異世界でもお前のパンチを見せてやれ!   作:Hetzer愛好家

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 アカン、シリアス続き。そろそろギャグに走りたい。


無能? 異常だろ?

「なるほど……目撃者も多い事ですし、その言葉に嘘偽りはなさそうですね」

 

 ギルドの職員に連れられて入った応接室。そこで俺たちは、秘書長のドットと名乗る男に事情を事細かく説明していった。

 

 なお、別室にてレガニドと豚人間も事情聴取を受けている。どんな酷い主張が出てるんだろうね?

 

 今回に関しては、文句の言いようがないぐらいに正当防衛だと思う。殴られたので、障壁張って攻撃を防いだ。不平等にも程がある条件を提示されて人売を強要してきたので、全力を持って反論した。そもそもの発端も、豚人間が不必要にこちらに干渉しようとしたから。僕たち何も悪くねえ。人畜無害です(菩薩スマイル)。

 

 ただ、秘書長的にどうしても気になる点があるらしい。

 

「それにしても、〝黒〟のレガニドを無傷で捕縛。攻撃も全く通じない障壁を張る。不思議ですね。1度、あなた方のステータスプレートを拝見してもよろしいですか?」

 

 確かに、一般的に見ればかなりの異常事態だ。駆け出しの冒険者が、熟練の戦士相手に無傷で圧勝。どんなマジックを使ったのか、気になる事だろう。

 

 俺と優花の素性を明かすのは構わないし、現在は行方不明者扱いされているハジメと白崎に関しても、ここで正体をバラしても特に大きな影響はないだろうが。このまま詮索されて、ユエとシアについて深掘りされるのは少し面倒である。

 

 身分証明はまず間違いなくしなければならんのだが、異様な固有技能を隠蔽前に見られると、また新たな面倒事が舞い込む可能性大。どうした物か。

 

 ハジメも同じ事を懸念しているようで、事情を説明している最中から顔色が優れない。

 

 取り敢えず俺のステータスプレートを手渡しながらも、頭の中ではひたすら打開策を考える。

 

「ふむ、〝青〟ですか。それにしてもこの名前、どちらも見た事があるような……」

「あー、俺は帝国の方で少し有名人なんですわ。リトルマックと言えば分かるかな?」

「リトルマック……!? 帝国で最近開催された拳闘大会で優勝した、あのリトルマックですか!? ……ああ、でも。それならば、〝黒〟のレガニドを無傷で圧倒できる理由になりますね」

「えっと、僕と香織もそこそこ有名人ですね。行方不明者って事で認知されてるはずです」

「ああ、道理で見覚えのある名前な訳です。突然起こった〝神の使徒〟の失踪。フューレンの方にも、人相書きに似た顔を見かけたら、すぐにでも王国へ連絡するようにと達しが来ています。ですが、こうも変わられていたとは……」

 

 まあ、白髪になってたら分からんわな。人相書きを見せてもらったが、とっても黒髪だった。まさか、件の人物が白髪になってると想像できる人物は、そう多くはないだろう。

 

「しかし、謎は残りますね。何せ、失踪した〝神の使徒〟のうち、男の方は〝無能である〟と伝わっています。しかし、この情報が正確なのでしたら、〝無能〟がどうやって〝黒〟を相手にしても全くの無傷なのか。とても説明ができない」

「へえ、無能と伝わってるのか……」

 

 嫌な記憶を思い出す。愚かな人間たちによる、愚か極まりない行為を。

 

 少々顔を顰めている俺に代わり、ハジメが話を引き継いだ。すまんな、こうも単純思考な自分が嫌になる。

 

「えと、行方不明云々の話はひとまず置いてくれますかね。それよりも今は、まだ身元証明が済んでない彼女たちに関しての方が大事なのでは? あいにくステータスプレートを紛失してるので、身分証明が難しいんですけど」

「……ええ、そうですね。もしステータスプレートを紛失なされたのでしたら、ギルドの方で立て替える事もできますが?」

「高いし……あ、いや待ってください」

 

 ここでハジメが、懐から紙切れ……いや、アレは手紙だな? 手紙を取り出した。

 

「身分証明になるかは分からないんですけど。実は、知り合いのギルド職員から、揉め事があったらこの手紙をお偉方に渡せと言われてるんです」

「? 知り合いのギルド職員ですか? ……拝見します」

 

 ハジメが取り出したのは、あのオバチャンからもらったと言う手紙である。

 

 ここで俺も手紙の存在を思い出し、なるほどと感心する。すっかり忘れてたけど。

 

 どの程度効力を発揮するかは未知数。しかし、何も手を打たないよりかは遥かに良いだろう。

 

 手紙を怪訝そうな顔で受け取ったドット秘書長。だが、その内容に目を通し始めると、明らかに顔色と態度が変化した。何が記されているのだろうか?

 

……こんな事なら、先に内容を読んでおけば良かったね。

 

 やがて、ドット秘書長は手紙を折りたたむと丁寧に便箋に入れ直し、こちらに視線を戻した。

 

「この手紙が本当なら確かな身分証明になりますが……この手紙が差出人本人のものか私個人では少々判断が付きかねます。支部長に確認を取りますからこのまま待っていてもらえますか? そうお時間は取らせません。10分、15分くらいで済みます」

 

 おっと、これは想定以上の反応だな?

 

 ハジメはダメ元で出したと思うし、俺もこれで身分証明になったらめっちゃラッキーぐらいにしか思ってなかったんだけど。あのオバチャン、マジで何者だろう。

 

 きっかり10分が経過すると、応接室の扉がノックされ、見知らぬ人物が部屋の方へと足を踏み入れてきた。金髪をオールバックにした鋭い目付きの30代後半くらいの男性である。その後ろから、ドット秘書長も続いて入ってきた。

 

「初めまして、冒険者ギルド、フューレン支部支部長イルワ・チャングだ。ハジメくん、香織くん、ユエくん、シアくん。それにマックくん、優花くんで良いかな?」

 

 まさかの支部長登場である。てか、俺だけ名前じゃないんだが?

 

……いやでも、偽名の方を有名にしておけば、後で何かの役に立つかもしれない。我慢だ、我慢。

 

 悶々している俺に代わり、ハジメがイルワ支部長の手を取って握手した。

 

「構いません。名前は手紙にですか?」

「ああ。何やら随分と目をかけられている……いや、注目されているようだね。何かとトラブル気質だから、面倒を見てやってくれとの内容だったよ」

 

 確かに。俺と優花はそうでもないが、ハジメパーティーは相当にトラブルに巻き込まれるな。ブルックの町でも大変だったし。

 

 オバチャン……キャサリンさんが何者なのか気になったシアが、イルワ支部長に詳細を聞いている間。俺と優花はと言うと、ドット秘書長に手招きされて部屋の隅にいた。

 

「あの、いくつか質問をしたいのですが。何故に彼らは、王国へ戻ろうとしないのですか?」

「本来なら、どこかで機会を見て戻る予定だったんだ。けど、俺が止めている」

「あなたが? それはまた……」

「南雲ハジメは救いようのない無能である。そう伝わっているはず。実情に目を向ける事なく、だけど」

「それは、確かにそのように伝わっています。ですが、どう見ても彼は無能ではない。相手の武器を利用し、対象を拘束する。並大抵の事ではありません」

「その通り。ハジメは無能なんかじゃない。ただ、異質すぎる。元から同郷の人間に疎まれてはいたが、今となってはその異常性を恐れられている。特に勇者だ」

「は、勇者様ですか?」

「アレは、ハジメの事を親の仇なのではと思うぐらい嫌っている。同時に恐れている。その上、ご都合解釈しかできない阿呆。支離滅裂な事を言ったんだろう。だが、それを無条件で信じる輩が一定数いる。教会の輩と、同郷の人間だ」

「……なるほど」

「今戻ったら、また厄介事に巻き込まれる。それもとびきりの。だから戻らない。それだけの話さ」

 

 無能だ役立たずだと喚いておきながら、いきなり洗脳したと言い出すバカ野郎。だが、そんな発言でも信じ込む阿呆もいる。

 

「ここだけの話なのですが。南雲ハジメ殿には、白崎香織殿の誘拐の罪に問われています」

「……へえ。大方、阿呆共の仕業だな」

「全ギルドには、発見次第王国への報告。並びに拘束を命じられているのです。ただ……」

 

 ドット秘書長は、チラリとハジメの方を見た。現在彼らは、イルワ支部長から人探しの依頼の話を聞いている。特に断る事もなく、真面目に聞いてるのが実にハジメたちらしい。

 

 そんな彼らを見たドット秘書長は、苦笑しながらこちらに視線を戻した。

 

「とても、罪人には見えないんです。彼がプーム・ミン殿に言い放った言葉も、今の態度も。人を洗脳し、誘拐する人の物とは思えない。これが擬態ならば、あまりにも高度すぎる」

「前提として、ハジメは魔法をほとんど使えない。洗脳なんて絶対に無理な話だが」

「常識が通用しないのが犯罪者。そして異端者です。無理だ、不可能だは通じません。 ……本来ならば」

「違うのか? ハジメは」

「人を見る目が確かにあるキャサリンさんが、問題のある人物ではないと断じているのも要因としてあります。ですが、それ以上に。私も支部長も、この極々短時間で。南雲ハジメ殿の人柄に、随分と魅せられているのですよ」

 

 だから支部長は、あんな風に依頼を出して。その見返りとして、正体も人物の詳細も隠そうとしているのです。そう言葉を締めたドット秘書長。

 

 イルワ支部長も、ドット秘書長も、本来なら厳正中立であるべき立場だ。しかし、それを崩してでも認めたくない何かを感じている。

 

 とんだ人誑しだな、ハジメは。

 

「ハジメの周りに集まった女性はな。ドット秘書長と同じく、アイツの人柄に魅せられ、そして惚れた奴ばかりだ」

「そうでしょうね。彼女たちの顔を見れば、一目瞭然です」

「洗脳なんかじゃない。そんな事をしなくても、ハジメは人を惚れさせられる魅力がある」

「実際、このように魅せられている。私たちも、そしてあなたも……」

「ああ。その通りだ」

 

 俺もまた、ハジメの人柄に魅せられた人物の1人である。

 

 立場や人種を超越してでも、人に惚れられ、そして愛されるハジメ。もちろん不特定多数に好かれるような、誰にでも愛されるキャラではない。しかし、不思議な魅力を持っている人物には違いないだろう。

 

「ドット秘書長。アンタはどうするんだ。立場上、無条件で見逃す訳にもいかないだろう」

「ええ。ですが、どうしても見逃したい。ならば、他者の目からは何かの見返りで見逃すように見せるのが筋でしょう」

「何を依頼する? 秘書長の依頼ならば、立場の弱い冒険者は逆らわないと思うぞ」

 

 ハジメの人柄を正確に理解しているであろうドット秘書長だからこそ。何だけどね。

 

「あなたには、1つ調べ物をお願いしたい。王国で多発している、一時的に姿を消した人間が帰ってきてから、感情が作られた物に挿げ替えられている点について」

「……何だそれは。きな臭すぎる」

「言葉のままです。一時的な失踪が多発してるんですよ。必ず帰ってきてはいるようですが、何やら様子がおかしい。体温は死体のように冷たく、感情もチグハグ。何かを埋め込まれたかのような印象を受ける。そんな報告が、極秘に挙がっているのです」

「それの調査、か」

「無理強いはしません。あなた方が行く道の邪魔になる事も承知しています。ですが……」

「それでも、可能なら頼まれてくれ。アンタがそこまで必死になるぐらい、この案件はヤバいんだな」

 

 ここまで一言も発してない優花の方を向き、どうするか目で尋ねる。

 

 優花は、軽く頷いただけ。俺に任せるの意を見せた。

 

「ドット秘書長。依頼を引き受けよう」

「! 本当ですかっ」

「ああ。ただ、この依頼承諾はあまり表沙汰にはしない方が良い。何せ、案件のヤバさが段違いだ。バレたら雲隠れされる可能性が高い」

 

 麻薬カルテルの摘発。人身売買組織の壊滅。それらと同等レベルのヤバさ。そう思った俺は、この依頼を秘密裏に受ける条件で承諾した。

 

 隠密行動の必要性もかなりあるので、少数人数での行動が望ましい。ここで1度、ハジメたちとは別行動となるだろう。

 

 また前衛と後衛が欠けるのは痛い。しかし、調査して、可能ならば解決までしなければ、後々取り返しのつかない何かが起こってしまう。そんな予感がある。

 

 大切な人たちの笑顔を守るために。未来への障害を1つでも多く排除するために。この身を粉にして調べて来ようではないか。




 人形生産は概要こそ掴まれていないが、異常が発生している事はバレている。ギルドの情報網は広いし優秀。

 ハジメくんたちは、原作通りにウルへと向かいます。一方、魔法反射とかいうドラゴン殺しを持つマックくんと優花さんは王国への調査です。来た道を戻る事になりますが、王国へ行く事=神山への調査もワンチャンスあると考えてます。

マックくんの新たな恋人候補

  • 〝初恋枠〟優奈ちゃん
  • 〝妹枠〟ルウちゃん
  • 〝大穴枠〟恵里さん
  • ハジメくんの嫁候補以外のクラスメイト
  • アルテナを始めとする亜人族の皆様方
  • 〝英雄〟に嫁ぎたい帝国住まいの方々
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