デカグラマトンです、連邦生徒会対策室長をやってます 作:十文字マトン
「正直ごめん」
「もう少しご自身の影響力を把握してくださいよ?
「いやその...ごめん」言い訳が特に思いつかなかったので素直に謝った。
はい、いつもの
「まずはこちらを」ナギサがタブレットの画面をこちらに向ける。そこにはキヴォトスのSNSトレンドランキングが表示されていた。
1位:十文字メイ
2位:アイドルデビュー
3位:NULLA
4位:対策室
5位:トリニティ謝肉祭
......
と、上から10位まで全部似たような話題。なんと我の名前だけでなく、NULLAですら謝肉祭よりも上位。
「一応知ってるけどこう見ると面白いな」昨日の夜からずっとこの調子だし。
「面白いことではありません」あ、ナギサの目が死んでる。
「あぅ...」
説明すると、参加申請の書類を提出したら、なぜか翌日には我が参戦することが大ニュースになった。どうやら、サクラコさんが普通に他人に話した...あとでしばく。
いやまあ特に隠す必要がないと思ったのは我も同じだし、どうせそのうち参加者リストからでも調べられるから隠せないと思ってた。それにそのおかげでもっと早い段階でが参戦するとどうなるが知れるから、ある意味よかった......いやよくはないか、やっぱりしばく。
「わずか一日でこれほどの話題になっています。アイドルイベントのために用意された会場は現在の十倍の広さがあっても収容しきれないほどの観客が見込まれています......それだけではありません。各学校の生徒会が、座席の確保するために外交手段に訴え始めています」
「いや何してるのあいつら」
「そしてこちら」ナギサが机に置いたのは厚さ数センチはある書類の山「トリニティに届いたスポンサー契約申請書です。今日の朝だけで、これだけの数が届きました」
「トリニティはすでにスポンサーと校営企業があるはずだよね?」しかも知ってる通り学校側でも学生側でも結構お金持ちだから、そんなにスポンサーを必要としてない。
「はい、しかし『十文字メイが本格的にアイドル活動を開始する』という誤解が拡散され、芸能事務所や企業が参入し始めています。見返りや要求は特にないのですが、おそらくメイが関わっている事自体が宣伝効果になると考えているでしょう」
「......こっちは全部無視していいよ、我の方でなんとかする」
我の機嫌取りにせよ、本当に便乗で儲けようとするやつは多分中小企業がメイン──つまり、
多分この申請書を出す人達は、我の事を「社内に影響力のある令嬢」...つまり「重要役職の娘」や「コネを持つVIP」程度の認識。まあ表ではそういう扱いしてるではあるが。
んで、
まあ今回のはおそらく悪意がない──悪意あったら多分もう「対応」されてるから、ちょっとお話をすればわかる...変な意味はないよ?
「そうしてもらえると助かります...それと」ナギサはふぅ、と一息ついた。
「それと?」
「すでにブラックマーケットでは、『NULLA』のグッズが法外な値段で取引されてるという情報が入っています」
「存在しないグッズを転売してどうする」作るの早すぎやろ、絶対常習犯だろ。
「これが公式グッズの流出であっても、無許可で販売されたものであっても、主催であるトリニティが参加者を守る力がないと非難されます」
「それはごめん......いや悪いのは我じゃなくない?? あ、そのグッズとやら、我らの写真とか入ってる?」
「それは、普通なら入ってると思いますが......なるほど、どうやら入ってませんでした。流通してるのはイメージロゴと応援ペンライトなど、あくまでモチーフをしてるグッズらしいです」まあそうなるよね。もし我の写真入ったら多分情報がナギサの耳に届く前に『対応』されてた。
「ちょっと上手いやつか。じゃあこっちが『公式グッズがまだ発売してない』、と発言したらすぐに解決すると思う」写真とか入ってたら非公式でもある程度需要があるかもしれないが、モチーフ系なら公式じゃないと分かったら売れないはず。というかそもそもイメージロゴってなに? こっちですらまだ決めていないよ?
「次は」
「まだあるのか」
「それが、たった一日だけで。運営に参加辞退を申し出るチームや、SNSで戦意喪失したチームが続出しています。『メイ室長が出るなら優勝は不可能』、『観客として対策室長を見たい』、『対戦相手になる瞬間気絶しそう』、『メイ様と競うのは信仰上の問題』など」
「信仰上の問題」
「はい、これでは大会自体が破綻します」
「うぐぅ......仕方ない、今回我は辞退しようか。ヒナとサクラコが続投するかは一旦話会ってみる」さすがにこの状況はまずい。あんまり途中でやめるのは好きではないがこれはもう不可抗力だし。
「いえ、今となって辞退したら、逆にトリニティの風評が悪化します。『トリニティがメイ様を締め出した』とか、変な憶測が飛び交うのは目に見えています」
「......そして『そもそも参加するのがデマだ』と説明したら、発信源であるサクラコさんの信用が終わるってことか」なんでこんなことになった。
「まさに
「じゃあこうしよう? 十文字メイは体調不良で実際舞台に上がることを断念、ユニット『NULLA』と大会の運営協力に転換する、これなら我とトリニティの不仲説も出てこれないはず」
病弱体質はこういう時に便利だよね。実際踊れないから本当に舞台に上がったらむしろ我のために来た人たちがガッカリすると思うし。
「...」ナギサは無言に紅茶を一口飲んだ、多分この解決策を考慮してるだろ。
「ほら、十文字メイはもとから表ではなくこういう立場にいるの有名だし、これならむしろいつも通り」
「......」ナギサがちょっと難しい表情しながら頷いた。なんで難しい表情をするの?
「我がいないNULLAは多分そこまで特別視されない...されないよね? さすがにバランスブレイカーにはならないはずだから、多分トーナメントに参加しても大丈夫のはず」不可抗力だけど離脱することに関して謝らないとね。
「...それが最適かもしれないのですが」ナギサは少し声を小さくして、頬を軽く赤らめた「個人的には、メイのアイドル姿、ちょっと見てみたいと思ってるんですけど」
「よーし、じゃあやるか!!」なら仕方ないね!!!
「言い出したのは私ですが決断が早すぎませんが?」一瞬照れたけど、ナギサが額に頭を当てた「......いえ、やはりメイが参加するのは無理があります。先ほどの案で──」
「...あ、エキシビションならどうだ?」よく考えたら、アイドルとして登場するだけならトーナメントに参戦する必要はなかった。
「それです!!」ナギサはすぐに何を言いたいのを理解したらしい。
「エキシビションマッチなら、トーナメントの勝敗には影響しないから少なくとも大会は成立するし。我のアイドル姿を見たいというナギサの願いも叶えられる」あとヒナとサクラコの一緒にアイドルをやる約束も達成できる。
「その方向で行きましょう...ですが、場所の問題は解決してません。エキシビションとはいえ、生でメイを見れると知ったら観衆の数は測れ知れない」
トリニティは広くて生徒も多いけど、逆に生徒集会とか全生徒を集めることがほぼない、というかできない。だから校内の会場は学校にしてはかなり広い部類だけど、最大人数は商業ライブ会場ほど多くはない。
「校外になるけど、トリニティ自治区内の会場を手配する...いざとなったら空間を歪ませて内部空間をこっそり広くするとか」
いちいちサイズを図る人はさすがにいない。瞬間記憶の人でもあくまで記憶だけで、目視で体積をわからないので基本的にバレない、というか常識的にあり得ないだから勘違いで片付けられるはず。
「相変わらず言ってることがわかりませんです。いえ、話の内容自体は理解できますが......では任せます」
「うい」
「最後は...メイ以外のNULLAメンバーはおそらく参戦が可能ですが、エキシビションでともに共演することが決まっていると、やはり審査員や他チームから特別扱いされます」
「そうなるのか」
「ここで一つ案ですが、優勝したチームがメイと共演できる、というのはいかかでしょう?」
「いや我を賞品として扱うのは、ちょっと厚かましくない?? 別に我と一緒にするために参戦するわけでもないし」
「いや、これくらいは妥当かと。先ほどの企業の態度でわかると思いますが、メイと一緒に舞台にいる時点で宣伝効果になる。たとえメイに興味がないチームでもメリットになります」
「ナギサがそういうなら...そうしよう。じゃあサクラコ達と一緒にアイドルをやるという約束は彼女たちを勝たす必要になってきたか」
「そういうこのになります...私もメイと一緒にアイドルをやるために参戦しましょうか?」
「ちょっと冗談なのか本気なのかわからないから困る」まあ冗談を言う余裕が戻ったのはいいこと。
──その後、この方針で決まったので、後はサクラコ達にどう説明するか。
なぜかアイドルオタク適正が高いナギサ
アイドルナギサも考えたけど流石に無理
でもメイちゃんと二人きりなら多分着てくれる(???)