星の三つ子   作:大空

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遅くなりましたが第4話になります。


ルビー

 深夜の斉藤家リビング、そこにいるのは小さな三つの人影。アクア、マリン、ルビーの三つ子が円を描くようにリビングの床に座っていた。

 並んで座ってはいるものの、こっそりと覗いていたのがばれてしまい逃げ出そうとしたら慌てて転んでしまったところを見つかってしまいマリンによってリビングへと引っ張って来られたルビーは多少居心地が悪そうにしており何故か時々アクアを睨んでいる。アクアはそんなルビーの態度に疑問を抱いて困惑し、マリンはそんな二人とは異なり嬉しそうにニコニコと笑っていたりとその様子は様々であった。

 

「うれしそうだなマリン」

「そりゃそうだよ!ルビーも同じってわかったし、これで三つ子全員で誰にも話せない秘密を共有、なんて漫画みたいでワクワクするじゃん」

「まあ分からないでもないけど。―――それで、ルビー?」

「な、なに?」

「そんなに身構えなくていいよ、別に怒ったりしてないから。ただどこから見ていたのかだけ確認したいだけ」

 

 不意に会話を振られ不安げに返事をするルビー。

 こっそりと覗いていたこともあり言葉に詰まるが、続くアクアの言葉に促されてポツリポツリと話し始める。

 

「えっと、その…目が覚めたらアクアとマリンが居ないことに気が付いて。それでどこ行ったんだろうって探したら扉が開いてて、外に出てみたらリビングから話し声が聞こえて、覗いたら二人が抱きしめ合ってて…マリンは後向いてて分からなかったけどアクアは泣いてて…ちょっと入るに入れなくてずっとそのまま見てた…」

「…できればそこは忘れて欲しい」

 

 ルビーの回答にマリンはあちゃ~と軽いリアクションを取るのみだったが、アクアは恥ずかしい所を見られたと羞恥に頬を赤く染める。

 

「それで、えっと全部は聞こえなかったんだけど少しは聞こえるとこもあって―――マリンの前世ってアイちゃん…なの?」

「あ~そこ聞こえちゃってたかぁ。うん、そうだよ私の前世はアイ。B小町不動のセンター、一番星の生まれ変わり!」

「そっか…ほんとにアイちゃんなんだ」

「私が言うのもあれだけど信じてくれるの?」

「うん、嘘ついてる感じはしないし…その、なんというかオーラ的なのが溢れてる」

 

 ルビーのオーラ発言に得意げになるマリン。それに反してルビーは苦悶の表情を浮かべていた。

 

「マリンがアイちゃんってことはやっぱり…うぅあぁ―――大丈夫私は模範的なファンなんだ、一番に考えるべきは推しの幸せ…ファンとは名ばかりの自分勝手な豚どもとは違うんだ…

 

 アクアとマリンには聞こえないほどの小さな声で何やらつぶやき続けているルビー。

 そんな様子に二人は首をかしげていると、やがて意を決したようにルビーは口を開き―――

 

 

 

「それで次はアクアなんだけど、アクアの前世は―――」

 

 

「アイちゃんの恋人…だったんだよね?」

「「はい?」」

 

 

 とんでもない勘違いをしていた。

 思いもよらない発言にアクアは慌てふためき、マリンはツボに入ったのかケラケラと笑っていた。

 

「ちょっっっっと待ってくれるか!?なんでそうなる!?」

「え?だって男女が泣きながら抱きしめあうなんて恋人同士でもないと…」

「…そういわれると否定できないような気もするけど俺と彼女はそういう関係ではなかったよ」

「恋人じゃないって…だったら兄妹とか…でもアイちゃんは一人っ子だったはずだし―――特にそういう関係でもなかったのにアイドル(アイちゃん)と抱きしめあってた――――――切り落とすか?」

「真顔で恐ろしいこと言わないでくれる?ちゃんと事情は…少し恥ずかしいけど話すから…マリンもいつまでも笑ってないで手伝って」

「はーい」

 

 勘違いを放置すると何をされるかわからないとアクアはマリンと共にルビーへと説明を始める。

 

 

「産科医と患者―――産科医?産科医でその患者ってことは…」

「彼女が妊娠して僕の勤めてた病院にやってきたってこと」

「妊娠…アイちゃんが?――――――あ、処女懐胎?」

「「違うよ?」」

 

「それで俺が彼女の出産予定日に死んじゃってな…自分が死んだせいでアイも、って気持ちが沈んでたところにマリンから話しかけられて…その時の会話で前世に気づいて感極まって…って感じだ」

「逆に申し訳なくなっちゃうくらいに謝られちゃってさぁ。センセは自分が来れなかった場合に代わりの先生が来てくれるようにしてくれてたし、入院中もすっごく良くしてくれたから気にしてないよって、周りの反対押し切って産むって決めた私が悪いんだからって」

 

「そっかぁ…それで出産のときにアイちゃんも…」

「そーそー、流石に16歳で三つ子の出産は無茶だったなぁ」

「出産って大変なんだねぇ―――三つ子?」

「うん、そうだよ三つ子」

 

 そう言うとマリンは自身とアクア、そしてルビーを順に指さしていく。

 

「ええぇぇ!?私たちってアイちゃんの子だったの!?っていうか自分の子に生まれ変わっちゃったのアイちゃん!?」

「そーなんだよねー。なんかフッと意識が途切れたと思ったら赤ん坊になっててさーいやぁビックリビックリ」

「私とアクアも大概だけど…なるほどやはりアイちゃんは無敵のアイドル…」

「無敵ってそういう意味ではないと思うけど…」

 

 話の流れでルビーも自身の産みの親を知ることになった。

 その時はっと何かに気づいてしまったのか不安げな表情を浮かべルビーはアクアへと尋ねた。

 

「あのさ、私たちがアイちゃんの子供ってことは……ミヤコさんって…」

「うん?あぁ俺たちと血の繋がりは無いけど…今日のミヤコさんと斉藤社長の会話を聞いてた限りだと養子として引き取ってるみたいだから紛れもなく僕らの母親だよ」

 

 アクアの回答にルビーは表情を明るくするが、それは一瞬だけですぐに沈んだ暗い表情へと変化していた。

 その様子にアクアがどうしたのかと尋ねようとしたがその前にルビーは静かに語り始める。

 

「あの、えっと…私ミヤコさんに酷いことしちゃったかもしれない……」

「酷いこと?」

 

「うん。えっと…今日、もう日付変わってるから昨日だけど、私二人より先に起きてて、最初にミヤコさんと挨拶したんだけど…」

「その時ミヤコさん自己紹介中に言葉に詰まってて…それで私じれったくなっちゃってママ?って聞いちゃったの」

「そしたらミヤコさんビックリした顔してからお母さんよって言ってくれて、抱っこもしてくれたんだけど…」

 

 語りながらルビーの目じりに涙が溢れてくる。

 

「その…私たちとミヤコさんは血がつながって、ないのに…ミヤコさんはそんなつもりじゃ…なかったかもしれないのに、私があんなふうに聞いちゃったから無理に―――むぐ」

 

 涙を流しながら自身の後悔を吐き出していたルビーだがそれは途中で遮られた。

 ルビーが気付かないうちにアクアが寄ってきており両手でルビーの頬を抑えその青い双眸で真っすぐにルビーを見つめていた。

 突然のアクアの行動に困惑しているルビーに対してアクアが言い聞かせるようにゆっくりと話し始める。

 

「ルビー、とりあえず一言だけ言わせてもらうぞ。考えすぎだ」

 

 ルビーの感情を否定するように告げるアクアに対してルビーは言い返そうと口を動かそうとしたがアクアそれを無視して言葉を続ける。

 

「産科医として―――いや、今は元産科医だけど、とにかく元産科医として俺は人よりも沢山、いろいろな母親ってのを見てきた。良い母親もそうでない母親も、あまり良い言い方ではないけど世間一般では悪い母親なんだろうなんて思わせられるような人だっていた」

「…」

「その経験を踏まえた上で…といっても俺だってミヤコさんとは今日が初対面なんだけども、まあそれは置いといて」

 

 改めてルビーを見据えながらアクアは告げる。

 

「ミヤコさんは間違いなく俺たちの母親だよ」

 

 アクアの言葉を受け止めルビーが噛みしめていると、今度はマリンが口を開く。

 

「あ、私からもいいかな」

「マリン?」

「ミヤコさんってアイ()にとってもお母さん兼お姉ちゃんみたいな人だったんだけどね、ルビーが心配するようなことはないって断言できるよ」

「…そうなの?」

「そうだよ」

 

 兄と姉の言葉にルビーの涙は止まり、口元には笑みが浮かんでいた。

 

 

 

 

 静かに笑みを浮かべ続けているルビーとそれを見守っているアクアとマリン。

 しばらくそうしていた三人だったが、唐突にルビーの口から小さな笑声が零れた。

 

「―――フフッ」

「どうした?ルビー」

「んー?いやさっきのアクア、"せんせ"みたいだったなぁって」

「「"せんせ"?」」

 

 無意識に言ってしまったのかしまったというような顔を浮かべるが、アクアとマリンの前世の話を聞いてしまっているのもあり、ルビーは自らの前世について話し始める。

 

「え、あ~えっと、その…私の前世なんだけど体が弱くってね、ずっと入院してたんだけど…」

「入院って…辛い話なら無理にしなくてもいいぞ?」

「ううん、辛い話なんかじゃないよ。私にとって大切な思い出だから…ありがとねアクア。それでその時にね、私にしょっちゅう会いに来てくれたり、暇だろうからって色々持ってきてくれたりしてくれた人がいたの」

「それが"せんせ"?」

「うん。ずっと一人でいた私に優しくしてくれた人…」

 

 ルビーの話している様子から察したのかマリンが問いかける。

 

「へぇ~…あ、もしかしてルビーその人のこと好きだったとか!?」

「うぇ!?まあ、うん、大好き…でした」

 

 思わぬタイミングでの恋バナに(元)年頃の少女であるマリンがキャ~ッ等と騒ぐ横で、続けてアクアがルビーに質問をした。

 

「ちなみになんて名前の先生だったのか聞いてもいいか?」

「え?アクアも気になるの?」

「まあ産科医とはいえ元医者だからさ、患者さんにそこまで慕われてる人ってなると多少気になるかなって程度だけどね。言いたくないのなら無理にとは言わないよ」

「ううん、そのくらいなら大丈夫。えっとね――――」

 

 ルビーは脳裏にその人を思い浮かべながらゆっくりとその名前を口にした。

 

「―――"雨宮吾郎"先生だよ」

 

「「え?」」

 

 アクアとマリンは本日何度目か分からない驚愕の表情を浮かべる。

 マリンは言葉が見つからないという風に口元に手を当て、アクアは愕然とした表情を浮かべ固まっている。

 

 アクアの脳内は困惑と驚きに満たされていた。表情こそ固まってはいるがそんな状態でもアクアは必死に思考する。

 今この子はなぜ前世の自分の名を呼んだのか、先生といったからには自分と病院で関わった誰かであるのだろう。

 だが産科医となってからの患者の中には該当しそうな人は浮かばなかった。そもそも産科での入院は長くても数カ月程度、"ずっと入院していた"というルビーの証言と合致しない上に産科で入院するのは基本ある程度年を重ねた女性だ。暇を潰すための道具等自分で用意できるしアクア(吾郎)としてもそのようなことをした記憶がない。

 では産科医となる前、研修医だったころに関わったのだろうか。そう考えた時アクアの中で一人の女の子が浮かび上がってきた。

 しかしそんなことがあるのだろうか。吾郎とアイが死んだのは三つ子が産まれる当日であったが、彼女が死んだのは4年も前のことなのだ。もしかしたら彼女も自分と同じように生まれ変わっているかもしれないと考えたことはあった。自分が生まれ変わっているのだから"生まれ変わったら"と話していた彼女もきっとどこかで、と。

 他の候補がいないかと考えたが彼女以外にいなかった。だからアクアは震える声でその名を呟いた。

 

「――――――さりなちゃん?」

「え?なんで私の前世の…名前、知って…」

 

 何故アクアがまだ伝えていない自分の前世の名前を知っているのか。

 少しの間その意味を考えていたルビーはそれを理解するとともに信じられないという気持ちのまま確認の言葉を口にする。

 

「嘘、ほんとに?…ごろーせんせ?」

「あぁ…そうだよ、さりなちゃん」

 

 お互いにそうだと確認がとれると、溢れる思いがルビーを突き動かす。

 

「ぜんぜええぇぇぇ!!」

 

 声をあげながらルビーはアクアに飛びつく。その勢いでアクアが仰向けに倒れてしまうがかまうものかとお互いに抱きしめ合う。

 

「……おかえり、さりなちゃん」

「ひっく、うぐ…ただいま、せんせ…」

 

 抱きしめ合いながら二人は喜びに涙を流し、言葉を交わす。

 今、二人が互いに向ける感情は全く同じものであるかは分からない。

 だが形こそどうあれそこには確かな"愛"があって。

 

 

 

「――――――いいなぁ」

 

 

 

 そんな二人を見ながら思わずマリンは呟くのだった。

 

 

 

 

 

 

 しばらくするとルビーの口からはすぅすぅと寝息が聞こえてきた。

 それまでアクアとルビーをじっと見ていたマリンがアクアに話しかける。

 

「ルビー寝ちゃったね」

「泣き疲れちゃったんだろうな」

「アクアも涙の跡残ってるよぉ?」

「…しょうがないだろ」

 

 アクアを揶揄うマリンだが、ふと何かを思い出し質問をする。

 

「あ、そういえば前に言ってた昔いた私のファンだった患者さんってこの子のこと?」

「うん?あぁそうだよ。元々この子が…さりなちゃんが君のファンでね、俺がファンになったのもその影響」

「そっかぁ。それじゃあさりなちゃんにも感謝しとかないとかなぁ」

「感謝?君はいつだってファンに感謝は伝えてたろ」

「アイドルとしてのファンへの 嘘 (感謝)じゃなくってね、なんていうか…うん、良いお医者さんと縁を結んでくれてありがとうって」

「……それは起きてるときに直接言ってあげてくれ。きっと凄く喜んでくれるから」

「あ、センセ照れてる~?」

「…ノーコメント」

 

 この場ではなにを言っても敵わぬとアクアが閉口しているとマリンがかわいらしくあくびをする。

 

「ふぁ…流石に眠くなってきたね」

「俺もそろそろ限界…っとマリン悪いけどルビーを退けるの手伝ってくれるか?」

「え、どうして?」

「どうしてって…流石にここで寝たらまずいだろ。空調は効いてるから気温は問題ないだろうけどミヤコさんに心配かける」

「あぁ~でもアクアの上からルビーを退けるくらいならなんとかなると思うけど、お布団まで運んであげるのは無理じゃない?」

 

 マリンの言葉に確かに、とアクアも同意する。今の自分達は生後7ヶ月程の赤ん坊、ほぼ同じ体躯のルビーをリビングから寝室まで運ぶのは二人がかりでも不可能だろう。

 

「となるとルビーが起きるまで待つしかないか…」

「起きるまでに寝落ちしない?」

「むぅ…」

「というかここで起こすって選択肢が出てこない辺りルビーに激甘だねアクア」

「―――幸せそうに寝てるんだから起こしたらかわいそうだろ」

「甘々だぁ~」

 

 ひとしきりアクアを揶揄っていたマリンはその後自分もアクアの隣で横になりアクアの上のルビーごと抱きしめるような体勢になった。

 

「それじゃあお隣失礼しまぁ~す…えいっ」

「うぇ!?マリンさん、何をしていらっしゃるので!?」

 

 突然のマリンの行動にアクアが疑問を投げかけ、マリンが回答する。

 

「ん~?私ね、子供を産むって決めた時からずっとしたいと思ってたことがあるんだ」

「したいこと?」

「うん。自分の子供をね、こうやってぎゅ~って抱きしめて一緒に寝るの」

 

 "嫌だった?"と少し不安げに続けたマリンに対し、その答えに合点がいったアクアは安心させるようにやさしく告げる。

 

「嫌じゃないよ、突然でビックリしただけ。そんな理由だったらどんどんしてくれてかまわないし、ルビーだって歓迎してくれるさ」

 

 アクアの言葉に満足したのかマリンはゆっくりと目をつむる。

 

「そっか…うん、ありがと。―――それじゃあおやすみぃアクア、ルビー…」

「あぁおやすみ。マリン」

 

 そうして三つ子は眠りにつくのだった。

 

 

 

 

 

 

「うん…あ゛ぁ――――」

 

 早朝の苺プロダクション事務所。事務机に突っ伏して眠っていた壱護は目を覚ます。

 昨晩東京宮崎間の弾丸旅行を終えた彼だが、1日仕事を休んだ分溜まった業務を確認しなければならなかったため、三つ子をミヤコに任せて一人仕事に励んでいた。

 しかし旅行の疲れが出たのかいつの間にか眠ってしまっていたようだ。寝ぼけた頭に手を添えて一人ぼやく。

 

「うん…寝ちまってたのか…」

 

 時刻を確認すると朝の7時半頃、まだ他の職員が出勤してくるよりも前の時間だった。

 今のうちに朝食を摂るべきかと壱護は立ち上がる。その時にふと机の上に置いてある自分のスマホを見るとメッセージが届いていることに気付く。

 送り主を見るとミヤコからだった。このタイミングで連絡してくるとなると三つ子関係だろうか、そうアタリを付けてアプリを開くと写真が1つとメッセージが1つ届いていた。

 先に届いていた写真を見るとそこには三つ子の、アクアを中心に半身が被さるようにしているルビーとルビーとは反対側から二人を抱きしめるような体勢のマリン、三人が一塊になるようにくっついたまま眠っている姿が写されていた。

 その微笑ましいさまに思わず口角が上がってしまう。ミヤコのことを親バカだって揶揄えないななどと考えながら写真を眺めているとふと違和感を覚える。それは三つ子の寝ている場所だ。三つ子は寝室で赤ん坊用の布団に寝かせていたはずだ、布団の柄はミヤコが気合を入れて選んでいたのでよく覚えている。だが写真の三つ子は布団ではなくカーペットの上で眠っている、その上そのカーペットの柄が寝室のもとは異なっている、壱護の記憶違いでなければこれはリビングのものではなかっただろうか。

 そんな疑問を抱きつつ壱護は視線を写真からその下のメッセージへと向ける。そこにはこう書かれていた。

 

 

ミヤコ:帰りに引き戸用のストッパーを買ってきてくれる?

 

 

 おとなしいと思っていた三つ子は意外とやんちゃだったらしい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

★ ★ ★ ★

 

 

 

 

 

 

 電気をつけるのも忘れていた薄暗い自室の中、椅子に座って僕はスマホの画面をぼぅっと見つめていた。

 

 画面に映っているのは一般的なSNSの投稿だ。投稿主は『苺プロダクション公式アカウント』。

 

 投稿の内容はとある"訃報"だ。所属アイドルがかねてから闘病のため休業していたが永眠したという。

 

 だが僕はこれが"嘘"だと知っている。彼女は病気で逝ったわけではないと知っている。

 

 投稿に書かれている彼女の命日、この日には覚えがある。彼女が僕に伝えてきた予定日だ。

 

 予定日が命日になった。つまりはそういうことなのだろう。

 

 電話で彼女は三つ子だと言っていた。おそらくは体が耐えられなかったか。

 

 彼女のことを想う。誰よりも大きな輝きを秘めていた彼女を。

 

 あと数年もすればこの国で有数の輝く存在になれるであろう可能性を持っていた彼女。

 

 その彼女が死んだ。死因は出産(僕のせいで)―――。

 

 

「――――――ハハハ」

 

 

 どう感情を表せば分からない僕は思わず笑いをこぼしてしまう。

 

 僕が直接手を下したわけではない。だがそれでも間違いなく僕との行為によって彼女は命を落とした。

 

 僕が原因で命を落とした。僕が今後あったであろう彼女の輝かしい未来を奪った。

 

 僕のせいで愛しい彼女がいなくなった。

 

 

 

 ―――彼女の命の重みを感じる。

 

 

 

「う…くっ――――ハハ、アハハハハハハハハ」

 

 

 

 暗い部屋の中、僕は笑い(泣き)続けた。




斉藤アクア:妹二人が推しと最推しだった。きっとシスコン力が界王拳10べぇ位になる。

斉藤マリン:兄=息子で妹=娘、なんなら自分=娘。冷静に考えてしまうと宇宙猫になるので普段は考えないようにしてる。

斉藤ルビー:今回感情の高低差が非常に激しかった人。転生云々は置いといて最愛の人と推しと一緒にいれて幸せ満喫中。

斉藤ミヤコ:起きたら三つ子が布団にいないわ寝室のドアが開いてるわで死ぬほど焦った。リビングで発見したときは心の底から安堵。以後脱走対策は入念にするようになる。

斉藤壱護:この日の帰りにストッパーはちゃんと買いに行った。



■■■■■■:ぶっちゃけ名前隠す意味ある?と思うけどそこは様式美。愛を失い、壊れかけであった心が壊れてしまった。




 第4話前世バレ回後編。ここまで読んでくださってありがとうございます。
 ここまでが序章みたいなイメージです。最初もっとあっさり終わらせるつもりだったのですがあれもこれもと文字数がかさんでいき自分の妄想を文に起こす難しさを痛感しました。毎日投稿とかしてる人すげーって書き始める前以上に思います。

 次回は繋ぎだったり小ネタの小噺集みたいなものかこどおじ監督出てくるまで飛ぶか…たぶん小噺集になるかな。お楽しみにして頂ければ幸いです。



 最後に沢山の人に見て下さっているみたいで本当にありがとうございます。UA5500にお気に入り250件突破、評価バーも赤くなってたり日間ランキングで60位くらいに入っているのを見て思わずマジで?ってリアルに声が漏れました。これからも頑張ります。



※7/18追記:原作の展開に合わせる形で最後辺りを修正。投稿している範囲内の話には全く影響はない部分ですがちょっと放置しとくには大きい情報でした。
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