突然だが親が苦労する時といえばどのようなものを想像するだろうか。
人に聞けば様々な回答を得られるであろうが今現在の斉藤壱護に聞くとこう答えるだろう。
拗ねた娘をなだめる時、と。
「ル、ルビー?」
「……プイ」
とある日の朝、苺プロダクションのオフィスでは社長である壱護とその娘である三つ子の末っ子ルビーとの間で熾烈な争いが繰り広げられていた。
「連れて行ってやりたいのはやまやまなんだが、今日はアクアだけ別の仕事でだな…」
「――――――ヤ!」
五反田監督に誘われ役者として芸能界入りすることとなったアクア達。幸いなことに映画は高評価を受けそれに伴うようにアクア達にもそれなりの数のオファーがやってくるようになり、先日の七五三のモデル以降にもいくつかの仕事をこなしていた。母親であるミヤコの方針もあり仕事を詰め込むことはせず仕事の翌日は必ず休みにするようにし業界での需要の割に穏やかな日々をアクア達は過ごしている。
そして今現在問題の原因となっているのがそのアクア達の仕事である。前述の通りアクア達の最初の仕事は五反田監督に誘われ、三人揃ってのものだった。それもあってか苺プロのホームページでのタレント紹介では三人まとめての掲載になっているほどで、これまでの全ての仕事が三人一緒のものであり、つまりはアクア達は仕事でもプライベートでも産まれてからずっと片時も離れたことが無かった。しかし今日初めてアクア一人に対してのオファーが来た。それだけならばマリンとルビーも一緒に連れて行けばいいだけの話であったのだが、間の悪いことにマリンとルビーのみに対しての仕事も今日重なってしまったのだ。
その結果どうなってしまったのかというと。
「ヤァー!!!!」
今生の別れを惜しむかのようにアクアを抱きしめ、己のチャームポイントともいえる真っ赤な眼に涙を溜め壱護を睨んでいる。壱護はそんな娘の様子にどうすればいいのかと頭を悩ませており、説得の言葉を投げかけ続けているが成果は芳しくない。
なおルビーの反対側からマリンもアクアを抱きしめているが特に機嫌が悪い様子ではなくこの状況を楽しんでいるかのようにニコニコとしているため壱護にはスルーされている。
一連の騒動は事務所内で起こっているため職員達に筒抜けである。現在進行形で頭を悩ませている壱護とは対照的に職員一同揃ってのほほんと見守っている。
ちなみにミヤコは説得を壱護に丸投げして全力でカメラを構えていた。
「―――アクア、助かった。ありがとうな」
「うん。父さんもお疲れ様」
あの後説得に苦労する壱護を見かねて、ルビーに抱き着かれるまま傍観していたアクアも説得に加わることでアクアと壱護は多少予定よりも遅れたものの無事に苺プロを出発した。
なおアクアが説得する側にまわった際、ルビーによる「お兄ちゃんは私と離れ離れになってもいいの!?」というこれまでの仕事の経験を生かした無駄に迫真の寸劇が披露されたりしたのだが、余談である。
これまでアクア達が現場に向かう際はミヤコの運転するワンボックスに乗るのが常であったが今日アクアは壱護の運転する壱護個人が所有している自家用車に一人で乗っている。先ほどの騒動もあってか妹二人がいないという初めての状況にアクアは新鮮味だけでなく多少の寂しさも感じていた。去り際にマリンがルビーを抱きしめ頭を撫でながらアクアには私に任せろとサムズアップで見送っていたのも寂しさの原因かもしれない。そのためアクアは今日、帰ったらたっぷりとルビーを甘やかしてやろうと決めている。
アクアがそんな思考に浸っていると運転中の壱護がため息とともにぼやく。
「―――嫌われて…ない、よなぁ?」
「父さん心配しすぎ。ルビーはあんなので誰かを嫌いになったりしないよ」
「それは俺も分かってるけどよぉ……帰りにケーキ屋でも寄るか?」
「いいんじゃない? ルビーもマリンも、後母さんも喜ぶと思う」
「ならそうするか――――――と、この話はこのくらいにして、だ」
今日の仕事の話だが、と壱護は仕切りなおす。
「説明した仕事の内容は覚えてるな?」
「うん―――食洗器のCM撮影で…しかも俺でも知ってる大きい会社の…こんな仕事どうやって取ってきたの父さん」
今日のアクアの仕事はCMの撮影。それも大企業に数えられるような大きな会社のものであった。現在3歳のアクアですらテレビCMや番組の提供等で目にしたことがあるし、前世込みだとそれこそ数えきれないほど目にした会社であった。
苺プロは今波に乗れているとはいえ規模としては弱小といって差し支えない。それ故、アクアにはどう考えても事務所の規模と今日の仕事が不釣り合いに見えてしまっていた。アイという絶対的な主柱を欠いたにもかかわらず、B小町を一流アイドルと呼べるまでに育て上げた父の手腕を疑うことは無いのだが。
「そこはほれ、苺プロの敏腕社長斉藤壱護の卓越した手腕にかかればこの程度朝飯前よ――――――って言えたら良かったんだがなぁ…」
「残念ながら違う、と」
「あぁそうだ。向こうさんからアクアを直接指名したオファーが来た。指名の経緯についてはそこまで詳しい話は聞けてないんだが…なんでも子役を一人探してた時に既に決まってたメインの女優がお前の名前を挙げたらしい」
「女優さんが?」
「そうだ。うちとは接点がまるでない人だからなんでお前を指定してきたのかは俺にもさっぱりでな」
「ふぅん…ちなみにその人の名前は?」
「うん? そういやまだ言ってなかったか」
先ほどまでの騒動もあってかアクアに伝え忘れていた壱護はすまんすまんと謝りながらその名を口にした。
「
▽
壱護に連れられ都内の撮影スタジオに到着したアクアはまず最初に今日の共演者である姫川愛梨に挨拶をするため、出演者用の控室へと足を運んでいた。壱護がドアをノックし入室するのにアクアもそれに続く。壱護とおそらく姫川愛梨のマネージャーであろうスーツ姿の女性が名刺を交換しながら挨拶を交わしているのをアクアが見上げていると、突然アクアの体が持ち上げられる。
突然のことにアクアが驚いていると、状況を飲み込むよりも先に軽い衝撃と共に何か柔らかいものの上に座らされる感触がした。常日頃から主に母親のミヤコや世話好きな高峯を筆頭にその他苺プロの面々から同じような状態にされることの多いアクアは自分が誰かの膝の上に座らされていると気づいた。誰に抱えられているのかは明確であったが一応アクアは顔を上に向け自分を抱えている人物の顔を確認する。そこには上機嫌な笑みを浮かべアクアを見つめている艶やかな黒髪が特徴的な女性、姫川愛梨の顔があった。
「はぁ…かわいいわぁ」
「え、えっと…」
「あ、ごめんなさいね突然抱っこしちゃって」
困惑するアクアに愛梨は謝るものの愛梨は解放する気は無いようで、片手でアクアの頭を撫でながらも空いている方の腕が正面に回されしっかりとアクアを抱えている。
愛梨の突然の行動に気付いたマネージャーが彼女に注意をする。
「ちょっと、愛梨さん。すみません斉藤社長。アクア君も嫌だったらそう言ってくれて大丈夫だからね?」
「俺はアクアが大丈夫なら問題ありません。アクア、構わないか?」
「あ、うん。大丈夫だよ父さん」
「父さん? へぇお父さんが事務所の社長さんなんだ」
「そうですよ? ね、父さん」
「あ、あぁ…そういえばマネージャーさんとは挨拶させてもらいましたがあなたとはまだでしたね。申し訳ありません。苺プロダクション社長の斉藤壱護です。今日は息子がお世話になります――――――それと、つかぬ事を伺いますが息子のことをどこで知られたのでしょう? 今回アクアを指名してくださったのが姫川さんだと伺いましたが」
愛梨はかつて朝ドラのヒロインに抜擢されたこともあり、今となってはドラマや映画にも多数出演するほどの女優である。所属する事務所も苺プロよりも大手だ。そんな人物の機嫌を損ねるようなことをしてしまうと、最悪の場合苺プロに甚大な被害がでるかもしれない。だが壱護はこのことだけは聞いておかねばならないと愛梨に質問をした。
真剣な表情をしている壱護とは対照的に愛梨は柔らかな笑みを浮かべたままだ。
「そんなに硬くならなくても大丈夫ですよ。いきなり面識の全くない他所の人間から大切な息子さんに指名なんて入ったら警戒して当然でしょうけど」
アクア君大事にされてるのね、と小さく呟くと愛梨は続きを話し始める。
「といってもそんなに大した理由はないんですよ? 完全に偶然でしたので」
「偶然…ですか?」
「えぇそう、偶然――――――大輝」
アクアを知ったのは偶然であると断言した愛梨は壱護から視線を外し、部屋の奥へと目を向けそこにいる人物に声をかけた。
アクアと壱護がつられてそこを見ると、愛梨と同じ黒髪の少年が一人スマホを弄りながら椅子に座っていた。愛梨から大輝と呼ばれた少年はその声に気付くとスマホから顔を外し愛梨の方へと向けた。愛梨が手招きをしているので立ち上がり傍へと寄る。
「なに、母さん」
寄ってきた大輝の頭に手をのせると愛梨は視線を壱護の方へと戻す。
「息子の大輝です」
愛梨の紹介に合わせて大輝が壱護に頭を下げる。
「この子今年で7歳になるんですけど、それで先日七五三のためにサンプルを色々と見てた時にたまたまアクア君の写真を見たんです―――ね、偶然でしょう?」
「なるほど…」
頭上で親たちのやり取りが交わされている中若干蚊帳の外に置かれているアクアと大輝はというと。
「……」
「えっと…斉藤アクアです。よろしくお願いします」
「上原大輝。よろしく」
ジーっと効果音が聞こえてきそうな様相で大輝がアクアを見ていると、その視線に気付いたアクアが挨拶をし大輝がそれに答えた。
その答えにアクアは首を傾げる。
「上原…?」
「あぁ、上原が本名なの、上原愛梨。姫川は結婚する前の苗字を芸名として使ってるのよ」
「あぁなるほど。ありがとうございます」
礼儀正しく感謝を告げるアクアの態度に気を良くしたのか愛梨は再びアクアを愛でるのであった。
先の説明に納得したことと、アクアが嫌がったりはしていない様子から、壱護が警戒を解いたのを確認した愛梨は壱護へ言葉を投げる。
「ところで―――社長さんなら挨拶回りはしなくていいんですか?」
よければアクア君の面倒は私が見させてもらいますけど。そう愛梨が続けると壱護は数瞬悩む素振りを見せてからアクアへ問いかける。
「アクア、これから俺はここのスタッフに挨拶へ行ってくるから、姫川さんと…あと大輝君と待っててくれるか?」
「うん、わかった」
「そうか―――それでは姫川さん、アクアのことを少しの間よろしくお願いします」
「えぇ。お願いされました」
壱護がそう言い残し退室すると、間をおいて愛梨のマネージャーもまた挨拶回りのために退室する。
それを見送ると大輝は再び奥の椅子に腰かけ、愛梨も再びアクアを愛でる。
「うふふ…」
「あ、あの」
「ん? どうしたの? アクア君」
上機嫌に自分を撫でている愛梨にアクアは疑問に思っていたことを尋ねてみることにした。
「どうして俺を指名してくれたんですか?」
「ん? さっき話した通りよ? アクア君の七五三の写真を偶然見かけたから」
「あ、いえ、そうじゃなくて…あの時の撮影には俺達以外にも沢山の子がいましたし、なんでその中から俺だったのかな、と」
「あぁなるほど…」
アクアの問いに答えようと愛梨はアクアの頭を撫でていた方の手を自身の顎へと移し、しばし考える。
「そうねぇ…私の知り合いの子になんとなくアクア君が似てたから、かしら」
「俺が姫川さんの知り合いに、ですか?」
「愛梨でいいわよ? ええそう。その子とはもう知り合って10年くらいになるんだけど…アクア君と同じように金髪が綺麗な子でねぇ。アクア君を見かけたときにそれでビビッと来たの――――――あ、そうだ。良かったらこれどうぞ」
アクアの質問に答えた愛梨はふと思い出したように控室の机の上に置かれた菓子を一つ手に取るとアクアへ手渡す。
手渡されたそれをアクアが確認すると個包装された焼き菓子だった。百貨店の菓子売り場等でよく売られている、アクアも前世で中元や歳暮で貰うこともあったちょっとお高い目のものだ。
「大輝がこれ好きでね、いつも用意してもらってるの。嫌いじゃなかったら是非食べて頂戴」
「ありがとうございます。頂きます」
ここで断るのも失礼だよな、と考えると、アクアは愛梨に礼を言い貰った菓子を食べ始める。
小さな口で菓子を頬張るアクアに気を良くした愛梨は再びアクアを愛で始めるのだった。
「「ごちそうさまでした!!」」
お母さんの作ったご飯をお兄ちゃんと同時に食べ終えた僕たちは一緒に手を合わせてごちそうさまをする。
「はい、お粗末様でした」
そう言うとお母さんは嬉しそうに笑いながら僕たちの頭を撫でる。
頭を撫でてもらうのは気持ちいいのでお母さんが飽きるまでいつもそのままでいるのだけど今日はすぐに終わってしまった。
ピンポーンと玄関のチャイムが鳴ったからだ。
「はーい」
お母さんはチャイムに反応すると玄関の方へと行ってしまう。
お母さんを見送った僕はふと机の上に目を向ける。
そこにはついさっき食べ終わった後のお皿やスプーンが置いてある…そうだ!
僕は椅子から立ち上がって自分の食器を手に取る。
ふと横を見るとお兄ちゃんも僕と同じようにしていた。お兄ちゃんは僕より大きいからお母さんの分も合わせて二人分持っていた。
二人一緒にキッチンへ行くとお兄ちゃんが食洗機の扉を開けて中に食器を入れていく。
僕も手伝いたいけど背が届かないので仕方なくそれを眺めている。
「あら、お皿洗ってくれたの?」
いつの間にか戻ってきていたお母さんが後ろから声をかけてきた。
僕はお兄ちゃんと一緒に振り返る。
「うん! 食器と洗剤を入れてボタン押すだけだから僕でも出来たよ」
「僕も手伝ったよ!」
お兄ちゃんと僕がそういうとお母さんはありがとうねぇと言いながら僕たちの頭を撫でてから抱きしめてくれた。
「アクア君」
撮影が終わった後、アクアは壱護と共に現場のスタッフに帰る前の挨拶をしていると後ろから声を掛けられた。
「愛梨さん。大輝さんとマネージャーさんもお疲れ様です」
振り向くとそこには先ほどまでアクアとともに演技をしていた愛梨が大輝と連れて立っていた。少し後ろに彼女のマネージャーも控えている。
アクアが愛梨に言葉を返すと、壱護と愛梨のマネージャーが軽く頭を下げた。
愛梨はそのままアクアに近づき、目線を合わせるように屈むとアクアの頭を撫でる。
「今日の演技、とてもよかったわ。また共演しましょうね」
「は、はい。その時は是非」
アクアの返事を聞くと愛梨は少し名残惜しそうに立ち上がる。
「さてと。本当はもっとお話ししたいところなのだけどこの後も仕事が入ってるからのんびりできないのよね。それじゃあまたね、アクア君。斉藤社長もまたいずれ―――ほら、大輝。行くわよ」
「うん―――バイバイ」
「大輝さんも、ありがとうございました」
去っていく愛梨と大輝を、アクアと壱護は頭を下げて見送るのであった。
▽
「ただいま―――わぷ」
「お兄ちゃんお帰り!」
撮影が終わりスタジオ後にしたアクアと壱護が苺プロに戻り、事務所の中へと入るとアクアに小さな影が飛びついてきた。アクアはこの展開を予想していたのか転んだりせず飛びついてきた影―――ルビーをしっかりと抱きとめ、そのままルビーの頭を撫でる。
アクアに撫でられているのを堪能しているルビーをこのまま眺めているのもいいかという考えを横に除け、アクアの後に続いて事務所に入ってきていた壱護はその場で屈んでルビーへと声をかける。
「ルビー」
壱護の声が聞こえるとルビーはビクリと肩を震わせて視線を壱護の方へと向ける。今朝のことを気にはしているのかその顔には気まずいような怒られるのを恐れるような表情を浮かべていた。
「え、えっと…パパ、その…」
壱護はじっとルビーを見つめて娘の言葉を待っている。
「―――ごめんなさい」
呟くようなその声が聞こえると壱護はルビーの頭の上に手を置く。
「俺もごめんな」
「……」
なぜ壱護が謝るのだろうか、悪いのは自分なのにとルビーが呆然としていると壱護は続けて口を開く。
「ずっと一緒だったのに突然別々にしちまったからな、せめて事前に言っとくべきだった。だから悪かった―――しばらくはなるべく一緒にいられるようにするから」
どうしてもだめな場合は許してくれよ?と壱護が続ける。
「ありがとパパ。でも大丈夫だよ」
「大丈夫って…いいのか?」
ルビーの返答が予想外であったため壱護は思わず聞き返してしまう。
「うん。ママがね、会えなくて寂しいならその分後でいっぱい甘えなさいって。だから大丈夫」
ルビーの言葉に壱護はオフィスの奥に座るミヤコの方を見た。するとミヤコは何も言わずに壱護の方を見返し笑みを浮かべる。
ミヤコの様子に思わず口角を上げてしまった壱護はルビーの頭を撫でながら言う。
「そうか。ならお言葉に甘えさせてもらおうかね。まあ、なるべく一緒に入れるようにはするけどな」
「うん!」
「あぁそうだ。帰りにケーキ買ってきたから皆で食べよう」
「「ケーキ!!」」
いつのまにかルビーの傍にやってきていたマリンがルビーとともに声を上げる様に壱護つい吹き出してしまう。
すると今まで成り行きを見守っていた外野から野次が飛んでくる。
「社長ー! 私たちにはおやつ無いんですかー?」
「やかましい! お前らはシュークリームだ! 冷蔵庫に入れといてやるから勝手に食え!」
野次に向かって壱護がそういうと、職員たちはありがとうございまーすと礼を言って仕事に戻る。
そんな職員たちの様子に壱護が呆れていると、クイクイとズボンが引っ張らっれている感触がした。
視線を下げるとマリンとルビーが壱護のズボンを掴んで見上げている。早く食べたいと催促しているようであった。
チラリとミヤコの方を確認すると、おやつにするのは問題ないのだろう何も言ってくる気配はない。
「それじゃあ、おやつの前に手洗ってきな。用意はしておいてやるから。―――悪いが誰かこの子らの手洗い手伝ってやってくれ」
「「「はーい」」」
「あ、じゃあ私が行きますね」
アクア達が返事をしてオフィスから出ていくと、一番入り口に近い職員がそれに続く。
それを見送った壱護はおやつの準備に取り掛かるのであった。
★ ★ ★ ★
とある日のこと、昼下がりの通りを一人の女性が上機嫌に歩いていた。
自身の特徴である鮮やかな黒髪をアップに纏め、帽子をかぶり伊達眼鏡をして変装している彼女―――姫川愛梨は久々の
雑踏に紛れ歩くこと数分、待ち合わせ場所に指定された喫茶店が見えてくる。テラス席に目を向けると愛梨と同じように帽子をかぶり伊達眼鏡をかけている一人の青年の姿を見つけた。その帽子が昔に自分が贈ったものであることに気付き愛梨は笑みを深める。
「
愛梨に呼ばれると青年―――ヒカルも愛梨に気付く。
「愛梨さん。おはようございます」
「えぇ、おはよう」
ヒカルからの挨拶に返事をすると、愛梨は彼の向かいに座り店員にカフェオレを注文する。
「――――――それにしても、随分久しぶりね。突然連絡が来て驚いちゃった」
「…連絡が途絶えてたのはすみません。大学入試と入学後のバタバタでごたついてしまってまして…」
「大学? ヒカル君大学に行ってたの? 言ってくれれば援助くらいしたのに」
愛梨も仕事で度々世話になっている『劇団ララライ』という劇団がある。ヒカルはかつてそこに所属しており、愛梨とは面識があって彼女は度々彼を
愛梨にとってお気に入りであったヒカルであったが、今から3年ほど前、彼が16歳の時にララライを退団してしまった。自分に相談もなく退団したことに憤慨したことを愛梨は今でも覚えている。
「愛梨さんに相談すればそう言ってくれるのはわかっていたんですけど。そうするとずっと甘えてしまいそうで…でも何かしら伝えておくべきではあったと反省はしてます」
「遠慮なんてしなくていいのに…ま、そういうことなら許してあげる」
なんとも可愛らしいことを言ってくれると愛梨は増々機嫌を良くする。
「ありがとうございます―――そんなこんなでバタついていたのが最近ようやく落ち着いてきて、その時に愛梨さんの出演されてる
「あら、CMだけ? こうみえて私ドラマも映画も沢山出てるのだけど?」
「もちろん全て拝見させていただいてます。先月放送された刑事ドラマのゲスト出演されていた回、素晴らしかったです」
「あぁあれ? あれは私もいい出来だったと思ってたのよ――――――」
その後も二人は雑談に興じ、愛梨の注文したカフェオレを飲み終えると愛梨とヒカルは揃って街の雑踏の中へと姿を消していくのであった。
Q.愛梨ってこの時点で死んでね?(原作では大輝5歳(アクア1歳)時点で心中事件)
A.今作ではアイが愛梨より先に死んでるから。その影響で順番や時期等が狂ってます。
斉藤アクア:この度全国区のCMデビューを果たして、そのかわいらしさが全国のお茶の間に拡散された。なにげに年相応な3歳児の演技をして精神的にダメージを受けたが仕事なのでやりきる。
斉藤マリン:アクアが出て行った後ルビーを抱きしめてよしよしした。拗ねる我が子を慰めるという母親らしいことができて満足。なお外観は幼女が幼女によしよししている図である。とてもなごむ。
斉藤ルビー:こんな駄々こねるかなぁとちょっと思ったけど原作でのオギャバブランドという実績があったわ。会えない時間が想いを強くすると知る。なお会えない時間は今のところ長くて半日くらいである。
姫川愛梨:息子の七五三関係でパンフレット等を見ていた時に偶々アクアの写真を見てビビッと来ていた。調べてみると子役もやっていたためこれ幸いにと自分の出演するCMの子役にアクアをねじ込む。流石に3歳児は守備範囲外だがお気に入りとして交友を深め、将来いただく気満々
やっぱり原作で絡みがない人に絡みを作るのも二次創作の華ですよね。
アクアが芸能活動してたらこの人は絶対反応するよなぁってところからできた回でした。本命は大輝と縁作る部分ですが。
愛梨が今後どうなるかは…まあ語る必要もないですね。
UA3万、お気に入り600件突破してましたありがとうございます。
評価、感想、ここすき、いつも大変励みになっております、ではまた次回。
そういえばピザポ〇トとすし〇こ衝動買いして試してみたんですよ。普通においしかったです。ただす〇のこがめっちゃ余るのでちゃんと消費する算段たててから買うべきだと思いました。あと〇しのこが想像してた3倍サラサラしてて粉が舞うのでパソコンとかある場所ではやらないほうがいい。