異世界でもお前のパンチを見せてやれ!   作:Hetzer愛好家

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リトルマックを可視化するとこうなるのか

 その後も何やかんや10分は話してから園部と別れた俺は、上手い具合に力が抜けてしっかり熟睡が出来た。

 

 翌朝起きて皆で訓練場と称された場所に集まると、隈が残る人が多い中で、比較的健康そうな顔をしている俺はひと際異彩だった。

 

 園部の方も、割と良い睡眠を取れたようだ。眠そうにこそしているが、隈は見られない。

 

 さて、昨日戦争に参加する意思を決めた俺たちであるが、流石に今のまま戦いの場に放り出す何て事はないようだ。

 

 然るべき人物から、然るべき訓練を受けて力をある程度付けてからとの事だ。

 

 訓練場に集まった生徒たちには、十二センチ×七センチ位の銀色のプレートが配られた。これが何なのかサッパリであったが、すぐに騎士団長メルド・ロギンスが直々に説明を始めた。

 

「よし、全員に配り終わったな? このプレートは、ステータスプレートと呼ばれている。文字通り、自分の客観的なステータスを数値化して示してくれるものだ。最も信頼のある身分証明書でもある。これがあれば迷子になっても平気だからな、失くすなよ?」

 

 なるほど、めっちゃ便利な生徒手帳みたいな物か。

 

「プレートの一面に魔法陣が刻まれているだろう。そこに、一緒に渡した針で指に傷を作って魔法陣に血を一滴垂らしてくれ。それで所持者が登録される。 〝ステータスオープン〟と言えば表に自分のステータスが表示されるはずだ。ああ、原理とか聞くなよ? そんなもん知らないからな。神代のアーティファクトの類だ」

 

 アーティファクト。聞き慣れない単語を気にしたクラスメイトが、メルドに質問をしている。

 

 だが、俺はそれよりも自分のステータスが気になって仕方がない。

 

 まだ話しているメルドには悪いが、俺は一足先に針に指をチクリと刺した。

 

 プクリと浮かび上がった血玉。それを魔法陣に擦り付ける。

 

 すると、魔法陣が一瞬淡く輝いて。プレートに様々な情報が浮かび上がった。

 

===============================

真久野ケン 17歳 男 レベル:1

天職:拳士

筋力:90

体力:60

耐性:120

敏捷:130

魔力:10

魔耐:10

技能:格闘術[+集束拳打][+浸透破壊]・物理耐性・言語理解

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 うーん。現時点で数値が高いのか低いのかは分からないが、見事に自分のファイトスタイルを表している気がする。

 

 軽量級の体重だからスピードはある。筋力もフライ級の付き方ではないと言われるぐらいには強い。特に足腰と背筋に関しては、相当な物だと自負しているぐらいだ。

 

 それ故に、筋力と敏捷のステータスが高いのは納得が行く。

 

 一方、他と比べるとやや低めの体力であるが、耐性に限れば敏捷の次に抜きん出て数値が高い。

 

 この理由もしっかりある。実は、体力に関してだけ言うと俺はそこまで高くないのだ。もちろん一般人よりはあるのだが、ボクサーの中では中の下ぐらいだろう。俺より体力が高いボクサーはごまんと居る。

 

 しかし、持ち前の〝諦めの悪さ〟で俺は全てを補っている。他の言い方をすれば〝気合い〟や〝ど根性〟。少しカッコよく言うなら〝不屈の闘魂〟だろうか。

 

 狂気染みた諦めの悪さがあるから、スタミナ切れに陥っても強引に乗り切れる。自分より遥かに重たいパンチを放つボクサーの攻撃を受けても、気合いで耐えて無理やり反撃可能。仮に相打ちになっても、パンチを強引に耐え抜いて拳を振り抜く事で打ち勝てる。

 

 バカみたいに昭和チックで非科学的な精神性であるのだが、この耐性のステータスの高さが全てを物語っている。

 

 技能と言う欄にもしっかり〝物理耐性〟とある事から、本当にパンチに対しての耐性は図抜けているのだろう。

 

 少し気になるのは、俺のボクシングでの技術がステータスプレートにほとんど記載されていない事だが……。

 

 それっぽい技能として〝集束拳打〟と〝浸透破壊〟がある。前者はシンプルにパンチの衝撃を一点に集中する技術で、後者は内部の骨を破壊する技術を指しているのだと思うが、他の技術はどこにも記載されていなかった。

 

……少ないパンチで骨を破壊しないと体重差を無視できないんだよね。

 

 折角ステータス化するなら、俺の覚えているパンチの技術も具体的に示して欲しかった。主にピンチ時に破壊力が上がる右のアッパーカットについて。

 

 そんなこんなで一通りステータスを確認した所で、メルド団長が改めてステータスの説明を始めた。

 

「全員見れたか? 説明するぞ? まず、最初に〝レベル〟があるだろう? それは各ステータスの上昇と共に上がる。上限は100でそれがその人間の限界を示す。つまりレベルは、その人間が到達できる領域の現在値を示していると思ってくれ。レベル100ということは、人間としての潜在能力を全て発揮した極地ということだからな。そんな奴はそうそういない」

 

 魔物を倒したら即レベルアップ、とは行かないらしい。

 

「ステータスは日々の鍛錬で当然上昇するし、魔法や魔法具で上昇させることもできる。また、魔力の高い者は自然と他のステータスも高くなる。詳しいことは分かっていないが、魔力が身体のスペックを無意識に補助しているのではないかと考えられている。それと、後でお前等用に装備を選んでもらうから楽しみにしておけ。なにせ救国の勇者御一行だからな。国の宝物庫大開放だぞ!」

 

……魔力めっちゃ低いんだけど。

 

 あれかな。他の人はもしかしたらもっと魔力高くて、ステータスも高いのだろうか。

 

「次に〝天職〟ってのがあるだろう? それは言うなれば〝才能〟だ。末尾にある〝技能〟と連動していて、その天職の領分においては無類の才能を発揮する。天職持ちは少ない。戦闘系天職と非戦系天職に分類されるんだが、戦闘系は千人に一人、ものによっちゃあ万人に一人の割合だ。非戦系も少ないと言えば少ないが……百人に一人はいるな。十人に一人という珍しくないものも結構ある。生産職は持っている奴が多いな」

 

 俺の天職は〝拳士〟。ボクサーではないのが気になるが、戦闘系の天職である事は間違いない。

 

 どうせなら、昔ながらの言い回しで〝拳闘士〟なら秀逸だなと思えたのだが。

 

「後は……各ステータスは見たままだ。大体レベル1の平均は10くらいだな。まぁ、お前たちならその数倍から数十倍は高いだろうがな! 全く羨ましい限りだ! あ、ステータスプレートの内容は報告してくれ。訓練内容の参考にしなきゃならんからな」

 

 その言葉を受けて、俺は再度ステータスプレートを確認する。

 

 レベル1の平均ステータスは10。俺のステータスは、魔力と魔耐の数値こそ平均値の10であるが、その他のステータスは明らかに数倍から10倍以上の数値となっていた。

 

 これ、相当やってる数値なのではないだろうか。

 

 俺が思案している内に、まず真っ先にメルド団長にステータスプレートを見せたのは天之河である。そのステータスは……

 

============================

天之河光輝 17歳 男 レベル:1

天職:勇者

筋力:100

体力:100

耐性:100

敏捷:100

魔力:100

魔耐:100

技能:全属性適性・全属性耐性・物理耐性・複合魔法・剣術・剛力・縮地・先読・高速魔力回復・気配感知・魔力感知・限界突破・言語理解

==============================

 

 全ての数値のバランスが良く、かつ平均の10倍のステータスとなっていた。

 

 なるほど、流石は天職勇者である。魔法方面にも才能があり、その他のステータスもハイスタンダード。隙がない。

 

 天之河を皮切りに、次々とクラスメイトがメルド団長にステータスの報告へ向かった。

 

 俺もその波に混ざってステータスを報告する。

 

 手渡したステータスプレートを見て、メルド団長は声を上げた。

 

「これは……! 局所的にだが光輝よりも高いステータスがあるな。魔法方面のステータスは平均値だが、それ以外が抜きん出ている。更には派生技能まで……」

「派生技能?」

「お前で言うと、この〝集束拳打〟と〝浸透破壊〟の事だな。派生技能ってのは、一つの技能を長年磨き続けた末に、いわゆる〝壁を越える〟に至った者が取得する後天的技能だ。簡単に言うと、今まで出来なかった技術が、ある日突然、何かしらのコツを掴んで一気に習得する感じだな」

「へえ、そうなんすね。人を殴るスポーツをやってたからなのか……?」

 

 メルド団長曰く、レベル1の時点で派生技能を習得している人物は見た事がないらしい。

 

「こちらの世界に来るまで、一体どれだけ研鑽を積んだ?」

「うーん。具体的にこれとは言えないけど、毎日人を殴る練習をしてましたよ。自分より倍以上重たい人間を倒すために、拳が割れても止めないで」

 

 俺の拳は平だ。ゴツゴツとはしていない。ただの塊と化している。

 

 それ故、拳の衝撃が全く分散せずに相手へ伝わる。細く鋭い一撃は、人体の深部まで容易に伝わるようになっているので、普通に殴るよりも遥かに早く急所の破壊が可能。

 

……と言うのが、俺の拳だ。

 

 日々の鍛錬の賜物である。

 

「なるほどなぁ。これは中々頼りになりそうだ。改めて、これからよろしくな!」

 

 こちらこそ。その意を込めて、俺は大きく頷いて人混みから抜け出した。

 

 クラスメイトが何だかザワザワとしているが、気にする事はない。

 

 己のステータスの高さが嬉しかったのは本当だ。だが、それに甘える時間は残念ながらない。結局の所、このステータスをこれからいかに伸ばせるか。その方が重要なのだ。

 

 ステータスプレートを懐にしまい、俺はその場で昨晩のようにシャドウボクシングを始める。

 

 1分1秒とて無駄にはしたくない。

 

 そんな俺の様子を呆れた顔で見る園部に声をかけられるまで、また完全に自分の世界に入り込むのだった。




夕飯後

「真久野くんどうしよう。僕、天職が非戦闘系だし、ステータスも完全に一般人なんだけど……」
「お、ならハジメも俺と一緒にトレーニングするか? ボクシング用のだが」
「……みんなに迷惑はかけたくないから、よろしく頼むよ」

 その夜、南雲ハジメくんは動けなくなるぐらいの筋肉痛に襲われたらしい。

 ちなみにマックくんのシャドーボクシングを見ている内に、何やら〝錬成〟を戦闘で扱う手法を思いついたそうな。

「〝錬成〟は鉱物に有効。鉄とか金とか。だから壊れた武器は修理できる。形も変えられる。ところで人間の体内に、鉄分があったような……」

マックくんの新たな恋人候補

  • 〝初恋枠〟優奈ちゃん
  • 〝妹枠〟ルウちゃん
  • 〝大穴枠〟恵里さん
  • ハジメくんの嫁候補以外のクラスメイト
  • アルテナを始めとする亜人族の皆様方
  • 〝英雄〟に嫁ぎたい帝国住まいの方々
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