個性【改良】   作:星野林(旧ゆっくり霊沙)

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改良実験

 小学2年生となり、次のターゲットを見極めにかかった

 

 3クラス90人の6学年で個性所有率は65%といったところだが、目立つような強い個性の子は少ない

 

 やはりまだ世代が進んでいないのも大きい

 

 俺達は個性第二~第三世代と呼ばれる時代の人間であり、確か主人公のデク達が第四~第五世代らしいので原作から逆算するとだいぶ昔である

 

 まぁ時代区分としては個性発見期→個性黎明期→社会安定期→今(ヒーロー戦国時代)→オールマイト一強時代→ヒーロー飽和時代となっていく

 

 第何世代とかはあまり気にしなくても良いだろう

 

 まぁそんな社会情勢は置いておいて、大竹の失敗から性格は臆病とか慎重で、個性の取り扱いに悩んでいるような子が良いだろう

 

 そこで目を付けたのが神良銀子

 

 吸血鬼という一見凄まじく強そうな個性ながら日の下を歩けない、雨で痛みを覚える、血を摂取しないと体調不良を起こす、ニンニクや銀製品にアレルギーを起こすといったデメリットの宝箱であり、特別クラスで勉強を教わっている

 

 学校でもローブに身を包み、浮いた存在であることには変わり無い

 

 でも改良の実験台にするにはデメリットまみれの彼女ほど適任はそうそういない

 

 神良さんに近づくことから始めようと特別クラスの事を調べてみると予想以上に厄介な個性持ちが隔離されていることがわかった

 

 神良さんは勿論、雪女で一定の温度じゃないと体調を崩してしまう粉雪流子さん、興奮すると全身から刃物が飛び出してしまう煌刀子さんがそのクラスに在籍していた

 

 この中だと接触しやすいのは刀子さんか? と思い登校でたまたま会った風を装って接触したところ

 

「お、男の子に声かけられたぁ!」

 

 ジャキン! 

 

 と硬化した皮膚の刃が飛び出してきた

 

 これは相当な重症だぞ……男への免疫が無さすぎる

 

 ちなみに原作キャラでイメージしやすいのはムーンフィッシュに近い

 

 あれが歯ではなく全身の皮膚が刃になるのだ

 

 特殊な服……いや、拘束具とも言えるような物で顔以外を包み込んでいるが、俺の個性は直接触れないと効果を発揮しない

 

 刀子さんに触れるためには刃物に負けない皮膚を得るしかない

 

 俺は手のひらを改良していくことにする

 

 準備期間の間に刀子さんと仲良くなるように色々と工夫する

 

 見た目が美人になりそうなだけに拘束具で全てが台無しである

 

「刀子ちゃんはさぁ、今の個性は嫌?」

 

「嫌ですね……この個性のせいで家族と触れ合う事ができなくなりました。何より4歳を境に他の人を傷つけたら危ないからと遊ぶこともさぞ得るほどです。友達も銀子と流子以外は居ませんし……」

 

「僕さ、そんな困っている人を助けることをしたいんだ。刀子ちゃんは個性を掌握できれば人を傷つけることもなくなるし、個性自体は僕はヒーロー向きだと思うけどなぁ」

 

「ヒーロー? まさか。犯罪者の間違いですわよ」

 

「いやいや、刃物は使い方次第だよ。武器にも調理器具にもなる。もう少し待っていてよ。君の悩みを解決してあげるから。もしこの拘束具を外して生活できるようになったら僕のお嫁さんになってよ」

 

「え!?」

 

 ジャキン! と刃物が飛び出すが、俺は避ける

 

「およおよおよよ! お嫁さん!?」

 

「もっとも僕はハーレム作りたいと思っているけどね」

 

「むぅー」

 

「拗ねちゃった?」

 

「不純です! ……でももし個性をなんとかできるのならば……そしたら銀子ちゃんと流子ちゃんもなんとかしてあげて欲しい。私以上に苦しんでいるから」

 

「勿論だよ!」

 

 

 

 

 

 

 

「てことが会ったのよ……銀子、流子どう思う?」

 

 カーテンで日の光を遮断し、エアコンがガンガン効いた部屋で刀子は銀子と流子に今朝の話をする

 

「もしこんな最悪な個性をなんとかしてくれる人がいたら私は盲信してしまうかも。間違いなく惚れるね」

 

「私はもしこの【雪女】って個性がなんとかなったらプールで泳いでみたいかも!」

 

「刀子はどうなの? 拘束具を着なくても人と関われるようになればハーレムだろうとお嫁さんになりたいよね?」

 

「……確かに好感度は振り切れますね。MAXになりますね」

 

「まあでも……」

 

「お医者さんでもできなかったから」

 

「無理だよねぇ……」

 

 拘束具を着た刀子、日の光を当たらない為にローブを着用している銀子、体を冷やすために扇風機の付いた服を着る流子の3名はため息を吐くのだった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 個性は調べれば調べるほど面白い

 

 個性を改良するに当たり、どんな個性があるのかという知識を蓄える

 

 個性はおおよそ3系統に別れており、発動系、変形系、異形系に別れる

 

 これに複合も合わさってくるが……まずは発動系

 

 個性を発動する……俺や刀子ちゃんの【刃物化】なんかがこれだ

 

 基本的に自分の意思で発動することになるが、人によっては感情だったり条件があったりすることもある

 

 変形系は肉体を変形させる

 

 硬質化だったり巨大化だったり……ONE PIECEのロギア系もこれに当てはまるだろう

 

 肉体を任意で変形する能力だ

 

 最後に異形系

 

 産まれたときもしくは個性が生じてから常時発動する個性で、銀子ちゃんの【吸血鬼】、流子ちゃんの【雪女】もこれにも当たるだろう

 

「ふむふむ、次にどのような個性に改良するかだな」

 

 色々と試してみてわかったが、俺がこうするとか方向性を決めた方がその方向に個性の改良が行われやすい

 

 3人の場合は刀子ちゃんは個性のオンオフを任意にできればそれだけで拘束具からおさらばできるし、銀子ちゃんと流子ちゃんは個性のデメリットを消せば問題は解決する

 

 ただそれだけじゃぁ俺のトレーニングにならない

 

 より良い個性への改良こそが俺のやるべきことである

 

 まぁでもまずは3人のデメリットを消して信用を得るとこらから始めよう

 

 

 

 

 

 

 

 個性を調べたり、自身を改良すること数週間

 

 準備期間を終え、俺は放課後の特別クラスに居た

 

「うーす! 改めて明石改善です。みんなを【改良】しに来ました」

 

「……本当にできるの?」

 

「勿論だよ銀子ちゃん! なんなら君がアレルギーで全身が蕁麻疹ができるニンニクが大好物になるくらい直しちゃうよー」

 

「またまた……」

 

「ご冗談を」

 

「まぁまぁ騙されたと思ってさ……というかそんな瞬時に直るってことは無いから……そうだなぁ1~3ヵ月くらいはかかるよ直るのに」

 

「え? それだけ?」

 

「まぁやることは簡単……ほいタッチ」

 

「ふえ!?」

 

 ジャキンと刀子の刃物が顔から飛び出すが、それを手のひらで押さえつける

 

「うわ!?」

 

「い、痛くないの!?」

 

「チクチクするけど大丈夫、手に刺さらないように準備してきたからね。刀子ちゃん1分我慢してね」

 

「か、顔に素肌が……改善君の素肌が……」

 

「ほい、終わり」

 

「「「え?」」」

 

「こ、これだけ?」

 

「これだけ。改めて僕の個性は【改善】。ありとあらゆる物を改良することができるよ。個性もそうだし君達の肉体もそう。ただ改良する場所を触らないといけないんだ。個性の場合は体のどこかかの素肌を触る必要があるね」

 

「まぁ僕の触れられる面積が広ければ広いほど改良される箇所も多くなるけど……いきなり素っ裸になって抱きつかれるのは嫌でしょ? あ、あと僕の個性は物を良くするて登録してあるから他人の個性まで変化させられることは秘密ね」

 

「……本当に早く良くなるんだったら裸にでもなるよ」

 

「ちょ! 流子!」

 

「だって私も皆と外で遊びたい! 日の光を浴びても溶けない体が欲しいよ」

 

「わ、私も日の光に浴びても灰にならない、痛みが無い体が欲しい! 裸で抱きつかれる程度で良くなるなら全然構わない!」

 

「ふーん、言ったね……あ、刀子ちゃんはごめん、僕刀子ちゃんに触れられるの手だけなんだ。刀子ちゃんはじっくりコースでやらせてもらうよ」

 

「う、うん!」

 

 素っ裸になった2人の体抱きついていく

 

「……はい、今日はおしまい。急激に個性を改良すると肉体が耐えきれない可能性があるからね」

 

「何か変わった?」

 

「わからないなぁ」

 

「うーん」

 

「とりあえず1週間お試しでやってみてよ。変わるから」

 

 

 

 

 

 

 1週間で本当に私達は変われた

 

 私銀子は産まれたときから日の光の下で歩くことができなかった

 

 日の光の遮った部屋の蛍光灯の下でずっと暮らしてきた

 

 しかし2年生のある日……改善君が来てからその暗い生活は唐突に終わった

 

 1週間彼に抱きついた後に銀のアクセサリーを私に触るように彼は言った

 

 銀は触ると焼けるような痛みを感じる

 

 私は恐る恐る指で触ると痛みを感じなかった

 

 手で持つ、首に当てる

 

 何も起こらない

 

 これが銀ではないのではないかと思ったが、彼はニンニクを出してきた

 

 ニンニクを擂り潰して皮膚に塗る

 

 これも銀と同じように……いやこちらは触れると全身に蕁麻疹が出るのだが一向にならないし、かじってみてもなんともない

 

 流子も改善君からカイロを渡されたが溶けるような感覚はなく、暖かさを産まれて初めて感じたらしい

 

 エアコンを切り、カーテンをおもいっきり開く

 

 夕焼けの日の光と夏前のじめっとした暑さを部屋で感じながら……私と流子は涙を流して喜んだ

 

 刀子も徐々に感情が昂っても刃物が飛び出さなくなりつつあるらしい

 

「夏休み良ければ僕と色々なことをして遊びませんか」

 

「「「はい!」」」

 

 今年は最高の夏休みになりそうだ

 

 

 

 

 

 

 

 

 親達も私達の変化に大いに喜んだが、私達は改善君の事は話さなかった

 

「いや、裸で抱きついていた事がバレたらまずいし、個性を使った事がバレたら僕犯罪者だからね。君達の努力で直ったことにしてよ。絶対に僕の事は話さないでね。話したら絶交だよ」

 

 と言われたからには話せない

 

 両親達は難病とも言えるような個性が改善して喜び、私こと銀子は産まれて初めて遊園地へいくことができた

 

 初めてガーリックソースのステーキを食べることができた

 

 血を吸わなくても体調が悪くなる事はなくなった

 

 全て改善君のお陰だ! 

 

 私達は改善君にホの字になるのに時間はかからなかった

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