デカグラマトンです、連邦生徒会対策室長をやってます   作:十文字マトン

198 / 222
ブルアカでエビと言ったら冷凍エビ、天ぷらアリス、ホシノサクサクの三択説


63. 海老

「エビの流通が減ってる?」

 

『はい、D.U.地域の市場からエビが消えました。スーパーが品切れだけではなく、コンビニのエビを使った弁当もなくなっています』

 

 はい、いつものデカグラマトン(十文字メイ)、SRTの半分の責任者です。

 

 今日は珍しくミヤコさんから連絡...と言ってても最初から我に連絡したいではなく、先輩であるFOX小隊を探してるけど今ちょっと手が空いてないので我が代わりに取った、暇なので。

 

 ちなみに最初はめっちゃびびらせた、それはそう──先輩に電話を掛けたら何故か上から二番目の上司が出てきたら誰でもびびる。

 

「状況はどのくらい続いた?」

 

『その...最近、だと思います』報告してるのに具体的な時間を把握できてないのを気付いたのか、向こうの返事がちょっとぎごちない。

 

「なるほど、時間は特に測ってなくても消えたのを実感できるほど長いのか。実はそういう感覚が割と大事なので、報告してくれたの偉いよ」

 

 どっかの書記でもない限り日常の事を全部記録しないから、そういう「前と違う」嗅覚は結構才能と思う。なぜエビに対してなのかはさておき。

 

『そう、ですか。ありがとうございます。ですが、一時的に漁獲量が減っているだけかもしれませんし、これを異常事態と呼ぶにはまだ早いかと』

 

「だからユキノ達に相談しようとしたのか。うーん、まあ現状ではまだ異常だと判断できないのは確かだけど、これは漁獲量の問題じゃないと断言していいよ」

 

『原因は漁獲量が減ったではないと』

 

「まず、ミヤコさんは食用エビはどうやって取れたの知ってる?」

 

『はい。確か水揚げしたらそのまま冷凍、そして産地から工場、その後スーパーやコンビニに輸送されと聞きました』

 

「よく調べたな」

 

『サキから聞きました』サキさん、エビに妙に詳しいのはなんな?

 

「まあ大体その通り、()()()()()()はね」

 

『漁獲、ですか?』

 

「知ってると思うけど、水産は季節と天候でとれる量が変わる。だから一部養殖が困難なものを除いて、今みんなが食べてる海鮮は大体漁獲ではなく安定の養殖だよ。特に大量生産をするコンビニ弁当など」

 

 安価で安定、そしてどこでも同じものが食べれるのが売りであるコンビニにとって、供給が不安定かつ養殖よりも高価な漁獲海鮮を使うのは基本的にない。季節か地域限定の商品とかなら一応あり得るが、高くなるからコンビニよりはレストランに回したほうがいい。

 

『でも、D.U.に流通したエビは夜戸浦村からだと。もしかして情報が誤っているでしょうか?』

 

「いやそこもよく調べた...そうだね、その夜戸浦村のもっと詳しい事知ってる?」

 

『はい。最初は小さい漁村ですが、水産に特化した【レッド・フック・エクスプレス】がそちらに加工工場を設置してから出荷量が増加、今ではD.U.の全域にエビを供給してると聞きました』

 

「サキさんから?」

 

『サキからです』だからなんで妙にエビ詳しいだよ。

 

「大体正しいんだけど、内容はちょっと二つのことを混同してるよ」

 

『混同している?』

 

「ちょっと分析したらわかるよ。別に加工工場を設置したら漁獲量が増えるわけでもないだろう? 資金を投入して船とか装備をアップグレードもしたら、ある程度量が増やせるかもしれないが、小さい漁村から都市一つが必要のエビを提供出来るほどの量を取るのは結構難しいかと」

 

 一応そこで養殖場を設置した可能性もあるけど、水揚げの区域は必ず養殖に向いてるとは限らない。それにあの会社も養殖の免許持ってないからこの線もないかと。

 

『言われてみたら確かに...ではどうやって出荷量を増やるのでしょうか?』

 

「それも簡単、加工用のエビは別に夜戸浦村だけでなく、別の場所からも運ばれてる」

 

『...! なるほど、話が見えてきました』

 

「お、流石小隊長」まあここまでヒントだしたら流石にわかるか。

 

 そこでエビを取ってる事と、そこの加工工場からエビを輸出した事は、ある程度関係性があるけど同じ事ではない。そして別の場所からもエビを集めた以上、夜戸浦村の漁獲量はD.U.にここまで深刻な影響を及ばす事は難しい。

 

『つまり、各地の水揚げや養殖場などから原料となったエビを夜戸浦村の工場に集約し、加工してからD.U.に輸送している、ということですね。全ての産地で同時に問題が起きることは考えにくいので、問題は加工後から輸送の過程で発生した、と?』

 

「その可能性が一番高いだろう。一応激しい温度変化や伝染病とかで、複数の産地から同時に問題が起きる事もあるが。まあ滅多に起きない」

 

 養殖が安定といっても絶対安全のわけでもない。産地が離れても伝染病で各地で同時に被害を受けることもある、それと集合先である工場で汚染したら全部駄目になることも起きたことがある。

 

『輸送途中でハイジャックされたはあり得るでしょうか?』

 

「される事はあるだろうけど、そういうのは基本的偶発的で、輸出全体を狙う事はあんまりない...他の会社からの営業妨害ならあり得るけど。他は、大規模の業務転換や別の区域の方に輸出した方が利益が出るためD.U.に輸出しなくなったり、工場に汚染や伝染病もしくは加工設備に問題で製品を作れなくなった......これくらいかな?」

 

 全域のエビを担当してるレッド・フック・エクスプレスが業務転換や廃業したら、その穴を他の企業が埋めるには時間がかかるので、その期間で流通しなくなることは普通にあるし。逆に他の地域が似たような事や別の理由でエビの要求が高くなったため、今までの提携先よりもそちらに売った方が稼げるとかならD.U.から一気にエビが消える可能性もある。

 

『...食品を扱うことは、意外と難しいですね』

 

「そのとおり、みんなもおいしい食べ物が食べれることでみんなに感謝しようしないと」

 

 最近ではどっかの対策室のせいで連邦生徒会を含めて各自治区の収入がよくなってるから、重要だけど人気がない農林水産業に補助金や税金優遇の案とかいろいろ進めてる。

 

 ......話が逸れた。つまりレッド・フック・エクスプレスに非がない場合でもいろんな可能性があるので、この段階ではまだ異常と断言できない、この段階ではね。

 

『誰かがエビを壟断して価格を吊り上げたい可能性は?』

 

「そのレッド・フック・エクスプレスがほぼD.U.を壟断してるから、短期的に出荷量を減らして価格を吊り上げるのも理屈としてはできる。例えば、一般向けの流通を止めて、一部の高級レストランや富裕層向けのサービスにだけ高値で卸してる可能性は一応ある」

 

『だとしたら、私達の観測範囲からは「消えた」ように見えますね』

 

「しかし、元からコンビニやスーパー向けの出荷量の方が圧倒的に多い。いきなり高級店だけ向けと言っても量と価額を掛けた結果損になるはず。簡単の話、今まで100人に売ってたものを1人にだけ売るとしても、100倍の値段で買ってくれるお金持ち(アホ)はそうそういない。それなら多少手間をかけても別の場所から輸入する事を選ぶ」

 

 一応他の地域からの輸入を完全に封鎖できるなら理論上実行できるけど、他ならぬD.U.でそれを実行するのはレッド・フック・エクスプレス程度では力が足りない。

 

『確かに……』

 

「それに、そんなことをすればD.U.での評判は地に落ちる。今まで取引してた企業からの信用も失って、結局は他の業者にシェアを奪われるだけ。長期的に見ても合理性がない。よっぽどアホでない限りはしないだろうね」

 

『では今回の件は犯罪とあんまり関係なさそうでしょうか?』

 

「いや、それも早計かな。単に『エビが消える』だけなら普通に起きるけど、もしレッド・フック・エクスプレスからの供給が途絶えたら、代替の購入先もすぐに見つからないので一定期間消えるのは仕方ない。が、店も客の流失を防ぐために状況の説明と、出来れば解決の見込みを公表するはず」

 

 ......と、言ったものの。コンビニのラインナップは元から特に通知なしで変更するし、そもそもどんな商品を仕入れたいのもその店の方針によるものだから、「よく通ったコンビニから特定の弁当が突然消えた」はそんなに珍しいことでもない。スーパーも水産専門でもないなら商品が消えることがよくあること。まあそれでも責任はよそにある場合は説明するはず。

 

『しかし現状、どの店も明確に説明してない......つまり、「レッド・フック・エクスプレスは輸出が減ってるにもかかわらずその理由を明かしておらず、しかもすぐに供給が回復すると約束したのにもかかわらず、長期間にわたって同じ状況が続いている」、でしょうか』ある程度誘導してるとはいえいきなり具体的な答えが出てきたな、流石エリート。

 

「そう、店側はそもそも問題がわからないので説明できないし、すぐに回復出来ると約束されたら今の供給と契約を廃棄し、新しい供給先を探すよりは少し待つことになるだろう......まあ、証拠が無い以上、先程の結論は現在の情報からの推測でしかない」

 

『はい、それは理解しています』

 

「ではすでに市場に影響が出してるのに説明されてない今、どうしたらいいと思う?」

 

『まずは輸出が減っている原因を調査し、それが合理的な理由なら連邦生徒会からの支援も考えられる。不合理もしくは違法な理由なら摘発する、でしょうか?』

 

「というわけで、正式にその調査を任せるよ」

 

『え? ですがこれは財務室、もしくはヴァルキューレの管轄のはず...』

 

「いや〜なんと対策室の業務にも入ってるよ、というか何でも入ってるから困る。なので、今回は(対策室)から正式にSRTへ依頼し、そして十文字メイ(SRTの指揮官)としてRABBIT小隊にこの件を任せると。命令書は追って送る」今すぐ、というより先ほど命令書を完成させたけど、ちょっと時間おいてから送る事にした。

 

『......承知いたしました』多分「全部同じ人じゃないか」とかツッコミたいんだろうけど我慢できてえらい。




各種チートを使わなくても、イベストのプロローグでの情報だけで犯人を特定できる名探偵メイちゃん

ちなみに対策室長とFOX小隊が同居してる噂はSRTの中みんな知ってる、でも実際先輩を探したら本当に上司が出てきたら流石にビビる(?)

そしてこれ書くとエビ食べたくなった
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。