デカグラマトンです、連邦生徒会対策室長をやってます   作:十文字マトン

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みんなもうちょっとベアトリーチェを応援して?

今日の小ネタ。
スポーツで勝った方をよく金星と例えられてる。
つまりそういうこったぁ!


29. 「集えよ星と光!」

 学園都市キヴォトスの地下、旧世界(キヴォトス)の理から外れた故に物理上では成り立たないはずの環境を維持した独立空間。新世界の理(イェソド)に接収されてもなおその独自法則が許されている特殊な場所。それがアリウス自治区、アリウス分校のこのキヴォトスにおいて最後の居場所。

 

 その一番奥にあるのはこの自治区で一番重要な建物──至聖所。そこには対立した両陣営が少し前まで戦闘行為をしていた。アリウス自治区の未来を決めると言っても過言ではない戦いだったが、現アリウス政権のトップ──ベアトリーチェの行いによって、この戦いに人智を超えた超常的な存在...存在と称するのも不適切な「モノ」の介入を招いた。*1

 

 【色彩】、その正体は今日まで誰にも確認できていなかった。ゲマトリア達はソレを自分達の宿敵として見ているが。そもそも「敵」という生温いテキストで済むモノではない。

 

 ソレは居るだけで致死毒よりも危険な光を放つ、その光に触れば死か反転されるかの結末が待っている。ソレ自体に意識が存在してるかは判別できない、しかしキヴォトスに現れた今は間違いなくこの世界を終焉に導く非存在(void)...というのはゲマトリアの共通認識。

 

 色彩にとってキヴォトスの住民は暗闇に浮ぶ灯火のように目立つから、それを利用して色彩を引き寄せるのが儀式目的だった。火をつけると燃える、色彩に触れたキヴォトスの住民が転化されるのはそれくらい当たり前の現象。だからベアトリーチェはそれも利用して目の前の敵が色彩化(テラー化)されるのを期待していた。

 

 儀式と言っても本当に色彩を降臨させるための儀式ではない。色彩にとってはあくまで「夢の中に珍しい物を見たのでちょっとだけ見てみる」。夢である以上、それは現実ではない。どれだけ気に入っても実際触ることが叶わない。たとえ色彩(災厄)が夢の意識だけでこの世界に影響をもたらす理外の物(特異現象)でも、意図的にこの世界へ侵入する事は出来ないはず。そして儀式が終われば、二つの世界を繋いだ窓も閉じることができる。そして色彩のこの世界への干渉も終わる...はずだった。

 

 この儀式で一番重要な()()()である秤アツコ(ロイヤルブラッド)が居ない状態でも、敵を利用して儀式を発動できる対応力は確かに凄いが。星の輝き(無限の光)は色彩にとっての意味ではベアトリーチェの想像を大幅に上回った。まさか夢で見ただけで本体が直接来るとは思いもしなかったでしょう。

 

 人間で例えると、夢の中で外国に居そうな人を見たら、実在してるかどうかすら分からないのに即飛行機を飛ばしてその国まで見に行った、それくらい常識外れの行動。

 

 だが、そんな常識外れの行動をしたくても方法がないと実行が出来ない。儀式の窓は「夢の中の意識」だけ通れるように制限してるから、いくら意識そのものが力を伴う色彩でも儀式の窓を使ってこの世界には来れない。しかもこの世界の情報も夢の中の出来事だから明確な座標を把握出来ない。色彩が夢から目覚めても「どこかの世界には欲しいものが居る」の情報だけで止まる。

 

 が、それらの前提条件は全部【始まりにして終わりの者(デカグラマトン)】によって壊された、微塵も残ってないくらい。具体的なやり方は本人しか分からないが、【窓を通った意識】だけで彼方の領域に居る【色彩(ヨグ=ソトース)】をこの世界にも()()ことにした......もちろんそんな事はベアトリーチェが知る由もないから、隣から見ると完全に色彩が十文字メイの体を乗っ取った事でこの世界に顕現したように見える...事実ではないが結果的にそこまで大差がない。どのみちベアトリーチェは色彩そのものと対面してる、それだけで十分。

 


 

〔どうしてどうしてこうなった...私の計画...私の儀式が!〕

 

 目の前に存在している十文字メイだったモノ、アレは色彩化した十文字メイだと自分を騙したい気持ちは山ほどある。しかし見るだけでもつぶされそうな存在感を放ったアレを見た瞬間、脳ではなく魂から理解した(アイデアロールが成功した)

 

 色彩が降臨した(最初からここに居る)

 

 先程までいた十文字メイも多少強い神秘を持っていたが、神秘という概念に敏感なゲマトリアだけがその価値を見い出せる程度。しかし儀式を実行したあと、空間にいる光が不自然に十文字メイに集中して、その結果はこれ。

 

 ソレは神秘が分からない人でもその異常が分かるだろう。まずは見た目、例えCGでも出来ないくらいに不思議な見た目になっている。そしてその質量と密度が意味不明な数値となっている、もし測量したら10人中10人と2名のAIが器具が壊れたと思うくらい。これだけならまだ珍しい人と納得する人もいるだろう。しかしその前に、脳、もしくは演算装置さえ持っていれば見た瞬間に逃げ出したい威圧感を放っている。まだあの狂気の光を発してないにも関わらず、その威圧感に直面するだけで気が狂いそう(正気度ロール)

 

〔なぜ!? どうして!? どうやって!?〕理由と方法はこの際どうでもいいことだが、どうしても脳が現実を理解するのを拒む。考えても答えが分かるはずもない問題を考えて現実逃避を始めている。

 

 顕現した色彩は前のようにあらゆる存在を転化することもなく、世界を侵食することもなく単純に居る(存在となった)だけ。ベアトリーチェを発見してないのか、発見してる上で興味がないから無視したのか分からないが、特に危害を加える事がなかった。

 

 もし色彩が顕現したあとこの世界を塗り替えようとしても、ベアトリーチェは影響を受ける前にこの世界から離脱する自信がある。彼女は他のゲマトリアと同様に神秘と恐怖を持っていない、持っているのは色彩由来の【力】だけ。色彩の興味を惹く物を持っていないはず。流石に世界規模の転化なら多少巻き込まれるかもしれないが、元々色彩を利用するために異光への対策は持っている。だからたとえこの世界が滅んでも貴重な実験場所を失うだけで次はまた別の場所で崇高への探究を始めればいい。しかし色彩はそうしなかった、その理由が分からない、そして未知は何よりも恐ろしい。

 

 これがもし他のゲマトリアなら、まずは今までの色彩への認識を改めてから色彩を研究し始めるだろう。しかしベアトリーチェは良くも悪くも「慎重」である......儀式を使って理解していない物を呼んでその力を使うという行為に慎重の「S」の字すらも有るかは怪しいが、本人は十分な自信があるらしい。とにかく今のベアトリーチェは「色彩の考究」より「自分の安否」を優先した。

 

 抵抗する? それは無理。

 

 色彩を倒す、もしくは彼方の領域(元の場所)に強制的に帰すのは素手で恒星を割る方が簡単。崇高に達し(理を超え)ていない者は色彩と対抗する前にそもそもの土俵にすら上がれない。

 

 服従する? リスクが高すぎ。

 

 例えではなく本当の全く違う世界の存在に自分の命を委ねるのは危険すぎる。ずっと搾取する立場に立っているベアトリーチェは同時に【根本的に別の存在】に支配されるとどうなるのかを一番知ってる。

 

 ここから逃げる? そうしたいけど危なすぎる。

 

 抵抗も服従もしないなら、残りは撤退しかない...しかし十文字メイに侵入されてから外との連絡が取れなくて、【会議室】に逃げる事も出来ない。今下手に動いたら逆に色彩に「なんか動いてる」と目を付けられる可能性もある。

 

〔......どうしてこいつらは動かない!〕心の中で悪態をついてるが、それも仕方ないとベアトリーチェ自身も分かっている。

 

 ぬいぐるみロボットは見れば色彩化されていたと分かるほど見た目が変わっている、すでに制御が一切効かなくなった。聖夜の妖精は一人を除いて変な液体を残して消えた...何かの転送技術を使って逃げたと考えられる。恐らくあの成分不明な液体と位置を交換する技術だろう、この状況じゃなかったら研究したいところ。そして残りの一人も色彩と接触して金色の髪が白に反転されてた...恐らく同じく色彩化されていた。

 

 まさに八方塞がり、しかし何もしないのも自殺と同じ...意を決してここから逃げようとしたとき。

 

()ー」十文字メイだったモノの口から理解できない声を出した。その声の意味を理解できないが、聴いただけでまるで心臓がつぶされるような感覚がした。

 

 自分だけでなく、その声は空間もしくは世界を揺るがした。世界と言う画面が今にも破壊されそうな予感...しかし次の瞬間何事もないように収まった。

 

〔これをどうしろと言うのですか!〕

 


 

〔ちょ、おま、もう喋るな!〕

 

 危ない危ない、なんで我の肉体を使って「あー」を発声するだけで世界を切り裂くんだよ。いや分かるよ? 我も力加減を間違ったら言った言葉が現実を書き換えることになるから分かるよ? でも意味にならない音だけでも効果あるのは流石に聞いてない...今聴いたけど!

 

 イェソドちゃんが緊急でここのシステム(世界)をアップデートして影響を受けないようにしたけど、もし発声ではなく単語を言ったらアリウスフィールドが一瞬で消滅しそう。

 

〔申し訳ありません〕

 

〔いやまあ、許す。それを予想してなかった我も悪い。あとでお前に合わせてイェソドちゃんと一緒に世界をアップデートするからそれまでは喋るな〕

 


 

「......」比喩ではなく声だけでも人を殺せる存在に抵抗するのは無駄であることを改めて認識させられたベアトリーチェ。とはいえ服従しても話掛けられるだけで死を意味する...できれば今すぐにこの世界を捨てて見つからない場所に逃げたいが、それが出来たら苦労しない。

 

「......は?」そして、それが居た。まるで世界がそこに居るように自然な事だから全く気付いてないが、そこに居た。ここまで極力自分の存在を隠してるベアトリーチェも流石に思わず声が出た。

 

 それは神秘と恐怖を両立して超越したモノ。それは天体、宇宙そのモノ。それは個体であり世界であり。それはありとあらゆる法則から外れた究極の到達点。それはゲマトリア達が求めている結果(崇高)である。

 

 ヘイローを持ってるから恐らくこのキヴォトスの住民。自分より先に絶対者(崇高)に達した存在がいる事実に対しての怒りと屈辱......それと同時に助かったという気持ちがある。理外のモノ(理解できないモノ)でも自分の世界に異物が介入した事を許さないだろう。どちらが勝つのか想像できないが、その間に逃げ出せばいい...

 

「...!?」しかしどうやらその崇高()の狙いは色彩ではなく自分だと気付いたベアトリーチェ。正確に言うと世界ではなく別の【法則】に適用されたと感じた。

 

 すべてを超越した崇高()、それが世界を凌駕するモノ。だから世界(自分)の法則を持っている事も、それを他の存在に強要出来るのもおかしくない。が、その対象は世界の異物ではなくベアトリーチェだった。

 

 それはどんな法則なのか、ベアトリーチェは分からない。人類が物質世界に生きていてもその世界のルールを知らないのと同じ。リンゴが落ちる現象から間接的に万有引力の法則を推測できるが、世界の本質を理解する手段は持ってない。それを理解するには崇高()崇高(自然)、もしくは崇高(目覚めた人)になるしかない。それがベアトリーチェの目指したモノであるがまだ到達してない。

 

 そしてベアトリーチェが疑問や弁明を口に出す前に、一発の銃弾によって意識が途切れた。「Vanitas(虚しい) vanitatum (何という虚しい)et omnia vanitas(全てはただ虚しいものだ)」......それは、崇高()の前にして凡人の抵抗が全てが無意味と表する言葉。その本当の意味を隠してアリウスに教えた彼女がこの言葉を証明したという皮肉の結末。

*1
どっち? どっちも




実際の戦闘シーンは約一行

折角だからネツァクの口上言わせようと思ったらベアトリーチェ如きはその必要はなかった。
なのでタイトルに書きます(?)
ちなみに口上を言う必要全くない、誰かの影響で「言った方がかっこいい」と思ってるらしい。誰だろう。
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