異世界でもお前のパンチを見せてやれ! 作:Hetzer愛好家
ハジメくんの思考が原作以上にヤバくね問題ですが、最終盤で吸わせた鉄粉を錬成してたからセーフ!(はっ?)
ステータスプレートを渡されてから2週間が経過した。
みんな、それぞれ天職に合ったアーティファクトや道具を渡されて、一様に強くなろうと頑張っている。
俺は籠手と脛当てを渡された。が、脛当ては即刻お蔵入りである。無駄な重量物は要りません。
ちなみにアーティファクトではない。シンプルに頑丈なだけの籠手だ。
実は籠手のアーティファクトも存在していたのだが、そいつは他の奴に譲ったのである。
さて、クラスメイトがそれなりに纏まって訓練を頑張っている間、筋肉痛で動かない身体にムチを打ち、どうにかこうにか自身の持つ技能と、追加で俺とのトレーニングをこなすハジメと共に、俺は変わらず研鑽を続けている。
通常の体作りとは別に、最近はミット打ちに近い事も行っており、着々とハジメは肉体改造が進行中だ。
ちなみにこのトレーニング。ハジメが打ちたい場所へ好きに打たせているので、俺も反射神経のトレーニングと考えて動いている。
ミット打ちと称したが、実際にミットを打ってるのではなく、互いに借りたボクシンググローブを装着してのスパーリングと言った方が表現としては正しい。俺からは指示を飛ばすのがほとんどで、滅多に攻撃反撃を仕掛けないが。
強くなりたい。迷惑をかけたくない。その一心で腕が上がらなくなるまで拳を振るうハジメの姿は、少なくとも俺の心をガッチリと掴んでいた。
「よし良いぞ。次はワン・ツー!」
「シュッハッ!」
「そのまま打ち続けろ! ラッシュラッシュ! その最中でも俺のグローブから目を離すなよ!」
ワン・ツーを起点とし、左ジャブと右ボディフックでラッシュを仕掛けるハジメ。
たまに軽く左ジャブや左フックで打ち返してやると、しっかりスウェーやダッキングで回避してから右のボディアッパーやストレートを打ってくる。
無論、俺も食らうつもりはない。パーリングを駆使してパンチを打ち落とすか、打ち落としてから更に右を使ったストレートで逆カウンターを仕掛けたり。
「ぶっ!?」
「まだ立ってられるぞ! 1発程度で根を上げるな! 腕が上がるなら、脚が動くなら攻めろ攻めろ攻めろ!」
「ぐっ、おおお――!」
たまにハジメが被弾をしても、激励を投げかける事でダウンは許さない。
凄まじい鬼トレーニングだ。元の世界でこんな教え方したら大炎上物である。しかし、ハジメも諦めずに腕が上がるか脚が死なない限りは向かってくる。
生き死にが懸かってる現在において、甘っちょろいトレーニングは意味を持たないのだ。
「よーし、ナイスど根性だぞ! その諦めの悪さが最終的な勝利へ直結するから、忘れずに継続だ!」
返答の代わりに拳を返すハジメに、俺もニヤリと笑って応対する。
俺の動きを見て学び、己の動きにトレースしては打ち破られ。またトレースして身体を動かしての繰り返しだ。
当然ながら死ぬほど大変だが、早く強くなるにはこれが1番である。
「ぐ、かっ」
「大丈夫か?」
「も、もう動けない……」
「分かった。それじゃここまでにしよう」
ハジメが文字通り倒れるまで行ったら、後はひたすらに回復のためのストレッチだ。
まずは用意していた水を飲ませて失った水分を補給。同時にタオルを投げ渡して汗を拭わせ、更に息もゆっくり整えさせる。
その間、俺はメイドさんに言って塩、砂糖、レモン、追加の水を頼む。
ここのメイドさんは優秀だ。10秒もあれば、頼んだ物が手元に届く。
俺は水に塩、砂糖、レモンを良い塩梅で入れて混ぜ合わせると、完成した即席スポーツドリンクをハジメに手渡した。
「こいつもゆっくり飲め。スポーツドリンクだ」
「あ、ありがとう……ああ、身体に染み渡るなぁ」
「トレーニング後のスポーツドリンクと甘い物は本当に美味い。一通りストレッチが終わったら、一緒にチョコバーでも食べようぜ」
パンパンになっているハジメの手脚。それを俺は、指圧や徒手抵抗によるマッサージで解していく。
最初のうちは悲鳴を上げてたハジメだが、最近は随分と気持ち良さそうにマッサージを受けてくれる。
「マッサージにも慣れてきたか?」
「うん。いや、まだ痛いには痛いんだけどね。痛気持ちいいって感じだよ」
「そうかい。にしてもこんだけパンパンにして、あれだけ動けるなら大したもんだ。初心者であんなに食らいつく奴、俺は初めて見たぜ?」
「今回ばかりは逃げてられないからね。まだ僕は死にたくないし」
「理由はこの際何でも良い。ただ必死に頑張れる事が重要だからな」
才能があろうと、なかろうと関係ない。強かろうと弱かろうと関係ない。
全ての努力が報われるとは言えないが、しかし成功者はみんな努力をする。努力をしておいて損はないのだ。
「いやあ、それにしてもさ。確実に慣れない西洋剣を振り回すより、自分の身体をフルで使うボクシングの方が色々と馴染みやすいね」
「一般動作の延長だからな。道具を使うよりかは身体にも頭にも馴染みやすいだろう」
俺も武器類はからっきしだ。この拳しか使えない。
「触れないと発動しない〝錬成〟との相性も何気に抜群だから、ボクシングの動きを覚える事で非戦闘系の天職も戦闘に使えるようになりそうだよ」
「ああ、確かにな。ボクシングの技術でいかに相手の攻撃を掻い潜るか、あるいは己から仕掛ける術を頭に叩き込んでしまえば、後は地面を〝錬成〟するだけか」
「ふふ、地面だけとは限らないよ」
「何だって……?」
マッサージも終わったので、ハジメの言葉の真意を確かめようとする。
だが、ハジメは軽く笑って立ち上がり、シャツを着替えてから荷物を纏めてしまった。
「食堂に向かいながら話すよ。ある意味で秘策だから、まだ真久野くん以外には話したくないんだ」
そういう事ならと、俺も立ち上がる。
食堂にもメイドさんが常に待機しており、何か食べたい料理を言えばすぐに提供してくれるのだ。
「んで、俺には話してくれるんだな? その秘策って奴」
「この秘策は、真久野くんとのトレーニングがなければ実行できない代物だったからね」
そう言いながら、ハジメは手荷物の中から手袋のような物を出した。
「これは、錬成の魔法陣が刻まれた手袋か? ステータスを見た時にもらった。いやしかし、こんな形だったか?」
「練習がてら、色々と錬成してみたんだ。主に武器兼防具としてね」
「武器兼防具?」
「これ、総合格闘技のグローブを参考にしてるんだ。指まで隠れる形だし、拳の部分は錬成した軽い鉱物で保護してるけどね」
言われてみれば、形状は確かに総合格闘技のグローブと酷似している。
実際のグローブは、撲殺を防止するためにある程度柔らかくなっているが。このグローブは、コンセプト的には真逆を行く性能をしてそうだ。
「前提として、この手袋で触れた物は僕の詠唱によって〝錬成〟の効果をもたらす。大体は手のひらなんだけど、実は拳部分でもそれは変わらないんだ」
「……何となく見えてきたぞ」
「あ、流石だね。結論を言ってしまうと、この手袋を装着してボクシングの動きでパンチするんだ。上手く行けば、防御しようと翳した武器や防具を錬成で使い物にならない状態にできちゃうよ。生身の部分にヒットすれば、体内の鉄分に作用するから……」
「ちょっと待て。サラッとエグい事を考えてるなお前」
確かに上手く行けば、格上であっても有効打を与えられる必殺の秘策と言えよう。
だが、体内の鉄分にまで作用する事に目をつけたのは恐ろしすぎる。非常にクリエイティブだし、魔耐を持ってしてもバカにならないダメージを負わせられるだろうけど。体内の鉄分を変化させる事で、意図的に貧血を起こす事も可能だろうけど。
「凄い通り越して怖いなハジメ」
「うえ!? いや、僕はこの非戦闘系天職を何とか戦闘で使えるように……」
「分かってる。ちゃんと分かってるぞ。内部破壊は実に理に適ってる。俺も実際にやってるからな。だけどな、着眼点エゲツなさすぎるわ」
そんな使い方をする奴、絶対この世界の歴史上で他に居ないと断言できる。
非戦闘系天職を戦闘で扱う発想自体、そもそもなさそうだ。
「え、えーっと。そんな秘策なんだけど、ちゃんと欠点もあるんだ。結局のところ錬成は魔法だから、防具に強い魔力耐性があると通用しないと思うし、せり上がるようにしか錬成した物体は動かないから内からの串刺しには時間がかかるし、そもそも接近しないと扱えないのは変わらないし。ああ、それと殴る時に変化のイメージを持たないとだから、これまでの倍は頭を使うね……」
「まあ、確かにその辺は大きな欠点になるな」
「その欠点を解消するために、これから色々と試行錯誤していくつもりさ。でも、取り敢えず行き詰まるまでは、僕も真久野くんと同じくボクサースタイルで戦ってみるよ」
そう言って目を輝かせるハジメは、何だか随分と男らしく、そして逞しくなったように感じる。
この2週間、毎日のように顔を合わせてはトレーニングをしていたので気に留めなかったが、心なしかガッチリとした身体になったように見えた。
マックくん→限界まで威力を集束したパンチで、より少ない手数で骨を文字通り粉砕する。内臓に骨が突き刺さるなんて日常茶飯事だよ!(はっ?)
ハジメくん→武器や防具を殴れば、対策してなければあっという間にグニャグニャに。人体、特に出血している箇所を殴れば血液内にある鉄分を変化させて内部から破壊。どことなくメタリカに似てるね。アレみたいに切り裂く芸当はできないけど、傷口は広げられるから更なる出血を強いて貧血を起こしたりパニックを起こしたりできるよ!(えっ?)
作者の言い訳→こうでもしないとハジメくん肉体改造計画が遂行できなかった。本当に申し訳ない……。
あまりにも鬼トレーニングなので、小悪党組が絡む隙間まるでなし。更には、常にハジメくんの横にマックくんがいるので、襲撃も実質不可能。詰み。
※ハジメくん(とマックくん)の技紹介
✦ワン・ツーパンチ
…最初にハジメくんが取得したボクシングの必殺ブローになり得る技術。基本は左ジャブと右ストレートのセットなので、実行だけなら容易。ここにハジメくんは、2発目の右ストレートを右フックに変えて威力を増強している。意外とストレートの破壊力を100%フルで伝えるのは難しいのだ。
ハジメくんのワン・ツーパンチだと、スマブラ的に見たら1発目の発生は12Fぐらい。ちなみにマックくんは4F。ヤベえ。
ジャブで相手の動きを止め、2発目の攻撃で敵を粉砕する。モロに受ければハジメくんレベルのパンチであってもダウンは必須。マックくん? 死ぬわ。
ハジメくんはこのワン・ツーパンチを軸の立ち回りをする。ラッシュもワン・ツーパンチの連発であり、左ジャブと右フックをひたすら交互に繰り出す。
マックくんの新たな恋人候補
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〝初恋枠〟優奈ちゃん
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〝妹枠〟ルウちゃん
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〝大穴枠〟恵里さん
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ハジメくんの嫁候補以外のクラスメイト
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アルテナを始めとする亜人族の皆様方
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〝英雄〟に嫁ぎたい帝国住まいの方々