異世界でもお前のパンチを見せてやれ!   作:Hetzer愛好家

11 / 129
友を守るために

 メルド団長たちに揉みくちゃにされつつベヒモスとの戦いの顛末を話したり、国王様とやらから褒美としてアーティファクトをもらったり。結構大変な時間を過ごした俺だったが、夜になってようやく解放された。

 

 俺がもらったアーティファクトだが、重さをまるで感じさせず、更には身体の動きの制限もないボディプロテクターと、拳圧が衝撃波として飛ばせる新しい籠手だ。

 

 あの戦いで、遠距離攻撃の重要性に気がついた俺からすると、非常にありがたいアーティファクトである。

 

 ちなみにハジメもハジメで報奨を受け取っていたが、彼は大量の道具作りの素材をもらっていた。実に謙虚なハジメらしい。

 

「僕も飛び道具が必要かなと思ってね。折角こんな力もあるし、自分で生み出してみようかなと思ったんだ」

 

 そう言いながら、早速制作の作業に入っていたハジメの隣には笑顔の白崎がいたのだが、それに対するツッコミは行わなかった。

 

 流石に俺でも分かる。白崎が、ハジメの事を心から好いてるって事を。

 

 それにあんな勇姿を見たら、恋する乙女は更に惚れてしまうだろう。

 

 まあ、クラスメイトからの扱いは相変わらずなのだが。何なら、畏怖の念を感じる事が増えた気がする。

 

 そんな事を全く気にしないのがハジメだし、そして俺なので、別にどう思われようが何でも良いのだが。

 

 そう言えば、ステータスの方も随分と上昇していた。こちらも確認しておこう。

 

===============================

真久野ケン 17歳 男 レベル:40

天職:拳士

筋力:600

体力:420

耐性:680

敏捷:700

魔力:30

魔耐:30

技能:格闘術[+集束拳打][+浸透破壊][+身体強化][+集中強化][+逆境強化]・物理耐性・言語理解

===============================

 

 鍛錬をすればするだけ強くなる。実戦訓練のレベル上げ効率は非常に良い。その道理は分かっていても、この成長速度はちょっと信じられないのが俺の正直な感想だ。

 

 命懸けで限界を遥かに超える戦いを長時間行ったとは言え、ここまで一気に急成長するもんなのかね?

 

 相変わらず壊滅的な魔法関連はさておき、ボクシングの技術を繰る俺にとっては有力となる派生技能も何個か増えた。

 

 まずは〝身体強化〟。読んで字の如く、こいつは俺の身体能力を倍率かけて上昇させられる。シンプルながら非常に強力で、後で説明する〝集中強化〟も相まって、パンチ力が飛躍的に向上したのは言うまでもない。

 

 続いて〝集中強化〟。こいつも分かりやすい派生技能で、どこか一点を集中的に強化させられる。強化倍率は〝身体強化〟よりも高めだ。

 

 最後に〝逆境強化〟。分かりやすく言えば、〝ピンチで身体能力強化〟だ。スタミナ切れに陥るか、魔力の枯渇で自動的に発動する。発動条件に縛りがある分、〝集中強化〟よりも更に強化倍率が高い。

 

 これらの派生技能は、ベヒモスと戦っている最中に覚醒した可能性が極めて高い。そうでなきゃ、あの巨体をあんな軽々とぶっ飛ばせない気がする。

 

 どの派生技能も、拳打を主とする俺にとっては追い風となる物ばかりだ。

 

 ああ、そう言えばハジメの方も随分とステータスが上昇していたっけ。

 

 確かこんな感じだった。

 

==================================

南雲ハジメ 17歳 男 レベル:20

天職:錬成師

筋力:130

体力:120

耐性:90

敏捷:115

魔力:80

魔耐:80

技能:錬成[+精密錬成]・格闘術[+集束拳打]・言語理解

==================================

 

 無能と呼ばれてたのがウソみたいに、様々な方面が成長を遂げているのだ。

 

 地面だけではなく、敵に対しても錬成を行ってた結果、新たに〝精密錬成〟を手に入れていたり。俺と同じくパンチの衝撃を集中させる〝集中拳打〟を取得していたり。

 

 何気に錬成に必要な魔力も下がってるらしく、当初は魔力がマックスの状態でも10回程度で限界だった錬成回数が、今では100を超える回数行っても魔力が枯渇しないらしい。

 

「効率が良くなってるのかな?」はハジメ談だ。

 

 彼の場合、体力と魔力が上昇していくにつれて、ガード不能の錬成パンチを放てる回数も自動的に増えていく。彼の継戦能力が上がっていくほど、ハジメの攻略に大きく危険が伴うと言っても過言ではないだろう。

 

 しかしまあ、そんな状態にまで成長していても。未だに俺たちの事を良く思わないクラスメイトも一定数いるようで。ひそひそと後ろ指を指している奴がチラホラ。

 

 特に檜山の様子がおかしい。誰も気がついていないが、奴がハジメを見る時の瞳は何だか異常だ。憎悪が隠しきれていない。

 

 石橋からの撤退時、流れ弾に見せかけた魔法の狙撃を受けた身としては、かなり彼を怪しく見ている。

 

「そういや、檜山の適性属性は風だったよな。あの時、風球と火球が一気に飛来したが、先に来たのは風球。まさかカモフラージュで火球を撃って、その後の風球を当てるつもりで……?」

 

 考察を自分で組み立てる。だが、それも途中で投げ出した。

 

 真相は、過去に戻って客観視点で現場を見ない限りは分からないからだ。

 

 ただ、念入りに警戒しておいて損はないだろう。

 

「ハジメにも。念のため白崎にも言っておくか」

 

 証拠がない以上、追及する事は不可能だろう。天之河が割って入ってなあなあに終わる未来が見える。

 

 俺たちはできるのは、警戒をなるべく強めておく事だけである。

 

 そう新たに決意した俺は、もうすっかり慣れたホルアドの宿から一旦外に出て、新鮮な空気を吸いに行く。

 

「ん……? あれは、檜山か」

 

 その時、俺は宿のすぐ横にある木の陰で、ブツブツと何かを呟く檜山の姿を目にした。どうやら、俺よりも先に外へ出ていたらしい。

 

 咄嗟に姿を隠し、音を立てずに奴の近くへ歩を進める。

 

 何とか声が聴こえる距離まで近づいた俺は、そのまま聞き耳を立てた。

 

「クソ、アイツを殺し損ねた。あのボクサーがいなけりゃ……」

 

……ほう?

 

 随分と面白い独り言じゃあないか。

 

 呪詛のように、奴は殺し損ねたと吐いている。その対象は、間違いなくハジメだろう。

 

 あの場で俺を支えていたハジメの事を殺すのは、確かに簡単だった事だろう。どさくさ紛れで魔法を撃ってしまえば、事故としてハジメを排除できた。まあ、完全に俺がダウンをしていたらの話だったが。

 

 あの時は、何とかギリギリ動ける体力が残っていたので、魔法をあんな形で打ち落とせたが。もし、俺が動けなかったら。きっと、吹き飛ばされて奈落の底へ真っ逆さまだっただろう。

 

 証拠がなければ、追及は無理だとさっきは言ったが。しかし、今はどうだ?

 

 言葉だけでは、証拠にはなり得ない。そう奴は言うだろう。だが、あの窮地を招いた檜山の言葉に、はたして説得力があるか。答えはノーである。

 

……ただ、天之河が信じようとしないのが難点だな。

 

 一瞬、心の中でこの状況証拠を持って帰る事を考えた俺だったが。すぐに思考を切り替えた。

 

 この場で釘を刺し、牽制する方向に。

 

「随分と面白い呪詛を吐いているね、檜山さんよォ」

「ッ!? だ、誰だ!」

「にっくきボクサーだよ、犯罪予備軍さん」

 

 俺は、今は籠手を持っていない。対する檜山は、帰ってきた時の装備のまま。つまり、武器を持っている。

 

 激情して殺しにきたら、ちょっと面倒である。その時はその時だし、むしろそれを狙ってるのだが。

 

「で、どんな気分だよ。俺がいたばかりに、南雲ハジメを殺し損ねた気分は」

 

 檜山、無表情である。

 

 脳の整理が追いついてないのだろう。

 

「ハジメの友人として、偶然とは言え聞いてしまったお前の呪詛を、流石に見逃す事はできん」

「……誰も、信じる訳ねえっ」

「だが、お前の言葉を信じる人も少ないんじゃないか? あの窮地を招いたのは、紛れもなくお前だ。そんな奴の言葉を、信じる奴はそう多くない」

 

 黙る檜山。反論ができないのだ。事実だから。

 

「どう、するつもりだ」

「別に。これをクラスメイトに言いふらすつもりは毛頭ない。ただ……」

 

 試合の時と同じように、俺は全力全開の殺気を放つ。

 

「2度と。もう2度と、ハジメと白崎に近寄るな。見るな。考えるな」

「ッ、テメェ……!」

「もし手出しをしてみろ。容赦はしないぞ。お前は、あの怪獣みたいな魔物が、宙を舞うぐらいの勢いで石橋から落とした張本人が俺だと分かってるはずだ。あの魔物みたいになりたいのか?」

 

 想い人に近寄るな。憎悪の対象を考えるな。

 

 怒らない方がどうかしてる。が、それでも口にしたのは、これが俺の紛う事なき本心だから。

 

「……テメェさえいなけりゃ、あのまま殺せたんだ。存在してなけりゃ、これからも殺せる。白崎も、あんな雑魚の事を考えずに済む。ヒヒッ」

 

 ああ、面倒だなオイ。

 

 すぐさま俺は、拳を上げて構える。

 

 確か、奴の天職は〝軽戦士〟。勇者ほどではないが、バランス良く魔法と剣術とが扱える。

 

 檜山の独り言は加速している。そのどれもが呪怨に満ちた物だ。

 

 戦闘は避けられないと見て、俺はいつでもスタートを切れる準備をする。

 

「ああそうだ殺しちまおう夜だから夜盗に襲われたと思われるし何とかなるきっとそうだヒヒヒヒヒ……!」

 

 そう奇声を上げて笑うと、檜山がいきなり西洋剣を片手に飛び込んできた。

 

「むしろ助かる!」

 

 迎撃は俺の得意分野だ。

 

 勇者レベルに速ければ、パーリングやスリッピングは封印するのだが。檜山程度なら何とかなる。

 

 雑な袈裟斬りをパーリングで叩き落す。そこから無理に斜め下から跳ね上げられた剣はギリギリのスリッピングで綺麗に回避。

 

「悪いが一瞬で終わらせる!」

 

 左のボディ狙いのストレート。これを俺は、ワザと檜山が咄嗟にガードとして上げた右腕にぶつけた。

 

 そして、一息も入れないうちに、俺はスマッシュボディフックを同じく右腕に叩き込む!

 

「グギャア!?」

 

 また奇声。うるせえなこのウジ虫。

 

……失礼。本音が漏れた。

 

 下段へのストレートからスマッシュボディフック。鉄板コンビネーションである。主にガードを破壊するための。

 

 右腕をプラプラさせ、大きな隙を見せた檜山に対し、俺は間髪入れずに左でボディフックをブッパ!

 

 見事に腹、と言うか鳩尾を抉るように決まり、檜山は地面に倒れ伏した。

 

「手加減はした。腕は脱臼。腹側の骨は折れてない。が、しばらくは立てないぞ」

 

 吐瀉物を撒き散らしながら蹲る檜山を、俺は見下ろして宣言する。

 

「次はない。骨も粉砕して、2度と立てなくするからな」

 

 そう言って、俺は宿の方に戻るのだった。




 現在のハジメくんのステータスは、原作で魔物肉を食った時よりちょい低め程度のステータス。が、技術次第では普通に戦える。トレーニングって大事だね。

※マックくんの技紹介
★ボディストレート→スマッシュボディフック
…必殺のセットアップ。相手のガードした腕を破壊する。

 左のボディ狙いストレートをワザと腕でガードさせ、そこから一息もないうちにボディフックをブチ込んで腕を骨折させる連携。なお、折れて隙を晒すと左のスマッシュボディフックが飛来する。

 今回は力加減を調節し、脱臼するに留めているが、本来なら檜山の腕は消えていた。

マックくんの新たな恋人候補

  • 〝初恋枠〟優奈ちゃん
  • 〝妹枠〟ルウちゃん
  • 〝大穴枠〟恵里さん
  • ハジメくんの嫁候補以外のクラスメイト
  • アルテナを始めとする亜人族の皆様方
  • 〝英雄〟に嫁ぎたい帝国住まいの方々
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。