ジト目三白眼メンタルつよつよ不遜ロリ系TS転生者   作:じとい

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ジト目で無愛想なロリっていいよね。

 異世界に女として転生してわかったことだが、異世界での女の一人旅というのは多くの面倒がつきまとう。

 月の物だとか、宿は個室でないとダメだとか、まぁ色々あるが。

 何よりも面倒なのは、野盗に襲われる危険性だろう。

 

 ただでさえ襲われれば金目のものを盗られてしまうというのに、旅人が女というだけでその身体すら金目のものになってしまうというのは、実に面倒極まりない。

 

 その日の私は、日が落ちる直前の人気がない森を進んでいた。

 計算では、このまま行けば森を抜けた先にある街へギリギリ日が落ちる直前にたどり着けるはずだった。

 森は普段から人が行き交うのもあって、街道はきちんと整備されている。

 それでも生い茂る木々のせいで、まだ夕暮れだというのに薄暗く、光魔術を使ったカンテラで道を照らしながら先を進む。

 

 まぁ、そんな場所に怪しい連中の一人や二人いてもおかしくはないのだが。

 それにしたって、目と鼻の先に街があるという場所で、胡乱な連中が闊歩しているというのはめったにないことだ。

 だから、正直油断していた。

 

 

 道行く私を、突然雷撃の魔術が襲いかかったのである。

 

 

 魔術。

 異世界といえばやはり魔術の存在は欠かせない。

 私の使っている光魔術のように、生活を便利にするものもあれば、他人を害する攻撃的なものもある。

 雷撃の魔術は後者のそれだ。

 

 こいつの厄介なところは、雷撃というだけあって速度が速く、不意を打たれると回避が難しいこと。

 そして、相手を傷つけずに行動不能にしてしまうところだ。

 特に後者、私のような女を殺さずに生け捕りにしたい場合、その特性は非常に有効である。

 

「っ」

 

 思わず吐息を零しながら、動きを止める。

 すると、即座に私を囲むように複数人の男たちが現れた。

 いずれも明らかに気質の人間ではない粗暴な男どもだ。

 

「へへ、まさかこんな時間にここを通るやつがいるとはな、しかも上物だ」

「言ってる場合か、さっさと捕まえて運ぶぞ。こんな場所だ、ないとは思うが衛兵に嗅ぎつけられても困る」

 

 男たちは、私が身じろぎをしないのを慎重に確認しながら接近してくる。

 

「お前たち……何をしたのか……解っているのか?」

 

 息を吐き出すように言葉を漏らす。

 それを、雷撃による痛みを耐えていると感じたのか、私のことを上物だと評した男が下卑た笑みとともに答えた。

 

「何を……? はっ、こんな時間にここを通るバカな旅人のガキをとっ捕まえただけだろ? 何を急いでいたんだかしらないが、こうなることを想像もしてなかったのか?」

「おい、遊んでいる時間はないと言っただろ」

「解ってるよ、遊ぶならこいつをアジトに持ち帰った後でもできる。しかしよぉ」

 

 そのままつかつかと歩み寄ってきた男が、私のフードを捲り上げる。

 今の私は、ねずみ色のフード付きマントを羽織り、黒をベースに赤の刺繍が入った装飾の動きやすい服を身に着けている。

 下はスカートの下に短パンだ。

 まぁ、我ながら少女らしい格好だとは思う。

 ともあれ、

 

「見ろよこの面! 旅をしてるガキにしては妙にデキがいい。何よりこの目だ」

「……」

「この、自分はこれまでの人生で一度として折れたことはない強い心の持ち主だと言わんばかりの不遜な目。()()()()()()よなぁ!」

 

 まくりあげられたフードから出てくるのは、透き通るような金髪と碧眼。

 それから、背丈は140程度の小柄さの少女。

 イラストだと三白眼のジト目で描かれるんだろうなって感じの目つき。

 まぁ、我ながら可愛らしいとは思う。

 自分には似つかわしくない、とも。

 

 しかし、だ。

 今はそんなことより、男の演説が長々と続いている方が問題だ。

 

「上玉だ。どう考えても平民じゃねぇ。こいつはなかなかの鉱脈を引き当てたかもしれないな?」

「……少し黙っていろ。今捕縛の魔術の準備を終える」

 

 演説は、仲間の魔術の準備を待つ暇つぶしでもあったのだろう。

 さっきから慎重な言説の男から、魔力が迸るのを感じる。

 ――そろそろ頃合いだろう。

 

 私は、改めて口を開いた。

 

「……解っていない、みたいだな」

「あ……?」

「私は……別に、高貴な生まれじゃない。そもそも親の顔なんて見たこともないし、興味もない」

 

 フードを持ち上げる男の手を、何気なく振り払いながら。

 

「私が気にしているのも……お前たちのことじゃない。もうすぐ落ちる太陽と……この後のことだ」

「おい、何すん」

「――まて、なぜ動ける?」

 

 振り払われたことで、激昂しそうになった男。

 対して、冷静に状況を観察しているのは魔術師の方だ。

 彼の言う通り、先程の雷撃魔術で私は身動きが取れなくなっている――はずだ。

 

 しかし、実態は違う。

 

「お前たちを返り討ちにした後、私は衛兵にお前たちを突き出さないといけない」

「……おいおい、何いってんだ」

「こんな時間に、女子供が一人で街道を歩いていたことを咎められる! お前たちを捕まえた経緯を説明することに時間をとられる! 何より、衛兵が善良であれば私を本気で心配するだろう?」

 

 直後、私は手近にいた粗暴な男を――

 

 

「煩わしいんだよ、不要な心配というのは!」

 

 

 蹴り飛ばし、一撃で昏倒させた。

 

「っ! “捕縛の――」

「遅い! “雷撃の束縛”!」

 

 直後、冷静に魔術を使おうとした男より早く。

 私もまた魔術を起動した。

 使ったのは、先程男が不意打ちで私に放った魔術。

 一つ違うのは――

 

「……何だ、この、魔力量は!」

 

 ――威力。

 直撃を受けた男が、痛みに悶えながら叫ぶ。

 

「お前たちは、手を出す相手を間違えたんだ」

「あ、な――」

 

 いいながら、私は服の中に収めていたペンダントを外に出す。

 油断していなければ、私はこれを胸元に掲げながら移動していたはずなのだ。

 普段は、むしろこれを出している方が周囲の注目を集めてしまうため、こうしてしまっているのだが。

 

 

「――Sランク冒険者?」

 

 

 ペンダントは、冒険者としての私の身分を示している。

 

「アイナ・キースタックだ。多少は聡明なようだから、どこかで聞いたことがあったかもしれないな?」

「あ、あ、あ――」

 

 そして、雷撃に悶える男は――

 

 

「“魔刃”アイナ……!」

 

 

 私の二つ名をそう言葉にして、意識を失った。

 

 残るのは、面倒そうにため息をこぼす私だけ。

 アイナ・キースタック。

 魔刃の二つ名を持つSランク冒険者。

 つまり、私は――異世界に女として転生し、旅をしていた。




好きなものを一から見つめ直して書きました。
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