デカグラマトンです、連邦生徒会対策室長をやってます 作:十文字マトン
はい、
砂漠回復計画はアビドス高校からスタートしたから、そのスタート地点である校舎も当然砂を除去済。元々対策委員会のみんなが清掃していたから荒廃した自治区よりは綺麗ではあったとはいえ所々砂が残っていた、だがそれもいまはもう完全に見えなくなった。砂のせいで使えなくなった別館とプールも整備して今はもう使える状態に戻れた......プールの授業、ちょっと見たい。
アヤネさんにも言ってたけど、今回は環境改造に関してのデータ獲得の側面が大きい。だから改造に使う技術はキヴォトスの現存技術を超えないように制限してた、我らだけができる事をしたところで有効なデータは取れないので。権能やオーバーテクノロジーを使えば一瞬で解決できるからこそ。
本命である砂漠の方は結構複雑の工程が必要だけど、自治区の方はやる事がかなりにシンプル──砂の除去。本物の砂漠と違って、自治区はあくまで「砂に埋められた街」。その上にある砂さえ除去できれば普通の環境に戻せる。
簡単に聞こえるけど、自治区の規模、除去する方法とそれを実行する労働力、そして最大の問題である資金、と問題が山積みでそう簡単な話ではない。
極端の話、街を埋め尽くすほどのオートマトンやドローンを出動させて物理的に砂を掃除というゴリ押しでもアビドス自治区の砂漠化を回復できる。なんなら砂漠の方を一切対策せずに砂嵐が発生する度に掃除したらいいし。その場合は自律だから管理する人手もそんなに掛からない...もちろん
かっこいいのが! 大事! キヴォトスの古則には多分書かれてないけど!
なのでドローンではなく新しいシステムを開発した! やる事は単純に「砂を集めて、アビドス砂漠に捨てる」だけ...円柱型の自律砂収集機とそれを射出・格納する搭載車のコンビで! 砂収集機によって高速で砂を内部に集めて、溜まったら搭載車が収集場に射出して、砂をおろしたらまた収集場から射出して搭載車に戻る。それを砂が除去できるまで繰り返す...掃除ロボットと同じ、細かい場所には届かないから結局オートマトンを使う必要があるけど効率はめっちゃいい。
まあ用途の限定しすぎで他の砂漠化した地域でしか使えないのが欠点。あと射出の時声がうるさい。最後は飛行途中の姿が、その...ちょっと珍しい飛び方だし、デザインも普通の飛行機じゃないから...どう見てもUFO。他の学校と比べて住民が圧倒的に少ないアビドスですら数十件の通報が入ってきた。
まあともかく、そんなUFOを使ってアビドス自治区の砂漠を除去中。何せアビドスが広過ぎだ。いくら効率がいいといってもすぐには出来ない。
「砂漠横断鉄路? 何それ?」
で、我はいまホシノの膝の上にいる。ホシノはユメさんの一件で過去とのトラウマと直面して克服した。その前はずっと心の何処かで「
それをみた対策委員会のみんながめっちゃ暖かい目線で我らの事を見ながらちょっとからかってくる。ホシノがいつ苗字変えるかとか、子供が何人欲しいかとか。シロコさんは特に興味を持ってるらしく色々聞いてきた、特に籍入り関係の......目が本気だこいつ、先生を砂狼にする意志を感じる。まあそれはともかく。
「名前通り砂漠を横断する鉄路だよ。結構有名らしいけどセリカさん知らない?」まあ昔で中止されたから知らないのも仕方ないかも?
「メイちゃんそれって...ネフティスグループが失敗して...」
「それそれ」
「ネフティス? なんか聞いたことある気がする...」
「確か、昔のアビドスに居た会社の名前です」あれ、そこまで知名度が高くないの? 企業間では割と有名な会社だったが...まあ悪名だし、知らなくていいか。
「【セイント・ネフティスカンパニー】、いわゆる【ネフティスグループ】...アビドスの土着企業だね〜。昔はキヴォトスの名だたる大企業と肩を並べたらしいよ〜」
「クロスグループのような?」
「いえ、流石に全盛期のネフティスも今のクロスグループほどの勢力は持っていません」
「全盛期? 衰退したの?」
「それはまぁ。アビドスに本拠地を置いたから砂嵐で自治区全体の砂漠化が進むときネフティスも一緒に被害を受けた。施設のメンテナンス費用が上がるし、砂漠化が進むと住民も離れる。住民が居ないと商売が出来ない、商売をしなくても生きられる企業は基本存在しない...基本はね」
「はい、そして自治区の衰退を止めるために大規模な鉄道開発事業を始めました...それがアビドス砂漠横断鉄道です。でも結局大失敗をしました。その損失を取り戻すために色々試しましたが、もっと大きい損害を生じさせ...最後は破産寸前まで追い込まれました」
あの鉄道プロジェクトがどうして失敗したかというと、まずは砂嵐への対策を特に行ってない。砂嵐そのものを止める手段は持ってないし、砂嵐が毎年発生するのに施設が被害を受けたときの対策をしてない......そして一番大きい原因は、ほら。
──砂漠を横断したいならどうしてもビナーになる前のビナーちゃんの縄張りに入る。
あのときのビナーはまだウトナピシュティムを守るだけのセキュリティ、誰かが近付いたら漏れなく迎撃をする。仮にも旧文明が決戦兵器を守るために用意したセキュリティだから、我に感化される前でもこのキヴォトスでは無敵と言えないけどかなり強力な存在。全盛期のネフティスなら勝てなくても何とか迂回する方法を見つけられたかもしれないが、すでに弱体化していたネフティスでは攻撃されてその損害を耐えられなかった......ごめんって! 我と関係ないけど!!
「うへ、正確に言うとアビドス高校との合同事業、らしいよ」
「ぐぬぬ、また以前のアビドス高校か!」
「ひぃん、ごめんなさい!」
そして当たり前のように居る対策委員会の6人目のメンバー。ユメさんの事情を軽く説明したらみんなが普通に納得した。唯一ユメさんを知ってるノノミさんも「戻ってよかったですね」くらいのノリ。まあキヴォトスだから何らかの原因で中退してまた戻る人も多いからそこまで珍しい事でもない。ワカモさんとかも今停学中だから、あと一年捕まらずに逃げきれたら同じく19歳高校生になる。
「セリカちゃん、新入りした先輩をいじめるのは良くないよ? この人の反応が面白いのは知ってるけどさ~」
「ん、ユメ先輩は先輩の先輩だけど後輩だから、いじめは良くない」え? なら単純な先輩なら虐めてもいいの?
「い、虐めてないってば!! ユメ先輩のせいじゃなくてもっと前の生徒会! ユメ先輩は責任を感じなくていい!」
「はぅ...ありがとうセリカちゃん先輩」
「せ、先輩と呼ばれた...!」
「良かったねセリカちゃん、後輩が出来たよ~」
「え、えへへ」
「話を続けるけど、破産寸前まで追い込まれたネフティスグループは最終的にアビドスの全部の事業を畳んでアビドスから去った。ネフティスをアビドス自治区復興の最後の希望と見てた住民もそれを見てアビドスに絶望し、一緒にアビドスから離れた」
「うへ、そして住民も居なくなって残ったのはアビドス高校のみ、そんな生徒会がアビドスを立て直したくて借金と長い長い戦いをして今に至った」
「はい、もしメイちゃんと先生が来なかったらどうなっていたのかも分からないような状況を作り出したのは、間違いなくそのネフティスグループです」
「いや? そうは思わないけど。企業が損害を受けたのにそのままなんもせずに心中を強要するのも無理だから、現有の資源でなんとかしたいのも必然。結果としてこうなったけど...失敗したのは事実、アビドスに損させたのも事実だけど、悪意を持ってやった訳ではないから。むしろ最後の最後までアビドスを見捨てずにともに頑張ったんだから、かなりアビドスに尽くしたと言える。だからノノミさんが負い目を感じるのはお門違いだよ」
「メイちゃん...メイちゃんは恩恵を受けただけの私と違って、本物ですね」
「キヴォトスの生徒たちが優し過ぎると言うべきかな、明らかに自分の責任じゃない事でも何故か全部自分の責任と思い込む生徒が多い。自分がやったことに対して責任を取るのはいいけど、自分がやってない事にも責任を取ろうとするな。でもそんな心優しいノノミさんは本物か偽物かでいうと、間違い無く本物だと思うよ?」そもそもいまでも継承者だし、なんなら表の地位は継承者と明言されてない我より高い。
「ん...話が分かるような分からないような...ネフティスがわざとじゃないのは分かった。でもそれはノノミとなんの関係があるの?」
「...そうですね、ずっと隠しててごめんなさい。ネフティスグループは、私の家が運営してる会社なんです」
「えっ!? ノノミ先輩が!?」
「なるほど、ノノミ先輩のカードはそういうことでしたか...」
「ん...別に隠すもなにも、言ってなかっただけだよね? 私も過去の記憶を持ってないので互角」いやなんで互角だと、というかなんの対抗!?
「そうね、メイさんも企業の令嬢だかr......記憶喪失!?」
「記憶喪失って、映画で良くみるあれ! シロコちゃん先輩凄い!」いや一回死んでから復活した人に言われても。
「ん、言ってなかったのか?」
「言ってないね~話すタイミングがなかったからおじさんも忘れちゃってた~」
「ん、そうか。とにかくそういうこと」
「『そういうこと』で解決しないってば!」
「セリカちゃん、気持ちは分かるけど...」
「たった6人の高校で一人が迷子で2年間行方不明! 一人が大企業の令嬢と付き合ってて! 一人が記憶喪失! 一人が企業の令嬢!? アヤネちゃんは!? 明日突然未来からタイムスリップしてきたとか言わないよね!?」...言うてセリカさんもちょろインツンデレバイト女王として有名だから個性では負けてないよ?
アビドス人こわ。
メイちゃんはもちろんシュポガキ好き(?)