異世界でもお前のパンチを見せてやれ! 作:Hetzer愛好家
⚠オリキャラ注意⚠
※Forマックくんの基本知識
①ジョルトを空中で使うとしりもち落下になる。何度崖から飛び出て絶望したか……。
②K.O.を飛んで打たない。見た目は今の方が好みですが、Wii版が元になってるこちらも中々にカッコいいです。
③今以上に弱が凶悪。相殺しないし途中で止めても強い。あと台の端で百裂すると下に落ちるのだが、そこから百裂がキャンセルされて何故かK.O.が確定しやがる。ホカホカにもよるけど大体10%もあれば死ぬ。
④密着で当たらない技が多い。特に横スマが大きく前進する関係上当たらない。上シフトは当たりやすいけどね。
⑤百烈で撃墜する。スッポ抜けるけど。
⑥一部キャラは外ベクを怠ると下投げからK.O.が確定する。
⑦コロコロの性能がかなり高い。移動回避で差し込むのも強いクセして当時のゲームスピードだとDAも優秀な差し込み手段なので、地上はマジで強かった。
今の方が強い部分は多いけど、Forマックくんも面白い強みがありました。特に弱攻撃。相殺なしの最速発生攻撃って字面からヤバすぎる。今作のマックくんのジャブとラッシュがやけに強い理由も、このForマックの存在があるからです。
理性を犠牲にしつつも、何とか湯船内での優花の密着ホールドを耐えきった俺は、未だ冷めぬ熱を気にしながらも、リビングのソファーに腰を下ろした。
なお、優花は相変わらず俺の腕にピッタリと密着している。まだまだ理性と本能との戦いは終わらなさそうだ。
まあ、話をしている間は大丈夫だろう。そう信じて、俺は口を開いた。
「〝ゆうな〟。漢字だと〝優しいに奈良の奈〟で優奈だったかな。俺が中学3年生になる直前の春、心臓病の手術で入院した病院で出会った、2つ歳下の女の子だ。当時、彼女は中学1年生だったな」
「……優奈ちゃん。それが初恋の人なんだ。歳下ねぇ」
「あくまで初恋だ。成就していれば、こんな風に優花が密着する事を許しはしない」
浮気、不倫は虫酸が走るぐらいには嫌いだ。そんな俺が、恋人がいる状態で他の女に気を許すとは思えん。
「話を戻すか。優奈とは同室だった。個室に入る金なんて、俺の家族は持ってなかったからな。俺は後から入ったもんだから、最初こそかなりギクシャクしていたが。数日もすれば打ち解けて、普通に話したり、ゲームを一緒にする間柄になったよ」
何せ歳も近くて、同室で。それと、当時俺は嗜む程度だったが同じゲームで遊んでいたのもあるだろう。
なお、その当時遊んでいたのは3DS版のスマブラだ。
「優奈さ。マジでスマブラ強かったんだよ。なんたってプロゲーマーなんだからな」
「……プロゲーマー」
「そう。ちなみに使用キャラは今の俺と同じな」
使用理由は、ボクシングを見るが好きだったからと記憶している。それと、不屈の闘魂というリングネームも大変お気に召していた。
ああ、それともう1つ。
「本来は自分がボクシングをやりたかった。けど、心臓病を患ってて激しい運動はできない。だからせめて、ゲームではボクサーでありたい」だったかな。
俺の心臓病は、手術して経過観察すれば治るぐらいの重さだった。しかし、優奈の心臓病は、手術しても治らないぐらいに重たい物だった。
彼女が入院した理由も、起き上がるのが困難になる日が増えてきたからだった。
「いやあ、それにしてもマジでほぼ勝てなかった。何回捨て身の復帰阻止と、逆転のK.O.アッパーで殴り殺されたか分からんな」
当時のリトルマックは、今のマックと違って横必殺を空中で発動させるとしりもち落下になる仕様があったり、K.O.アッパーのリーチが縦に短かったりして、今となってはかなり不便な要素だらけのキャラクターだったのだが。それでも強かった。
プロゲーマーだと明かされてからは、彼女が勝った試合を色んな動画サイトで見たのだが、どれもこれも鮮やかだった記憶しかない。
どうして不利状況のラストストックで、かつ決勝戦で。平然と外したら死ぬだけの復帰阻止に行けるんですかねと、当時は何度も思ったな。
「歳下だけど、純粋に尊敬してたよ。ゲーマーとしても。それに、人間としてもね」
歳下とは思えないぐらい、優奈は人間として完成していた。
「どうして心臓病で苦しいのに、そんなにゲームが上手いのか聞いたらな。どんなに苦しい時でも絶対に諦めず、勝利への可能性をひたすらに追い駆けているからと答えたんだ」
「絶対に、諦めない。ケンと同じ……」
「心臓病の事も同じで、治らないのは知っているけど、それでも命の灯火が消える瞬間まで生きる事と治る事を諦めずに戦っているから、苦しくても笑えるし、ゲームだってできちゃうんだと。あっけらかんとした様子で答えてくれたんだよ」
優花が、何かを噛みしめるように話を聞いている。
彼女にも、優奈の言葉には何か響く物があったのだろうか。
まあ、それは後で聞くとして。今は優奈の事を話そう。
「ボクシングが好きな理由も、諦めの悪い人が食らいつく様子が好きだから、らしい」
「……今のケンと同じだね。ひたすらに諦めが悪い」
「手術が成功して、心臓病もすっかり治った俺がボクシングを始めたのも。彼女の言葉が響いたのと、当時は自覚してなかったが、無意識に惹かれていたからなんだろうな」
もっと俺を見てくれ。好きになってくれ。そんな意図はなかったが、無意識に考えてはいたのだろう。
諦めの悪い人間になって、優奈を惚れさせたい。中学生らしい、実に単純な理由だった。俺がボクシングを始めた理由は。
スマブラでリトルマックを密かに練習し始めたのも、この時期からだった。
色々と足りない性能に発狂しそうにもなったが、それでも諦め悪く練習したのは、間違いなく彼女の存在があったからだろう。
「春休みが明けて、5月に入る前にもなると、俺はすっかり元気になって学校に通えるようになった。だが、心臓病が治ってからも俺は、頻繁に優奈のいる病室に通ってた。最低でも週に2回は足を運んでたな」
ボクシングを始めた事を伝えて、その日の練習がどんな感じだったかを教えてみたり。リトルマックの使い方を教わったり。
ぶっちゃけボクシングの練習は「死ぬ」と思うぐらいにはキツかったし、同時進行でリトルマックの鍛錬をするのもキツかった。だが、とても楽しかった。
それもこれも、優奈が目をキラキラさせながら、俺の話を聞いてくれたり、逆に話してくれたりしてたからだ。
俺がボクシングを始めると聞いて、少し驚いた後に、凄い勢いで喜んでくれた事は今でもしっかり覚えている。
「ボクシングを始めて3ヶ月。まあ夏休みだな。この時期に、俺は初めて試合を行った」
アマチュアの試合だったが、この時だけは本当に緊張した。
何故って、心臓病でほぼ動けないはずの優奈が、車椅子の状態で会場に駆けつけたからだ。
「初試合特有の緊張感。そして、想い人が応援に駆けつけた事で、変に力んだ状態。こんなだから、最初のラウンドは押されに押されて、何ならダウンもしてしまったんだけどな。諦めたくない一心で立ち上がって、次のラウンドでは被弾を恐れずひたすら殴りに殴って。気がついたらリトルマックと同じフォームでK.O.アッパーをしていて、そのまま相手を気絶させて勝ってた」
あの当時のK.O.アッパーなので、今みたいに飛んではいない。威力もおそらく今より劣るだろう。
だが、攻撃を全てパーリングで叩き落とし、左右のボディフック連打で相手を悶絶させ、最後に必殺のK.O.アッパーで勝つ戦法は、今に通ずる物がある。
「試合の翌日。病室に行ったら、優奈にこれでもかと言うぐらい褒められた。これが嬉しくてさ。色々と褒めてくれたけど、何よりも嬉しかったのは、シンプルにカッコ良かったと言ってくれた事だ」
男子諸君なら分かってくれるだろう。想い人からのカッコ良かったが、どれだけ嬉しいかを。
それに舞い上がりはしつつ。しかし、決して慢心はせず。その後も俺は、また彼女に自分の勇姿を見せたい一心で、ガムシャラに努力を続けた。
アマチュアの試合にも出場し続けて、いつしか俺は、プロボクシングでもやっていけると太鼓判を押されるまでになっていて。その報告をしたら、やはり優奈は目をキラキラさせながら喜んでくれて。
「……けど、そんな日々もいきなり終わったんだ」
デビューして僅かな期間で、ボクシングで結果を残したお陰で受験はどうにかなった俺だが。冬休み前になると、優奈の様態が一気に悪くなったのである。
何日も昏睡状態が続いたり。遂にはゲームができないぐらい衰弱して、あっという間に優奈は死へと向かっていったのだ。
「毎日病室に通ったよ。何となく、先が長くない気がしたから」
ジムのトレーナーと相談して、練習時間を夜の方にズラしてもらった俺は、学校が終わると毎日病室に通った。
俺が病室にいる時だけは、どんなに倒れそうな状態でも、必死に目を開けながら話してくれた優奈は、ある日俺にこんな事を告げた。
「無差別級で戦って、世界を制覇する貴方をいつか見てみたい」と。
だが、無差別級に挑むには、まずプロテストに合格しなければならなかった。そしてそのプロテストを受けるには、最低でも17歳である必要がある。
そしてそのお願いをしてきた優奈は。もうどれだけの時間を生きられるか分からないぐらい、衰弱している状態だ。
俺は〝お願い〟を〝約束〟に昇華させ、そして了承した。生きている間に見せられない事を悟りながら。
この時になって、初めて俺は疑問を覚えた。
「どうして俺は、死にかけの人から到底叶えられない〝お願い〟を、即座に〝約束〟に昇華させるぐらい必死だったのかだ」
まだ俺は、彼女に対する恋心を自覚してなかった。
だが、尊敬しているだけでこんなに必死にはならないとも思ってたのだ。
「何故なのか。その答えが出る前に、優奈は静かにこの世を去った」
その報せは、冬休みが明ける直前に届いた。
当然ショックだったし、これまでにないぐらい泣いた。葬式にも呼ばれたが、そこでも泣いた。
「棺の中に眠る優奈を見て、ふと俺は言葉を零してた。好きな人に、これからの俺も見て欲しかったと。そうやって口にして、俺はやっと、心の奥底に抱えていた感情を理解した」
好きだったんだ、優奈が。
好きだから、どんな願いも叶えようと思えたんだ。
好きな人を喜ばせたいから、ボクシングを始めて。リトルマックを使い始めた。
無意識に、リトルマックの動きをトレースして。諦め悪く戦ってた。
「もう、何もかも遅かったけどね」
あの当時の感情を思い出して、少し鼻の奥がツンとした。
「まあ、これで全部だ。優奈がどんな人物なのか。俺にとってどんな人〝だった〟のかは」
話したい事は全部口にしたので、俺は優花からの返答を待つ。
だが、彼女からの言葉が中々こない。
「優花?」
肩が震えている。
泣いているようだ。彼女は。
ギョッとして、俺は思わず硬直する。
「……名前を聞いて、まさかとは思ったけど。スマブラがプロレベルに上手くて、ボクシングが大好きって情報で全部分かった。私、その子をとても良く知ってる」
その言葉に、俺はまた硬直した。
「ケンの初恋の人、優奈ちゃん。その子、私の従妹だよ」
「……はあ!?」
とんでもない言葉に、思わず俺は叫んでしまった。
え、従妹? 優花の?
「私もね。かなりの頻度で、優奈ちゃんが入院している病室に足を運んでたからさ。彼女から、本当に色々な話を聞かされたんだ」
曰く、ゲーム友達ができた事。ボクシングの魅力に共感してくれる人が現れた事。何なら、そのままボクシングをその人が始めた事を。優花は、優奈本人から聞かされたらしい。
「心臓病が発覚した時の優奈ちゃん、凄く憔悴してたの。幼くても、心臓病が重い病気である事ぐらいは理解してるから。自分が、もう長くは生きられないと知って、見てられないぐらい落ち込んでた」
だけど。そう優花が紡ぐ。
「最後に移転した病院で、おそらくはケンと話すようになってから。優奈ちゃんは見違えるぐらい明るく喋るようになった」
今日、友達と一緒にスマブラしたんだよ。
ボクシングの練習で習った事を、ここで実演しながら教えてくれたんだ。
試合見に行ったよ。凄くカッコ良かった!
「半年と少し。それが、ケンと優奈ちゃんが過ごした時間。その短い期間だけにはなるけど、あそこまで優奈ちゃんが楽しそうに入院生活を送っているのは初めて見たんだ」
今度は、俺の目から涙が零れ落ちた。
俺が知っている優奈は、ほんの一面だけから見た人物像である。その優奈が、他の人には何て話しているのかは、今日まで知らなかった。
だけど。彼女は、楽しそうに過ごしてくれていた。俺と出会ってから。
それが何だか無性に嬉しくて。そして同時に、何であの時に、もっと早く自覚できなかったのだと、ひたすら己を責めたくなった。
「……優奈ちゃんから、好きな人ができたと聞いた時は驚いた。けど、誰なのかはすぐ分かった。その時私は、ケンの顔も名前も知らなかったけどね」
「俺の片想いじゃ、なかったのか」
「両片想いって奴かな。けど、想いを打ち明ける事はないとも言ってたよ。先が長くない私なんかと付き合ったら、絶対心に消えない傷を負わせてしまうから。それは嫌だから、口にはしないって」
ああ、涙が止まらない。
そこまで想ってくれた事に対する喜び。絶対に叶わない恋に対する悲しみ。2つの感情に支配されて、もう頭の中はグチャグチャだ。
「優奈ちゃんね。最後に私と会った時に、こんなお願いをしてきたの」
――私の惚れた人と出会ったら、私の分までその人を支えて欲しい。
「出会う確率なんて限りなく低かったのに。でも、頷いた。最後ぐらい、お願いは聞いてやろうと思ったからさ」
「……そして、出会ったな」
「……うん。出会った。偶然なのか、運命なのか分からないけど」
ホント、どんな確率を引いたらこんな事になるのやら。
「そして私は、何も知らないまま貴方に惹かれていって。今日、何でだったかに納得した。あの優奈ちゃんが惚れた男に、惚れるなと言う方が無理がある」
「ゆう、か」
このタイミングで、それと繋げるのか。
「彼女からのお願いを叶えてやりたいってのもあるけど。私も、惚れちゃったのよ。ケンに」
反則、だ。
初恋は初恋と割り切っているから、優花と〝そう言った〟関係になる事に対して忌避感はない。
だが、その想いの明かし方は。色々と反則だろうに。
「気に食わないなら、貴方から捨てても構わない。だけど、その日が訪れるまでは。ケンの1番近くに居座らせて」
優花の目を、俺は真っ直ぐ見た。
断る理由。どこにある。そんな物、ないだろう。
「……俺からも、頼みたい。君が飽きたと感じたら、容赦なく捨ててくれ。だが、その日がくるまでは。優花の1番近くで過ごす権利をくれるか?」
一瞬、優花は驚いたように目を見開いた。
だが、すぐさま優しく微笑んだ。まるで花のように。
「捨てる訳ないでしょ。こんな良い男を」
互いに都合の良い愛人属性がありすぎる問題。
★優奈
…マックくんの初恋の人で、優花の従妹。髪の毛をストレートにした優花みたいな見た目をしている。故人。
真久野ケンという人間が、今のマックくんになったキッカケを作ったとも言えるべき女の子。人間をほぼ超越しているボクサーとしての技量も、魔境と化した現代のスマブラで弱キャラで勝ち上がれる技術も、彼女がいたからこその物。
優花とも大変仲が良かった。年の近いお姉ちゃんのように大切にしており、彼女にだけは本音を言うような間柄だったそうだ。
スマブラFor時代のプロゲーマーで、リトルマックを使用して全国大会を〝小学生で〟優勝してしまうハイパー天才幼女だった。また、ボクシングの観戦が好きで、よく病室のテレビで試合をマックと見ていた。
重たい心臓病を患っており、寿命がそう長くない中で、心臓病を患い手術を行うべく入院した中3マックと出会った。
同じゲームを嗜み、気が合ったマックと共に過ごしていくうちに、悲嘆と達観が混ざった性格から明るい性格へと変わったのだが、それを知るのは優花だけである。
自分のためにひたすら努力をするマックに対して、彼女もまた恋心を抱いていた。彼がボクサーとなってからは更に惚れた。だが、告白するつもりはなかったようだ。逆に告白されても、想いに応えるつもりはなかった模様。
ちなみに、優花とマックがバッティングしなかった理由は、彼女があらかじめ優花に「この日はマックくんが来るから!」と伝えて病室へ来ないように言ってたから。葬式も色々と都合が悪く、優花は行けなかったので出会ってない。その事は、優花にとってはほんのりトラウマになっている。
マックとは必ず2人きりで話していた。そのぐらい好きでたまらなかったのだが、彼の将来を考えて想いを一切封印し、ただ2人きりの空間を楽しむに留めた脅威の精神力を持ち合わせている。
歳の割に達観している部分は明るくなってからも健在で、今のマックが病的に諦めが悪い性格を作った元凶。限界が訪れたら、その先に極限があるから頑張れるの精神を持ってた。もちろんマックくんにも受け継がれている。
優奈が亡くなってから恋心を自覚した事は、マックにとって深いトラウマとなっており、だからこそハジメと香織のやり取りであんな本音が漏れた。
一応ケンは、初恋として何とか割り切っている。ただ、彼女との〝約束〟にある意味で囚われている。
今後もたまに登場する予定です。
マックくんの新たな恋人候補
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