異世界でもお前のパンチを見せてやれ!   作:Hetzer愛好家

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 言わずもがな、ハジメくんです。

 あ、鉄拳タグを追加しました。使用する技が最近はかなりドリャドリャしてるので。


彼はどこまでも人誑しだな

 無傷で神の使徒を撃破した優花と中庭で合流した俺たちは、目立たないようにしてリリアーナ姫の自室へ足を運んだ。

 

「ここなら、外部に声が漏れ聞こえるような事はありませんわ」

「よし。取り敢えず、今後の方針を決めちまおう」

 

 まずは、クラスメイトに神々の真相を話す件について。これは、どんな形であっても行うべきだろう。

 

 本来ならば畑山先生が説明する予定だったが、運が良い事に詳細を見聞きした俺と優花もその場に立ち会う事ができる。より正確に、間違のない情報を伝える土台は出来上がっている。

 

 あとは、洗脳だ何だとほざくバカを黙らせる方法だが……。

 

「姫さん。王国が保管しているアーティファクトの中に、洗脳状態にあるかどうかを確認できる物があったりはしないか? ないなら、高い解呪効果をもたらす魔法を使うか、それに近い効果を発揮できるアーティファクトなんかでも構わない」

「いくつか思い当たる物があります。しかし、何だかんだと屁理屈をこねるように思うのですが……」

「手始めに、ハジメと接点がほぼない姫さんがアーティファクトの効力を証明してから、俺と優花、そして畑山先生にアーティファクトを使えば良いと思う。それでも信じないなら、もう天之河は気絶させて退出させちまった方が良い。奴1人のために、そこまで時間を割くのはバカらしいからな。一気にクラスメイトに話すのではなく、信頼できる複数名にまず話してみるのも1つだとは思うが……」

 

 一応信じさせる努力はするが、無理だと判断したら即刻切り捨てる。そうでもしないと、時間が勿体ない。

 

 俺の言葉に微妙な表情を浮かべつつも、首を縦に振ったリリアーナ姫。彼女も思うところはあるようだが、随分と話が分かるタイプの人のようだ。

 

 さて、次に考えなければいけないのは、魔人族の侵攻する可能性についてだが……。

 

「取り敢えず魔人族については、事が起きてからでないと何ともし難いところがあるな。現時点ではただの可能性であって、確定事項ではない。集結が怪しいからと先手を打ちでもしたら、それこそ泥沼の戦争が一層終わらなくなる」

「では、どうしたら……」

「王国を守る大結界……だっけ。それが破られても良いように、最後の砦となっている外壁の周辺に大量のトラップを仕掛ける事にしよう。制作はハジメに任せる」

 

 現在ハジメは、アンカジのオアシスを見事に浄化したところだという旨の連絡がつい先程来た。なるべく急いで出発するつもりのようだが、今日中は難しいとの事である。到着は翌日以降だ。

 

 しかし、それまでの時間を使って大量のトラップを制作してくれると約束してくれた。彼なら、多分俺でもドン引きするような凄まじいトラップを制作してくれるだろう。

 

 敢えて、魔人族の侵略を数百年単位で防いでる大結界が破られる事を前提にしてるのは、神代魔法の使い手が如何に凄まじい力を持つのかを知っているからだ。確かに大結界の強度は折り紙付きであるが、フリードと連れの白竜の持つ力は、それ以上であると俺は考えている。

 

 それに、第三勢力の乱入の可能性も考えると、大結界の防御はあまりアテにしない方が良いだろう。と言うか、常に最悪を想定するべきだ。

 

「分かりました。ひとまず、神の真実に関しては、雫と永山さんにお話しするところから始めるのはどうでしょうか? この2人なら、比較的冷静にどんな話でも受け止められると思います」

「じゃあ、まずはその2人にするか。あとは、優花の友達なんかも話して良いと思うが……どうだ?」

「取り敢えず声掛けしてみる。オーバーリアクションをするとは思うけど、そこまで取り乱しはしないと思うし」

「では、先生はメルドさんを呼んできますね。彼は神々に対する信仰心が厚いとは思いますが、話を1度自分の中でしっかり消化できる人だと思いますので」

「確かに、彼なら俺たちの話を鼻から切って捨てる真似はしなさそうだ。よし、それで行こう」

 

 俺と畑山先生、優花とリリアーナ姫でペアを組み、早速俺たちは目的の人物を探し始めた。

 

 メルド団長に関しては、この時間は執務室にいると畑山先生が知っていた事もあり、存外すぐに見つかった。

 

 いきなり来室した畑山先生と、かつてオルクス大迷宮で色々あった時以来となる俺の来訪に、メルド団長は酷く驚いていたが、すぐに何かを察知して真剣な表情になった。流石の対応力である。

 

「メルド団長、緊急で話したい事があるからリリアーナ姫の部屋に来て欲しいと言ったら、すぐに来てくれるか?」

「ケンがそこまで言うって事は、相当な事態だな。分かった、すぐに行こう」

 

 彼は副団長らしき人物に「あとは任せた!」と言うと、早々に席を立った。なんか副団長さんの目が死んでいた気がするが、今は無視である。

 

……このゴタゴタが終わったら、差し入れを持っていくぐらいはやるか。

 

 さて、次は永山を探さなければであるが。彼は現在、パーティーメンバーと鍛錬場にいるとの事だった。

 

 その鍛錬場には、この時間だと多くのクラスメイトがいるらしい。

 

「……あまり目立ちたくはないんだよな。変に絡まれたくもない」

「俺が呼ぼうか? ケンの名前を伏せておけば、そこまで騒ぎにはならないと思うぞ」

「団長、ごめん。それで頼む」

 

 ハジメの事を忌み嫌っているのは、勇者(笑)だけではない。彼が俺を洗脳していると信じているクソバカ共は、他にも複数名いるだろう。

 

 懇切丁寧に説明をしてやれば、勇者(笑)以外は疑いを晴らせるとも考えてはいるが、それでも面倒には違いない。時間が惜しいってのもあるが。

 

 少しして、メルド団長が永山……と、彼のパーティーメンバーを連れてきた。

 

「すまん。どうしても付いてくると言って聞かなくてな……」

「いや良い。多分だが、他よりも冷静な判断ができるメンツだと思うからさ」

 

 追加で遠藤、野村、辻、吉野にも話す事になってしまったが、問題ないと判断して俺は同行を許した。

 

 急ぎ足でリリアーナ姫の自室へ戻ると、既に八重樫や優花の友人たちが優花&リリアーナ姫と共に待っていたので、すぐにでも俺は話を始める事にする。

 

「いきなり王国へ久しぶりに来訪した理由と、こうしてみんなを集めた理由が気になるだろうが、今は質問は止してくれ。全部順を追って話すから」

 

 俺はまず、何故王国にやって来たのかを話してから、早速本題に入る事にした。

 

 その過程で中村と檜山が何をやらかしたのかも話す事になったのだが、まあ随分と驚いていた。真実はイルワ支部長が間違なく公布してくれていたはずだが、まさかクラスメイトがそんな事をする訳が……と半信半疑だったらしい。

 

 唯一、八重樫は檜山の犯行動機を聞いて、1発で納得したようだが。

 

「で、だ。中村と檜山の姿を消したと、被害者の方から連絡があったから急いで来た訳なんだが。妙に王国の様子がおかしいと思ってな。そこで、1つ思い当たる物がある。それが……」

 

 狂った神々の真実だよ。

 

 何人かが、分かりやすく息を呑んだ。

 

「メルド団長。アンタにとっては、穏やかな心情ではとても聞けない内容だって事を、先に言っておく」

「……大丈夫だ。最後まで聞かせてくれ」

 

 俺は頷くと、大迷宮を攻略した際に知った神々の真実と、メルジーネ海底遺跡で見た過去の出来事、そしてつい先刻〝真の神の使徒〟に襲われた事についても語った。

 

 時折優花も横から補足してくれているので、滞りなく話が進んでいく。必要な事だけを話すってのは、存外疲れるし難しい物だ。

 

 先にハジメから神々の真実を聞かされていた畑山先生ですら、過去に起こった凄惨な絶滅戦争の内容を聞いて顔を酷く青褪めさせているので、初耳の人たちの心中はとんでもない事になってそうだが、俺は構う事なく口を動かし続ける。

 

「2種族間での絶滅戦争。それが起こる前兆のような物を感じて、こうして信頼できそうな人にまずは話してみようって流れになったんだ。ぶっちゃけ、俺はこの王国と魔人族双方が滅んでも、そこまで思うところはないから放って置くつもりだったんだが、死なせたくない人物が王国にいる。だから、仮に魔人族の大規模侵攻が始まったら全力で止めるし、王国側も蛮行を起こそうもんなら俺が命を奪ってでも止めさせる」

「そしてそれは、ケンだけじゃない。私も全くの同意見。何よりも大切にしたいのはケンだけど、あの2人を死なせたくない」

 

 優花の頭を軽く撫でる。俺は、彼女の発した言葉の意味が分からないような唐変木ではない。

 

 何よりも恋人が大切。そう公言してくれて、少しの恥ずかしさはあれど、嬉しさで胸が一杯になる。

 

「……こんな発言ができるぐらいに意思がある時点で、〝洗脳されている〟という疑いは微塵も持てないと思っているんだが。どうだ?」

「大前提として、南雲に限らず適性外の魔法を扱うのは至難の業だって事。そして、仮に適性外の洗脳魔法を使ったところで、複数人を同時に洗脳するのは不可能だって事を付け足しておくわ」

「〝錬成〟以外の魔法にはいっそ笑えるぐらい適性がないからな、ハジメ」

 

 流れるように、ハジメの洗脳疑惑を払拭する方向へ話を持っていく。

 

 敢えて「分かっているよな?」と圧をかけるような物言いをしたが、幸いにもこの部屋にいるメンツは、全員が冷静に物事を見れる人だったようだ。

 

「南雲が真久野たちを洗脳したと心から信じているのは、それこそ天之河や教会の人間ぐらいだ。クラスメイトの中で彼を快く思わない連中ですら、洗脳に関しては不可能だろうと考えているぐらいだぞ」

 

 落ち着いた調子で、永山がそう答えた。こいつ、老け顔なので同い年に思えない……なんて失礼な事を考えながらも、俺はちょっと納得してしまった。

 

 あまりにも天之河が暴走しているせいで、結果的に冷静になれた人が多いそうだ。例としては、どうしようもないぐらい怒り狂いそうな時、自分よりもブチギレている人を見たらスンッとなるアレである。にしても、そこまで酷いのか。

 

「天之河の言う事を鵜呑みにしている奴が多いかと考えていたが、思ってたより悪い状況じゃないな」

「……以前までの俺たちなら、天之河の意見を鵜呑みにしていたかもしれない。だが、南雲や真久野がオルクス大迷宮で死にかけていた俺たちを助けてくれた時に、天之河のあの態度は何かおかしいと俺は思ったんだ」

 

 最初からハジメの事を信じていた八重樫は兎も角、あの時点で、勇者(笑)の思考はおかしいと気がつけた人が相当数いるそうだ。まあ、助けてもらった側なのに徹底してハジメを責め立てようとしていたし……。

 

 うん、思い出すだけで腹立たしい。もっと早く気がつけよというやり場のない怒りも同時に湧いてきたので尚更。優花がサッと手を握ってくれなかったら、衝動的にとんでもない暴言を吐いていたかも。

 

 オルクスでの1件は、俺たちは早々にあの場を離れたのでその後の顛末は知らなかったのだが、後から状況を全て聞いたメルド団長は、かなり厳しく天之河を叱りつけたと教えられた。だが、その効果はまるでなし。とことん救えない。

 

「メルド団長も、ハジメの事を信じてくれていたんだな」

「当たり前だ。仮に洗脳魔法をハジメが使える天職だったとしても、俺は間違いなく庇い立てしただろう。それぐらい、彼の心魂は穢れがない。これは、俺だけではなくハイリヒ王国騎士団の総意と捉えてくれて構わない」

「……全く持ってその通りだ。ごめん団長、試すような真似をして。皆も、すまない」

 

 ひとまず、ハジメの件に関して心配する必要はなさそうだ。

 

 そうなると、狂った神々や魔人族の大規模侵攻に関して考えなければならない。

 

 そう話を切り出すと、まずはメルド団長が手を上げて意見を口にした。

 

「騎士団は総動員しよう。相手が魔人族で、しかも大規模侵攻の可能性があるとなれば、高い士気を保った状態で集結するはずだ」

「ありがたい。とんでもねえ数になる可能性を考えると、できるだけ人手は多い方が良いからな」

 

 更に、質も両立できれば最高だ。そこで俺は、永山たちに目を向ける。

 

 スペックで見れば、この世界の人間と比べて数倍の力があるクラスメイトがなるべく多く参戦してくれれば、物量で押し潰されるリスクは減らせる。

 

「俺たちで声掛けしてみるよ。全員は無理だろうけど、もうちょい集まるはずだし」

「うおっ、その声は遠藤か。お前いたんだな」

「酷いなおい!?」

 

 遠藤が答えた事に、俺は割と本気で驚いた。相変わらずの凄まじい隠形である。当の本人は、全く認識されていなかった事に対して軽く憤慨していたが。

 

 取り敢えず、それぞれどう動いたら良いのかは決まったので、それで良しとしよう。

 

 優花と頷き合ってから立ち上がると、俺は早速動き出すように指示を飛ばしてから、王城を後にするのだった。

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

「マックくん」

「来たか、ハジメ」

 

 深夜0時。想定よりも早く到着したハジメと、トラップの設置を手伝うために外壁付近で落ち合った。

 

 期待通りかそれ以上の数のトラップを作ってくれたハジメに内心舌を巻きながら、黙々と設置していく。当然だが、どれもこれも性能が凄まじい。

 

 中にはスマブラで見るセンサーボムや落とし穴の種みたいな物もあった。あと、C4とかチューインボムとか。爆発物の割合が妙に多い気がするが、多分気の所為だろう……。

 

 殺意の高い、しかし原始的なブービートラップも多数用意していた辺り、かなりノリノリで制作していたのかもしれない。

 

「マックくん。王国の様子はどんな感じ?」

「んー、立場が上の人間はかなり危うい感じがあるが、意外と城下の人間は問題なさそうだ。クラスメイトも、1人を除けば大体が王国の異変に気がつけている」

「僕の異端者認定についても、特に何も言ってなかったんだね」

「ああ。むしろ、異常な判断と考える人がほとんどだったぞ。王国騎士団全員がそう考えているのは意外だったけど」

 

 メルド団長以外からも話を聞いてみたが、揃ってハジメは異端者認定するべき人間ではないと言っていた。

 

 俺は知らなかったのだが、ハジメと白崎は定期的にメルド団長宛に手紙を送って現状報告をしていたらしい。それが功を奏したようだ。

 

 文章からでも読み取れるハジメの誠実さと、洗脳下ではまず出ないであろう白崎の惚気話。この2つが決定打になったとか。

 

 それと、まだ異世界に来たばかりの頃、俺と必死に鍛錬している姿が強く印象に残っていたらしい。もはや狂的と言える程の強い意志で、弱い自分を変えようとするハジメの姿は、日々厳しい鍛錬に励む王国騎士団の皆にとっては非常に好ましい物だったのだろう。

 

「ま、全てハジメが努力を怠らなかった結果だな」

「そうだと嬉しいねぇ」

 

 はにかむように笑うハジメ。だが、すぐにその顔は魔王のように荘厳な物へと変わった。

 

 ほぼ同時に、俺も集中力を一気に引き上げる。

 

「「来た」」

 

 迸る白亜の閃光が、ハイリヒ王国を守る3枚の大結界のうち、1番外側にある強度は低いが範囲が広い声質を持つ障壁をぶち破った。

 

 強度が低いとは言っても、生半可な攻撃ではビクトもしない代物だが、それを一撃で破壊した辺り相当な威力である。

 

「魔人族側の最大戦力だもんな。絶対に来ると思ってたよ」

 

 俺は、まだ遠くであるにも関わらずこちらを睥睨している白竜を見て、そう呟くのだった。




 さーて、次回はスマブラしますか……。

マックくんの新たな恋人候補

  • 〝初恋枠〟優奈ちゃん
  • 〝妹枠〟ルウちゃん
  • 〝大穴枠〟恵里さん
  • ハジメくんの嫁候補以外のクラスメイト
  • アルテナを始めとする亜人族の皆様方
  • 〝英雄〟に嫁ぎたい帝国住まいの方々
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