デカグラマトンです、連邦生徒会対策室長をやってます 作:十文字マトン
ケイちゃんケイちゃんケイちゃんケイちゃん!!!
音楽が終わり、観客たちの拍手の中NULLAが退場した。特にミスもなく完璧で終わった、えらい。
「お姉様なら何点付けます?」
「もちろん100点」
「先ほどのユニット達も全員100点付けてませんでした?」
「だってみんな頑張ったから、頑張ったのは偉い、つまり100点」まあ採点がくっそがばい自覚あるから、最初からナギサから審査員兼任の提案を辞退した。
「あれは多分普通にお姉様と一緒にいたいだけの言い訳ですよ。断られたときめっちゃ落ち込んでいましたよ」
「それはそれとして任されたらしっかりやらないとだから...あと、落ち込んだのを見てしっかり慰めたやん」
さすがに落ち込んだのは我でもわかるから、その日が暮れるまでずっと彼女の膝上で一緒にお茶会してたからすっかり元気を取り戻せたからね。
まあそれはいいとして、NULLAの反応はどうだったかな? 会場から拍手と喝采してるとはいえ、あの雰囲気でよっぽどのやらかしでもしない限りそうなるのが当たり前。これが普通のライブ会場なら今SNSを見ても反応する人が少ないであろう......
しかし! 今回は何と各プラットフォームで同時配信してるから、特に家でライブ見てる方ならSNSでリアクションしやすい。前のユニット達でもそれを確認したので。
『マリーマジママ、略してMMM』
『久々にヒナ委員長の姿が見れて感激すぎて手榴弾を食べた』
『黒髪の子いろいろすごいな』
『これが...エデン(楽園の意味)!』
『灰色の人誰?』
『NULLAのライブめっちゃよかった、ミチルのチャンネル登録を解除します』
『NULLA、二曲目──』
まあうん、検索してヒットしたのは大体先ほどのパフォーマンスへの感想だけど、肝心なサクラコへのイメージはあんまりというかほぼ言及されてない...それもそう。ぐぅ、これ以上知ろうと思えば別にできるけど、プライバシー侵害になるからやらない。
まあでもわかることもあった......今回観戦した観客はトリニティ以外のも多いから、逆に言うとトリニティ以外でも知名度が高い組織が注目が集められるのが自然の事。そこで、直近に大きく話題となった「三大校の中の二校がなんか生み出したの組織」は当然知名度も相対的に高い...出来れば内容まで知ってほしいけどまあそれはいいとして。
それにユニットのプロデューサーが運営してるSNSも頑張って宣伝してるから、その効果はあったのか、NULLAのタグを付けて呟くの件数は明らかに前のユニットよりも多い。
「エデン条約機構と言えば、お姉様直設立した組織ですから注目を浴びるのは当然ですね!」
「いや違うけど?」そもそも最初我は反対だし、アズサの『お願い』がなかったらそれを爆散させるつもりだけど......ちょっとだけアドバイスをして、具体的な条約内容を考案し、メンバーを元々の予定にない人にしただけの多人だよ。
「普通ならそれが直接に創設と関わってると言えますよ」
「ハハッ、ナンノコトヤラ」
まあそれはそれとして、この後の勝敗には知名度が結構優勢になるから有名なのも悪くない......それでアイドルという親しい印象を植え付けたら元々の目的であるイメージ改善にも一応役立つ、多分。
さてさて、パフォーマンスの練習は勉強してきたけど、採点とかは正直完全客観の方法が存在しないから我からいうとこは何もない。しかも今回のイベントも観客投票という要素あるから、この時点では我も結果が分からないし、のんびり続きのユニットの歌でも聴くことにした。
「なんかこんな平和のは久々の気がする......いやフラグじゃないよ」
「斬新な演出ですね」
「斬新というか暴力すぎるやろ」順番で最後のユニットがミネ団長の「救護☆ナイト」......名前そのまんまかよ、と突っ込みたいけどまあわかりやすくていい。で、曲はなんとオリジナル曲だけど、歌詞に救護騎士団の騎士の誓いを入れたという個性の塊。
いやまあそこはまだいい、問題はパフォーマンス。
曲の最後はジャンプするという極めて王道の演出だけど、普通は数メートルに飛び上がってスーパーヒーロー着地をしないよミネ団長? いやかっこいいけど衝撃波はさすがにやりすぎ、前列の観客の一部は吹き飛ばされたし。
イメージ改善とは? と言いたいくらい「暴」の演出だけど、会場がパニックしながらもなぜか割と好感触。キヴォトス人わからない。
で、落ち着いたら今から選出フェイズに入る。トーナメントと言っても、実際は1対1で勝者が決まるまで何度も登板する訳でもない──非プロだからパフォーマンスは1曲想定だし、同じ曲で何回やっても疲れるので、どちらというとコンテスト形式...じゃあなんでトーナメントって名前をした? と聞いたら「そっちの方が分かりやすい」らしい、まあ確かに!
で、肝心の採点方法は、誘われた外部プロの審査員を含めた運営方の採点と観客の投票で決めるけど、比率は運営3観客7という、つまりぶっちゃけほぼ人気投票のお祭り感覚。
「お、運営方の点数出てきました」
「NULLAは......94点。でもほぼみんな90点台か」ミネ団長もインパクトがあると評価されて92点という高点数。
まあ先程言ったように、重要なのは観客投票だから審査員もそれを知ってあえて甘めの採点しただろう。あ、グレランで取り締まれたユニットだけ点数が低い、というかそれ失格にはならないのか。
まあ後はNULLAが観客投票で高点数をもらうのを...待つしかない。普通なら「祈る」もしくは「願う」だけどやったら大変な事になるのでできない。
「メイー!! やりましたよ私達!!」
「偉いね、ナデナデいる?」
「っ!? 是非お願いします!」半分冗談で言うつもりだけどサクラコは割と食らいついたので要望通りナデナデしてあげた、そしたらヒナも我の手を掴んて笑って何も言わずに圧力だからナデナデをした。いや欲しいなら言えよ、というか外野から見たサクラコの真似するな。
〔一応確認だけど、不正はないよね?〕
〔もちろんしてませんですよお姉様! 不正するなら最初から他のチームを全部...ではなく、お姉様が鍛えたNULLAが勝てると信じます!〕なんか不穏な言葉聞こえたけど無視することにした。
そう、投票の統計が終わると、最終的にNULLAがプロのアイドルユニット──『シャイニング殲滅戦』に僅差で勝った。運営方の採点では上限に近い98点だったが、観客投票ではNULLAの方が高い...ちょっと出来過ぎるシナリオに見えるけど今回は別に操作してない、のはず。
なので勝者ユニットとして我の控室に合流してきたら、一気に賑やかになった。
「いやー上手く行ってよかった」
「メイのお陰よ」流石に勝ったのは嬉しいらしいのか、ヒナの笑顔がまぶしい。
「いやみんなの頑張りもあるから」まずは素材がめっちゃいいし、そして我が出したレッスンもしっかり遂行し、その上自分の考えも提案してくれるから改善できた......まあ分析は後にするとして「あんまり変わってないけど、私が追加した場合の動きは忘れてないよね?」
「はい! 昨日みんなといっぱい練習してきました!」首当たりには少し汗が残していて、なんかちょっといい匂い、ではなく興奮気味なマリーさんが元気で返答してくれた。
「偉いね。なら今はちょっと休む...というか休め。特にヒナタさん」
「え? いえ、私はまだまだいけます!」元気そうなヒナタさん、いや多分元気ではあるだろうけど。
ヒナタさんはどこぞのミレニアムのように自然発熱こそしないが、出汗が普通の人よりもちょっと多い。今回の服装的に汗で透ける危険はないが、逆に言うと汗で中身がすごいことになる。よくパフォーマンスに耐えてたな。
「えーと中身大丈夫かな? その、汗が」これセクハラにならないよね? なったらこの会場と一緒に自爆するしかないけど。
「あっ、そ、その。もう慣れていますので...」
「私が拭いてあけましょう」待機してたティちゃんが援護射撃を飛んできた。
「いえそんな事を!?」
「受け入れたほうがいいよ、そういうのが仕事だし...それに、今はやく体の調整しないとこの後のダンスは耐えられないよ?」
「うぅ......すみません。よろしくお願いいたします......」
「他の三人は大丈夫そうかな?」
「私は大丈夫です! こんなイベントを...すべてを終わらせますので! その前私は決して倒れません!」
「だから言い方! あと『こんな』って言うな!」平常運転のサクラコだけど、一応黒幕から悪の組織と戦う主人公側にシフトした......けどそれだとトリニティが敵になるから。
まあ、とりあえずみんなは先ほどの興奮で緊張とかあんまりしてなさそうなので、多分大丈夫。
会場の照明がゆっくりと落ち、観客席のざわめきが一瞬で静まった。巨大なスクリーンに「Exhibition Match」とだけ表示され、シンプルな文字が浮かぶ。
トリニティ謝肉祭のアイドルユニットトーナメントは、すでに決着がついていた──優勝はNULLA。エデン条約機構のツートップが組成されたユニット。
ゲヘナ側である空崎ヒナはともかく、トリニティ側である歌柱サクラコは普段からあんまりよくない噂があると有名な方。エデン条約機構への参加のために裏で暗躍し、トリニティを影から操っていた......など、真偽こそ判明できないが風評があんまりよくない。
今回もまた、次期連邦生徒会長と呼び声が高いの十文字メイを取り込むためにこのアイドルイベントを画策したのではないか? と疑われていた。
しかし、先ほどのパフォーマンスを見ると、誰しも彼女達の頑張りが伝えてきた。目的までは分からないが、「このライブを見てる人に笑顔にしたい」という思いはしっかりみんなの心を掴んだ。そうじゃないと、投票であんなに好評を得られない。
照明がゆっくりと戻り、ステージ中央にスポットライトが落ちる。まず現れたのは、優勝ユニットであるNULLAの四人──サクラコ、ヒナ、マリー、ヒナタ。
観客席から歓声が上がる同時に、ステージ後方から、ゆっくりと小さな影が前に進んだ。
白と黄色を基調とした同じ衣装を着た、銀髪の少女。袖が異様に長く、手を覆い隠すほどに余ったその姿は、どこか愛らしく、どこか不釣り合いに神聖だった。
ライブなのに車椅子に座っていたその光景はあんまりにも異様だが、誰もそれに疑問を持たない。それほど有名な方だった。
メイはNULLAのメンバーと並び、中央へと進み出る。四人が自然に道を開け、彼女を囲むように位置を取った。
そして、イントロが流れ始めた。
NULLAの本戦でも流れていたが、彼女が選んだのは、キヴォトスでも知名度の高い曲。明るく、親しみやすい。オリジナル性を捨てる代わり変わり、誰でも口ずさめる既存曲。
周りの四人は洗練された動きでダンスを始めたが、真ん中にいるメイはただ座っているだけ。自由に動けないと有名な彼女ではあるが、もしかして何か方法で踊り出すかもしれない、という期待はみんなが持っていたが、どうやらそんなことは特になかった。
では、どうしてこのようなイベントに参加するの? と疑問が浮かびそうな瞬間、彼女が口を開いた──
透き通った、どこか遠くから響くような声......トリニティの生徒が親しんだ聖歌を彷彿とさせるその声は、まるで聖堂の鐘の音のように、会場全体に染み渡る。
観客は最初、呆然としていた。やがて、誰かが立ち上がり、ペンライトを振り始めた。それが伝播し、会場は光の海と化した。
最後のフレーズを全員で歌い上げ、ポーズを決める。
静寂。
そして、爆発的な拍手と歓声。
「あの! メイ様、今日は本当にありがとうございました!」
「いえいえ、マリーさんもお疲れ様ね」
途中観客のみんなが立ち上がる時、我が座ってるだけでつまらないから離席しようとしたと思ったら、そんなことはなかった。まあ何とか無事に終わった。
で、みんなと打ち上げでちょっと有名のスイーツ店に行って、いっぱい食べた......レストランとの二択で、JKなら多分スイーツの方がうれしいだろと安直にスイーツにした。絶対我が食べたいだけではないよ。
まあとにかく楽しかった、二度とやりたくないけど。今もめっちゃ眠い...踊ってないけどあれもあれで疲れるから。むしろサクラコ達の体力の高さに再認識できた。
「......本当に、夢のようでした」 隣に座ってたマリーさんが、祈るように胸に手を当てて...いや、マリーさんのことだから本当に祈ってるかもしれない。
「夢じゃないよ、マリーさんは自分で頑張って成しえたこと......というかマリーさんそんなにうれしいのはちょっと意外。どちらというとサクラコに巻き添えされた立場だけど」まあ嫌じゃなかったのはよかった。
「い、いえ......実は、その。以前からアイドルに憧れていました。サクラコ様にヒナ様、ヒナタさんとメイ様達と一緒にアイドルのために頑張った時間はとっても楽しかったです」
「おーならよかったね」突然の事実が披露された、確かにレッスンしてる時もうれしそうだけどそういうことだったのか。
「明日からはまた一人のシスター、そしてトリニティとゲヘナを守るためのエデン条約機構の一員に戻ることになりますが、今日の記憶は一生忘れません」
「それは良かった。私も忘れないよ」しっかり記憶してたから、文字通り忘れることはない。
「...メイ様。一つだけ、我儘を言ってもいいでしょうか?」
「ん? いーいよ言ってみて」マリーさんのことだから変な要求にならないと思うし、どんな願いでも聞くだけなら全然大丈夫。流石にアイドルユニットの誘いとかならやらないけど。
「今日でメイ様と同じユニットで頑張ったので...そ、その、仲間のような関係になりました。な、なので...その...今日からは! メイさんって呼んでもいいでしょうか?」
「それだけ!? 最初から様付けって求めてないから全然好きのほうでいいよ......というかそれわざわざ許可を取らなくてもいいと思うけど」よっぽど変な呼称じゃない限り基本我への呼び方は自由にさせてるから。
「いえ! これは大事のことですから! で、では...これからもよろしくお願いします。め、メイさん!」
「うい、これからもよろしくね」猫耳を垂らしてこちらに頭を下げてきたけど、いつもの癖で彼女の頭をナデナデをした......ほら、ちょっと身内にそれで撫で待ちするやつが多いから。
「ひゃあっ!?」
「あ、ごめん、つい」
「い、いえ! ちょっとびっくりしましたが、嫌ではありません...その、そのまま続けてください」よーし、許可を得たのでマリーさんの猫耳を好きのようにナデナデをした。感触が結構よかった。
「......あれ、反応がなくなった」
「...」顔を覗いたら、血液が全部表面に集中してるかと思えるほど顔が真っ赤になって意識を失った。
え???
その後、サクラコとヒナタさんが協力してマリーさんを送り返した。ちなみにこのことをケイちゃんに話たらみんな「またか」と反応した、またとはなんだ、いやまたではあったけど!
メイマリ、あります
メイサクラコ、あります
メイヒナタ、たぶんあります
メイヒナ、もうあった