異世界でもお前のパンチを見せてやれ!   作:Hetzer愛好家

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ギガVSギガ

「騒がしくしてすまん。だが一大事だ!今すぐ全国民に避難を呼びかけてくれ!」

 

 ランズィも丁度、ついさっきギガクッパの姿を目にしたようで、大急ぎで避難勧告の発令をしようかと考えていたところらしい。

 

 凄まじい剣幕で執務室へ飛び込んできたのが後押しとなったようで、とんでもない無礼を働いた俺に対して何か文句を言う事もなく、ただ「分かった」と口にして方々に連絡を開始した。

 

 俺は階段をまた下る時間がもったいないと思い、執務室に取り付けられた窓から外に飛び出る。

 

 国民は既にパニックを起こしているようだ。いきなり怪獣……いや、彼らからすれば未知の魔物か。そんな物が現れたのだから、仕方ない部分はあるが。しかし、パニックになる暇があるならサッサと避難してくれとも思う。叫ぶより足を動かしてくれ。

 

 ギガクッパは現状、割れた空間からそこまで高度を落とさずに留まっている。どうにかして動こうと、滅茶苦茶に暴れ回ってはいるが、激しく輝く無数のナイフ群が、ギガクッパの周囲の重力を操作する事によって、何とかその場に留められているらしい。

 

 だが、それも長続きはしないだろう。優花の魔力量が俺より遥かに多いとは言え、神代魔法の魔力消費量は凄まじい物がある。この後の事も考えると、早急に現状の打開をしなければならないのだ。

 

 空中に足場を作りながら移動しつつ、俺は優花に〝念話〟で声を届ける。

 

〝ゆっくり地上に降ろすぞ。俺は奴の下に入る。少しずつ重力操作は緩めて良い〟

 

 言葉による返答はない。だが、ナイフの配置が目に見えて変わった事で、俺は緩やかに高度を落とし始めたギガクッパの足元へ滑り込む。

 

 ギガクッパの上半身は相変わらず暴れ回っているが、下半身に関してはピクリとも動いていない。不可思議な現象ではあるが、優花がギガクッパの下半身の近くにやや多くナイフを配置しているのが原因だろう。詳しい事は俺にも分からないが、上手い具合に重力を操作して動かせなくしているのかもしれない。

 

 奴の片足に両拳を当て、更に〝空力〟で足場を作ると、拳の周囲の重力をやや上向きに変化させながら俺も足場をエレベーターのようにして高度を落としていく。俺の指示通り、少しずつ重力操作を優花が緩めてきている事で、高度の低下につれてギガクッパの重量がダイレクトに俺にかかるようになっていくが、努めて気にしないようにする。

 

……いや、現実逃避しても意味がないな。奴がクッソ重たい事に違いはない。しかし、仮に投げ出したとしたら、眼下に広がる町はどうなる。そう考える事で、何度も己を鼓舞して気合を入れ直していく。折れたりするもんか、絶対に。

 

 徐々に近づく地面。それと比例するように、大きくなる町民の悲鳴。ランズィが直々に、国土全体に声が行き届くように設置されたスピーカーを通し、国民に速やかな避難を呼びかけてくれているお陰で、眼下の町から避難できた人はかなり多そうだが……未だに取り残されている町民が少なくない数いる事も、また事実である。

 

 1メートルを数分かけて下降している状況なため、まだもう暫くは時間を稼げるが、可能な限り早くしてもらいたいところだ。

 

 優花の魔力残量も心配だが、俺自身の魔力の消費スピードも看過できない物がある。常に〝空力〟で足場を作りながら、重力魔法を発動させつつも身体能力の強化を行っているのだ。どれだけ効率良く魔力を消費していても、ゴリゴリと削られている事実は変わらない。

 

 ギガクッパの抵抗も激しさを増している。動かせる上半身を使い、ナイフを叩き落とそうとしたり火を吐いて眼下の町を焼き払おうとしている。それを全て抑え込んでいるのは優花だ。俺以上にマルチタスクを強いられている優花が、魔力か集中力が切れて倒れてしまったら。それこそ全てが終わると思って良いだろう。

 

 奴を降ろしても周辺への被害が少ないであろう空き地を探し出し、そちらの方へゆっくり移動をしながら耐えていると。俺の耳が、待ち望んでいたランズィの声を捉えた。

 

『国民の避難は完了した! マック殿、それに優花殿。アンカジを代表して、依頼をさせていただきたい。どうか、未知の魔物を討伐してはくれまいか!』

 

 地面に降り立ち、凄まじい重量を一身に受けながらも、潰れる事なく空き地へ投げ飛ばしてから、俺は返答代わりに身体能力が強化できる技能を全て発動させていく。

 

 ランズィに頼まれなくたって、俺はギガクッパの討伐を行っただろう。

 

 この国が滅ぶ様を、指を咥えてただ見ているだけなんて、俺にはきっと耐えられない。

 

 何より、ハジメの愛娘が滞在しているんだ。指1本触れさせやしない。

 

 俺の隣に降り立った優花と、1度だけ顔を見合わせる。

 

「町への被害を最小限に頼む」

「ん、了解。ケンは討伐をお願いね。援護もするから」

「任された。さあ、行くぜ!」

 

 衛星軌道を周回するナイフたちと共に、俺は一直線にギガクッパへ突っ込んでいく。

 

 俺の顔を見て、憤怒の形相となったギガクッパが繰り出した火炎放射を跳んで躱し、ナイフによって〝天灼〟を目に撃ち込まれた事で視界不良を起こした瞬間に、俺はジョルトブローで奴の鼻っ面を力の限りぶん殴った。

 

 凄まじい破裂音が鳴り響く。だが、ギガクッパは全く怯まない。

 

 大振りな動きながらも、着地した瞬間の俺に目掛けて奴が繰り出したのは裏拳だ。拳に暗黒属性を纏い、強烈な威圧感と共に俺の顔面部に向かって叩きつけられる。

 

 食らってやるつもりはない。何より、攻撃をわざわざ受けたいとは思えない。その一心で身体を動かした事で、寸でのところでダッキングが間に合い、俺の頭上スレスレを裏拳が通り過ぎた。

 

 俺の中では、回避と攻撃は一体化している。躱したら訪れるチャンスを、絶対に取り零さないために。

 

「ハッ! オラァ!」

 

 矢継ぎ早にギガクッパの足にスマッシュボディフックを2発飛ばす。

 

 どちらもクリーンヒットし、血が滲んだのが見えたが、すぐに俺はその場から離脱した。

 

「グオオオ……!」

 

 獣のような唸り声と共に繰り出された、全く獣らしくないストレートパンチが、さっきまで俺が立っていた辺りを打ち抜いた。攻撃を妨害するべく数発撃たれた〝天灼〟を物ともしていない。

 

 奴がどんな習性を持つか知らなければ、一切攻撃が通っていないと勘違いしただろう。スマブラをやっていて、こんなにも良かったと感じたのは久しぶりだ。

 

「スーパーアーマーは常備。まあ、ギガクッパだもんな。DXやX時代の個体ともなれば、少し話は変わってくるが」

 

 俺の独り言を理解しているのは、この場では姿を見せる事なくどこかで見守っているであろう優奈だけだろう。

 

「スマブラとは違って、リアルタイムで受けた傷が可視化できるのはありがたい……な!」

 

 再度スタートダッシュを切り、ギガクッパに肉薄した。衝撃波でチマチマ削るよりも、直接この拳を叩き込んだ方が早く終わるから。

 

 俺が離れている間も、ギガクッパの迎撃を躱しながら〝天灼〟を撃ち続けてくれたナイフたちと入れ替わるようにして最前線に立つと、俺の動きに奴が反応するよりも早くワン・ツーパンチを2セット入れ、頭突きしてきたタイミングでスリッピング。頬の横を暴力的に叩く突風を無視すると、そのまま滑りながらのアッパーカットでカウンターを取った。

 

 未だに奴が怯む気配はない。しかし、拳が命中した箇所には確実に傷が生まれている。

 

 ギガクッパがまるで駄々っ子のように、足元を自身の方へ掬い寄せるようなパンチを打ってきたタイミングで地面を飛び上がると、今度はバリーブローで頭頂部をぶん殴る。

 

 拳の勢いと位置エネルギー。そして重力によって多少は頭が下がった事でガラ空きとなったギガクッパの顎に、着地した瞬間にダイナマイトアッパーカットをブチ込んでから、俺はバックスウェーで距離をまた取った。

 

 逃がすまいと追いかけてくるギガクッパ。しかし、足元への警戒がお座なりとなっている事で、優花が先んじて地面に投擲した〝氷結式〟が刻まれた小さな魔剣に気がついていない。

 

「ギャウ!?」

 

 凍った地面を豪快に踏み抜いた事で、ギガクッパは見事にすっ転んだ。

 

 雨霰と〝天灼〟を撃ちまくるナイフと共に、俺も一気に接近する。

 

 ハンマーパンチで腹部を叩き、更に傷口を抉るようにしてスマッシュアッパーカット。そして傷口に塩を塗るようにして、血が溢れる傷口に突き付けられた〝爆裂式〟が刻まれた小さな魔剣が、追い打ちの大爆発を引き起こした。

 

 俺は爆風によって生まれた上昇気流に乗り、宙に浮かび上がる。そこから、十全な破壊力があるとは言えないが、衝撃波による遠当てを目的としたスマッシュストレートを何発か繰り出した。少しでもダメージを加速させたい。

 

 しかし、強烈な殺気を感じ取った俺はすぐさま回避行動を取るべく体勢を整える。どうやら、ここまでやっても奴は怯まないようだ。

 

 爆発によって発生した煙を切り裂くようにして放たれた大火球をパーリングで打ち消す。

 

 その巨体からは想像もできない俊敏さで飛び上がり、俺に向かって振り下ろされた爪はギリギリのタイミングとなったスリッピングで回避し、コンパクトなアッパーでカウンター。

 

 ド密着を避けるべく、重力を操って急降下したのとほぼ同時に、ギガクッパの噛みつき攻撃が俺の頭上数センチのところに炸裂した。

 

 それでも逃がすまいと、ケツから急降下しようとするギガクッパ。すぐにダッシュで攻撃範囲から離脱する。

 

 そんな俺と入れ替わって前線に出てきたのは、巨大な輪のような形の編隊を組み、中央に向けられた刃先からはついこの前手に入れたばかりの〝空間魔法〟の気配を感じさせる白色の魔法の膜を繰り出しているナイフ群。それが2つ。

 

 1つは今にも急降下しようのしていたギガクッパの真下を。もう1つは、地面のすぐ上を陣取った。

 

 1つの輪の編隊を組んだナイフたちが作る白色の魔法の膜に触れた瞬間、ほんの僅かな時間だが姿を完全に消したギガクッパは、次の瞬間には地面の近くで待機していたナイフたちが作る白色の魔法の膜から飛び出してきた。

 

 何があったか一瞬分からなかったが、空間魔法の知識を持つ俺は、優花が〝界穿〟をナイフに付与して発動させたのだと察せた。

 

 〝界穿〟は、空間と空間を繋いで行き来する事ができるようになる魔法である。単純な話、ワープホールを生み出す魔法だ。2つの座標に設置した光の膜を通じて、ノータイムでの移動が可能となるのである。

 

 空間魔法においては基本的な魔法の1つであるが、まだ鍛錬が足りていないのが現状だ。その魔力消費量であったり、発動に至るまでの時間という観点から本来ならまだ戦闘で扱えるような代物ではない。

 

 だが、優花は使ってみせた。どんな超絶技巧を駆使したのか知らないが。

 

 とにかく、これでギガクッパのヒップドロップ……クッパドロップは完全に無効化された。とんでもない大地震が発生するかもしれないと身構えていた俺だったが、その心配がひとまずなくなった事で一旦肩の力を抜く。

 

 だが、肩の力を抜いたのはほんの一瞬だけだ。グッと拳をまた握ると、俺は地面を思いっきり踏み抜いてギガクッパに急迫。拳が届く範囲になった瞬間に、一際強く地面を踏み抜きながら身体を大きく沈める。

 

 クッパドロップ。確かに強烈な破壊力を有する技だ。1発でシールドは割れるし、そこそこの発生速度を活かしてダウン連の締めなんかで繰り出せば、非常に高いリターンが見込める。しかし、その破壊力の代償として、技を繰り出した後の隙が非常に長い。それは、俺の目の前にいるギガクッパも同じのようだ。座った状態から立ち上がるまで、少しのラグがある。

 

 後隙が長い技を振る事が読めたら。撃墜に至る蓄積ダメージがあるなら。そして、全てをひっくり返す恐怖のゴングが鳴っていたならば。俺が後隙を刈るために打つ技は1つだけだ。

 

「エイヤッ!」

 

 K.O.アッパーカットを、ギガクッパの腹に俺はブチ込んだ。

 

 誇張表現でも何でもなく、ギガクッパの腹部が爆発でもしたかのように血染めとなる。

 

 これまで俺の拳打を受けても、優花に切り刻まれたり〝天灼〟を何発も何発もマトモに受けても、全く怯まなかったギガクッパ。だが、K.O.アッパーカットはこれまで繰り出した攻撃とは一線を画す破壊力を有している。その巨体であっても数メートルは浮かび上がらせる一撃を食らったギガクッパは、遂に悲鳴を上げながら地面をのたうち回った。

 

「やったの……?」

 

 俺の側に駆け寄ってきた優花。彼女の疑問には答えず、俺はただギガクッパの様子を注視する。

 

 あくまでスマブラの世界の話だが。ギガクッパが倒された時の演出は、爆発四散だったはずだ。そのイメージが焼き付いている俺には、奴がもう2度と立ち上がれないだけの致命傷を受けたようには思えなかった。

 

 ゲーム的に言うならば、第2形態があるのではないだろうか。あるいは、体力ゲージを一定量削っただけではないのか。そう感じた俺は、一切気を抜く事なくギガクッパを見つめ続ける。

 

「グゥ……ガアア――!」

 

 唐突にギガクッパは、辺りをビリビリと震わせる程に凄まじい咆哮を上げた。

 

 そして、奴の身体を何か巨大なエネルギーが包み込んでいく。禍々しく、そしてとんでもないパワーを感じる。そんなエネルギーだ。

 

 少しすると、ギガクッパがまるでカメラで拡大でもしたかのように縦にも横にも巨大化していった。元々巨体だったのに、まだまだ大きくなるのか。途轍もなく広いステージでギガクッパ化した時の事を考えれば、まあ分からない話でもないが。しかし、それにしたって限度があるだろと声を大にして言いたい。

 

 推定10メートルは確実にあるであろう巨体が、更に3倍は大きくなったのではないだろうか。つまり推定30メートル。もう俺じゃなくてウルトラマンが対処しなければならない大怪獣だろ、これ。

 

 だが、呆然としている訳にもいかない。ウルトラマンがそもそも存在しないこの世界で、あの大怪獣を倒す力を持つ者は、この場においては俺と優花しかいないのだから。

 

――ケン先輩

「っ、優奈か?」

 

 このタイミングで何故か姿を現した優奈に、少しだけ困惑する。

 

 その困惑は、次に優奈が発した言葉によって吹っ飛ぶ事になったが。

 

――力を貸すよ

「……なるほど、スピリッツか」

――先輩に取り憑いた場合だけ、色んな効力を発揮するみたいだから。役に立てると思うよ

「なら、頼む」

 

 背中から異物が体の内へ入り込んでくる感触。それと同時に、何かが弾けた音と共に俺の身体から極色彩のオーラが立ち昇る。〝身体強化〟を使用している時間が一定量を超えた合図だ。

 

 今から1度だけ、任意のタイミングで〝最後の切りふだ〟を発動できる。

 

――スピリッツ風に言うなら、私の持つ能力は腕攻撃強化。そして、先輩限定で発動させられる能力は……!

 

 俺は〝最後の切りふだ〟を、迷いなく発動させた。

 

 途端に身体が大きく発達していく。初めてこの技能を使った時は知らなかったのだが、こいつを使うと俺は〝ギガマック〟となるのである。

 

 それだけでも既に強力な技能だ。しかし、今回はそれに加えて優奈がスピリッツのように憑依している。

 

 彼女が俺に取り憑く事で発動するバフ効果。腕攻撃強化と、もう1つは〝最後の切ふだ強化〟だ。

 

 まず、継続時間が10秒から30秒に増加する。これだけで既にとんでもないアドバンテージだ。何せ、強烈な強化倍率がかかるのだから。

 

 その強化倍率も、50倍から100倍にまで跳ね上がっている。今回は〝闘神〟を使わないのでこれ以上は上がらないが、仮に併用したとなれば……まあ、何が起こるかは想像ができるだろう。

 

 その代わりにと言って良いのかは分からないが、従来の〝最後の切ふだ〟発動時よりも更に巨大化する特徴がある。従来なら上背が3メートル後半になるのだが、彼女が取り憑くと20メートル近くにまで背が伸びるので、かなりの伸び率だ。

 

 タンクトップは脱がなければいけないし、ズボンや靴も伸縮性が普段履いている物よりも格段に良い特注品を使わなければ、その場で全裸になってしまうのが唯一の弱点だろうか。なお、今回ズボンと靴に関しては戦闘が始まる前にこっそりと履き替えている。

 

 ちなみに、籠手に関してはアーティファクトだからなのか問題ない。そのまま使える。それもこれも、何かを見越していたハジメのお陰だ。

 

「オオオォ――!」

 

 雄叫びを上げながら巨大化すると、同じく更に巨大化しているギガクッパを睨みつける。

 

 持続時間は短い。すぐに決着を付けてやる。

 

 余裕がないのはギガクッパも同じらしく、甲羅に籠もってその場で高速回転を始めた。

 

 マリオシリーズに登場する多くのカメ族が得意とする攻撃を予知した俺は、その場で拳を強く握りながらスマッシュホールドを開始する。

 

 まるでベイブレードかのように高速回転するギガクッパ。大きく仰け反り、片足を上げてスマッシュホールドする俺。一瞬の静寂の後、双方全く同じタイミングで動き始めた。

 

 一直線にこちらへ向かってくるギガクッパ。対する俺は、地面を陥没するかしないかギリギリのラインで踏み抜く。そして、腰の回旋と腕の伸長動作。更に引き込みの動作で生まれる破壊のエネルギーを全て右拳に乗せる。

 

 さあ、真っ向からの力比べだ!

 

「オオッ!」

 

ズゥガアアアン!

 

 全身全霊のスマッシュストレートが、ギガクッパの高速回転する甲羅に、拳の破壊力を最大限に出せる最高の位置にドンピシャで命中した。

 

 高速回転が止まり、俺の腕が破壊のエネルギーを伝え終えて完全に振り抜かれる。

 

 拮抗状況なんて、ほんの一瞬も発生しなかった。

 

「グルァアアア――!?」

 

 甲羅が砕け、中に籠もっていた本体にも甚大なダメージが入ったらしい。

 

 ギガクッパの身体は、どんな原理なのか小規模な爆発を何度も起こしながら、少しずつ崩れ落ちていく。

 

 俺の方もこの姿を維持できる時間が限界に達し、身体が縮む感覚に苛まれながらも元の状態へ戻った。

 

 とんでもない疲労感が全身を襲う。とても立っている事はできないので、片膝をついて肩で息をしながら、ちょっとずつ体力の回復を待つ事にした。もう、奴と戦う事はないだろうから、ゆっくり回復を待っても問題ないだろう。

 

「ケンっ!」

「おう、無事だぞ」

 

 駆け寄って抱き締めてきた優花を、俺は無抵抗で受け入れる。

 

 どれだけ信頼されていたとしても、間違いなく心配をかけた自覚があるのだ。いきなりあんな巨人になったら、多分誰でも驚くだろうし心配になるだろう。

 

「勝った、のよね」

「ああ。ひとまず、あの怪獣はもう戦う力を残していない。後は死ぬのを見届けるだけだ」

「……ケンって、あの怪獣の事を知ってる素振りを見せてたよね。もしかして、スマブラ繋がり?」

「うん、その通り。ありゃスマブラで戦うボスだ。何でこの世界に現れたのか、サッパリ分からないけど」

「ただのイレギュラー……で、終わる訳ないか。何か、厄介事が起きなきゃ良いけど」

「その時はその時だ。既に厄介事の種は蒔かれてしまった。後は芽吹いた時に、どう機転を利かせて対処できるかだな」

 

 完全に沈黙し、ギガクッパの亡骸が塵も残さず風に溶けていく様を見届けた俺たちは、少しだけ休憩してからランズィに連絡を入れるのだった。




 やっとギガマックくんを出す事ができましたし、そこに至るまでのマックくんも実にスマブラをしていますので個人的には満足です。

 今後もこうやってスマブラ世界も上手く混ぜられたらと思います。

※マックくんの技紹介
★ウルトラギガマック(仮称)
…スピリッツ優奈ちゃんを憑依させた状態で〝最後の切ふだ〟を発動させる事で発現する特殊形態。

 簡単に言ってしまえば、Forリトルマックの最後の切ふだを誇張表現したような感じ。特定のラッシュを繰り出すだけのSP版の切ふだとは異なり、ある程度自由に戦えるだけの変身時間が確保されている。

 特徴はギガマック以上の巨大化。ほぼウルトラマン。強化倍率も100倍となる上、〝腕攻撃強化〟も自動的に発動するため実数値は更に高くなる。これに〝闘神〟を重ねがけするのが現状の最強戦力。

 全裸になる以外の欠点は、使用後の反動が凄まじい事。身長が伸び縮みする量が途轍もなく大きいので、良くて酷い筋肉痛、最悪の場合だと腱や筋肉が切れてしまう。それと変身可能な時間が30秒なので、仮に倒し切れなかったら詰む。

 今回を描くに当たり、For時代のスマブラwikiを久しぶりに見返しましたが、自操作のギガマックくん壊れ性能すぎて変な笑いが出てしまったので、性能ドカ盛りにしています。

マックくんの新たな恋人候補

  • 〝初恋枠〟優奈ちゃん
  • 〝妹枠〟ルウちゃん
  • 〝大穴枠〟恵里さん
  • ハジメくんの嫁候補以外のクラスメイト
  • アルテナを始めとする亜人族の皆様方
  • 〝英雄〟に嫁ぎたい帝国住まいの方々
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