転生というのは唐突だ
なんてことの無い日常を送っていたハズなのに、いきなり意識が暗転し、気がついたら赤ん坊になっていた
冴えない男だった俺は意識を持ったまま赤ん坊となり、再び生きるはめになった
それから初めて外出したときにこの世界がどんな世界か知る
獣だったり、なんか火が出てたり、スライムだったり……
両親がいたって普通の人間だったのでわからなかったが、どうやら普通の世界とは違うらしい
……更に数年……
両親からの話やテレビのニュース、ヒーローという職業からこの世界は僕のヒーローアカデミアという読んでいた漫画の世界ではないかと断定した
僕のヒーローアカデミア……個性と呼ばれる超能力だったり異形だったりする中で、個性を使って暴れる犯罪者ことヴィランをヒーローという職業の方が逮捕するので、そのヒーローになるための学校に通う物語……と言えばわかりやすいか?
俺も詳しくは覚えてないし、大まかなキャラと事件がこんなのがったなぁくらいしかわからない
ただ見ているニュースからはオールマイトのオの字も無いので変だなぁと思いつつも、暇潰しに勉強を行うのだった
「改善は凄いねぇ! 将来は医者か学者かねぇ!」
「いや、個性次第ではヒーローかもしれん」
明石改善……それが俺の名前だ
鏡で見たら茶髪に赤いバーコードみたいな瞳……まぁこの時期はどんな子も可愛いって言われる時期だから瞳が特徴的なこと以外は普通だな
俺がどんな個性かわからないが、まだ世間では無個性も珍しくは無いらしいので、個性無しの可能性も大いにありえる
そんなこんなで幼稚園へ行くようになるとまぁーガキばっかりで会話のレベルが合わない
合うと言えばヒーローのことくらいだが、幼稚園の頃なんて皆動物とほぼ同じレベルであるため楽しそうに走ったり騒いだり、遊んだり
俺は木陰で本を読んだり、折り紙で難しいのを作って女の子や男の子にプレゼントしたり、鉄棒で体操選手みたいな動きをしたりして遊んでいた
先生方からの評価は、全く手がかからず、賢い子らしい
で、4歳くらいになると個性が発現するようになる
指が伸びたり、猫っぽくなったり、火を吐いたり……俺もどうやら個性が発現したようだ
きっかけは持っていた鉛筆に力を込めると鉛筆の後ろに消ゴムがくっついていた
見間違いでもなんでもなく、不思議な現象であり、他の物でも試してみた
くしゃくしゃな折り紙に使ったところ新品のように綺麗になった
本に使ったら折り目やしわ、しみが消えて綺麗になった
「マジで何の個性だ?」
両親に話を聞くとお母さんの個性は【直す】……壊れた物を再び使えるようにできる
お父さんは【目利き】良い物がわかるという個性らしい
折り紙と本だけを切り取ると母親の直す個性に当てはまりそうだが、それだと鉛筆の後ろに消ゴムがくっついたのがわからない
「母さん母さん、中古販売店に行きたい」
「急にどうしたの? 改善?」
「僕の個性がもしかしたらわかるかも!」
「ん? お医者さんに行ったら私と同じ直す個性だって言われたよね?」
「うーん、どうしても違う気がする……」
「違う?」
「うん!」
母親を説得して中古屋で壊れかけの炊飯器と掃除機を購入する
どちらも安くて1つ1000円しかしなかった
「よし」
部屋に戻ってお母さんが見ているなかで個性を使う
炊飯器に抱きついて力を込めると炊飯器が徐々に綺麗になっていった
「はぁはぁ……」
「ほら、私と同じ直す個性だよ改善は」
「ちょ、ちょっと休憩したらまたやらせて」
「まぁ良いけど」
休憩後再び炊飯器に抱きついて力を込めるとボタンが増えた
今まで無かった早炊きの機能が追加された
「え? 本当に変わった!?」
「よし!」
母親が驚くなかどんどん力を込める
炊飯器に色々なボタンが追加されたり、形がスタイリッシュに変わり、どんどん近未来的に変わっていく
ブシュ
「はれ?」
バタリ
「改善!?」
鼻血を出して倒れてしまった
母親に聞いたところによると母親も小さい頃は個性を使いすぎて倒れた事があったらしい
「改善、これには2つの方法があるわ。使わないか倒れるまで使って個性のキャパを上げるかよ。私が大学に居た頃個性の研究をかじってね、ある学者が個性の成長について学論を発表していたわ。幼少期に個性を使い続けた者とそうでない者の違いね。表向き個性の使用はヒーロー以外は禁止されているけれど、無意識に個性を使う場面が出てきてしまうわ。例えばお父さんは骨董品の売買に携わって大きな利益を上げているけど、目利きの個性があったからよ」
「勿論お父さんの努力はあったけど感覚でわかってしまう物を禁止しろなんて無理な話よ」
「なるほど?」
「ガンガン個性を使って体に馴染ませなさい。それが将来の改善の力になるから」
母親は今の時代からしたらだいぶ先進的な考えを持つ人だったようだ
その日から俺は個性をガンガン使うようになった
安い状態の悪い本を古本屋やネットで購入し、それを個性を使って状態を良くしてネットで転売する
正直誉められたものでは無いが個性のトレーニングができて小遣いも稼げるのでよし!
結局俺の個性は物を改良することができる【改良】という個性で個性登録をおこなったのだった
小学校に上がると俺は結構人気者だ
前世の知識とどんどん吸収できるスポンジの様な頭脳のお陰で小学校どころか大学の勉強もある程度わかるし、運動も体の使い方と鍛えているのでできる
誰に隔たりも無く優しいのでクラスの人気者にすぐになれた
ただやっぱり目立つ個性(小学生視点)ではないのでその点はマイナスになりそうだが、何かを壊して青ざめている子の前に颯爽と現れて直して出ていくという事をしてから絶大な人気を獲得した
そんなモテモテの小学生生活を送っていたある日気がついてしまった
「あれ? 自身の肉体も改良できるのでは?」
そうと決まれば色々試してみたくなるのが自分であるので、まず手から試すと目に見えた変化は無いが指の可動域が広がり、更に器用になった感じがする
握力も強くなった
内部の筋肉が改良されたのか?
時間をかけてゆっくり全身の改良をしていく
足を改良して筋肉を発達させつつも面積を圧縮してスラッとした足なのに素晴らしい脚力を手に入れた
腹部を改良しては鋼の様な腹筋を手に入れた
内蔵を改良して病気になりにくくしたり、消化機能は肺活機能を上げた
腕や肩を改良して重い物でも軽々持ち上げられる力を手に入れた
……自身にできたということは他の生き物にもできるとわかった
虫で実験したところ1ヵ月改良したカブトムシは通常のカブトムシの数倍大きく、高い知能を獲得し、虫なのに文字が読めるという進化させてしまった
実験に協力してくれたカブトムシ君は野生に返し、個性についてできることを色々と理解した
・改良は基本何でもできるが、一度改良すると元に戻らない
・改良は直す→良くするのプロセスを踏む
・直すも良くするもどちらも同じ疲れ方をする
・キャパを越えると鼻血が出て、次に倒れる
ここまでがわかったことで何でもかんでもできるわけではない
ただここまでわかったので改良が他人の個性にも関与できるか試してみたくなった
そこで同じクラスでヒーロー志望の大竹君という男の子を実験に使うことにした
「個性を強くできるかもしれない?」
「大竹君の個性竹だけど竹を体から生やすだけじゃなくて形を変えたり、水分量を調整して燃えにくくしたりできたら強いとは思わない?」
「できるのか!? そんなことできたらヒーローに一歩近づける!」
「うん! きっとできるよ!」
俺は夏休み大竹君と毎日遊ぶなかで個性を改良し続けた
夏休みが過ぎると大竹君は竹を自在に生やしたり操れるようになっていたが、それで気を大きくしたのかガキ大将の様になってしまった
俺に対してもパシリの様に扱い初めてしまい、強い個性を持っても小学生は気が大きくなり、プライドが高い人物になってしまった
俺は冬休みになる頃には彼と距離を取り、クラスメイトも徐々に彼から距離を取っていた頃、大竹君は行方不明になった
先生は個性犯罪に巻き込まれた可能性が高いから一人での行動はしないように言われて解散となったが、犯罪が前世に比べて多い個性社会だと大きい学校だと1年に1度くらいの頻度で誰かしら個性犯罪に巻き込まれる
「大竹君最近酷かったからな」
「俺はお前達とは違うだっけ? 酷かったよね。友達だったのに」
「あんなんじゃヒーローにはなれないよ」
「でも誘拐かぁ、怖いなぁ」
大竹君は数週間後無惨な死体でごみ捨て場に捨てられていた
警察は残虐なヴィランによる仕業と断定され、犯人も数日後逮捕された
大竹君には悪いが性格までは改良することはできない
もっと個性の制御で困っている人とかの方が良いだろう
あ、そうそう、オールマイトがデビューした
ようやく知っている名前が出てきてホッとしたが、同時に俺が生きている間にこの世界が崩壊することも確定した
医者や学者も良いが日本がボロボロになる以上、I・アイランド(映画で犯罪がほぼ無い安全地帯とされる人工島)以外は危険区域だと考えた方が良いな……
うーん、この個性を使ってもっと強力なヒーローを作れれば日本を守れるか?
……いや、いっそのこと自分だけの組織でも作るか
強い個性の奴らに守ってもらい、俺は後方で優雅に過ごしたい
あ、無惨様ムーヴしてみたいな
色々と考えてみると楽しくなってきたぞ
せっかくの転生なんだから楽しんだ者勝ちだろ!