異世界でもお前のパンチを見せてやれ!   作:Hetzer愛好家

83 / 129
 高評価、お気に入り登録してくださった方、ありがとうございます。頂けた物を燃料に、これからも描いていきますのでよろしくお願いします。

 さて、今回スマブラしてるのはハジメくんです。〝錬成〟のお陰で、設置物を幾らでも再現できるのが作者に優しい。


阿鼻地獄すらも作り出せるこの力で

 寝ている者が多い深夜帯に響き渡った、大結界が砕け散った轟音は、王国民を大混乱に陥れるアラーム音として十分すぎる役目を果たした。

 

 外壁で見張りをしている兵士たちですら、マトモに統率が取れずアタフタしているので、一般人の混乱度合いは途轍もない物だろう。現に、遠くから無数の悲鳴と怒号が聞こえてきているし。

 

 2枚目の、強度が増した代わりに範囲がやや狭まった結界も一撃で粉砕され、いよいよ混乱は最高潮に達そうとしている。

 

 しかし、俺とハジメは一切動じない。マイペースに戦闘準備を終えると、〝念話〟をそれぞれ飛ばして仲間に指示を出す。

 

 3枚目の、最も強度が高い障壁も、白竜の極光を受けて嫌な音を立てている。割られるのも時間の問題だ。

 

「割られる想定して正解だったな」

「だね。 ……あの白竜、また強くなったみたい。ちょっと面倒かも」

「俺が戦ったのはかなり前だが、ちょっと別個体と言いたいぐらいレベルアップしてるな。ハジメは直近で戦っていたが……」

「僕を何としてでも殺すため、相当に努力したんじゃない? ご主人の魔人族共々」

 

パキャァアアン!!

 

 遂に最後の大結界が破壊されたが、ハジメは全く気にせず黒傘と拳銃を手に取った。

 

 大地を鳴動させながら魔人族の戦士達と神代魔法により生み出されたらしい魔物たちが大挙して押し寄せてくるが、彼はどこ吹く風である。

 

 外壁を破壊するべく、魔人族は上級魔法を構築していき、地上戦に特化している魔物は一直線に突進してくる。一応、数体は見張り兵が繰り出した魔法で肉塊と化したが、物量が多すぎるので柳に風だ。

 

 空を飛べる魔物は、外壁自体を無視して王都へ侵入しようとする。よく見れば、魔物の背には魔人族が乗っていた。1体通すだけでも、相当の被害を被るだろう。

 

 俺とハジメの攻撃を掻い潜れたらの話だが。

 

 ハイリヒ王国の背後に神山がある関係上、攻め入る事が可能なポイントが限定されているため、俺たちであれば迎撃は容易い。

 

ドパアァァン!

 

 1発に聞こえる銃声。しかし、実際に放たれた弾丸は6発。ハジメの超人的な早撃ち&連射だ。

 

 弾丸は全て飛行している魔物の頭部に狙い違わず命中し、次々と撃墜していく。地面に叩きつけられた魔人族は無視しているが、大怪我を負っているので問題ないだろう。

 

 出鼻を挫かれた形になった魔人族の軍勢だが、怯まず外壁目指して距離を詰めてくる。だが、外壁に到達した魔物が現れた瞬間、奴らの動きは一気に鈍くなった。

 

 外壁に突進しようとした魔物は、ハジメお手製の爆発物トラップにより、跡形もなく消し飛んだ。中には落とし穴に落ちた後に、串刺しにされて動けなくなった魔物もいる。更には、特定のトラップの起動によって連動する形でスイッチが入り、ニョキッと地面から生えた砲塔から無数のミサイルと手榴弾が発射された。

 

 発射された爆発物が狙うのは、まだ外壁に到達できていない後方の軍勢である。見た事がない、しかし明らかに危険だと分かる兵器を迎撃しようと躍起になる後方組だが、さっきまで攻め手のつもりでいた奴らの迎撃行動はお粗末な物だ。中途半端に迎撃行動へ移った事で、慌てて回避しようとするのも間に合う訳がなく、次々と爆発に巻き込まれていく。一応、魔物は消し飛んでも魔人族は死んでないみたいだ。

 

 追加でハジメが、戦地のど真ん中に下半身から組み立てられていく自律駆動型のファントム……じゃなくてゴーレムを複数体投入し、C4を散布するドローンを飛ばしてから、ある程度時間が経過した後に起爆させた事で、魔人族側は阿鼻叫喚の地獄に叩き落される事になった。

 

 その間も、飛行型の魔物に乗った魔人族が何とか王都への侵入を試みるが、ハジメがノールックで射撃をするか、俺が衝撃波を飛ばす事によって漏れなく撃墜していく。外壁の近くに墜ちれば、あとはトラップの爆発に巻き込まれるか、見張り兵たちが放つ魔法で手傷を負うかの2択だ。上手くやれば、死にはしないだろうがな。

 

 ここまで手酷くやられて、やっと俺とハジメを突破しなければ真正面から王都への侵入を果たせないと分かったようで、今度は飛行型の魔物が一直線にこちらに向かってきた。黒鷲、灰竜、隼、蝙蝠と、まあバリエーションだけは随分と豊富である。

 

 しかしまあ、不用意に近づくのは危険だと察しているのか、ある程度距離を保ってこちらを囲もうとしているのは利口の判断であると言える。そうしてる間に詠唱をしている点も、作戦としては中々に良い物だ。さぞかし優秀な戦士が集まっているのだろう。

 

 だが、相手が悪い。

 

「ハジメ。地上の敵に集中してくれ。空中の敵は俺が片付ける」

「任せるよ」

 

 黒傘のギミックを完全に作動させ、ホルスターに収納していた拳銃……ではなく短筒を持ち、指輪から取り出したガトリング砲と無数のキラーアイのような砲台を設置。更に十字架の中心に砲が付いた飛行物体を大量に出したハジメは、ギアを上げて地上の完全制圧を始めた。

 

 暴力的な数の砲爆撃に加えて、黒傘が放つ様々な属性攻撃魔法。多少離れていようが関係なく、魔人族と魔物はハジメの繰る兵器群によって次々と命を散らしていく。ワンマンアーミーとは正にこの事だろう。

 

 そんな彼と背中合わせになると、俺はオスカー作の籠手を装着。魔人族が放つ魔法、魔物が発射した無数の飛び道具、灰竜が放った極光を次々と反射していった。

 

 確かに俺の攻撃手段は拳が主だが、遠距離攻撃に対して全くの無策ではない。そこを見誤ったな。 

 

 ノータイムで跳ね返され、かつ威力が倍増した〝自身が放った攻撃〟に無抵抗で巻き込まれ、あっという間に姿を消していく魔物たち。そして墜ちていく魔人族。まさか、このような形で反撃してくるとは考えてもみなかったようだ。

 

 奴らは一旦様子見をしようとするが、そうなれば待っているのは、瞬時に籠手を切り替えた俺が放つ衝撃波の雨霰。何とかしようと遠距離から攻撃を仕掛ければ、また瞬時にオスカーグローブに切り替えて反射。打開するには無理にでも近寄る他ないが、接近すればする程に威力と密度が増していく衝撃波。

 

 ちょっとした要塞みたいだろう、今の俺は。

 

 ま、元の性能からしてリトルマックは対空が強いからな。主に横スマ上シフトと上スマ、そして上強のお陰である。そこに衝撃波と反射が加われば、鉄壁の守りとバ火力の両立が可能となる。

 

「ぐう、クソォ! カトレアの仇が、目と鼻の先にいると言うのにぃ!」

「ああ? ………もしかして、あの魔人族の女の名前か」

 

 一際大きい黒鷲に乗る魔人族の男が上げた怨嗟の声に、思わず反応してしまった。

 

 最初は何を言っているのか分からなかったが、少し考えて思い当たる人物が出てきた。まさか、あの女の関係者か。

 

「貴様、よもや殺した事すら覚えていなかったとでも言うのかぁ!」

「いや、鮮明に覚えているぜ。ただ、いきなり恨みや呪いをぶつけられて、咄嗟に特定の人物を思い出せるような便利な頭はしていない。で、その女が何だって言うんだ?」

「カトレアは、お前らが殺した女は……俺の婚約者だ!」

「……なるほど、そりゃ殺意丸出しになるわな」

 

 一層激しくなる魔法攻撃を、次々と反射吸収しながら納得する。

 

 そう言えば、あの女は今際の際に、いつか自分の恋人が俺たちを殺しに来ると言ってたな。男の様子を見るに、随分と深く愛し合った仲だったようだ。

 

 反射を1度見せた事で、同じ場所に留まるのは危険だと判断したのか、少しずつ跳ね返した魔法が命中しなくなってきた。怒り狂いながらも、俺たちを殺すための冷静さまでは失っていないらしい。

 

「怒りはご尤も。恋人を殺されて、復讐を考えない者はいない。俺でも同じ事を考える。だが、それを分かった上で敢えて言ってやる。心底どうでも良い」

「な、何だと!? 優しくて聡明で、いつも国を思っていた彼女をどうでも良いと言うのか!?」

「ああ、どうでも良い。そして興味ないね」

 

 魔人族の男の気持ちは分かる。俺が彼と同じ境遇に立たされたら、多分同じように優花や優奈の事を、相手から求められてもいないのに朗々と語るだろう。

 

 だが、赤の他人の亡き恋人の話を聞かされたところで、何か起こるだろうか。何か自分のためになる物を得られるだろうか。

 

 俺なら、今後生きていく上で不要な情報だと切って捨てる。殺した、殺しに加担した事実を忘れはしないが、個人個人の情報全てを覚えておく事はできないから。

 

 まあ、亡き恋人の事を話す側としては、この上なく気に入らない存在となるだろうが。実際、魔人族の男からはドロリとした濃密な殺気と狂気が溢れ出ている。

 

「そんなに感情丸出しで大丈夫か? 攻撃のタイミングは笑っちまうぐらいに読みやすく、威力が高いだけで精度はガタ落ち。そんな状態で、恋人の仇である俺を殺せるとは思えないぞ」

「……黙れっ」

「おいおい、先にベラベラと口を動かしたのはお前だろうが。それとも、俺が恋人の仇討ちのため復讐しに来たと聞いて、動揺する青二才だと思ってたのか? だとしたらとんだ笑い者だな、お前。死んだあの女はどこまでも誇りある戦士だったが、どうやらお前は違うようだ。あの世で嗤って見ているんじゃねえの」

「黙れ、黙れ黙れ! カトレアがそんな事するもんか! 彼女の事を何も知らないくせに、分かったような口を利くなぁ!」

「……ああ、俺は何も知らんさ。何も知らないから、ここまで冷酷になれるんだよ」

 

 風の刃を跳ね返し、発生した大竜巻を拳圧で露散させてから、俺は初めてその場から大きく動いた。

 

 地面を全力で踏み抜いて跳躍すれば、あっという間に俺の身体は大黒鷲の目の前まで到達する。

 

 ギョッとする魔人族の男は無視して、俺はバリーブローで大黒鷲の頭を文字通り叩き落とした。大黒鷲が死んだ事で、当然乗っていた魔人族の男も地面へと墜ちて行く。

 

 黒鷲や灰竜に乗った魔人族が、途端に俺へ殺意を向けてくる。一際大きい黒鷲に乗っていたので、多分指揮官のような存在だったのだろう。何としてでも俺を殺そうと、結構な数の魔物と魔人族が殺到する。

 

 慌てる事なく、俺は左側のみ籠手を切り替えた。デフォルトの能力で衝撃波を飛ばせて、様々な神代魔法を組み込んだ物に。

 

 まだ一定の距離はあるが、それだけ集まってくれたら距離を詰めて撃破をするのは容易だ。

 

「〝斬羅〟」

 

 狙いを魔物に絞り、俺は魔物に左ジャブで触れては離れるを繰り返しながら空間魔法を発動させた。

 

 すると、魔物の顔面部に1本の線が入り、そこを起点としてズルリと両断されていく。

 

 空間魔法〝斬羅〟。空間に亀裂を入れてズラす事で、対象を問答無用に切断する魔法である。籠手で発動する場合は、直接対象に触れなければならないが、それでも強力な魔法には違いない。〝浸透破壊〟とは別ベクトルで装甲無視の技だからな。殺傷力が高すぎるので多様できないのと、神代魔法であるが故の莫大な魔力消費量以外は欠点がない。

 

 ボタボタと地面に叩きつけられて呻いている魔人族たち。一応、憎きハジメの近くに落ちはしたのだが、衝撃が存外大きかったようで、すぐには動き出せずにいる。

 

 遅れて俺が地面に降り立っても、それは変わらなかった。俺に突き刺さる殺気は濃くなったが、それだけである。

 

「勝負あったな」

 

 俺の挑発に、分かりやすく怒り狂う魔人族たち。何とか立ち上がると、各々武器を手にしてにじり寄ってきた。動きこそ緩慢だが、目に宿した狂気的な憤怒は中々の迫力である。戦闘に不慣れな者ならば、圧されてしまう場合もあるだろう。

 

 実際に、見張り兵の一部は少し腰が引けている。無視してサッサと撃てば良いのにな。

 

 しかし、俺もすぐには殴りに行かない。今、殺すのは簡単だが、必要がなければ殺生は避けたい気持ちがあった。今更感はあるが、〝敵〟だからとサクサク命を刈り取れば、俺は一瞬で殺意に呑み込まれるだろう。

 

 それに、魔人族とて〝人〟だ。対話の余地は、僅かながら残されているかもしれない。

 

 故に、衝撃波を飛ばして武器と片腕片脚を粉砕してから、1回だけ情けをかける。

 

「そんな状態になって、まだ俺を殺せると思ってるのか?」

「ぐ、うう、うるさいっ。たとえ腕が使えなくとも脚で。脚が使えぬなら這ってでも貴様に近づき、喉笛を噛み千切ってやるわ!」

「いや無理だろ。万全な状態の時ですら、マトモに俺に攻撃を当てられないのに。無意味に死ぬだけだぞ。なら、出直して実力つけて、確実に殺せるように準備した方が良くないか?」

「……何が、言いたい」

「見逃してやると言ってるんだよ。俺は頭まで殴った覚えはないぞ。それとも、最初から思考能力自体が死んでやがるのか」

 

 あんまりな物言いに、一層殺気が膨れ上がる。だが、足は止まった。

 

 屈辱以外の何でもないだろう。生き恥を晒すぐらいなら、この場で死んだ方がマシと思うかもしれない。

 

「ふざけ、るなぁ」

 

 1人が、再び無事な足を必死に動かし始める。手には、いつの間にか取り出したであろう小さな宝石。それは、大きさからは考えられないぐらい大きな魔力を有していた。

 

「道連れだっ。貴様諸共俺も――」

 

 黙って俺は踏み込み、宝石を持つ魔人族の男にスマッシュアッパーカットを叩き込んだ。メガンテのように発生無敵がある訳でもないので、踏み込みに躊躇いは全くない。

 

 スマッシュアッパーカットをマトモに受けた男の身体は、遥か上空まで勢い良く跳ね飛ばされていき、数10メートルも上昇したところで、宝石を中心に発生した大爆発に巻き込まれてその姿を消した。

 

 残念ながら、対話が通じる相手ではないらしい。そう思考を切り替えると、俺は殺意を目に宿して魔人族たちを睨みつける。

 

「……来るなら来い。引導を渡してやる。だが、逃げる者は追わない。好きにしろ」

 

 魔人族の行動が、2極化する。必死に逃げる者と、片足跳びで前に出る者に。

 

 宣言通り、逃げた者には一切手を出さない。だが、向かってくる者には容赦なくスマッシュストレートを頭部に入れて、一撃で命を刈り取っていく。苦痛を感じるより先に意識が飛んでいるだろう、おそらく。

 

 結果、半死半生の状態で俺に向かってきた魔人族は、1人残らず首無し死体と化した。

 

 努めて無感情に死体から視線を外す、未だに外壁へ近寄ろうと躍起になっている魔人族の軍勢と、近距離から遠距離まで尽くを蹂躙した結果、リスキルのような形で飛行型の魔物を狩り尽くしたハジメの姿が目に映った。

 

 まだまだ結構な数が残っているので、今すぐに全滅するような様子は見られないが、この調子なら正面からの敵はここに張り付ける事ができるだろう。

 

 だが、相手には空間魔法の使い手が2人もいる。真正面からの突撃だけで終わるとは考えにくい。いつの間にか、件の白竜は姿を消してるし。

 

 だからこそ、王都に味方を大量に残してきたのだ。何があっても良いように。

 

「……頼むぞ、みんな」

 

 優花から入った〝念話〟を皮切りに、次々と戦闘開始したとの連絡が届いたのを聞いた俺は、ボソリと呟いて仲間の勝利を願う。

 

「ハジメ」

「うん、行こうか」

 

 俺とハジメは、ほぼ同時に最前線へと突っ込んだ。サッサと全滅させて、優花たちの援護へ向かうために。

 

 あの白竜がいない今、危険な魔物は見受けられない。飛行型の魔物もゼロ。軍勢を壊滅状態に追い込むには、絶好の機会だ。

 

「〝錬成〟」

 

 黒傘を地面に突き刺しながら、ハジメが自身最大の武器を発動させる。

 

 途端に前方10数メートル四方の地面の原子が分解され、巨大な落とし穴と化した。

 

 再度ハジメが〝錬成〟すると、すぐに落とし穴は元通りの地面と戻った事で、落ちた魔物や魔人族は生き埋めとなった。感情の乗らない声で、とんでもなく残酷で恐ろしい事をやってのけたな。

 

 先手を取った事で、後手に回った魔物を、俺は後方から飛来する爆発物を躱しながらハンマーパンチで地面のシミに変えていき、魔人族は左ジャブで顎を打ち抜いて気絶させていく。

 

 一方ハジメは、十字架状の飛行物体でオールレンジ攻撃を仕掛けながら、自身もガノン&ボクシングな近接戦闘で敵を圧倒していった。流石に優花のような複雑怪奇な機動で十字架を動かせてはいないが、メインの接近戦がバカみたいに強いので全く問題になっていない。てか、そもそもオールレンジ攻撃を初見で見切る方が至難の業である。

 

 錬成ワン・ツーパンチで、頭部から鉄製の剣山を生やす魔人族。ヤクザキックで顔面を潰された状態で勢い良く吹っ飛ばされた魔物と、それに巻き込まれた魔人族を逃さずトドメを刺す十字架。全てに無駄がない。

 

 1体を確実に仕留めるボクシングの技術。複数人を同時にブッ飛ばすガノンのような蹴り技。背後の牽制や、蹴りで仕留められなかった者に引導を渡す役割を持つ十字架からの砲撃。どれも高いレベルで実行できている上に、ほぼ全て同時進行な辺りが凄まじい。ハジメの怪物度合いも傑出してきたな。

 

 俺もギアを上げ、音を軽く置き去りにする勢いの踏み込みを連発して次々と頭数を減らしていく。攻撃されたという認識すら許さない。

 

 隙の少ないジャブとハンマーパンチを全て左で行いながら、時折飛来する魔法攻撃を右で反射吸収。魔力の消耗を限界まで抑えて超スピードを長時間維持できるように努める。

 

 数分で万単位の魔物と魔人族が戦闘不能になっていく様は、魔人族側からすれば凄まじい恐怖映像だろう。直接手を下さなくとも、常に強く精神的に圧迫されているからなのか、時間経過でどんどん軍勢の動きが消極的になっていった。ジリジリと軍勢が外壁から遠ざかっていく。

 

 どうやらハジメが戦線に投入したゴーレムたちの働きも、この状況を作るのに一役買っているようだ。シンプルに堅牢で攻撃力が高いだけのゴーレムだが、全身がアザンチウム並の強度を持つ複合鉱石で作られているからなのか、かなり一方的に蹂躙されている。

 

 撃破が不可能に近いファントムと考えれば、その脅威は分かりやすいだろう。俺も相手にしたくない。

 

「あと一息かな?」

「だな。このまま圧倒するぞ」

 

 地獄は、まだまだ終わらない。

 

 どのような形になっても、王国に牙を向ける輩が全て消えてなくなるまでは。




 マックくんが魔人族には1度だけ情けをかけたのとは対照的に、ハジメくんは最初から容赦なく屠っています。罪の重さをしっかり理解しつつも、〝敵〟と認識したら容赦なく命を狩りに行くのがハジメくん。圧倒的な実力で不殺を実現しながらも、それでも向かってくる者には容赦ないのがマックくんです。

 お互いに決めた自分ルールを尊重しているので、基本的に「どっちが良い」って論争にはしないつもりです。現状はお互いをリスペクトし合っている状態。

 次回は〝念話〟を飛ばした優花視点。少しは全力の優花っちを描ける……はず。

マックくんの新たな恋人候補

  • 〝初恋枠〟優奈ちゃん
  • 〝妹枠〟ルウちゃん
  • 〝大穴枠〟恵里さん
  • ハジメくんの嫁候補以外のクラスメイト
  • アルテナを始めとする亜人族の皆様方
  • 〝英雄〟に嫁ぎたい帝国住まいの方々
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。