリナが付きっきりで勉強を教え、その手応えから一度の試験で突破できるだろうと確実な手応えを感じていた。

 

 

「それじゃあ試験を始めるね。制限時間は50分、試験官としては先生が教室に残るからカンニングとかそういうのはやらないように」

 

「テスト用紙はみんなの手元に渡ったね……それじゃあ第一次試験、開始!」

 

一斉に、テスト用紙をひっくり返して問題に取り掛かる。

サリナがこの時間を使って司法院の業務をこなすために退出して行ったのを見送って、先生は試験に向き合う4人を見つめた。

見たところ順調にペンが進んでいるのはヒフミとハナコ。

所々躓きながらも進んでいるのがアズサ、そして少しアズサよりも遅れているもののなんとか記入を続けているコハル。

 

(あっ、これ、補習授業でやったところです……!先生に解説していただいた内容や、みんなで勉強した内容がほとんどそのまま……!)

 

順調に問題をクリアしつつ、その先の問題を軽く流し見てこれならみんなクリアできるなとヒフミは確信しつつあった。

 

(これまで色々と怖いことを言われてしまいましたが、もしかしてこれは、私たちへの救済措置ということでしょうか……!?)

 

「こ、これは……え、えぇっと……」

 

「ふふっ……」

 

「……ふむ」

 

他の机から聞こえてくる声は若干一名不安なものの、聞こえてくる声色からそこまで不安要素はなく、むしろハナコは教える側だったのもあり吸収の早かったアズサもいうまでもないだろう。

 

(ですが油断は禁物……!みなさん、最後まで気を抜かずに、笑顔でこの補習授業部を卒業しましょうね!)

 

そうして、ヒフミも問題に取り掛かった。

周りの心配をするのも大切だが、それはそれとしてまずは自分の答案用紙を埋めていかなければ。

 

 

 

 

 

****

 

トリニティ総合学園司法院長室。

 

「補習授業部は順調そう?」

 

「はい。あの試験の内容ですから、これまでの補習授業の成果を見れば一度で合格できると思います」

 

「ならよかった。私は結構長引くかなと思っていたけど一度で終わるならそれはそれで良いことだからね」

 

サリナにとっては久しぶりの司法院長室での業務だが、それも試験が終わって彼女達の試験結果が出るまでの2時間の間しかない。

出来るだけ多くミハネの手伝いをしようとして意気込んでいたのだが、1時間程度業務をこなしたあとはミハネにティーセットを用意され、あれやこれやと椅子に座らされてアフタヌーンティーを楽しんでいた。

 

「懸念としてはハナコが真面目にやってくれるかどうか、いやいやふざけてても6割の点数分くらいは解答してくれるかというところですけど……」

 

「浦和さんかぁ……そもそも一年の時点で卒業までの試験は満点でオールパスしてるから本当にやる気次第なんだろうけど、こうなった理由ってサリナはわかったりする?」

 

「……一つ挙げるとするなら過度のストレスが原因かなとは思います。昔から限界まで溜め込んで爆発するタイプの子だったので、一年生の時の派閥勧誘があの子にとってかなりストレスになってたのは知ってはいたんですが…」

 

「……ミカと同じタイプだね」

 

お互いに厄介な幼馴染を持ったなと思いつつも彼女がやる気を出してくれるにはどうすれば良いのか、ミハネには思いつく由もなかった。

 

「多分、間違いなく今回の試験は遊んでると思うんです。それ次第で一度で終わるか、三度まで長引くかが決まると思うんですが」

 

「そっか、でも三度目まで遊ばれると流石にあの子も後悔すると思うな」

 

「……?それはどういうことですか?」

 

サリナが問いかけた、その瞬間ミハネのタブレットにメッセージの通知が入った。

そのメッセージに視線を落としてすぐに大きな溜息を吐いて、ミハネはサリナへ自身へ届いた試験結果を口にしたのだ。

 

「補習授業部、一度目の試験は不合格……だね」

 

「はぁ…………」

 

ミハネから伝えられた言葉に、サリナは思わず頭を抱えたのだった。

ひとまず、落ちたのはハナコで間違いないという確信を胸に抱いて、部室へと足を運ぼうとしたのだが。

 

「サリナ、この前私が言ったこと覚えてる?」

 

「ミハネ院長が言ったこと……詳しいことは一度目の試験が落ちた時、ということですか?」

 

「そう、約束通り補習授業部がどうして設立されたのか……サリナには話しておこうと思ってね」

 

「どうして……やはり額面通りとはいかない理由があるんですね」

 

「……問題はサリナの思ってるよりも大きな問題かもしれない。でも、君がこれを聞いてどう動くのかは任せるよ」

 

再び着席して、サリナとミハネが向き合う。

そして、ミハネはあの夜、あのテラスでの会話を思い出しながらサリナにその内容を伝えたのだ。

 

 

 

 

****

 

試験終了から1時間後、補習授業部仮部室では先生の元に採点を終えた解答用紙が届いていた。

 

「えっと、100点満点で60点以上取れれば合格だそうです!高得点は取れなくても、とりあえずそのラインだけ越えられれば大丈夫です。それに内容も簡単でしたし……では、結果発表といきましょう!」

 

「それじゃあ、結果を発表するね。まずはヒフミ、72点で合格」

 

「あっ、ありがとうございます!なんだか無難な点数ですが、よかったです!では次に……」

 

ヒフミの言葉に続いて先生は解答用紙をめくり……そして、なんとも言い難い表情を経てようやく口を開いた。

 

「えっと、アズサ……32点。うん……不合格だね」

 

「……はいぃっ!?」

 

「ちっ、紙一重だったか」

 

「ま、待ってください!『紙一重』って点数じゃないですよ!?結構たりてないですよ!?」

 

ヒフミの叫び声が教室に響く中、先生は次々と採点結果の点数を発表していく。

 

「続いてコハル……11点。コハルも不合格だね」

 

「!?」

 

コハルちゃんんんんん!?ち、力を隠してたんじゃないんですか!?今回はちゃんと一年生用の試験を受けたんですよね!?ま、まさかまた2年生用の試験を……いえその点数は3年生用の試験を受けたんですか!?」

 

「やっ、その……!か、かなり難しかったし……」

 

「すっごく簡単でしたよ!?小テストみたいなレベルでしたよ!?」

 

「あらあら……」

 

「うぅ……合格したのは私とハナコちゃんだけ、ということでしょうか……となるとまた次の二次試験を受けないと……」

 

思いっきり叫び続けたせいか、肩で息をするヒフミはとりあえず落ちたのは2人かと次回以降の試験勉強をどう行うか考え始めたのだが……

 

「えっと、すごく言いにくいんだけど……ハナコは2点だよ」

 

「えっ!?2点!?!?!?!?」

 

思わず先生とハナコを二度見してヒフミはついに爆発した。

 

「2点、2点ですか!?20点ではなく!?いえ、20点でもダメなんですけど……!むしろ何が正解だったんですか!?と言いますか待ってください、ハナコちゃんものすごく勉強ができる感じでしたよね!?」

 

「まあ、そういう雰囲気があるみたいですね。まあ、成績は別ですけど」

 

「雰囲気!?雰囲気だけだったんですか!?あれだけわかりやすい解説をしておいて雰囲気だけなんですか!?成績とは別ってどういうことなんですかぁ!?」

 

普段は行わないであろう怒涛のツッコミ。

自身のキャパシティを超える事態が連続で起きたことからヒフミは若干オーバーヒートを起こしつつあった。

 

「ぅ……」

 

そしてハナコの試験結果でなんとかギリギリ耐えていた一線をジェット機さながらの勢いで突破されたことでヒフミのキャパシティは天元突破してしまったのだ。

 

「あうぅ……」

 

意識が遠くなるのを感じて、ヒフミはそのまま意識を手放した。

 

「ヒフミ!しっかり……!」

 

 

 

 

 

第一次試験結果

 

ハナコ───2点、不合格

 

コハル───11点、不合格

 

アズサ───32点、不合格

 

ヒフミ───72点、合格

 

 

補習授業部の合宿が決定した。




しばらくは原作沿いで物語が進行しそうですね。
次回からは合宿編が始まりますのでお付き合いをいただければ。

あとあと皆様からの感想や高評価もお待ちしてます。

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