デカグラマトンです、連邦生徒会対策室長をやってます   作:十文字マトン

131 / 222
シュポ...シュポ...


4. アビドス砂漠横断鉄道、開発再開のお知らせ

「えっ? で、でも! 交渉の人も収益は好きにしていいって」

 

「簡単に言うとこの契約の内容は『【ネフティスが所有してる横断鉄道施設】を好き勝手に使っていい』だから、商業利用で収益を出すのは権利の内...しかし勝手に改築や施設を売ることなどは出来ない」

 

「どういう事なのよ!」ユメさんだけでなくセリカさんも分からないようだな...ノノミさんとアヤネさんは多分なんとなく察した。

 

「えーとね、簡単に例えると...()()()()()()があるよね? お金を払えば好きに乗り回っていいやつ。それを使ってどんな事をしても不問...傭兵活動やK*1burタクシーでお金稼ぐのも、なんなら銀行強盗もできる」

 

 以前も言ってたけど、キヴォトス人とはいえみんながみんなハスミさんのように簡単に戦車を破壊出来るわけではない。重武装を持ってない相手ならそんなに破損の心配はいらないし、自分で買うより安いから割と人気。...まあ三大校に喧嘩を売ったら一瞬でスクラップにされるけど。

 

「ん、それ便利だね。でも壊れたら弁償」銀行強盗と聞いただけで元気になった砂狼氏。

 

「そう、レンタル期間は実際にその戦車の使用権を得ているのでどんな使い方をしてもいい。しかし期間が終われば元の状態で返却する必要がある」

 

「...! なるほど。つまりこの契約は期間を設けてないだけで、今の状態を勝手に変えてはいけないですね」

 

「そうそう、これはあくまで使用権。開発権と所有権は含まれてないからね。【ネフティスが所有してる横断鉄道施設】を使って収益を出すのは自由だけど、勝手に部品などを売る事は出来ない......」

 

「しかし今の横断鉄道...の跡地には100万を回収できる見込みはありません。だからこんなに安く売ったんですね」

 

「あれ? つまりこの権利ほぼ意味ないじゃん!」

 

「いや、それだけじゃない。もっと大きい問題があるけど」

 

「ひ、ひぃん。ま、まだあるんですか!」

 

「先ほども言ったけど、アビドスほどではないにしてもネフティスもかなり衰退している。借金こそしてないがちょくちょく財務に問題が発生してる。その時にアビドス自治区に残ってる施設とインフラを全部カイザーに売った。2年前、ユメさんが契約を締結した時ネフティスはそもそも【横断鉄道】の権利を全部手放した後だった...あの時点で、【ネフティスが所有してる横断鉄道施設】はそもそも存在しなかった」

 

「えっ!? あれ!? つ、つまり...」

 

「また騙されたんだね、先輩は」

 

「ひ、ひぃぃぃいん」

 

「つまりその契約は一言で言うと『大金を払って生涯使える食べ放題の会員カードを作ったけど、該当の店はそもそも営業してないし、跡地も別の会社が所有してる』......でも契約自体にはなにも問題がないから詐欺ではない、事実も言ってないだけ。カイザーほどじゃないが、ネフティスもそれなりに悪名が高い。恐らく似た手口に慣れてるんだろう」

 

「こんな詐欺まがいの悪質契約を...もしかしてユメ先輩、セリカちゃんと同じタイプ!?」

 

「ちょ、ちょっと! 同じってなによ!」

 

「いやまぁ~初めて見たときにその破綻を見抜けなかったおじさんも同じレベルだよ~」

 

「確かに巧妙な手法...ネフティスがやりそうな事です...ユメ先輩、ごめんなさい」

 

「ん、だからノノミが謝る事じゃない」

 

「ですが、契約書によると即時支払いではないので、残りの99万を払わずに契約を無効にできます!」

 

「いや〜それだけど。おじさんが残りを払ったよ、アビドスの名義で」

 

「わ、わざわざ意味ない物を買ってたんですか?」

 

「ん...ごめん、何を考えてるのかサッパリ」

 

「詳しい説明は...メイちゃん、よろしく〜」いや自分でしないのかい。

 

「確かにその契約で得られる権利は、すこし前までは何の意味もない物だった...すこし前まではね!」

 

「それはどういう...?」

 

 契約の内容を確認しに行くとき、まずはネフティスに訪れたんだけど、その後そういった物はほぼハイランダーで保管してると発覚した。で、どうしてネフティスではなくハイランダーにあるかと言うと...こいつらがちょっと、いや結構ややこしい関係になってる。

 

 かつてのネフティスには資金があったが、発展し過ぎると他の企業に目をつけられる...もうつけられてるけど。そして連邦生徒会も一応学校都市に進出してる企業を審査してる。モモグループのような本当に白な会社や連邦生徒会の内部に浸透してるカイザーならともかく、ネフティスグループ単体でそのまま発展したらおそらく制限対象にされる...多分。昔の連邦生徒会はアレだったから実は適当に賄賂したらいけてたんじゃない? 疑惑あるけど。

 

 そしてハイランダーは自分の自治区(領地)を持ってないから学校の維持は全部鉄道の運営に掛かってる。しかし事業を拡大するならもっと資金が欲しい。ネフティスが資金を提供、ハイランダーと言う独立学校として実質の拡大。そういう共生関係...だった。

 

 自治区こそ持っていないがハイランダー鉄道学校はネフティス中学校と違って、完全独立の自主権をもってる正式な学校。基本的に企業が学校の内政に介入するのは許されてない...基本はね! だから企業であるネフティスはハイランダーを直接運営することは出来ない、もしそうしたらハイランダーは自主学校としての優位性を失うから。

 

 しかしお金を出してる立場なら、直接干渉しなくてもいくらでも方法がある。だから最初はネフティスが主導権を強く持っていて、ほぼハイランダーを傀儡化出来てた...が、アビドスとネフティスの衰退とハイランダー内部の脱ネフティス派の勢力の台頭によって、段々とその力関係が逆転した。

 

 最後の決め手としては、2年前に継承者であるノノミさんの入学拒否。元々ハイランダーの生徒会長になるはずだったノノミさんが不在になったため、ネフティス系派閥がハイランダー内部の権力争いで負けた。いまのハイランダーに生徒会がなく各部活が割拠状態にあるのもそれが原因...一応監理室のスオウさんはまだネフティス系と言えるけどノノミさんのネフティス本家とはまた別勢力。めんどくさいなこいつら。

 

 今となってはネフティスは事実上ハイランダーに支配されてる状態。しかしハイランダーから離脱したくても、今のネフティスは後ろ盾がなかったらすぐに倒産するくらい弱い。ハイランダーもハイランダーでこんなあんまり役に立たない企業を抱えてもしょうがない状態、しかし内部にはまだネフティス派が残ってるから仕方なく続けてる......つまり今は両方とも損してる状態。

 

 なので......

 

「【セイント・ネフティスカンパニー】の全権利が既にクロスグループに買収されて、今は晴れてクロスグループの傘下に入ってる。めでたしめでたし──」

 

 ネフティスグループを引き取った、てへ。

 

「え、えええぇーーー!?」流石に自分が預かり知らない場所で実家の会社が買収されていたことを聞いたノノミさんもこれくらいの反応をする。一応ネフティスからは何度か連絡してみたけどノノミさんは着信拒否してたから。

 

「......! なるほど!」お、流石アヤネさん。どうして昨日まで意味がなかったと言っていたのか分かったのね。

 

「う、うん? それはつまり...つまり?」そして全く理解していないユメさん!

 

「会社が買収されたときその会社が有する権利だけでなく()()も継承される。つまりその契約でアビドスは【ネフティス】だけでなく、【クロスグループ】が所有する砂漠横断鉄路の使用権も獲得することになった」

 

「ん...つまりメイちゃんがその横断鉄路を建設をしたら、アビドス高校はそれの使用権も持てる...?」

 

「そこでアビドスのみんなにいい提案を持ってきた──砂漠横断鉄路、アビドスも参加してみない? 砂漠横断鉄路のアビドス分社として!」

 

「「「「アビドス分社?」」」」

 

「そう。クロスグループは確かに砂漠の土地と自治区のインフラを持ってるけど、このまま建設を再開して正式に運営しても収益が全部アビドスの物になる。そうなるとこっちに開発するメリットがなくなるから放棄された施設がずっとそのままになる...なのでいっそのこと、アビドスも一緒に経営しないか?」

 

「一緒に......経営?」

 

「でも今のアビドスは資金にそこまでの余裕が...追加で借金するにしても」

 

「逆だよ逆。アビドスは既に使用権、つまり収益の分配の権力を握ってる。むしろこっちがお金を出してアビドスから収益を買う番」

 

「うへ、つまり結果的に100万でめっちゃお得な買い物をしたよ」

 

「まじ!? ユメ先輩お手柄じゃん!!」

 

「ひぃん、そんな事まったく考えてなかった」

 

「で、でも。それ結果的にメイちゃんが損してる事になりませんか...?」

 

「それに関しては大丈夫。いまのアビドスは環境が回復したとはいえ、家賃が安い以外ほぼ魅力がない。安くても何処に行くにも手間が掛かるからそこまでのメリットにはならない。しかし他の自治区との交通が整備されたら在住したい人も増える、そして利用者が増えたらお金も回収できる、多分!」

 

 めっちゃ頑張って利益予測で結果的に儲ける事を証明してようやくホシノを説得出来た。もしネフティスの騙し討ちがなかったら多分そんな美味い話を引き受けないやろ、こいつクソ真面目で自分達がズルするの許さないからな。まあちょっと重い税金と考えたらいいし、なんなら一部自治区の法律では営業権の代わりに株を上納しないと営業許可が降りない学校もある。そこで経営するだけで利益を取られるという厄介システム、アレと似てることされたと考えればいいし。

 

「それならいいですけど」

 

「んで、もしリスクを負いたくないならその使用権を売り戻すこともできる。一瞬で千倍以上の値段になるよ? しかもその後の税金収入も貰える、こっちもこっちで悪くないと思うよ」

 

「アビドスとクロスグループの提携か、メイさんなら信じられるのでいいと思います」

 

「ん、メイは騙してくるとかないだろうし...やるならもっと早い段階でやってた」

 

「だからその信頼度は何処から...今回は心当たりあるか」

 

「いや〜あれだけやってくれたから、どんな()()不信のやつも信じるだろうね」そうそう、人間じゃないから人間不信の人も信じれるもんね......いや、この場で三人だけ分かるネタやめい。

 

「私も聞いたよ! メイちゃんのお陰で土地を回収出来た事!」いやお前は土地を失った事すら分かってなかったじゃん。

 

「あ、今回はハイランダーも参加するよ、開発計画。ハイランダーは鉄道建設のプロだし、ネフティス時代に協力関係があったから。それにハイランダーと連携しないと他の自治区の鉄道と繋げられないので...無理じゃないけどかなり無茶!」そう、ハイランダーからネフティスを引き取った代わりに、クロスグループがハイランダーと協力関係を結べた!

 

 アビドスの環境が回復してることはまだ市民や生徒に広がってないけど、企業間では結構話題になってる。これからの価値上昇を狙って中小企業達が安値でアビドスから権利を買い取ろうと動いてる...けどアビドスと接触する前にクロスグループから圧をかけて諦めさせた。

 

 別に独占したいわけではないけど、このタイミングでアビドスに投資したいやつらは大体舐めた条件を出そうとしてる。相場通りで来たら別に止めはしないけど。まあそのせいで...そのおかげともいえるか。「アビドスはクロスグループの縄張り」が企業圏の共通認識になった。

 

 だからハイランダーにあの使用権の契約を確認をしに行ったとき、すぐに「クロスグループがアビドスの鉄路事業を再開するつもり」と察された...鋭いな。まあ隠してないから。

 

 そこでネフティスとハイランダーの現状を把握したら、ネフティスの買い取りと同時にクロスグループが代わりにハイランダーのパートナー企業になった。自慢じゃないけど今のキヴォトスはクロスグループの一強だから、合作してる事実だけでもハイランダーにとってかなりのメリットになる...多分。

 

〔さらに次期連邦生徒会長と噂された対策室長もクロスグループの関係者だから〕うるさい、だからやらないって。

 

 んで関係を締結したら早速ハイランダーからアビドスの鉄路建設の協力を申し出てきた。経験者がいるとこっちも助かるし、別の鉄道システムも基本ハイランダーの物だから、他のシステムとの連携がスムーズになるので断る理由は特にない。

 

 そこまではいいけど、何故か提案した二人が勝手にクロスグループ派閥を作り始めた、なんで? まあ別に悪い事じゃないからあの二人を正式にクロスグループに加えて派閥を公式化した。いや〜めっちゃ元気で可愛い娘だよ。なぜか我の事を「お嬢様」って呼んてるけど。

 

「次はハイランダー側の責任者も連れて正式な会談をするけど...アヤネさんは利益分配とかの経験がないと思うので、教えながら進むつもり」

 

「あはは...会計ですので。アビドスの為に頑張ります!」そういえば原作の会計はセリカさんだったな...いやセリカさんは無理やろどう見ても。

 

「めっちゃ大変だと思うけど、頑張れアヤネさん!」

 

「ん、アヤネちゃんなら出来る」

 

「わ、私も協力します」ノノミさんも経験がないけど多少の教育を受けてるだろうしね。

 

 ノノミさんに関して、ハイランダーに入学拒否することでネフティス内部では結構不満が溜まってた...買収される前はね。いまではアビドス高校に入学したお陰でクロスグループの令嬢と交友関係になれたという事で不満が全部消えてる。いや掌返しにも限度があるやろ。

 

 継承問題はノノミさんの意向を確認してからかな。もしやる気ならそのままノノミさんに継承していいし、もしやる気がないならスオウさんに投げるつもり。まあそんなに変わらないけど。

*1
キヴォトス




ネフティス
買収されたけど逆に言うとキヴォトス最強の企業の傘下に加えた

アビドス高校
超安値で利用権をもらってめっちゃ得した

ハイランダー
邪魔なネフティスの代わりにクロスグループがパートナー企業になってくれた

クロスグループ
いつもの

アビドスの住民
砂漠から回復され、交通も整備され

シュポガキ
シュポ♡


誰も損しない世界

評価が...死ぬ、なに!?(シャア風)
良かったら高評価で助けてください(おい)
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。