異世界でもお前のパンチを見せてやれ!   作:Hetzer愛好家

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人を殴るのは慣れているさ

 翌朝。ブルックの町の正面門へ行くと、護衛対象の商隊と雇われた冒険者たちが集まっていた。どうやら、俺たちで最後のようだ。

 

「お、おい。まさか残りの冒険者って〝帝国の覇者リトルマックと奥方様〟に〝決闘スマッシャー〟なのか!?」

「ウッソだろ!? てか、あっちの金髪美少女と兎人族……もしかして、〝股間スマッシャーズ〟じゃねえか!? それにあっちの白髪美少女は、破壊された股間を応急処置してくれる〝慈愛の聖女様〟だ!」

「マジかよ、嬉しさと恐怖が一気に来るんだけど!」

「見ろよ、俺の手。さっきから震えが止まらないんだぜ?」

「いや、それはお前がアル中だからだろ?」

 

 随分と賑やかなお出迎えである。嫌いではないが、もう少し自重した渾名はなかったのか?

 

 やや顔が引き攣った状態で、ハジメと白崎は商隊のリーダーに依頼書を渡している。俺と優花ももそれに倣い、依頼書をリーダーに手渡した。

 

「君たちが最後の護衛だね。私の名はモットー・ユンケル。この商隊のリーダーをしている。君たちのランクは未だ青だそうだが、キャサリンさんからは大変優秀な冒険者と聞いている。道中の護衛は期待させてもらうよ」

「……もっとユンケル? ……商隊のリーダーって大変なんだね……」

「ハジメ、多分違うぞそれ」

 

 とある栄養ドリンクを想起させる名前に、ハジメの表情は何だか同情の色を帯びている。白崎も同様だ。

 

 どうしてそんな目で見られるのか分かってないモットーは首を傾げながらも、「まぁ、大変だが慣れたものだよ」と苦笑気味に答えた。

 

「まあ、道中の護衛はそれなりに期待して大丈夫ですよ。僕より強い人もここにいますし」

「……あ、俺? 強さの基準がいまいち分からないから何とも言えないがな。取り敢えず、責務はしっかり果たすつもりだから安心してくれ」

「頼らせてもらうよ。ところで、この兎人族……売るつもりはないかね? それなりの値段を付けさせてもらうが」

 

 こちらへの興味を失い、シアへ目線をモットーがやったところで、俺は優花と共に商隊の後方へと足を運んだ。ハジメがどう答えるかなんて明白なので、心配は全くしていない。

 

 出発時刻までまだ少しある。ジッと待つのが苦手なので、俺はその場でシャドーボクシングを始めた。

 

 寝起きからそこまで経過してない身体なので、少々動きが鈍い。今のうちに動かせるようにして、不測の事態にも対応できるようにしなければ。

 

 そこまで激しい物ではなく、あくまで身体を温める目的のシャドーボクシングなので、基本のジャブを何度もスイッチしながら繰り出しつつ、自身の調子を確認していく。

 

 ジャブだけでも相当な種類がある。シンプルな単発ジャブ、間合いを測るジャブ、2連ジャブ、ボディジャブ、打ち下ろし気味のジャブ等々。全て左右で実践するともなれば、それなりの時間パンチを打ち続ける事になる。ウォームアップとしては最適だ。

 

「相変わらず速い。それでいて、形が全く崩れないわね」

 

 綺麗なフォームで打ち込むパンチが、最も威力を発揮しますからね。

 

 ジャブですら相当な破壊力を秘めており、同体重のボクサーならマトモに受ければすぐさまダウンするだろう。で、このジャブを無数に繰り出すのがK.O.ラッシュ。弱い訳がないのよ。

 

 それなりに身体が動くようになったところで、商隊が出発するとの号令が来たので、俺はタオルで軽く流れる汗を拭きながら、護衛任務の方へと意識を切り替えた。

 

 フューレンまでの距離はおよそ6日。のんびりやって行こうではないか。

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

 それから3日間。魔物や野盗の襲撃はなく、実にのどかな空気で商隊は進んでいった。

 

 道中では、先輩の冒険者から様々な冒険者のイロハについて教えてもらった。

 

 特に興味深かったのが食事。護衛任務中の冒険者の食事は、自腹で持って行くのが基本だ。しかし、あまり大量に持って行くとなると、荷物が嵩張ってしまい、いざ戦闘になった時やシンプル歩く時に邪魔となってしまう。それ故に、カロリーメイトのような携帯食が主になるらしいかった。栄養面問題あるだろと思ったのだが、そこはファンタジー世界。見てくれはカロリーメイトのバーでも、1本で1食を賄えるだけの栄養が入っているそうだ。

 

 非常食としても大変便利であるし、何よりチョコバー型のもあると聞いたので、フューレンに辿り着いたらいくつか買ってみようなんて考えている。

 

 なお、荷物が嵩張るなんて悩みがゼロな俺たちの食事は優花、白崎、そしてシアが毎食作ってくれるので常に栄養満点。お腹も心も満たされているのが基本だ。羨ましい事この上ないだろう。

 

 1日目はスルーしていたのだが。2日目には冒険者たちの目が飢えた獣みたいになっていたので、見かねた優花が他の女性陣と相談し、全員分作るとの事で話が決まったので、現在俺たちはセオリーガン無視の食事をしている。

 

 レストランで育ち、そして働いてきた優花の存在もあり、大量に料理を作るのも苦ではないとの事なので、俺たちもゴーサインを出した。

 

 なお、俺の料理だけは別途で作られている。当然のように優花お手製。今日も恋人の作る手料理が美味い。

 

 2日目の時点では恐る恐る優花たちの作るご飯を食べていた冒険者たちも、3日目にもなるとすっかり慣れてしまい、ガツガツと温かい料理に舌鼓を打っている。

 

 今日のメニューは、豪勢なシチューモドキにふかふかのパンを浸して食べるという物だ。

 

「はいケン。あなたの分のシチューと手作りパンよ」

「パンって手作りできるもんなのか。料理人マジで凄いんだな……うん、今日もめっちゃ美味い」

「ふふ、いっぱい味わってね」

 

 刺さる視線も非常に多い。女性からの、1個人に向けた手料理というのは、男なら誰もが夢見る物である。羨ましく、そして妬ましく思うのも仕方のない事であろう。

 

 しかし、だからと言って遠慮はしない。見せびらかすかのように、俺はとことん手料理を味わって食べる。

 

「だーっ、くそ憤死しそうなぐらいに羨ましい! 俺もあんな風に、可愛い女の子からの手料理を食べてみてえよぉ!」

「分かる、すっげえ分かるぞ! チクショウ、まずあんなに可愛い子と話す事すらできねえってのに……」

「香織ちゃんはアプローチしても全く相手にしてくれないし。ユエちゃんなんかは睨まれるだけで股間の危機感じるし! シアちゃんに至っては、お師匠様一筋……ワンチャンスもないのが悔しすぎるっ」

「見せつけられる俺たちの立場にもなれよチクショウ!」

 

 おーおー、非難轟々だねぇ。嫉妬心が浮き彫りであり、女性の冒険者たちからは非常に冷めた目で見られているのも分かってると思うのだけど、それでも口にする辺り相当である。ドス黒い感じはないから、特に気にしちゃいないが。

 

 恋心を自覚して日が浅いシアは、初々しい感じながらも「お師匠様一筋なんです!」と丁寧に断る様子が、可愛らしく庇護欲を唆られるので女性陣には人気があるらしいのは、今さっき女性の冒険者の呟きを聞いた事で知った。初々しいの良いよねぇ。めっちゃ分かる。

 

 前は優花も初々しいところがあったのだが、帝国で過ごしてから変わりつつあるな。今の攻め攻めな彼女はどうなのかって? 好きに決まってるだろ。

 

「ケン、串焼き肉はいる?」

「ん、おう。あるなら食いたい」

「ふふ、なら……あ〜ん」

「……あーん」

 

 逆らいはしない。気恥ずかしさはゴミ箱に捨てた。

 

 肉を咀嚼して嚥下。うん、美味い。顔は熱いが、肉は相変わらず美味い。

 

 何となく、ありがとうの意を示したくなって優花の頭を撫で回す。

 

 するとどうだ。彼女の顔が、一瞬で真っ赤に染まった。

 

「……人目っ」

「手料理振る舞って、バカップルみたいに串焼き肉を食べさせておいて、今更人目を気にするのか?」

「それはっ……まあ、うん。料理作るのは、私にとっては普通の行為だし。食べさせるのは……無意識だった」

「変なの」

「うるっさい」

 

 可愛いから許す。

 

 ハジメたちの前では気にしないようだが、見ず知らずの他人の前で、意識して恋人ムーブするのは流石に羞恥を感じるらしい。

 

「ハジメ」

「うん、何かなマックくん」

「俺の恋人が可愛い」

「惚気話をいきなり投げないでくれるかな? シチューの味が変わっちゃうよ」

「進行形で砂糖を撒き散らしてるハジメが言うんか……」

 

 美少女を侍らせ、外面はあくまで平常心を装っているハジメくん。糖度で言えばどっこいどっこい。お互い様である。

 

「頼むから爆発しろ!」とこちらを見ている男の冒険者たちと、絶対零度の目でその様子を眺めている女の冒険者たちを尻目に、手作りパンを最後の一欠片まで全力で味わって食べていた俺だったが、常に展開されている〝気配感知〟に何かが引っかかった。

 

 魔物の持つ気配ではない。もっと、悪意を持った人間の物だ。

 

 優花も気がついたようで、〝小さな魔剣〟シリーズを取り出し懐に忍ばせている。

 

 鋭敏な耳を持つシアも、悪意を持った何かの襲来を悟ったらしい。ウサミミをピンと伸ばし、良く通る声で警鐘を鳴らした。

 

「敵襲です! 数は20、人間の物です! 森の中から来ます! 接敵まで、大体3分後ぐらいになりますよ!」

 

 シアの警告を聞き、冒険者たちに一気に緊張が走る。現在通っている街道は、森に隣接してはいるが其処まで危険な場所ではない。何せ、大陸一の商業都市へのルートなのだ。道中の安全は、それなりに確保されている。故に、魔物の襲撃こそ散発的にあるのだが、数はそこまで多くない。野盗の出現なんぞまずない、はずだった。

 

「何、野盗か!? 滅多にないってのに貧乏くじ引かされたなチクショウめ!」

 

 あまり報告例はないのだが、ゼロとは言い切れない上に、捕縛も難しい野盗の襲撃に、護衛隊のリーダーであるガリティマは、苦々しい顔で悪態を吐く。

 

 数の多い魔物の群れの襲撃よりも、更に厄介だとされる野盗の襲撃は、無傷で商隊を守り切るのは困難を極めるそうだ。何かを守りながらの戦闘ほど、難しい物はない。数的不利があるなら尚更だろう。

 

 一騎当千の強者が何人もいるなら、話は別だけどな。

 

「リーダーさん。他の護衛を引き連れて、商隊の防御を固めてくれないか? 野盗は俺たちが追い払うよ」

「えっ?」

「打ち漏らしはないようにするが、万が一がある。戦力を上手く温存しなけりゃならない。そうだろ?」

 

 殺すつもりは毛頭ない。だが、追い払うに留めるならば、俺たちの防衛ラインを突破する輩が現れる可能性もゼロではない。

 

 正直、犯罪行為をする輩相手に加減も何もなくて良い気はしてる。が、一線を越えてしまったら、ズルズルとその後も血みどろの道を征く事になるだろう。

 

 甘いかもしれないが、可能な限りそれは避けたい。殺すのは、立ち塞がるかもしれない神だけで良い。

 

「ま、まあ商隊を無傷で守るのは難しいと思ってたところだから、その申し出はありがたいんだが……その、大丈夫なのか? 相手は恐らく、これまで何度も商隊を襲撃している手慣れの野盗だぞ」

「なあに、全く問題ないさ。数は20だろ? 近距離戦闘のエキスパートが3枚も揃ってる上に、後衛もバッチリ揃ってる。余裕だ余裕」

 

 この中で1番人を殴り慣れてるのは、間違いなく俺であるのだが、ハジメとシアも制圧程度ならそれなりに場数を踏んでいる。ハジメは、対人制圧のための技を幾つも編み出してる猛者。シアに関しても、お師匠様に倣って対人制圧術は学んでいる。

 

 いざとなっても、優花のナイフがあれば野盗は近寄れないはずだ。彼女の波状攻撃を切り抜ける事は、俺たちでも困難を極める。そして仮に切り抜けても、後方には魔法のエキスパートであるユエと白崎が待っているし、何なら詠唱を完了した冒険者たちもいるはずだ。

 

 負ける要素はどこにもない。

 

「マックさん、接敵まで残り1分ぐらいですよ〜」

「了解。後衛組は馬車の屋根の上に。冒険者たちは商隊を囲むようにして詠唱しながら待機。ハジメとシアは隊の右側。俺は左側を引き受ける」

 

 ガリティマは、一瞬逡巡こそしたが、すぐさま俺の指示を聞き入れて他の冒険者を動かし、陣形を整えてくれた。この辺りは流石ベテランの冒険者と言えよう。迅速な指示により、陣の形成もあっという間だ。

 

 俺は緑のスウェットを着込み、衝撃波が飛ぶ籠手を装着してジッと森の一点を見つめる。

 

 徐々に接近する複数人の気配。数は10か。戦力をしっかり分散しておいて正解だったな。

 

 飛び出る予定の者と後方で魔法の準備をする者で別れるようで、コソコソと話しながら野盗たちは森の木々の影で忙しなく動いている。奴らの不幸は、〝気配感知〟に優れた者が大勢いる商隊を襲撃した事。これに尽きる。

 

「悪いが、魔法を使う奴らは先んじて気絶してもらうぞ」

 

 その場で地面を踏み抜くと、俺は野盗が隠れている木に向かってスマッシュストレートの衝撃波をブッパなした。

 

 空気が破裂するぐらいの勢いで発射された衝撃波は、野盗が異常を認識するよりも早く木をへし折ってしまった。下敷きになった奴もいるようで、早速混乱している。

 

 隠れ蓑となっていた木を失った事で、慌てて移動しようとする野盗たち。その中でも明らかに後衛適性であろう奴らに目掛け、数発スマッシュストレートをブッパすると、いとも簡単に意識を刈り取れてしまった。この程度は造作ない。

 

 俺の先制攻撃により、混乱が生じた右側に陣取る野盗たちは、前衛組が自棄っぱちになって俺の方へと突撃してきた。数は6人。下敷きになったのが1人で、後衛は3人だったので、半分近く削れているな。

 

 俺はスウェットを脱ぐと、野盗の戦力分析をするべく目を凝らす。

 

 スマッシュストレートの炸裂音を聞いて、ハジメたちの方で陣取っていた野盗も動き出したようで、向こう側でも戦闘が始まった。

 

「クソ、聞いてねえぞあんな攻撃!」

「喋る暇があるなら少しでも速く走れや! 少しでも数を減らして……っておいおい、お出迎えは1人か! 何とかなるかもしれんぞ!」

 

 数の有利。しかも、相手はたった1人の小童。数の暴力で押し潰してしまえば、絶対に勝てる。そう思っているようだ。

 

 が、特に臆する事も恐れもせずに、俺は敵が何を得物にしてるのかを確認すると、全力で〝気配遮断〟した上で強烈なスタートダッシュを切った。彼らには悪いが、気絶した事も気がつかないぐらいの速度でK.O.してもらう。

 

 最前線を走っていた、ナイフを持っている野盗の眼前で止まると、こちらを認識するより前にハジメ式のワン・ツーパンチを叩き込んでノックアウトする。

 

 脳への衝撃は、そうバカにできる物ではない。どんな巨漢でも、脳震盪によって呆気なく倒れてしまうのだから。

 

 結構な勢いで頭が揺れていたので、目が覚めても障害は残るかもしれないが、犯罪行為に対する罰には丁度良いだろう。迷いなく突撃してるとこから、人殺しに忌避感はないようだし、2度と立てなくしてもやり過ぎにはならんはずだ。

 

 先頭の者がグラリと揺れ、前に進みながら後ろに倒れるという異常事態で明らかな動揺を見せた最後方のショートソードを持つ野盗に、ダッシュからのスマッシュアッパーカットで天まで吹っ飛ばす。顎は潰れ、脳も揺れている。まず立てない。

 

 勘が良いのか、異変を感じて咄嗟に後ろを振り向いた野盗は顔面をハンマーパンチで打ち抜き、地面に後頭部をぶつけさせて気絶させたところで、俺は〝気配遮断〟を解いた。テキトーな野盗の眼前で。

 

「おっす」

「うわ!?」

 

 はじめましてサヨウナラ。永遠に立てなくなっちまえ。

 

 ダイナマイトアッパーカット……の動きで金的を潰し、ついでに骨盤を歪ませる程度にまで威力を落とした事で、野盗は泡を吹きながら気絶するだけで済んだ。

 

 残り2人。

 

 ようやく俺の姿を捉えられたようで、残った野盗2人の目は剣呑に細められている。

 

「クソガキ。テメエ、こんな事をしてただで……」

「済むでしょ。だってアンタたち、もう2度と俺と会わないんだし」

 

 お喋りするつもりはない。不用意に口を開いた、槍を持っていた野盗に急接近。ド至近距離で槍を扱うのは困難極まりないので、奴は何も抵抗する事ができずに、俺のスマッシュボディフックを受けた。

 

 肋骨が内蔵に刺さるかどうかギリギリのところで留めたので、野盗は地面をのたうち回るだけだ。それだけ盛大に暴れていたら、そのうち折れた骨が内臓の方にグサリしそうだけど。俺の知った事ではない。

 

「最後はアンタだな」

「クソッ、何なんだよお前は!?」

 

 カタカタと震えながら、それでも懸命に2本のナイフを構える野盗。

 

 答えてやる義理はない。フル無視である。

 

 言葉を返す事もなく、俺はダッシュで接近すると、天を凪ぐような形の裏拳を野盗の脳天に叩き落とした。

 

 そのまま下へ直行……はせず、重力を完全に無視して野盗の身体は宙へフワリと浮き上がった。

 

 重力魔法を手に入れ、少ない魔力消費でちょっとしたベクトル変更なら行えるように、こっそり鍛錬していた甲斐があったな。

 

 無論、打ち上げて終わりではない。

 

「トウッ!」

 

 回転しながら右でドリルブロー。奴の後頭部を、少しずつ確実に削っていく。4回転ぐらいしたタイミングで、そこから左拳を禿げ上がった後頭部に突き刺し、更に〝空力〟を使って跳ね上げるようにアッパーを放った。

 

 使いどころが難しいが、威力は相応に高い技のライジングアッパーカットである。

 

 ドリルみたいに回転し、命中した対象の体を削る事に着目した俺は、この技を性質が変化したアンチエアナックルと共に、対人制圧の必殺技として使う事を決めたのだ。

 

 後頭部へのパンチは、特に障害が残りやすい事からボクシングでは禁じ手となっているのだが、そんな事は関係ない。永遠に立てなくするための手段は選ばんぞ。

 

 クルクル回りながら地面に着地した俺は、後から地面に落ちた野盗には目もくれずにハジメたちの方へと走る。心配はしてないが、現状が気になるのだ。

 

「ケン、お疲れ様」

「おう。あっちの首尾はどうだ?」

「問題なさそう。もう残りが3人とか」

 

 馬車の屋根の上に飛び乗り、優花の隣に立ってハジメたちの様子を自分の目でも確かめる。

 

 場面は丁度、ハジメが左のガゼルパンチで棍棒を手にした野盗を気絶させたところだ。

 

「次ぃ!」

「うわ、こっちに来て――」

「シアさんパス!」

 

 お、ハジメは魔法の杖らしき物を持ってた野盗を捕まえて、グルリと後方に方向転換しながら蹴り飛ばした。ガノンの後ろ投げだなアレは。

 

「合点ですぅ!」

 

 兎人族としての特徴を存分に活かす、必殺の蹴撃。サマーソルトキックで顎を蹴りながらも数メートルは上昇したシアは、ジャンプの頂点でクルリと回転した勢いで足をまた振り上げる。そして、自分よりやや上の位置で力なく浮遊している野盗の腹に、垂直近くまで跳ね上がった足、正確には踵で捉えると、思いっきり地面に向かって振り下ろした。

 

 すぐに何をしたか分かった。格闘miiの天地キックだ。最後に急降下こそしてないが、メテオスマッシュしてるところまで類似している。

 

 十中八九、仕込んだのはハジメだな。

 

 最後の野盗を、見取り稽古で習得したであろうスマッシュボディフックでノックアウトしたハジメを見ながら、俺は教え子の成長を勝手に喜ぶのだった。




 ハジメくんがガノン。シアさんは格闘miiやフォックスの技を多く取得してます。

※マックくんの技紹介
★アンチエアナックル→ライジングアッパーカット
…上強上B。今回はダッシュ反転上強から。台上だと80%ぐらいから撃墜が見える。キャラによっては60%ぐらいから。このコンボと、貧弱空下ダウン連のお陰で台があっても何とかやれるのがマックくんです。

 重力魔法を鍛錬した結果、アンチエアナックルが対空兼お手玉技に進化した事で可能になったコンボ。対人制圧に使用する場合は、後頭部を削ってから打ち抜く。

マックくんの新たな恋人候補

  • 〝初恋枠〟優奈ちゃん
  • 〝妹枠〟ルウちゃん
  • 〝大穴枠〟恵里さん
  • ハジメくんの嫁候補以外のクラスメイト
  • アルテナを始めとする亜人族の皆様方
  • 〝英雄〟に嫁ぎたい帝国住まいの方々
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