寝袋配達ダンジョンマスター   作:龍翠

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おわり

「ところでそのイオとシオは?」

「あー……。まだ何かやってるみたい。シオのちゃんとミユちゃんなら、あの子たちも懐いてくれるかなと思ったんだけど……」

「ん……。残念。撫でてみたかった」

「ミユ!?」

 

 いや、気持ちは分かる。ミオ姉に懐いてる姿を見ると、仲良くなれればきっとすごくかわいいと思うから。すごく強くても、純粋無垢な子供みたいに見えたし。

 でも、今日は諦めないといけない。次の機会に仲良くなれればいいかな。

 

「それじゃ、ミオ姉。いろいろありが……」

「まって!」

 

 私たちが魔法陣で転移しようとしたところで、そのイオとシオが走ってやってきた。いや、多分、走って……? 実際には一瞬で移動したように見えたけど。気付けば目の前にいたから。

 スピードも桁違い、ということ。本当に人間には勝ち目がないのかもしれない。

 

「これ! あげる!」

 

 そう言ってイオとシオが渡してきたのは、装備一式だった。

 

「え」

「わ……」

 

 私には、刀身が青い不思議な剣と、全体的に赤色な軽鎧。ミユには薄い青色の宝石がついた大きめの杖と、真っ黒なローブ。

 鎧はよく分からないけど、剣はすぐに分かった。剣はかなりいい物だと思う。少なくとも私が使ってる剣よりは。

 

「えっと……。いいの?」

「うん。その代わり……」

「その代わり?」

「ミオを連れていかないで」

 

 イオとシオの二人がぎゅっとミオ姉にしがみつく。ミオ姉は目を丸くして驚いていた。こんなことを言われるとは思ってなかったらしい。

 でも、なるほど。イオとシオは、私たちがミオ姉を連れていくと思ってしまったんだ。私たちがミオ姉と仲良くしてたから。昔の知り合いだから。

 うん。やっぱりこの子たち、かわいい。

 

「別にこれをもらわなくても、ミオ姉を連れていったりしないよ」

「そうなの?」

「うん。それにミオ姉も、多分来ないと思うよ。二人のことが大好きみたいだから」

 

 ミオ姉を見ると、ミオ姉は少しだけ照れてるように頬をかいていた。

 もしも。もしもまだ私たちが子供だったら、きっとミオ姉は私たちをもっと気にかけてくれたと思う。それこそ、ついでにここに置いてくれるとか、そんな感じで。

 

 でも、私たちは確かにまだ未成年だけど、でも冒険者としてもう自立してる。これでも深層まで来れる程度には実力もある。だからきっと、ミオ姉にとって、気にかけるべきはイオとシオなんだと思う。

 ちょっと寂しい、いや悲しい? 悔しい、かもしれない。複雑な心境だ。でも、それでいいと思う。私たちはいつまでも子供じゃいられないから。

 

「だから、これは返すよ」

 

 この剣も鎧も、かなり貴重なものというのは分かるから。見返りなく受け取るわけにはいかない。

 そう、思ったんだけど。

 

「持っていっていいよー」

「え」

「シノとミユのために作った! がんばった! だから使ってね!」

「待って?」

 

 もらえるならそれはそれで嬉しい、とかその前に。

 

「作った……? 作った!?」

「うん」

 

 ミオ姉を見る。サムズアップして頷かれた。

 

「ミオ姉を殴りたい」

「なんで!?」

 

 訳知り顔でちょっといらっとしたから。実際にミオ姉は全部知ってるだろうけど。

 

「ミオ姉。説明」

「かしこまり! 実はこのダンジョンの下層以降で手に入るアイテムは全てイオとシオの手作りなのだ!」

「それは聞いたけど、もしかして剣とかもなの……?」

「いえす!」

 

 試しに、持ってきた剣を抜いてイオに見せてみる。イオはまじまじとそれを見つめて、笑顔で頷いた。

 

「わたしが作った! 下層の剣としてはいい方だよ!」

「うん……。そう、だね……」

 

 イオの言うように、この剣は下層で手に入れてる。そして、詳しい人に見せたところ、下層で手に入れたわりには破格の性能というのも聞いてある。

 まさかそれが、こんな小さな子の手作りだとは思わなかったけど。

 

「いや、でも……。やっぱり悪いというか……」

「んーん。二人何かあったらミオが泣いちゃうと思うから、持っていって!」

 

 ああ、そっか。この二人にとっては、やっぱりミオ姉が行動の基準なんだ。私たちが大怪我をするとミオ姉が悲しむから、それを防ぐために使ってほしい、と。

 そういう理由なら受け取っておこう。むしろ受け取らないとずっと心配されそうだし。

 

「ありがとう。使わせてもらう」

「うん!」

 

 問題はギルドや他の冒険者さんにどう説明するかだけど……。まあそれは、後々考えよう。

 

「それじゃ、ミオ姉。また」

 

 ミユと二人で手を振る。すると三人とも、大きく手を振ってくれた。

 さて、と……。

 

「どうやって説明しようかなあ」

「姉。任せた」

「おい」

 

 いや、どっちみちミユは口下手だから私がすることになるんだけどさ。ユウジさんにも報告しないといけないし、なんというか、帰ってからが本番な気がする。

 私は大きくため息をつくと、改めて地上を目指して歩き始めた。

 

   ・・・・・

 

「行っちゃったね」

「行っちゃった」

「…………」

 

 シノとミユが立ち去った後。ミオたちはしばらくその場で魔法陣を見つめていた。久しぶりに会えた顔がとても懐かしかった。少しだけ、地上に戻りたいと思ってしまったのもまた事実だ。

 

「ミオ……」

 

 イオとシオの二人がこちらを寂しげに見つめてくる。ミオは笑いながら二人を撫でた。

 

「私はずっとここにいるよ。だから安心してね?」

「うん!」

「…………」

 

 こくこくと嬉しそうに頷く二人と手を繋いで、ミオは自分たちの家に戻っていった。

 




壁|w・)ごめんなさい。本当にごめんなさい。
ものすごい勢いで飽きました。書くのが冗談抜きで苦痛になりました。
なのでこのお話はここでストップです。更新予定はありません。
中途半端に終わらせてしまって申し訳ありません。
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