デカグラマトンです、連邦生徒会対策室長をやってます 作:十文字マトン
「「「【慈愛の怪盗】?」」」
「...慈愛の怪盗かぁ」
少し屋敷を案内された後、先生達は──どうしてC&Cに依頼したの? と当然の疑問を銅田に投げかけたところ、どうやらオークションに出す予定の美術品が慈愛の怪盗、つまりアキラさんに狙われてるらしい...それはまあ裏オークションがバレるリスクを冒してでもC&Cを雇いたいのも納得。
多分あれだ、こいつはC&Cのルールが分からなかったのではなく、自分が黒なのが分かってるんだ。もし正規のルートで依頼したら調査されてアウトになるから直接ネルさんを探して依頼して、子供だから何とか誤魔化せると思ってるとか...流石にネルさんでもそんなにガバくないやろ、むしろ間違ってモモイに依頼したのは運がいいかも。
「メイ先輩は知っているの? その盗賊の人」
「盗賊ではなく慈愛の怪盗ね、まあ似てるけど。簡単に言うと矯正局から脱獄した一人で、連邦生徒会からも指名手配されてる生徒」優先度かなり低いけど。なにせアキラさんは一般市民や生徒にとって被害がほぼゼロだし。
「"矯正局...ワカモと同じですね"」
「その通りです。【災厄の狐】と呼ばれるワカモは、現れる度に辺りを焦土と化していますが...【慈愛の怪盗】はターゲットしたものは必ず盗んでいくことで有名です」
アキラさんはキヴォトスでは珍しく窃盗の専門家......キヴォトスの治安アレだから、窃盗より強盗する傾向がある。そしてさっきも言った通り美術品の価値が分かる生徒がかなり少数だから、アキラさんはキヴォトスではめっちゃレアなタイプ。
破壊行為や強盗が横行するキヴォトスでどうやって窃盗行為だけで矯正局行きになったかというと、アキラさんのターゲットは全部高値の美術品だから! 軍需品がバカ安いキヴォトスにおいて有名画家の絵の一枚だけでアケミさんの被害額より高い事がよくある事。*1
「討伐ターゲット確認! 今回のボスは『慈愛の怪盗』ですね!」いや討伐するな。
「『怪盗』っていうか...ただの犯罪者じゃん! それに変な名前!」いやネーミングセンスならモモイも人の事言えないじゃん、それにあの名前はアキラさんが自ら名乗った訳ではないし。
「いや別に変じゃないと思うけど......えーと、慈愛の怪盗といえばあのポエム、じゃなくて予告状は届いてるよね? ちょっと見ていい?」
「ええ、もちろん届いております。こちらをどうぞ」銅田は一つ白いカードをこちらに渡した、見た感じ本物だね。
「予告状、ですか?」
「慈愛の怪盗の特徴の一つとして、彼女が犯行する前に必ず盗むターゲットを宣言する予告状を送る癖がある」理由はしらんけど、多分趣味とか。
「どんな内容が書かれてるの?」
「あ、見ていいよ。どうぞ」読み上げとか疲れるのでミドリにあげた。簡単に言うと回りくどい言い方で時間と場所とターゲットの指定...ターゲットだけ複数あるからすぐには絞れない。
「『1日に22回、向き合う2人の旅人。
正確な2人。計り知れない20。そして半歩。
月の届かない場所、止まった舞とアンティキティラの裏側。
一度も授与された事の無い、贅沢であるが不遇な剣のもとへ伺います。
──慈愛の怪盗』?」
カードを受け取ったゲーム開発部のみんなが先生と悩み始めた。今回はめっちゃ簡単な部類だからすぐに解けそう。昔はもっと難しいのもあったな...多分あれだ、誰も分かってくれないと逆につまらないから難易度を下げたとか。というか普通に慈愛の怪盗って名乗ってるじゃん、案外気に入ってるのかな?
「叙任式の絵です。主人から剣を渡された事で騎士となる光景を描いた一枚ですね。この絵に描かれた件であれば『一度も授与された事のない』に当てはまるのでは? そういう意味では『不遇』ともいえるでしょう」
そのあとなんだかんだユズ探偵によって時間の謎も解けたけど、情報がないからあの隠し入口までは辿り着いてなかった。まあそれはいいとして、最後の剣に関しては銅田から一枚の絵を見せてくれた。
「
「そんなに高いやつなの? そのアーコなんとか」
「芸術品は明確な相場が存在しないけど...有名な絵だから、モモイがもってるゲームとゲーム機を全部足しても10分の1も届かないだろ」
「えっ!? そんなに!?」ゲームも芸術の一種と言われてるけど流石に差が大きい。
まあ、ソシャゲで課金したらワンチャン届くけどね! どこかの対策室長のように! ......いや我もちょっとは反省してるよ? でもさ、全部の限定を完凸したくてぇ。あとぶっちゃけそれくらいの金は我らにとってあんまり意味がない数字だから。
まあ我のせいではなくガチャが悪い、ヨシ。
「その通りでございます。この絵もオークションに出す予定の一品ですが...ああ、こんな大切な絵画を狙うだなんて、皆様のお力が無ければ、何もできずに奪われる様をただ見ているだけでした。狙われた品も判明したことですし、皆様にはこちらの絵画を全力で守っていただきたく...」
「いや流石に急かし過ぎやろ、剣を描いてるだけでこの絵だとは確定出来ないじゃない?」そもそも叙任の剣は授与されたになるし、別に不遇でもないし。性格にもよるけどただの武器から栄誉の象徴になるのは割と望ましい事、らしい。ソースはうちの知能ウェポン達...一応使わないと不満を感じる娘も居るけど。
「いえいえ! 予告状の謎は解けたのですから、あとはこれを守っていただければ!」あーこの反応からするとターゲットはこの叙任式の絵じゃないね。なんか心当たりがあるのに隠すって事は多分裏オークションの方かね、まあ標的が分からなくても全部監視したらいい...と言いたいけど別にこいつの為に美術品を守る義理もあんまりないか。あと普通に眠くなってきたから話をもっと簡単にまとめてくれないか?
ん? なになに、三日間この屋敷を守るって? まあ予測通りと言うか...裏オークションへの道はこの屋敷にあるから、こっちをしっかり守れば自然とアキラさんは裏オークションの会場へ行けなくなる。
「是非ともお願い致します。報酬は十分にご用意しますので...そうですね、これくらいでいかがでしょう?」
「「「!!!??」」」
「ひ、一人一台最新のプライステーションPro7に...ZBOXシリーズZも買えちゃう! いやいや、2台ずつ買ってもお釣りが出るよね!」モモイは金額見てちょっと混乱してる、まあそれもそう、だって──
「銅田さん? この金額は間違ってるよね?」
「そ、そうですね! こんな大金...」
「三日の拘束よ? この金額はせいぜいブラックマーケットの日雇傭兵くらいじゃない? C&Cを依頼するつもりならむぐぐぐ」眠気であの舐めた値段をみてすぐ咎めたくなったけど話の途中で先生に口を塞がれた、なんで?
「ほ、報酬にご不満でしたら...」それはそうだろ、あの金額で一般生徒ならともかく、ミレニアムの秘密エージェントを雇おうとするのは流石に舐めてるだろ。いやこっちも本物のC&Cじゃないけど、仮にも矯正局から脱獄したやつと対決する可能性があるからもっと高くなるはず。あ、いや、うちのアリスちゃんが居る時点で相場の50倍──
〔お姉様、親バカが出ていますよ!〕あ、危ない危ない。まあとにかく相場よりも低いのも事実だから。
「"一度、私達だけで話し合っても良いでしょうか?"」
「ああ、これは気が利かず失礼を。それでは、私は席を外しておりますね」先生が銅田を追い払った、内緒話かな?
「はあああ...ありがとう先生。頭がパンクするところだった」
「ど、どうしましょう。指名手配犯なんて、もう私たちの手には負えません...」
「...あ、そっちか」そういえばゲーム開発部は戦闘経験少ないからあんまり自信がないのか。我を除いて4人で先生バフを加えたら大丈夫だと思うけど、アリスちゃん居るし!
「帰りたい...ロッカー...メイちゃんがくれたお布団...」あ、前プレゼントしたやつ気に入ってくれてるらしい。
「みんな、どうしてそんな反応をしているんですか? アリス、一体どうすればいいのでしょう」
「"まず依頼をどうするかを決めましょうか?"」
「"本当の話をして、辞退します?"」
「...依頼を辞退したら、一体どうなるんでしょうか...?」ユズはめっちゃやりたくなさそう。
「たぶん...依頼人は抗議すると思う。今となって別人でしたなんて言ったら、ミレニアム全体の問題になるかも...」
「それなら心配しなくていいよ、交渉なら私がやるので。そもそもまだ正式な契約もしてないから普通に辞退しても別に文句言えないよ」そもそも時間がぎりぎり過ぎるあいつが悪い、本当に表のオークションだけだとしてもね。なんだよ三日前に護衛の依頼って、レストランでももう少し前に予約するやろ。
「おお! めっちゃ頼もしい!」
「せいぜいネットや知り合いの間でC&Cの悪口を言う程度」まあその程度なら許してもいいか。
「じゃあだめじゃん! ネル先輩に知られたら殺される!」たぶん銅田が先にボコられるから心配しなくていい。
「そうです、お母様! これはアリス達に与えられたクエストです! サブクエストでも受けたならできる限りクリア、お母様が言っていました!」
「アリスちゃん...偉い! じゃあ受けようか!」
「判断が早過ぎ!」
「"実際どう思います? メイちゃんは"」
「どっちでもいいと思うよ。さっきも言ったけど辞退でも別に不利益な事にはならないし。やりたいなら、この四人に先生の指揮があるから守るだけならなんとかなるはずよ、監視カメラとかもあるから私もある程度サポートできるし」
「た、確かに。先生とメイちゃんも居れば、何とかなる、かな?」
「安心してください、ユズ! いざとなったらアリスがあの慈愛の怪盗を倒します!」アリスちゃんがそう言いながら、
「"なんかめっちゃ見覚えある物ですけど気のせいですよね!?"」
「あ、先生が想像したそれだよ」流石先生、筒状の柄だけで我らがアリスちゃんのレールガンに追加した武装──
「アリス、めっちゃ乗り気じゃん。よし、じゃあ決まりだね! お金も貰えるし!」
「はあ...本当に大丈夫かな? そういえばメイ先輩は報酬に関してなんか言ってた?」
「...まあちょっとだけ低いけど、実績がない生徒と思えばあれくらいが妥当かも」本物のC&Cに依頼するのは絶対無理だけど、よく考えたらゲーム開発部は一切の実績がないから一応適切と言えるか「こうしよう。もしクリアしたら私からみんなにプライステーションPro7をプレゼントするよ」
「えっ! 本当! じゃあやろやろ!」
「お、お姉ちゃん。興奮し過ぎ」
「い、いいのですか?」
「いいのいいの、安いし」
「やりましたね! ユズ、モモイ、ミドリ!」
「"...私もまだ持ってないんですけど!"」
「あ、先生はまだ買えてなかったのか。先生も欲しい? 一台あげようか?」
「"いえ、流石生徒から受け取る訳にはいきませんよ。こっちも大人ですから"」いっても先生の給料が我が払ってるし。
「いや、先生もこの臨時チームの一員だから。この依頼を完遂したらあげるよ、要らないなら捨てても」
「"捨てませんよ!?"」
「じゃあみんな、決まったよね?」
「はーい!」「折角だから、ゲームのヒントになるかもしれないのでやってみたい」「うぅ...が、頑張ります」「もちろん、受けた任務を最後までクリアしたいです!」
「先生も協力してくれるよね?」
「"それはもちろんです!"」
「じゃあ先生の分ね」当然、先生のサイズも用意してる。
「"......えっ?"」
メイちゃん、割と収集癖あるから全キャラ完凸してる。
なおその気があればキヴォトスの経済を握れる、というかもう半分握ってるから課金に使った金額は文字通り呼吸より大した物じゃない。