デカグラマトンです、連邦生徒会対策室長をやってます   作:十文字マトン

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200話目はこれで大丈夫?
大丈夫だ、問題ない



65. アイドル(偶像崇拝)ーー!

「今日誘ってくれてありがとう、紅茶はとっても美味しかった」

 

 カップをゆっくりとソーサーに戻しながら、対面に座ってる銀髪美少女──サクラコに感謝の言葉を述べた。実際美味しいから。

 

「それは何よりです。淹れてくれた子も喜ぶと思いますよ」

 

 はい、いつものデカグラマトン(十文字メイ)です。ちょっと呼ばれたのでトリニティのシスターフッド部室に訪ねてきた。

 

 要件は事前に通達していたが、本題に入る前にいつもの通りお茶会が始まった。トリニティのマナー......とまでは呼べないが、ある種の習慣として、よほど緊急の事でもない限り、話し合いの前にはまずお茶や食事から入るのが普通のことだ。

 

 まあ、トリニティで一番作法を気にしてるティーパーティーでもホストによってはそこまで形式を気にしないし、シスターフッドならなおさら。多分単純に、我とお茶会をしたいだけなのだろう。

 

「では、そろそろ本題に入るか?」

 

 紅茶もお菓子も美味しいから別にいいんだけど、すでに始めてから二時間が経過しているのに、サクラコはずっとニコニコしながら我を見ているだけで、一向に本題に入る気配がない。このままでは今日の用件が本当にお茶会だけで終わりそうなので、我から切り出すことにした。

 

「...そうでした」なぜかちょっと残念そうな顔をしてる。

 


 

「では、事前にお話したと思いますが。ご存知の通り、私達トリニティ総合学園の学園祭──トリニティ謝肉祭(カーニバル)が開催される時期となっています」

 

 サクラコが簡単に片付けた後、「チーム・エデン(仮)」と書かれた企画書を差し出した。

 

 サクラコが説明した通り、トリニティ総合学園の大イベント──「トリニティ謝肉祭(カーニバル)」が開催中だ。

 

 名前こそ謝肉祭だが、別に断食とか関係なく*1、単純にトリニティにおける学園祭がこの呼び方になってるだけ......まあ多分それを気にしてるやついないのでヨシ。

 

 キヴォトスにおける「学園祭」は、学生たちが楽しむ場や他校と交流する場という意味ももちろんあるが、学園の実力と財力を誇示するためのものでもある。

 

 そしてキヴォトスの三大学校として有名なトリニティが開催するとなれば、当然めっちゃ盛大なことになる。それこそ地球のオリンピックや万国博覧会並みの規模がある。

 

 トリニティの生徒が総動員されるのは当然として、直接関係がない自治区全体もお祭り状態。商人たちも便乗して限定メニューや限定グッズなど、「それってトリニティと関係ある?」と言いたくなる限定商品が沢山出してる。まあ、期間限定というラベルさえ貼ればとりあえず売れる状態だから仕方ない。

 

 例えば、モモフレンズとして有名なモモグループもトリニティとコラボし、校内限定のペロロぬいぐるみを発売した。数が限定されてるから当然銃撃戦に発展...しそうなところで紙袋を被った謎の女子高生とガスマスクを装着した謎の元テロリストに鎮圧された。

 

 で、当然ながら学校側もイベントを開催してる。具体的に何をやるというと...前夜祭からいろいろ大会とかやってた。一番盛り上がったのはバンドのやつかな?

 

 普通の女子高生にとって楽器はそれなりに高い買い物になるはずだが、トリニティ生徒は相対的に経済に余裕がある人が多くて、ノリで買って始められるため参加ハードルが低い。

 

 その上、賞品は【フレデリカ・セムラ】という、一部界隈ではオカルト的な人気を誇る高級お菓子。それのためにバンドを結成するまで参戦した生徒もいるくらい参加者が多い。

 

 でも正直、あの【フレデリカ・セムラ】は確かにおいしいが、そこまではないと思うけど......あ、違うよ? 「いつでも食べれるからその価値が分からない」という煽り発言ではなく、他の店でも同じくらいおいしいセムラがあるだけ。まあブランド価値というやつかな?

 

 とそんな感じのイベントが開催される中、今回の話は本祭のイベント──アイドルユニットトーナメント。

 

「アイドルマ○ターじゃん」

 

「アイドルマス○ー......? 聞いたことのない単語ですが──」

 

「ごめん、気にしなくていいよ」

 

 名前を聞いたらわかると思うが、ユニット単位で参加し、トーナメントでトップアイドルユニットを選出する......しかも参加者はトリニティだけではなく全キヴォトスから参加者を募るという大規模イベント。

 

 イベント自体が面白そうだし、規模も規模だから、普通のアイドル育成学校でも運営するの大変なのに、普段は別にアイドルと関係ないトリニティが成功したら間違いなく話題になる、実力と存在感を誇示するのは割と正しい。

 

 ──まあ多分そこまで深い訳があるわけでもなく、トリニティの誰かの趣味で開催した説の方が有力。

 

「この機会に、私達エデン条約機構......正確には、シスターフッドから継承されたマイナスイメージを改善するために、そのイベントを参加することが決まりました」

 

 そう、聖徒会の精神的な後継者であるシスターフッドは、真っ当で合法な部活なのに、情報組織である側面があるため、よく「秘密主義」として見られる。加えてサクラコは何というか、言葉遣いが絶妙に誤解されやすい上、笑顔が絶望的に下手なせいで、トリニティで何か悪い事や不思議な事が起きる度に「裏にシスターフッドがいる」と噂される始末。我と知り合う前のナギサですらそのイメージを抱いていたほど。

 

 そして当然ながら、そのシスターフッドが母体として構成されたエデン条約機構も、少なからずにそのマイナスイメージを継承していた......いや、むしろ新設した組織であって、二つの学園を跨ってるため、その「怪しさ」がシスターフッド時期よりも増してるとも言える。

 

 組織の方針の公開や活動報告など、地道に改善をしてはいたし、例の巡回演奏で多くの人にふれあうことで、「未知」を消せなくても、未知による「不信感」を「不思議」にシフトさせるように頑張っていた。今では設立初期よりはだいぶ改善されているが、まだまだ時間が掛かりそう。

 

 そこでリーダーであるサクラコと()()がアイドルになることで、組織単位の巡回演奏ではなく個人的な親しさをアピールするのは、方法としてはかなり理にかなってる。演奏と違って、個人のイメージに直結してるから我からは勧めはしないが、本人たちが望むのであれば反対する理由はない。

 

「でも、ヒナも参加するのはちょっと意外かな」

 

 サクラコは大衆的な「可愛い」というより「優雅」や「綺麗」といったイメージが強いが、シスター活動の延長と考えれば割とアイドルに近いと言えなくもない。しかしヒナはビジュアルの暴力とはいえ、自らアイドルをやりたいと言い出すのは少し意外だった。

 

「はい! ヒナさんもこの案を賛同してくれました、特にメイと一緒にアイドルをすると聞いたら、自分も参加すると言ってくれました」

 

「......??? いまなんて??」

 

「? ヒナさんが自分も参加すると──」

 

「いや、その前」なんかあんまりよくない言葉を聞いたけど気のせいかな?

 

「メイと一緒にアイドルをする」気のせいじゃなかった!

 

「え? 私も入ってるの? なんで? というか初耳だけど?」

 

「私達の中では、メイが一番向いているかと」

 

 多分この世界で一番崇拝(信仰)されてたから間違ってないけど!!

 

「いやいやいやいや、私はエデン条約機構に所属してないよ? 観察員(オブザーバー)ですらないし」

 

 まああれほど絡んでいて今更無関係と主張するのは無理があるから、今ではほぼ公認非公式な観察員兼顧問ではあるけど、あくまで非公式!

 

「それに関しては大丈夫です、ユニットが同じ部活に所属しないといけないというルールがありません」

 

「そうだった、いやでもまず私に聞いて??」報連相どうなってるー!?

 

「ですが先日に連絡したとき、『協力するよ』とお返事くださいましたよ」

 

「普通はプロデューサーやアドバイザーとして協力するだろ!! そもそも私は歌はともかくダンスは無理だよ?」

 

 十文字メイ(一号機)のキャラ設定だけではなく機能的に踊るの絶対に無理。いや出来るか出来ないと言われたら「気合いで出来るけどその場で気絶する」なので微妙のライン...いやそれ普通に出来ないでいいか。

 

「では、そういう方針で進めますね!」

 

「参加すると言ってないよ!」

 

「え? 今のはメイが『歌の方で参加します』という意味ではないのですか?」

 

「ポジティブーー! サクラコはぜっったい現代文苦手だよね??」

 

「いえ、この前も満点取りましたよ」

 

「えらい! いや実践だけ下手なタイプか」

*1
謝肉祭という名称の由来は断食期間に入る前の祭り、という説がある




前に話したアイドルフラグは折りてないのでご安心を!
そして巻き込まれたヒナ(?)
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