デカグラマトンです、連邦生徒会対策室長をやってます 作:十文字マトン
と、逃げた理事会の話を戻ろう。
理事会*1ってのは、その会社の経営方針を決定する組織。
【取締役会】、【BoD】、【董事会】、【経営評議会】などなど、所在自治区によって名前が変わるけどやってることはほぼ同じ。特にグローバルのグループ会社企業は、各子会社がその所在地の法律に従う必要があるため、同じグループでの同じ役職なのに法律上での呼び方が違うことがよくある......うちにもちょっとだけ苦労した。
例えばあの
しかしPMCの部下や他のカイザーシリーズの人が彼を【カイザーPMC理事】と呼んでいる......法律上、カイザーPMCは【理事】という役職は存在しないので、正式では【PMC代表取締役】になるはずだが、会社内部ではそういった名称親会社の所在自治区の呼び方で呼ぶかたがかなり多い。*2
どっちらにせよ、こういう職位の人達は会社の運営方面の決定権を持ってるが、会社の所有者とはまた別物。会社の所有権はあくまで株主の手にある。
が、プレジデントはその名の通りに、自社の株の大半も持ってる故にどの方面でも
つまり俗にいう【非上場企業】ってやつ。
「しかし実際のトップは、株すら持ってないマスターとなっています」
「いやトップというか、我が言うことなんでも聞いてくれるだけだよ」一応創業者? とはいえるけど今では経営とかもあんまり口を出してないし、たまに『ちょっとした頼み』をするだけ。
「それが普通のトップよりも権力高いですよ!?」まあそうかもしれない...普通は社長でも株主でも一人で全会社を動かせないから。
まあクロスグループの話はどうでもいいとして。カイザーコーポレーションは経営層が逃亡した時、経営層だけでなく同時にも所有者達も消滅した。そのお陰でカイザーの解体命令を加速出来た。
で、逃げた奴らは普通の人が一生働かなくとも暮らせるほどの現金や金塊を持ってたけど、アイツらからすると全然足りてないし、以前のような影響力と権力がなくなったので、大半のやつが再起を図った。
しかし、
「メイちゃんが黒幕が言いそうなセリフを言ってる!」
「実際この件に関して半分は黒幕なので...残りの半分は本当に手を加えてなくとも勝手に失敗してたよ」どれほど成功した投資家や経営者でも、ゼロからやり直す時も同じように上手く出来る人の方が少ないし。
そして失敗したやつらはプレジデントほど用意周到ではないから、何度もチャレンジ出来る資本がないので2、3回もすれば諦めて隠居生活に入った...一部はそのまま突っ走って破産したやつも居たけど。
で、その中に一人だけ──プレジデントは良くも悪くも経営者としては有能と言える。
何と言うか、鼻が効くってやつかな? いまのあいつは自ら市場を影響する事は出来ないが、何故か波を乗るのが上手い。現に直接つぶさずに、大きい商談を絶対失敗させても初期資金が潤沢のため今も小さいけど企業として成り立ってる。いまでも失敗を恐れずに拡張する機会を狙ってる...
まあ、させないけど。特に恨みはないけどごめんね!
「恨みがないから逆に理不尽とも言えますよ、ご主人様」
「それは認めるけど、我神やぞ?」この世で一番理不尽しても許させる存在だし!
「そもそもご主人様は許す側であって、誰の許しを貰う必要はないです」
「いや、アオイとか怒ると怖いよ」この前服だけ溶かすスライムを作ったら怒られて没収された...上目遣いしたら許してくれたけど。
「わかります、リンちゃんも怒る時誤魔化しが効かないですね」
「お前は失踪の前科あるから非があるよ」
「うぐっ」
知ってる通り、あの勝手に失踪したやつのために我は
キヴォトスはかなり独特な社会。良くも悪くも「子供の遊び」のような、甘くて隙だらけの制度。そのせいもあるが我が来る前に成り立ってる自体が綱渡り状態......しかし同時に、「とっても綺麗」とも言える。
強盗、贈収賄、横領、詐欺、誘拐、監禁、密輸、違法貸し付け──こんな事が日常の一部になってるキヴォトスは、お世辞にも治安が良いと言えない。しかし、見方を変えれば、「それだけ」とも言える。
そう──違法ドラッグ、人身売買、性的暴行、殺人、臓器売買...最後の二つは物理的に難しいを除いて、いくら
しかしそういった「一線を超える」行為は、キヴォトスでは不自然なほど抑制されている。
もちろん、まったく存在しないわけではない。申谷カイの件は
他には契約によっての人身売買もどきもまれに起きてる、カイザーとか。でも搾取してるのは大体金銭と労働力だけで、アビドスのような
性的暴行...まあセクハラなら割とある、特に先生が来てからあいつ絡みで。まあこっちにクレーム来てないからおそらくいちゃついてるだけ。セクハラ以上の行為もこのキヴォトスでは基本見かけない。
こんな社会になる理由は...まあいろいろある。教育と常識だけでなく、
が、外となると話が変わってくる。外は学園都市の卒業生も多いし、文化と技術もキヴォトスにかなり似てるけど、基本の政体は「国」...つまり、大人が権力を握ってる。
人がめっちゃ死ににくいのは変わらないけど、黒い部分はもう全開してる。5年前にこっちのダークウェブに接続した時、その内容で全身の鳥肌が立った──あの時はまだ肌を持ってないけど。
社会がある限り裏社会も必ず存在する。どれだけ有能で良識な施政者でも、そういう存在を完全に消滅するには結局圧倒的な力が必要、これは現代社会ではほぼできないこと。
しかも、仮に本当に摘発できたとしても、その結果が社会に悪い影響を起こすことも多い。だからどの国でもある程度は「必要悪」として放任してる部分がある。結局、人間も法律も万能じゃないし、できることには限界があるんだよね。
──なので、
まあ本当に救いのないやつだけ根絶しただけで、普通の犯罪はキヴォトス内のように放置した。それに完全に規制されたディストピア社会とか興味ないので、人の欲望がある以上にそのうちがまた発生するだろう。まあその時はその時でまたぼこぼこにする。
んで、その結果は...外の裏社会は全部我らの勢力になってる。そして一部はその過程で仕方なく国ごと乗っ取った...やってることはラスボスだけど。
まあつまり、カイザーが解散前はキヴォトス内では「我最強!」みたいな顔してるけど、実際は法律や賄賂とかいろいろ気を付けてる。その点では粛清された外の企業と比べてまだ許される範囲──外のやつはもう国をガン無視してるから。*4そのため処分も相対的軽い。
んで、逃げたやつらはこんな感じとして、次は逃げてなかったやつらの話をしよう。
まずは元PMC理事から始め、時間稼ぎとして使われたPMCと一部カイザーコーポレーションは知ってる通り全員確保されてる。
しかし関わっている人が多い上確報出来なかったの方が多くて、公正のために逮捕できた部分の裁判も延期......
など、起きないんだよね。
ここはキヴォトス! 時期によって、各地の警察とヴァルキューレが容疑者を逮捕できない場合がむしろ逮捕できた場合より多い。しかも案件数も多いため、いちいち待つと多分裁判はあと10年かけても終わらない。
なので割と速攻で済ますことが多い、簡単に言うと「よく逆転してる弁護士の世界の裁判」と似てる。
そして知ってる通り、ここでの犯罪に対しての罰はめっちゃ軽い。たとえ「一線超えた」犯罪でも、処罰が一応相対的に重いけど普通の犯罪の延長線上の扱い。またして逮捕されたやつは大体そこまで深く関わってない。
ので、一部の職員はすでに有期刑が終えて社会復旧させられてる、はやいよね? でも有期刑自体が「重い処罰」として見られてるんだよ。*5
釈放されたやつらに関して、その後何をするのは我の方は特に干渉するつもりはない...たとえまた監禁中の元PMC理事でもね。あいつにも罰金とか結構課されたけど、残った分だけ見たらむしろ逃げ出した理事会よりもお金持ちになってるし、刑期を終えたら創業とかしてもいいとした。場合によっては今のプレジデントと真逆になるかも。
まあ普通に経営失敗したら話が終わるけど。そこはもう自己責任。
...そういえばカイザーの話で思い出したけど。普通なら企業が独自貨幣を発行するのはありえないだけど、なぜかキヴォトスでは【カイザードル】という意味不明の物が流通していた。
最初は社内決済のポイントとして機能してるだけど、為替レートが良くて、そしてカイザーの子会社も多いから利用できる店舗が多いためかなり人気になってた。そしてそういう流行りが長い期間と所持してる市民が増えて、顧客層を確保するために他社も段々と受け入れ始めた。
つまり【
ここまでくるといくら連邦生徒会でも禁止したくても厳くなる。まずカイザー側はあくまで社内ポイントと主張してるので、少なくともカイザーシリーズ内での禁止は確かに企業の過剰介入にはなる。そしてカイザーが影響力を持ってる以上に他社での禁止もその会社の損失に繋がるため誰も応じないだろう。
それと、本当に禁止したら市民が持ってるお金が無効と宣言してると同じ意味。それを反発を受けないなら「今日から使えないだけど合理的なレートで他の貨幣と交換する」という過程が必要。しかし市民たちはカイザーにお金を渡してカイザードルを買ってるので、ある意味「カイザーグループの債権」ともいえる。
簡単に言うと市民Aがカイザーに1万キヴォトス円を払って同価値のカイザードルをもらった、そして連邦生徒会がまた1万キヴォトス円を払って市民Aからそのカイザードルを取り上げる。これは確かに公平だけど、実質的にお金が直接連邦生徒会からカイザーに流れた事と同じ。
それもあって前回言ってた「カイザーを解散したら経済に問題」もちょっと説得力を増してる。現代地球で言うとアメリカが突然消滅して各国と民間が持ってるアメリカドルが無効になる時と同じ影響......まあそれもケアしてない場合だけ。
で、カイザーコーポレーションが解体した今、カイザードルの義務は自然と消滅した。発行したのはあくまでカイザーコーポレーションだけで、クロスグループが吸収した子会社ではない。が、先ほど言った通りいきなり大量のお金がいきなり使えなくなると社会に影響を及ぼす、特に大量にため込んた他社とかが大きく損する。
なのでカイザーコーポレーションの資産を没収したことで実質カイザードルによる収益を手に入れた連邦生徒会と、カイザーが展開してる事業を吸収したクロスグループが提携してその価値がなくなった
...なんでもう消滅してるのに未だに負の遺産残ってるのあいつら?
謎のおまけ
【重要】旧カイザードルのキヴォトス円への交換について
発行者:連邦生徒会対策室
業務代行:クロスグループ
キヴォトス市民の皆様へ
先に発表されました通り、カイザーコーポレーションの解散に伴い、同社が発行しておりました通貨「カイザードル」は現在、流通および決済機能を停止しております。
この状況を受け、連邦生徒会はキヴォトス経済の安定と市民の皆様の資産保護を目的とし、旧カイザードルからキヴォトス円への交換措置を決定いたしました。本措置の実施については、クロスグループに業務を委託し、以下の要領で交換対応を行います。
カイザードルを所持されている皆様は、本布告の内容をご確認の上、必ず期間内に交換手続きを完了させていただきたくお願い申し上げます。
1. 交換概要
連邦生徒会の決定に基づき、クロスグループが所定の交換レートでお手持ちの旧カイザードル(紙幣・硬貨および電子マネー形式を含む)をキヴォトス円に交換いたします。
2. 交換レート
カイザーグループの旧規定に基づき、以下の公式レートを適用します。
1カイザードル=120キヴォトス円
3. 交換期間
本布告から5年
【期間経過後の措置について】
上記交換期間を過ぎた旧カイザードル(電子・物理問わず)はその価値を完全に失い、以降の交換には一切応じられません。いかなる理由があっても期間の延長はございませんので、必ず期間内に手続きをお済ませください。
4. 交換場所
クロスグループが運営する以下の指定金融機関および特設窓口にて交換を承ります。
紙幣・硬貨: 全ての指定金融機関および特設窓口
電子マネー: 特設窓口および一部の指定金融機関
(詳細は各自治区の広報またはクロスグループ公式サイトをご確認ください)
5. 交換手続きに必要なもの
交換対象の形式によって、ご用意いただくものが異なります。
【A】紙幣・硬貨の場合
交換を希望する旧カイザードル紙幣および硬貨
【B】電子マネー形式の場合
カイザーペイID または登録済みアカウント情報
本人確認情報(セキュリティ上の確認を含む)
交換申請フォームへのオンライン入力
※電子形式の残高が確認できない場合、交換が行えないことがありますので、事前にアカウントの有効性をご確認ください。
※高額の交換、または法人名義の場合は、形式を問わず追加の書類提出をお願いする場合がございます。詳細は窓口にてご確認ください。
6. お問い合わせ
本件に関するご質問は、業務委託先である以下の窓口までお問い合わせください。
クロスグループ 旧カイザードル交換対応窓口
電話番号:(+1)XXX-XXX-XXXX
受付時間:平日 9:00~17:00
キヴォトスの未来のため、市民の皆様のご理解とご協力を心よりお願い申し上げます。
以上
連邦生徒会対策室
それやるのは財務室のはずって?
ほら、カイザーをボコるのは対策室の決定なので後処理もやらなきゃいけないとか...