デカグラマトンです、連邦生徒会対策室長をやってます 作:十文字マトン
え?元から遅い?
気のせいだよ
「各勢力が団結し、科学の結晶をもって災厄に打ち勝った...ああ、そういった物語も悪くありませんが、わたくしが望んでいたシナリオとは少しずれています」
一切の装飾がない殺風景の部屋に、奇妙な姿をしてる三人...正確に言うと四人が揃っている。まずは首がない人から声を発したと思えば、その声の主は彼ではなくその手に持ってる肖像画──ゴルコンダだった。
「ゴルコンダの探求が挫折したのはとっても残念ですが...無意味ではありませんでしたよ」応じるのは全身が黒いスーツを纏って、真っ黒の顔に五官*1がなく、代わりに亀裂から白い光を漏らしたような姿をした存在──黒服。
「そういうこったぁ!」続いてその首がない体──デカルコマニーも賛同した。首がないから口もないのにどうやって言葉を喋っているのか謎だが、絵も喋れるならそんなにおかしい事でもなさそう。
「【
「クックック...それ以外にも、大きい収穫がありましたね。キングキャットの前に現れた無名の司祭の遺産、ね」
無名の司祭、それはキヴォトスより前にこの世界を支配し、現在キヴォトスの科学を凌駕する技術を持った文明。そして何より、かの
「観測? それは知覚された概念なのか? 物体ではなく現象であると?」これまでずっと黙っていた四人目、頭を2つ持ってる木の人形──マエストロが疑問を出した。
「興味深い質問ですね。私も箱船は実在する物質であると考えておりましたが...どうやら、そうではないようです。あれは端的に言えば、無名の司祭が産み出した【対世界兵器】......箱船を観測するまで、私はそう考えていました」
「兵器? ならなおさら物質的なものなのでは?」
「過去の研究と記録によると、巨大な構造物の形をしていたようですが...どうやらそれは箱船の本質ではありませんでした。箱船の本質は、この世の全てを分解して収集する特異現象...物質的な物は当然として、神秘と恐怖のような抽象な力ですら意のままに再構築できる。仮に物質としての箱船を発見したとしても、それもあくまで箱船が作り出した一部にすぎず、根源そのものではないでしょう...キヴォトスの企業と協力して調査を進めましたが、全て無駄骨でした。もっとも、カイザーグループはすでに存在しませんが、クックック」
「アビドス砂漠か。結局、あの砂漠にあるのは
「ククッ...お気になさらず。最初から確定情報がない以上、あまり期待はしていませんでした。それにしても...まさか、ミレニアムで箱船が観測されるとは。それも完全起動した状態で」
「...キングキャットを一瞬で消滅させたあの力、神秘や恐怖で説明できるものではありません...
「そういうこった!」
「確かに太古の教義や
色彩、それは到来すると災厄と混乱をもたらす狂気な光。ゲマトリアの中にもその力に興味を示したのがベアトリーチェのみで、他の三人は色彩を宿敵として見ている。
「その事に関してですが、私も最初は色彩を疑いましたが...色彩の力はキヴォトスの住民が扱える力ではありません...失礼、少々語弊がありました。箱船なら色彩の力を収集する事も可能でしょうが、同時に箱船の所有者も色彩に影響されるはず...ですが、現在のキヴォトスにおいて、色彩に影響された存在は確認されていません。あの箱船の主ですら」
「箱船の主...名も無き神々の王女なら同時に不可解な軍隊も発生するはずですが、今の箱船の主は一体どんな存在でしょう?」
「ククッ、まだ確定出来ませんが...あの十字星と関係してるでしょうね」
「
「ええ、残念ながら。ゲマトリアを離脱したのか、キヴォトスから離れたのか。あるいは......ね」
「...どのみち、もう一緒に探究する事は出来ないでしょう」
「マダム...異なる世界観を持ったゆえに何かと衝突が多かったが、彼女の探究に敬意を表そう...もし彼女の失踪があの十字星と関係してるなら、かなり危険な存在ではないか?」
「それに関してわたくしもマエストロと同意見です。箱船もあって、彼女は本当にただの忘れられた神なのか?」
「さぁ、どうでしょうか。彼女とは敵対しない方が良いとだけ忠告しておきましょう。もっとも、寛容な彼女に敵と見なされるのもそう簡単な事ではないが」
「...何をしたのか? 黒服」
「...12回。それは、私が彼女の正体を探ろうと試みた回数です。無名の司祭の技術、ミメシス、ゴルコンダのテクスト...全ての方法を使っても同じ結果となりました。ですが、最後の一回だけ異なる結果が出たのです」
「どんな結果が出た?」
「正確に言うと、結果は出なかった。気まぐれで預言者ビナーから推測したパスを利用して、十字星に接続を試みました。しかし接続は失敗し、私の研究室は謎の現象によって消滅しました。幸いにも、バックアップされたデータは無傷でしたが、パスに関する知識だけが私の頭から、そしてデータから消え去ってしまったのです」
「......」
「地下生活者ですら出来ない、直接の記憶干渉か...私が思っていた以上に厄介な存在かもしれない」
「それ以外のことは、すでにご存知の通りです...砂漠環境改造、物理限界ぎりぎりの超巨大兵器、ヘイローを破壊する爆弾を改良して応用、無名の司祭の技術を凌駕した小型エンジン、原理不明な転送装置、死者の復活...クックック、好き放題していますね」
「ジャンルの作法をまるで無視しているかのような行為ですが、それを成し遂げたという事実がある以上、彼女こそが
「そういうこった!」
「まあそう警戒する必要はありません、ラインを超えなければ我々の探究の邪魔をしてこないはずです。ゴルコンダの怪獣でも彼女の直接の介入を招く事がなく、逆に箱船を見せてくれました。もっとも、彼女のラインを見極める必要があるのですが、クックック」
「とにかく、彼女とは敵対しない方が良いでしょう...うん?」
ゲマトリアだけが出入りできるこの空間に突然、真っ黒な球体が現れた。次にその球体から一人、ピンク髪の少女が出現した。
「...えーと、黒服の人も居るから間違ってないよね?」
〔合ってる合ってる〕なんならタイミングもバッチリ!
「小鳥遊ホシノ!? いえ、それよりあれは...」
「うーん、知らない人も居るから簡潔に言うね? なんかこの人は君たちの仲間らしいので返しに来たよ。サインはいらないから受け取って?」
はい、前も言ったけどベアトリーチェを返したいけどそこらへんに放生*2しても流石に無責任なので他のゲマトリアに投げる事にした。で、個別に搜すのもめんどくさいから全員揃ってるオフ会で引き渡した方がいいと思った。
「マダム!?」
で、無言にベアトリーチェだけ中に放り込むのもいいけど、可哀そうなので身内で唯一ゲマトリアと面識があるホシノを頼んだ。ちなみに侵入手段は原作通りアトラハシースを使った、アレ便利だね!
「寝ている? いや、気絶させられているのか」前も思ったけどマエストロの喋り方はちょっと面白い、あいや言葉通りの喋り方ではなく、声を出す方法がね? こいつね、口が動かない代わりに頭を振動させて声を出してる、ゴリ押しとも言える。
困惑しながらベアトリーチェをホシノの手から受け取る黒服のちょっと慌ただしい姿は珍しいね。以前に研究室を爆破した時もなんか妙に落ち着いてたの。というかナチュラルにお姫様抱っこをするとかやるね。
「...暁のホルスか、いくらキヴォトス最高の神秘でもこの空間に侵入する能力など持っていないはず」
「そういうこった!」
「なんだっけ、あとら...?」〔アトラハシースよ〕「そうそう、アトラハシースの力を使ったよ、これだけ言ったらゲマトリアなら分かるはずってメイちゃんから聞いた」
キングキャットの時あんなにサービスしたから流石に黒服とかはアトラハシースの能力を察するはず、多分。
「メイ...十文字メイの事ですね。箱船...相反なる力を同時に収集するために普通の共存ではなく、両方とも未確定の状態にするというのか。それは多次元解釈の一種だから、この現実にない夢の空間にも侵入できる──」
「荷物を届けたので、これで失礼するよ〜」流石に変な奴らにめっちゃ見られるのはあんまりいい気分にならないのか、ホシノは逃げるようにこっちに戻った...いやあの、ベアトリーチェに関しての説明は? まあいいか、あとでいっぱいナデナデしてやるから。
「「......」」
「マダムは...当分起きる気配はなさそうですね」
「...とりあえず、ベアトリーチェの無事に喝采するとしよう」
「...では、次の議題に進みましょう」
「そういうこった!」
目の前に気を失ってる女性がいるのに議題を進められるのか? まあ逆に会議をすることで混乱から回復するとか? しらんけど。
〔ふむ、ベアトリーチェの意識がないチャンスを使ってえっちな事をしないのかこの人達〕いや普通はしないやろこのピンク脳、代表色は紫なのに。
〔どうやらベアトリーチェさんはあんまりそっち方面ではウケてないですね。でも大丈夫! ティはそこそこ好きですよ!〕いやその問題じゃないやろ、と言うかそこそこだけかよ。〔それはお姉様と義姉様達と比べたらあんまり美しくないので!〕
五官、前もめっちゃ誤字報告が来たので註記を追加した(言い方変えろ)
唐突の設定開示、ありがとう黒服(?)
雷帝──雷鳴の王アダド
メソポタミア神話の嵐と雷の神、別名イシュクル、
悪魔の王バエルの元ネタとされている、そしてゲヘナは悪魔が多い。
重要なのはバエル本人ではなくその名前の元の元、つまりそういうこと!(どういうこと?)
ビナーのパスを違法コピーして使われるのは流石にちょっと許されないらしい、そのライセンスはもう使ってないけど