今回は決戦前の導入としてかなり短いです。
「でも、ナギサ様を守るって言ってもどうやって……」
「それに、私たちはそれに加えて試験も受けないとだし……!」
「それに関しては問題ありません♡」
「……まあ、このメンバーならいけるかな。私もちょっとズルすれば力になれるはず」
「第一目標としてナギサへの襲撃は阻止する。そして、みんなの試験も誰に文句もつけさせないようにしっかりと90点以上で堂々と合格しよう」
「だけど先生、試験開始は9時からでアリウスの襲撃の時間を考えると少し難しいようにも感じる」
アズサが先生の言葉に問いかける。
早朝から始まるアリウスの襲撃作戦、それを相手にして9時までに試験会場へと向かえるかと言われれば少しどころではなく難しいことだと理解はしている。
「や、やっぱり……誰かに助けを求めるとか?」
「でも、それだとトリニティの外に漏れちゃうんじゃ……」
「あうぅ、そ、そうですよね。となると、トリニティ内の方で、誰か助けてくれそうなところに……」
「……ふふっ、大丈夫です、私に作戦があります」
頭を悩ませ始めたヒフミとコハルを見てハナコは笑みを浮かべながら告げる。
どこか得意げなハナコのその表情に2人は視線を向ける。
「これまで散々弄ばれてきた私たちですが……今度は私たちが仕掛ける番です」
「し、仕掛ける……ですか?」
「えぇ、何せここには正義実現委員会のメンバーと、ゲリラ戦の天才と、ティーパーティーの偏愛を受ける自称平凡な生徒と、来年度の司法院長と、トリニティのほぼすべてに精通した私が居ます」
「偏愛……?」
ハナコの視線がそれぞれを射抜いて、今ここにいる全員を表現する。
そして、その最後に先生へとその視線を向け───
「そして、ちょっとしたマスターキーの先生までいらっしゃるのですから」
うふふ♡といつもの笑みを浮かべたハナコはその細い人差し指を口元まで持っていき。
「─── トリニティ程度、半日で転覆させられますよ♡」
「は、はい!?!?」
「えっ、ちょっ!何するつもり!?」
「転覆?」
「まあ比喩表現ではあるんだろうけどね」
うふふふ♡と怪しい笑いを続けるハナコを他所にサリナはスマホを操作して自分の親友であり相棒である少女に連絡を取りはじめる。
「何をするにしても私たちがしなければいけないのは試験の合格ですし、あと必要なのは……演技力、です♡」
「演技……」
「りょく……?」
「ええ、作戦の内容は任せてください。我に秘策アリ、です」
「えっと、ハナコ?それは大丈夫なやつなんだよね?」
「もちろんです、みなさん……私のこと、信じてくれますか?」
ハナコのその問いかけに、補習授業部が、先生がしっかりと頷く。
「そ・れ・に・?撃っていいのは撃たれる覚悟のある人だけ、とも言いますし♡」
「よく知ってるねそんな言葉……」
思わず子供の頃に見たアニメの主人公を思い出した先生はキヴォトスにもあったんだあのアニメなどと思いつつもこれから始まる防衛戦へと意識を切り替え始める。
そして、ほんの少し過激な発言をしたハナコは自分達のリーダー……補習授業部の部長の元へと駆け寄る。
「さあ!始めましょう!ヒフミ部長!」
「えっ、あぅ……えぇっ!?」
突如として投げ渡されたバトンにヒフミは思わず困惑の声を漏らす。
だが、その場にいる誰もがヒフミの顔を見てヒフミの声を待っていた。
なら、やるしかないだろう。
「さ、作戦はこれからハナコちゃんが決めてくれるんですよね?なら、心配はいりません!私たちは私たちのできることを……いいえ、そんな弱気なことは言ってられませんね……!ナギサ様の救出と特別試験の合格……どちらも完璧にこなしましょう!
先ほどまでの弱気は自分たちはもういない。
また明日も笑って過ごせるように、ここにいるみんなで交わした約束を守れるように。
「補習授業部!出陣です!!!」
「おーーッ!!!!!!」
───作戦の内容を説明するよ。
まず私たちの勝利条件はアリウスの部隊からナギサを守ること。
これはアズサとハナコが担当してくれることになってる。
その間コハルとヒフミはアリウスの部隊の注意を引いてもらう。
サリナは別行動してヒフミとコハルの支援と余裕があれば合流したアズサの支援もお願いするね。
相手は訓練された特殊部隊だ、怪我をするな、とは言えない。
だけど、無理だと思ったらその時点で戦線を放棄して必ず他の人員と合流するように。
私もみんなの戦術指揮をしながらハナコの立案してくれた作戦をベースにアズサと連絡を取り合って作戦の更新を行っていく。
ナギサを守って試験も突破して、今度こそみんなで限定パフェを食べに行こう!
もちろん、私の奢りでね。
それじゃあ、作戦スタート!