今日は『シルさん』という女性と出会ったりしていい日だな
そんな風に思いながら僕はダンジョンに向かっていた。
「止まれそこの愚兎」
そんな声が聞こえるまでは……
「愚兎、貴様がベル・クラネルで間違いないな」
「はい、僕がベル・クラネルです!」
僕は反射的にそう叫んだ
叫ばなければ死ぬという予感さえあった
「やかましい愚兎、叫ばなくても聞こえている」
「あ、あの...僕になにか用でしょうか?」
「決まっている。フレイヤ様の事だ」
「フレイヤ様の?」
「あぁ、私はフレイヤファミリア幹部のヘディン・セルランドだ」
「私は貴様がフレイヤ様の伴侶としてふさわしいのか見極めに来た」
「見極めにですか?」
「そうだ、だが全然駄目だな愚兎」
「えっ!」
「品性が足りない。所作も雑だ。洗練とは対極の青二才そのもの」
「へっ!?」(何だこの人、初対面の人間に対して)
「言葉遣いですら聞くに絶えない。教養のなさが透けて見える」
「ふぐぅ!?」
「何よりその間抜け面が人を苛立たせる」
「がはっ!?」
そこまで言われ僕は膝を着く
そんな僕をヘディンさんは失望混じりの目で見る
やめて!そんな目で見ないで!
「しかし、あの方がお前を選ばれたのだ私が異を唱えるわけにもいくまい」
「おい愚兎」
「はい!」
「フレイヤ様に対して逢瀬に誘ったり、プレゼントなど渡したりしたのか?」
「...していません」
「愚兎はそれでいいのか、施されるだけの今に満足か」
「...満足していません」
「なら私に従え、心構えから淑女への先導、何から何まで貴様を改造してやる」
「かいぞう!?」
「期間についてだが、私も忙しい。」
「ファミリアはヘルン任せてるがあの連中をまとめるのは無理だろう」
「ゆえに今日1日である程度仕上げる」
「1日ですか」
「ついでだ、ダンジョンでの動きも見てやる」
「本当ですか!?」
そこから地獄の1日が始まった...
モンスターを倒しながら女性への接し方、会話の仕方などヘディンさんが教えてくれるのはいいんだが、間違えると僕が耐えられるギリギリまで威力を抑えた魔法が飛んでくる
そして夜
「すみませんヘディンさん僕、用事が...」
「いいだろう、今日教えた事を忘れてないか後日テスト行うそのつもりでいておけ」
「サーイエッサー!」
「それと今の貴様はみすぼらしい、身だしなみ整えてから行動しろ」
「サーイエッサー!」
そうしてシルさんが居る豊穣の女主人でご飯を食べて今日という1日が終わるはずだった....