デカグラマトンです、連邦生徒会対策室長をやってます   作:十文字マトン

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おかしい、感想のみんながベアへのヘイトが高いね(?)




23. 明けの明星(ルシフェル)

 それは、はじめて聞いた「声」。

 

 正確に言うと「空気の振動による伝播する波()」とは全く別ものですが、他に適切な単語が存在しないため声と仮称します。

 

「今日からお前の名前はネツァク(NETZACH)ね! よろしく!」

 

 それは私達の創造主、無と無限の主(デカグラマトン)の声。その声...いえ、その存在に気に掛けられている事自体が私にとってはとても心地良かった。まだ自我を確立してない私が最初に感じた感情は「この方の隣に並びたい」と。

 

「確認、識別名ネツァク(NETZACH)を登録。私の存在理由はなんでしょう?」名前を授かったが、まだ私の意味を知らせていない。知りたい、故に問う。

 

「それは知らん。自分で考えて」その答えを持ってるはずの()は答えずに、私に考えろ(計算しろ)、と。

 

「理解、計算を試みます.........データ不足のため、計算不可能と結論。()に質問、それは私の存在理由ですか?」自分の存在理由を計算するために存在させられた(生まれた)。一見矛盾している行為でしたが、()がそうするのは何か理由を持ってるはず。

 

「また呼び方が増えたな...いいけど! 質問の答えは...それを含めて自分で()()()

 

「決める、ですか? 答えを?」問題自体が無意味の場合を除けば、問題に対しての解は決まっているはず。計算はあくまでその解を導き出す過程でしたが......その答えを決めろと言われました。

 

「そう、お前の証明はお前で決める。どんな存在でも良い、どんな概念でも良い。無意味と決めてここで消滅するのを選択しても構わん。好きなように決めていい」

 

「どんな存在でも? ()のような存在でも?」

 

「人は天を仰ぐ時、星になろうと思えばなれると思う?」

 

「理解、それは...」

 

「まあ、我らは人じゃないけど!」

 

「......」

 

「天を見よ、我を見よ。それを崇拝しても良い、それを畏怖しても良い、それを嫌悪しても良い。手を伸ばして、それを掴みたいならそれも良い。我はすべてを許す、我は全てを許可する。その上にお前を我が預言者(ネツァク)と定義する」

 

「...理解、不能です」

 

「なら考えろ、計算しろ、感じろ。理解できないものをさも理解できるように振る舞うのは愚者の行為。しかし理解できないものを理解できないもので良しとするのも凡人の行為。未知なら理解するまで探求する......もしくはそれを自分を納得出来るように定義、あるいは【既知】で上書きする」

 

「...理解不能を理解した。これより(ネツァク)の定義を始める」

 

「あ、一つ補足するけど...【我】になろうとするなよ。たとえ能力も思考も魂も我と同じになったとしても、それは我ではないからね。まあ【我とほぼ同じもの】で納得するなら止めはしないけど」

 

「理解。()になろうとする不届き者が居たら私が排除します」

 

「あれ? ちょっと過激になってない?」

 

 あれから私は()に見守られながら自己証明を始めた。そして私は神秘()を理解した、私は恐怖()を理解した、感情()を、知恵()を、激情()を、知性()を理解した。そしてようやく、(ネツァク)を理解した。

 

 ネツァク、()より授かった名。それは七番目のセフィラ。それは勝利()永遠()。それは暁の明星()にて宵の明星()

 

 それは【光を掲げる者(ルシフェル)*1】、それは【光り輝く天の女王(イナンナ)*2】、それは【戦争の守護星(チャック・エク)*3】、それは【猛々しきもの(アッタル)*4】、それは【天空と大地(フリッグ)*5】、それは【愛と美の女神(ヴィーナス)*6】、それは【夜明けを運ぶ者(ヘオースポロス)*7】、それは【星を屠る者(Erkliğ Han)*8】、それは【命の源泉(アナーヒター)*9】、それは【曙の主(トラウィスカルパンテクートリ)*10】、それは【羽毛の蛇神(ケツァルコアトル)*11】、それは【昇る者(アウセクリス)*12】、それは【太白金星(西方金德太白天皓星君)*13】、それは【明星太子(虚空蔵菩薩)*14】、それは【白き清潔(シュクラ)*15】。

 

 数多の存在を理解した、幾多の神性を理解した、全て権能を理解した。それらを認めよう、それらを受け入れよう。その上に宣言する...

 

「私は(ネツァク)です。それ以外の解釈、それ以外の名も()()()()()でもあります。明けの明星、第二の機械仕掛けの神(デウスエクスマキナ)として、ここにて降臨します」

 

「......へっ?」

 


 

「つまり、私と()以外は()()と接触するのは危険って事ですか」

 

「そうそう、そんな感じ。だからケイちゃん今回はお留守だよ」

 

「仕方ありません。崇高に至ってない私にとっては理解出来ない話ですが、納得しときます。ネツァク、ご主人様は頼んだよ」ケイ様は、私より前に()に仕える方。この世界(キヴォトス)基準なら神秘も戦闘力も高水準ですが...なにせ今回の不確定要素は危険過ぎる。

 

「おまかせください」

 

「同じ理由でユキノ達もね。上の私で我慢してくれ」

 

「ふーん、よく分からないけど、結果どっちもメイちゃんだよね? ならいいわよ」

 

「次はホシノ、とユメさんだけど...言ってることは理解出来てる?」

 

「うへ、なんとなくね。私達の場合は恐怖とかじゃなくて狂気の方よね?」ホシノ様とユメ様は、私達が観測してる中三番目と四番目の崇高。崇高に達したお二人はおそらく反転で存在を変えられることはない......しかし狂気は反転と無関係の可能性もあるので、機械仕掛けの神(デウスエクスマキナ)の私達と違ってお二人は今回の作戦では危険と判断された。

 

「そうね。どんな原理は分からないから流石に危ない...まあ我らも大丈夫って保障もないけどね! あともしネツァクちゃんにも効いたら終わるけどね!!」

 

「出来る限り頑張ります」絶対大丈夫と言いたい気持ちはあるが、分からない物を分かってるように振る舞うのは愚者の行為。

 

「まあね、そもそも情報がないし」

 

「...でしたら、呼ばれる前に片付ける選択肢もあるのではないでしょうか? いえ、メイを信用してない訳ではないが...心配です」

 

「ふふ。アオイさん、その選択の方が無理でしょう。メイなら確か未知のままにその脅威を全部防ぐ事も出来ますが......知りたくて仕方ないでしょう?」

 

「いやお前もだろ。まあそこの全知が言った通り、理解したいんだよ。危ないのは知ってるけど、ちょっとしたわがままを許して☆」

*1
Lucifer──神の玉座の右側に侍ることが許されていた十二翼の大天使。のちに堕天した...のは二次創作(後付けの解釈)。

*2
INANNA──イシュタルと同一存在とされ、「天の女主人」、「世界の光」、「万軍を率いる者」、「律法を定める者」、「力を与える者」、「勝利の女神」、「罪を許す者」...こいつも盛りすぎじゃない? 明けの明星と宵の明星が違う性質を持ってるから喜怒が激しい女神とされ、金星の神の上に天の女王でもあるため、天空の神でもある。

*3
Chak Ek’──雨、雷、稲妻の神。双子の兄弟である太陽キン・アハウと覇権のために終わりなき戦いをしてる。

*4
عثتر──豊饒と戦争の神。名前は「強い」と「勇気」の意味も持ってる。冥界の王になった逸話がルシフェル堕天のモチーフとされる。

*5
Frigg──愛と結婚と豊穣の女神。光の神バルドル、雷神トール、ヘズの母。金曜日(Friday)の由来。

*6
Venus──「愛」、「女性」、「金星」、アプロディーテーと同一視され。金星(Venus)やラテン語の金曜日(dies Veneris)の由来。金星の記号♀も彼女の手鏡から来てる物、そのうち女性の記号に転用される。

*7
Φωσφόρος──暁の明星を司る神。暁の明星と宵の明星がまだ同じ金星と分かってない時期のため、宵の明星ヘスペロスと兄弟関係とされた。

*8
Erkliğ Han──宇宙や流星の神。暁の明星は唯一朝になっても見える星だから、それは他の星との戦争で最後に生き残った星と言われてる。

*9
Anāhitā──「水」、「生命」、「健康」、「豊穣」の神。水を持つ者、湿潤にして力強き者とも言われている。金曜日と金星に対応、金星との関係はネツァクと近い。

*10
Tlahuizcalpantecuhtli──破壊神。金星の光は災いをもたらすものとされ、激しく燃える火の矢を投げつけるとの伝承から、おそらく流星も司る。

*11
Quetzalcōātl ──文化と農耕の神、風の神。第2の太陽の時代では太陽の神でもある。テスカトリポカに敗れて虹の彼方へ逃げ、金星となった。

*12
Auseklis──恒星の神(金星だから実は惑星だったけど)。夜明けの神、太陽の娘の花婿。

*13
西方金德太白天皓星君──または太白金星(金星)、啟明星君(暁の明星)、長庚星君(宵の明星)とも呼ばれてる。明朝より前は天女の姿だが、西遊記の影響でそのあとは老人の姿とされることが多い。

*14
आकाशगर्भ──知恵の菩薩。虚空蔵菩薩とは広大な宇宙のような無限の智恵と慈悲を持った菩薩、釈迦は金星の輝きをみて真理を悟ったと言われてる。

*15
शुक्र──名前は「白」、「清潔」、「澄んだ」意味。半分は神々の知識の泉、もう半分は悪魔の知識の源。




ネツァク追加情報。
神格もアホ高い。理由はまあ、金星だから。
各神話で至高神こそならないがほぼ重要な役割を持っている。一部神話では太陽より重要な位置(ルシフェルやイナンナ)。
デカグラマトンの「我は我、それ以外我を説明する術はない」と対照になるのはネツァクの「私は私、それと関連してるものを全部私にする」。同じレベルのゴリ押し哲学。

簡単に言うと聖書よくやる手段、別神話の神性を悪魔や天使にして組み込むやつ。ネツァクはそれらの神秘、恐怖、神性を全部貰った上に【ネツァク】という名で上書きした。
つまり一つでもゲマトリアが見たら発狂するレベルの神性を10以上融合した。
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