プロローグ
私には幼馴染が2人いる。
1人は私が生まれた次の日に生まれた聖園ミカ。
そしてもう1人は私が生まれた4ヶ月後に生まれた錠前サオリ。
幼い私たちは誰よりも仲がいいと思っていたし、そんな幸せで楽しい日々がずっと続くと思っていた。
「ミハネ!」
「ミハネちゃん!」
いつまでも3人で手を取って……いつまでも、いつまでも。
……そう、思っていたのだ。
****
───トリニティ総合学園司法院長室
「……院長……ミハネ院長……起きてくださいミハネ院長」
そんな呼び声で僅かながらに微睡んでいた意識から回復する。
目蓋を開けて視界に映ったのは私を起こした後輩の姿と既に日が沈み、すっかり暗くなってしまった外の世界が窓から見えた。
「20時……最後に見た時は空はまだ明るかったから2時間くらいは寝てしまっていたみたいだね」
「ミハネ院長はただでさえ多忙ですから、居眠りくらいは許されますけど、それでも眠るのなら仮眠室を使っていただかないと。ただでさえミハネ院長の代わりなど誰にも務まらないのですから」
「でも来年になったらあなたがこの椅子に座るんだよサリナ」
「……それは次期ティーパーティー、救護騎士団、シスターフッドの長に推薦されなければ私ではないのですが」
「安心して、来年の司法院長は間違いなくあなただから」
そんな雑談を交わしながら司法院長として私が座っているデスクの上にある書類を一通り確認すれば、どうやら寝落ちしてしまう前に今日の業務は全て終わらせていたようだ。
軽く整理整頓を済ませてやけに豪華な革張りの椅子から立ち上がる。
「この無駄に豪華な黒い椅子の座り心地はあんまり良くないから楽しみにしてて」
「何を楽しみにしろって言うんですか……」
ガックリと肩を落としながら退室する私に続くサリナ。
彼女が退室したことを確認して司法院長室の鍵を閉めて軽く体を伸ばした。
「ちょっと遅くなったけど、サリナは夕飯食べた?」
「いえ、私も書類仕事を終わらせて院長の部屋へ伺ったばかりでしたから」
「なるほど、それは悪いことをしたかな。どうせなら寮に帰る前に夕食でも食べて帰ろうか、せっかくだしご馳走するよ」
「いやいや、自分の分くらい自分で出しますよ。毎回院長にご馳走になってばかりですし」
「ふふ、気にしないで。私がサリナにご馳走したいんだから」
「もー、院長はいっつもそうやってぇ……」
ふくれる後輩を笑いながら私は学園を後にする。
今日の夕食はどこで食べようかなとそんなことに思いを馳せながら。
十数年前、サオリが行方不明になった。
そこから、私たち3人の道は何処までも別の道になってしまったのだ。
ミカは桐藤ナギサという新しい幼馴染を得てこの学園でティーパーティーとして生徒会の役割を担うようになり。
私はこの学園の司法を司る天秤の守り手となった。
そして、どこかへ消えてしまったサオリは今どこで何をしているのかもわからない。
それでも
それでも私は
私は今でもサオリを探し続けている