異世界でもお前のパンチを見せてやれ!   作:Hetzer愛好家

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本編
プロローグ


『さあ始まりました! 第n回、篝火決勝戦第3セット目!』

『いやあ、本当に驚きの連続ですよこれは! まさかあのキャラのみで、このトーナメントを勝ち上がるなんて!』

『並み居る強豪を文字通り拳のみで打ち倒しての決勝戦。しかも勝者側! あと1勝すれば、そのまま今大会の優勝者となります!』

『さあ早速チャンスだぞ! 下強で差し込みを咎めてからの回避読み横スマ下シフト。更に暴れをジャスガで捌く! 反撃で横強を振ってさあ崖展開だ! 相変わらずこのキャラは試合展開が早い早い! 本当にこれが篝火の決勝なのか!? オフラインでもまるで変わらない人性能の強さは恐るべし!』

『うおっ、崖上がり行動も掴みで完璧に咎めてる! 本当にジャストガードの精度がとんでもないですね……!』

『崖から抜け出せない! 崖の攻防が上手すぎるぞ! 前回チャンピオンもこれは苦しい……ああっとぉ!? ここで連続ジャストガードからの回避1点読みホールド横スマだああ! これで優勝に1歩近付いたか!』

 

 ここまで見た所で、不意に肩を叩かれて。俺は現実世界に戻る羽目になった。

 

「こら、スマホを見る前に食べたゴミは片付けしなさいよ」

「あー、悪いな。わざわざ教えてくれてサンキュ」

 

 イヤホンを外し、スマホの電源を落として惣菜パンのパッケージと一緒にカバンの中に放り込む。

 

 少し遅れたが、はじめまして。俺、真久野ケン。高校生だ。

 

 ボクシングジムに通っている。趣味はゲーム。勉強はあまり得意ではないが、テストの度頑張ってるので成績は中の中。割とありふれてると思う。この説明だけなら。

 

 さっきまで見ていた動画。あれは、今や誰もが知る大乱闘スマッシュブラザーズSPECIALの大会の動画である。その決勝戦を見ていた。なんせ、俺も出場してうっかり決勝戦まで行けてしまったので、プレイを見返してたのだ。

 

 ちなみに持ちキャラはリトルマックただ1人だ。こんなとこまでボクサーにならなくても良いのに、何故かこのキャラしか使えない。どうして。本能には抗えないのか……?

 

 ボクシングもかなり良い感じで、色んな大会に出場させて貰えてる。立ち回りがどことなくリトルマックと似てるのは完全に毒されてるけど。

 

 流石に俺が大会に出るぐらいゲーマーである事を知る人は、学校内ではほぼ居ない。ただ1人を除いて。

 

「もしかしてこの前の篝火の決勝を見てたの?」

 

 そう言って話しかけてきたのは、クラスメイトの南雲ハジメだ。

 

「ああ。立ち回りの復習を兼ねてな」

「まだ見直す点があるんだ……」

 

 唯一彼だけは、俺がスマブラで様々な大会に出場している事を知っている。

 

 キッカケは、彼の父親がゲームクリエイターである事に起因している。ハジメが父親に連れられて九州での大会の設営を手伝ってる時に、偶然俺の姿を見かけたのが始まりだ。

 

「君、もしかして◯◯高校の真久野くん?」

「え、はい。そうですけど。何で俺の名前を知ってるんです?」

「始業式に貰ったクラス表に、変わった名字の人が居た事を覚えていてさ。さっき大会の出場者名簿を見たら、見覚えのある名前が居たもんで、気になって聞いてみたんだよ」

 

 この時は本当にビックリした。心臓出るかと思ったよマジで。俺の名前知ってる人が居るとは思わなかったし。

 

 で、実はこの大会が初出場の大規模大会だったのだけど。弱キャラと称されるリトルマックでうっかりリザルト入りしてしまったので、ハジメにしっかり顔と名前を覚えられてしまった。

 

「学校では内緒にしてくれよ。知られると面倒だし」

「分かってる。2人の秘密だね」

 

 こんな事もあり、ハジメとは随分と話す間柄になった。

 

 最初の頃は少しぎこちない感じだったが、今では校内で1番仲が良いとも言える人物だ。

 

 当然ながら父親の方にも認知されており、たまに家に招かれては一緒にスマブラをする仲である。

 

「正直、見直すべき点見当たらないんだけどなぁ」

「ジャスガの精度がまだ甘い」

「嘘でしょアレで?」

「オフだと感覚変わるんだよ。オンなら全部ジャスガするぐらいの勢いだぞ」

 

 授業が始まるまでの間、こうしてスマブラトークするのはとても楽しい。

 

 ちょっとオタクトークに近い気もするが、やっぱり共通の趣味がある人と話すのは良い物だ。

 

 周囲の視線が痛かろうと関係ない。狭い範囲で、本当に大切にしたい人とだけ関われてればそれで良い。

 

……話に夢中になりすぎて、周囲で何か面倒な事が起こってもすぐに気が付けないのが玉に瑕だが。

 

「……い……おい、おい真久野!」

「あん? 何だようるさいな」

 

 何度かの呼びかけをされて、俺はやっと自分に向かって言葉を発されている事に気が付いた。

 

 顔を上げると、そこにはハジメに普段からダル絡みしている檜山大介が居る。更に後ろの方に目をやれば、やはりハジメにダル絡みする斎藤良樹、近藤礼一、中野信治が居た。ダルい。

 

「うるせえのはどっちだよ。さっきからオタク臭い話ばかりしやがって。聞いてて耳障りなんだよ!」

「はあ。そいつは悪うござんしたねぇ」

 

 マトモに受け答えしても疲れるだけ。俺は雑な応対でやり過ごす事を決める。

 

 俺は毎度こんな感じで塩対応だし、ハジメも適当に愛想笑いで受け流すから、何も面白い事はないと思うのだけど。正直、見事に肩透かし食らうだけなんだけど。こいつらも良く飽きないな。

 

「耳障りだったなら悪かったな。今度からなるべく小さい声で話すわ」

「僕も声のボリュームは気を付けるよ。それでも嫌なら別の教室行くね」

 

 こんな具合だから、イチャモン付けてもあっという間に黙らされるのがオチである。何で飽きねえんだこいつら。

 

……俺はともかく、ハジメに対してはシンプル気に食わないのがあるか。

 

 どんな風の吹き回しか、ハジメはクラスでも屈指の美人さんにしょっちゅう話しかけられてる。それがただ気に食わないから、あの手この手でイチャモン付けようとしてるんだろう。

 

 良き友人のハジメだが、クラス内での評判はあまりよろしくない。

 

 何故なら彼は、〝趣味の合間に人生〟を座右の銘としているので、勉学よりも趣味のゲームや漫画を最優先にしている。それによって、学校での授業では居眠りしている事がほとんどだ。

 

 傍から見れば不真面目な生徒にしか映らない。改善の見込みもなし。そんな奴が、別嬪さんに気にかけてもらっていたら。年頃の男子は醜く嫉妬するし、女子も女子で軽蔑の眼差しを送る。

 

 成績はそこまで悪くないし、話してみれば人当たりだって普通に良い。変にオタク臭い言い回しもしないし、見た目だって痛くない。ハジメとはそんな素晴らしい人物なのだが、いかんせん外面だけを見ると上手く行かないのが現実だ。悲しい。

 

 未だにピーチクパーチク何かを口にしている檜山たちに対し、どうやって完全に黙らせるかを思案していると。不意に、教室内に異変が起こった。

 

 いきなり足元に、幾何学模様の何かが光を放ちながら描かれたのである。

 

 いわゆる魔法陣。現実世界で見る事はほとんどない、あまりにも現実から外れた物に、俺は思わず硬直してしまった。

 

 悲鳴を上げる生徒が現れた事で、俺もようやく硬直が解けた。

 

 教室内に居た先生が「逃げて!」と叫んでいるが、どうも行動を開始するのが遅すぎたらしい。

 

 カッと白亜の光が爆発的に広がった。目など開けていられず、俺は顔を腕で庇いながらギュッと目を瞑る。

 

 訪れる浮遊感。地面に足をつけているはずなのに、腹の中がフワフワしている。途轍もなく奇妙で気持ち悪い。

 

 それが数秒、数十秒、数分。どのぐらい続いたのかは分からない。だが、やがて収まった。

 

 そのタイミングで俺は目を開き、腕も下ろす。

 

「……は?」

 

 そして、愕然とした。

 

 眼の前に広がったのは、さっきまで当たり前のように見ていた教室ではない。

 

 まず目に飛び込んできたのは巨大な壁画だった。縦横十メートルはありそうなその壁画には、後光を背負い長い金髪を靡かせうっすらと微笑む中性的な顔立ちの人物が描かれていた。

 

 背景には草原や湖、山々が描かれ、それらを包み込むかのように、その人物は両手を広げている。美しい絵画である。が、何だか寒気を覚える物だ。

 

 更に周囲を観察すると、今現在俺たちが立っている場所は、随分と広々とした空間である事が分かった。そして俺たちが立っているのは、台座のような場所だと言う事も。

 

 それにしても大聖堂のような雰囲気である。地面は大理石。周囲の壁も大理石だろうか。光沢のある何かで形成されている。

 

 徐々にクラスメイトも我に返り、そして周囲を見渡して愕然としている。突然の異常事態に、頭が追いつかない人も見受けられた。

 

 ハジメもキョロキョロと辺りを見渡して、分かりやすくショックを受けた顔をしている。そりゃそうだ。教室に居たと思ったら、こんな見知らぬ大聖堂のような場所に立っているのだから。

 

 この状況を説明できそうな人物は、俺たちの立つ台座を囲むようにして立っている聖職者のような格好をした者たちだけだ。

 

 彼等は一様に白地に金の刺繍がなされた法衣のような物を纏い、傍らに錫杖のような物を置いている。その錫杖は先端が扇状に広がっており、円環の代わりに円盤が数枚吊り下げられていた。

 

 そしてその中でも、群を抜いて綺羅びやかな服装をしている70代ぐらいの老人が、落ち着いた笑みを浮かべながら前に出た。

 

「ようこそ、トータスへ。勇者様、そしてご同胞の皆様。歓迎致しますぞ。私は、聖教教会にて教皇の地位に就いておりますイシュタル・ランゴバルドと申す者。以後、宜しくお願い致しますぞ」

 

 いやマジで何言ってんの?




原作の流れで香織さんに話しかけられる→上手く躱してオリ主のとこまで逃げるの流れでハジメくんは行動してます。やっぱりクラスメイトには嫌われているけど、深い仲である主人公の存在のお陰で相当精神はマシ。

キャラ紹介
・真久野ケン(CV.鳥海浩輔さんを希望)
…ボクサーかつゲーマー(使用キャラはボクサー)。あだ名及びネットネームはマック。体重は50kgジャスト。身長は174cm。リトルマックより少しだけ重くて大きい。ボクシングの適性階級はフライ級だが、体重下限が存在しない無差別級に出場している。現実世界でボクシングに無差別級は存在しないが、この世界では存在している。日本人で出場してるのは彼だけだが。ちなみにどう見てもフライ級ボクサーとは思えないバケモンみたいな筋肉の付き方をしてる。

原作やスマブラのリトルマックを現実にインストールしたバケモノ。アホみたいに軽く素早いフットワーク、ヘビー級のボクサーを悶絶させるパンチ力、無尽蔵のスタミナ、狂気の打たれ強さ、高い集中力から来る鉄壁の守り、闘争心を持つ。ボクサーとしてあまりにも完成しており、高校生ながら世界のトップランカーたちに警戒されている。

どれぐらいボクサーとしてヤバいのかと言うと、以下の通りである。
・軽量級の中でも指折りのスピードで触れない
・なのに重量級を悶絶させるパンチ力
・ガードした腕が使い物にならなくなる
・相打ち上等で殴ってくる上に重量級でも打ち負ける
・多くはないスタミナだが、フルラウンドをフルスロットルで戦っても折れない不撓不屈の精神力
・判定的に不利でも決して衰えないどころかラウンド進行で増幅していく闘争心
・ピンチの時ほど一撃が重たくなる謎仕様
・これだけ攻めが強いクセして集中力が高いから防御技術もカウンターも上手い
・必殺技が無数に存在する
総括すると、ただのバケモノ。何やこのボクサーチートだろ怖いはよナーフしろ。

必殺パンチは御馴染みK.O.アッパーカット。次いで左右フックの高速連打。そしてストレート。ガードを決して許さない。

ゲーマーとしても優秀で、弱キャラの烙印を押されたリトルマックを使用して国内屈指のトーナメントでリザルト入りしている。ジャスガの精度が異様に高く、地上に居る時の制圧力が途方もなく高い。え、復帰力? 外に出されなきゃ最強ですが何か?

マックくんの新たな恋人候補

  • 〝初恋枠〟優奈ちゃん
  • 〝妹枠〟ルウちゃん
  • 〝大穴枠〟恵里さん
  • ハジメくんの嫁候補以外のクラスメイト
  • アルテナを始めとする亜人族の皆様方
  • 〝英雄〟に嫁ぎたい帝国住まいの方々
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