異世界でもお前のパンチを見せてやれ! 作:Hetzer愛好家
※基本的に恋愛甘々描写は、自身の体験談を元に描く事が多い。
拳闘大会チャンピオンの証と言われる、キラキラ輝く魔石で作られたメダル。そして、皇帝陛下から直接賞金を受け取った俺は、観衆にもみくちゃにされる前に、優花と共に宿の方へと戻った。
ちなみに賞金は日本円にして100万円。相当な額である。節制を心がければ、当面はお金に困る事もないだろう。素材の換金も並行して行えば、宿なし生活を送る羽目にはならないはずだ。
さて、現在俺と優花は、ノンビリと夕食を取っている最中である。
俺たちよりも早く宿に戻っていたであろうオーナーの出した料理に舌鼓を打ちながら、今日の試合について色々と話していた。
ちなみにオーナーの名前はベア・ハッガーと言うらしい。どこかで聞いた名前だね? もうツッコミを入れるのは面倒だからしないけどさ。
厨房を駆け回っているのは、おそらく彼の奴隷であるケモミミたちだ。クマとリスの亜人を確認している。
奴隷と表現こそしたが、それは多分便宜上の話。時折オーナーと亜人が会話をしている様子から、仲はとても良いであろう事が見受けられた。
「いやあ、随分面白い試合を見させてもらったぜ。昔の記憶をふと思い出しちまった」
「昔の記憶って?」
「俺も何度か拳闘大会でチャンプになった事があるんだ」
「へえ、オーナーがか」
「おうよ! こう見えて、俺も中々強かったんだぜ? 誰もが俺のベアハッグは恐れたもんさ!」
この宿も、拳闘大会で得た賞金を利用して開いた宿らしい。それが今では、随分と大きな宿になってしまったそうだ。美味い料理と安らげる寝床の提供をモットーに切り盛りしていたら、思いの外帝国民にも受けたらしい。
ちなみにクマとリスの亜人に関しては、拳闘大会の賞金で買った奴隷ではないそうだ。
お淑やかで少しドジっ子なのがクマの亜人。姉御&師匠肌なのがリスの亜人。ギャップでおかしくなりそうだったのはここだけの秘密である。
「あいつらは俺の親が成人祝に買ってきた奴隷だ。まあ、奴隷なんてのは書類上の立場だけだがな。結婚届こそ出してはないが、2人とも俺の大切な妻だ」
「ふーん、そうなのか。ところで帝国は奴隷商が盛んと聞いてたが、オーナーは新たに買うつもりはないのかい?」
「ないね。まず、これ以上従業員を増やすつもりもない。下手に従業員を増やすと管理が大変だし。それに、新しく亜人なんか買ったらあいつらが怒りそうだし……」
このオーナーは、帝国民にしては少々変わった思考の持ち主のようだ。
帝国では、奴隷同士の結婚自体は認められているが、雇用主との結婚は認められていない。だから、結婚届は出せてないらしいが、それでも強い絆で結ばれているそうだ。
重婚という日本にはない文化に触れて見識を広げつつ、オーナーの人柄に感心しながらデザートを口にする。
「お、美味いなこのパンケーキとシロップ。特にこのシロップは、むちゃくちゃ甘いのにしつこくない。不思議な感じがする」
「自信作だぜ。この宿に泊まる利用者の多くは、このパンケーキとシロップを食べたい奴がほとんどなぐらいだ」
なお、優花はシレッとリスの亜人のところへ行き、パンケーキの作り方を教わっている。流石は洋食屋の娘。異世界に来ても、料理の探求は忘れない。
「あのお嬢ちゃんは、お前さんの恋人かい?」
「御名答。自慢の恋人だ。その分、手出しをしようとするアホも多いが」
「あー、まさかとは思うがな。皇太子殿をあんなにした理由って」
「……ご察しの通りさ」
「俺もあの皇太子はいけ好かない奴だと思ってたから、別に国への反逆だの何だのを言うつもりはないけどよ。ありゃあ男としては色々と同情しちまう部分もあるんだわ」
まあ、心を折られたついでにゴールデンボールを片方失ってるもんね。
見ているだけで内股になってしまいそうな光景だったはずだ。これで、俺たちに手出しする人間が減ると良いが。
帝国内に限れば、拳闘大会の優勝者って肩書はそれなりに効くかな?
「そうだオーナー。追加で金は払うから、特製シロップを一瓶売ってくれないか? 仲間への土産にしたい」
「お、良いぞ。何ならサービスでグラスも一緒につけてやろうか。そのまんま飲むのも中々に行けるからな」
「……マジで?」
「試してみるか?」
ニヤリと笑ったオーナーが注いだ、コップいっぱいの特製シロップ。少しの逡巡の後に、俺はグイッと一気飲みする。
その結果は……。
「……うっっめえなおい!?」
「ハハハ! お前さんにもシロップの良さが伝わったみたいだなぁ!」
ものすっごい美味しかった。味と舌触りは確かにシロップなのに、しつこさが全くないのだ。
チョコバーが大好物な俺がかなりの甘党ってのもあるだろうが。それにしても、このシロップは絶品である。
「オーナーおかわり。今度はグラスで頼む」
「はいよ。少し待ってな」
結局その後、俺はグラスで3杯飲んだ。
酒みたいに即死の危険が低いのは色々とありがたい。生活習慣病の引き金になる可能性はあるので、飲んだ分のカロリー消費は徹底しないとだけどな……。
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口の中がとんでもなく甘い状態のまま、シャドーボクシングでカロリー消費を行ってから部屋に戻ると。少し頬を膨らませた優花が出迎えてくれた。
「……寂しかった」
「すまん。お詫びに俺の事、好きに使ってくれ」
「ケンは道具じゃないから、使うってのは何か違うけど……貴方がそう言うなら、好きにさせてもらうわ」
ベッドに寝かされると、彼女は定位置にピタリと落ち着いた。あっという間である。
どうも気持ちが落ち着くとの事で、彼女は大体の場合はこの定位置で俺を見上げるようにしている事が多い。上目遣いの優花は可愛い。本当に、可愛い。好き。
語彙力が死ぬのもいつも通りだ。
「ねえ」
「なんだ」
「そっちから、キスしてよ」
「……これ、しないと思いっきり拗ねる?」
「うん」
羞恥心よさらば。優花のお願いには逆らえないのだ。
何度か彼女から顔を背けては真正面から見据えるを行った後。意を決し、俺は目を閉じながら優花の唇に己の唇を付ける。
一瞬だけのキスでひとまず終わらせ、自分の顔を遠ざけようとすると。優花の両手が俺の後頭部に添えられた。
そして、今度は優花からキスが降ってきた。
ついばむようなキスを数度繰り返し、軽くこちらの口内を舌で舐め取った優花は、少しだけ唇を離すと一言。
「……もっと」
「おまっ、あのさァ……!」
なんつー破壊力だ。俺特効があるにしても、ちょっとその破壊力はおかしい。
愛情の供給過多で脳が破壊されるってマジであるんだね。もうホント、可愛すぎる。好き。
「んな可愛い事言われたら、止まらなくなっちまうぞ?」
「止まる必要なんてある?」
「それは、ねえな……」
もう1度触れるだけのキスを落としてから。間を空けずにまた唇を重ね合わせる。さっきよりも深く。さっきよりも長く。
「ぷあっ……ふふ、ケンの顔真っ赤ね」
「……るっせ」
「可愛い。戦ってる時はあんなに凛々しいのに」
どうも優花は、俺と似た感性になりつつあるようだ。ギャップ萌えイコール素晴らしいの考えが、しっかりと彼女の脳内を侵食しているらしい。
それにしても、今日は随分と彼女から求めてくるし、愛情を注いでくる。何かあったのだろうか。
「気になる?」
「シレっと心を読むな心を。 ……で、何か心境の変化とかあったのか?」
「ん~、何だろうね。今日頑張ってたし、ケンに何かご褒美あげたくて。そう思ってたら、いつの間にかこんなになってた」
「それ、あまり答えになってない気がする……」
「良いじゃん、別に」
「まあ、そうだな」
理由なんてぶっちゃけ何でも良いのは確かだ。こうやって愛し合ってる事に意味はあるが。
「ケンとのキス、今日は甘いね」
「それは……多分シロップが原因だと思う」
「そっか。でも、それだけじゃないと思うな。ケンとのキスは、いつでも甘々。すっごく美味しい。だから、キスは大好き。恥ずかしいけどね」
やっべえわ。今日、理性と心臓は大丈夫かな?
いや、理性は案外何とかなるか。幸福感に溺れちまえば良い話だから。彼女との時間をひたすらに楽しみ、そして幸福感を得る。心臓の方は心配になるが、野生に戻る事はない。
別に、そういった欲求がないのではない。彼女が魅力的でない訳でもない。これで魅力的じゃないとか言ったら、間違いなく誰かに殺されるわ。
「優花は、どこまで俺を君に惚れさせるつもりだ?」
「う~ん、そうだね。ケンが私以外の女を見ても、無関心になっちゃうぐらいかな。優奈ちゃんだけは仕方ないにしても、他の女に目が行っちゃうのは嫌だから」
「無関心、ね。案外難しいんだよなァ」
「知ってる。だから、もっと私に惚れさせたいの」
「そ、そうか。何だか今日は、本当にグイグイ来るな……」
その後も俺たちは、何度もキスをした。
ちなみに一線は越えなかった。マジで危なかった。
後方師匠面してるリスの亜人さんからのアドバイス。
「自分色に染め上げてしまえば、他の女には無関心になっちまう。そうなれば勝ちだ。でも、全ての女を敵に回すのは色々辛いからね。1人だけは許してやれる度量があると、精神的に潰れずに済むよ」
ドジっ子だけど一途なクマの亜人ちゃんからのアドバイス。
「殿方は攻めに案外弱いです!」
優花っち、今夜だけ攻め攻め。次はいつになるかな?
マックくんの新たな恋人候補
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〝初恋枠〟優奈ちゃん
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〝妹枠〟ルウちゃん
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〝大穴枠〟恵里さん
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ハジメくんの嫁候補以外のクラスメイト
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アルテナを始めとする亜人族の皆様方
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〝英雄〟に嫁ぎたい帝国住まいの方々