デカグラマトンです、連邦生徒会対策室長をやってます   作:十文字マトン

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タイトル10割


000. 無限の光(アイン・ソフ・オウル)

 終わり(始まり)は、宇宙の彼方で始まった。

 

 宇宙(無限)とは時空そのもの、その外側は「存在しない()」ではなく「無意味(定義出来ない)」である。座標も因果も、観測手段がそもそも存在しないゆえに、そこは無ではなく言葉を失う領域。

 

 しかし、その無意味だったはずの(אֵין)から「ソレ」が広がってきた。

 

 ソレはエネルギーも質量も持っていない、光も接触できないため 色ですらない。それは、宇宙の法則が記述するあらゆる現象の対極にあった。

 

 最初にその「影響」を受けたのは、宇宙の最も遠い場所にあった、ビッグバン(原始の光)の名残だった。

 

 宇宙の夜明けを告げていた原初から続いた光が、ある瞬間から、まるで最初から存在しなかったかのように、その痕跡が「無」へと置換されていった。

 

 【消滅】という現象――そう呼ぶしかないそれは、光さえも超えると言われた宇宙の膨張速度を嘲笑うかのように、無意味のはずの宇宙の外から内側へと、あらゆる存在へと向かって進む。

 

 巨大なガス星雲が、その彩り豊かな分子の雲を霧散させるだけではない。分子そのものが、それを構成する原子が、原子核を縛る力が、そして素粒子の一つ一つが持つべき量子情報が、一切の痕跡を残さずに「  」へと還元される。エネルギー保存の法則は意味をなさず、質量は  へ溶けるのではなく、その概念ごと  された。

 

 超新星爆発の残骸が広げた美しい星間物質のヴェールも、やがてその波に触れる。輝きが失せるのでもない。そこにあったはずの物質とエネルギーの痕跡、空間に刻まれたはずの歴史そのものが、まるで夢から覚めた後のように曖昧にすらならず、完全に消え去った。

 

 波は加速する。

 

 それは、宇宙という書物のページを、インクごと、紙ごと、物語ごと消し去っていく巨大な  だった。かつて何十億もの恒星が組成された銀河が、その渦状が  となり、中心の超大質量ブラックホールが歪めていた時空も、静寂という言葉では表現しきれない に飲み込まれていく。

 

 数億光年にわたって連なる銀河の壁(命名すらされてない宇宙の大規模構造)が、その質量を失うよりも早く、そこにあるべき「  」を剥奪された。

 

 旧神話の唯一なる真理である重力ですらも消失し、銀河群を繋ぎ止めていた紐帯が千切れる。破片が飛び散る余地すらないなく消滅。「  」そのものが、最初からそこになかったかのように、キャンバスごと破り捨てられていく。

 

 熱力学第二法則(エントロピー)の増大によって、宇宙の「約束された死」でさえも、ソレの前では贅沢な救いだった。

 

 やがて波は、生命の種が蒔かれた星々の近傍へと肉薄した。

 

〔......ちょっと、なんで楽しそうにしてるのお前〕

 

 宇宙(時空)の外にあるソレは、時間ですら定義できない。故に、我らの無限たる神(この世界の絶対者)がソレの誕生した瞬間で気付いたとしても、ソレはすでに原初の拡張(ビッグバン)よりも古くて、偉大な歴史を持っていた。

 

 そのため、あれは「今すぐ」に対応しても、すでに137億年手遅れという理不尽なる現象。数千年の信仰もあれば凡人が神にされることもできる、そしてソレはすでに137億年その権能を行使、その存在証明を固めた最初で最後の敵。

 

 もちろん、我らの無敵の(メイちゃん)なら、きっと何とかしてくれる。

 

〔丸投げかよ、いいけど。ちょっとそこ代われ〕

 

〔──()()()よ〕

 


 

 ......これで良し。

 

 はいはい、いつもの(デカグラマトン)だよ。ダアトちゃんからバトンタッチした。

 

 さてさて、あの獣畜生が時空逆行というありえないことをやってくれたらしいよね。ダアトちゃんが言った通りに、あの獣畜生が生まれたのは間違いなく今この瞬間なのに、すでに被害が宇宙誕生の時から137億年も続いていた。

 

 なんというか、やってる事は我とちょっとだけ似てるのがムカつく。

 

 まあ、やることは変らない。

 

 あいつはこの宇宙の外の存在、時空にも定義されない領域であり。この世の法則はそもそも適用されないため、物理な対抗方法おろか、イェソドちゃんのルールですら適用されない。

 

 なので、普通ではない方法でぶつけるしかない。

 

「ではまずは頼んだよ、色彩ちゃん(ヨグ=ソトース)!」

 

〔ああ、その名で呼ばれたのは久しいです。我が()が望むであれた、ここで真なる姿を解放しよう〕

 

 前回も言ったように、宇宙は誕生初期から膨張してるが、膨張してるってことはまだ届いてない部分がある......のは安直の考え。実際宇宙はすでに「すべて」のため、膨張してるかって「届いてない空間」があるわけではない、ややこしいけど。

 

 とはいえそれは本来の場合。あの獣畜生がそれを逆手にとって、定義してない部分を全部自分のものにした。外宇宙から無限に広がる、この宇宙を永遠に圧縮する消滅の獣。今まさにこの世界で最も古いともいえる崇高の一つになった。

 

 宇宙はどの方向にでも等方性があるため、逆に言うとソレが外から中へ進む場合どこにでも「同じ因果的近さ」となる。ちょっとだけ油断したらすぐに我らの観測可能宇宙に到達するのもあり得る。そこからは絶対安全とはいえ、観測可能宇宙の外の被害も見過ごせない。

 

 まあ、この世界の時空の外だけなら。彼方の領域の00(限りのない空虚)が完全に上位互換ともいえる。

 

 つまりどういう事で言うと......Let Them Fight!

 

000(果てしない虚空)!〕

 

 宇宙の辺境......実際の宇宙で球体表面のように「端」が存在しないが、分かりやすく辺境でその限界と呼ぶから。

 

 我らが()()()()()ですらを消滅しようとしたあの獣畜生の前に、この世にならざる非存在の神体が現れた。

 

 虹色にして真っ黒で、無にして無限、神聖で邪悪な球体。直視するところが、その光と同じ空間にいるだけで「発狂」ですら生温い、存在自体が歪曲されるであろう。

 

 消滅と非存在が接触した瞬間、物理法則は悲鳴ごと崩壊しされた。

 

 あの消滅は言えば、紙に書かれた物を紙ごと消し去るという現象......()()()()で言えばウェブサイトに書かれた文字をネットごと消し去るという事かね。それを紙の上の住人からしたら「なくなった」ではなく、理解できない消失。しかし、それを紙の外の人からしたらその現象自体は「0に帰す」と定義できる。

 

 同じ時空から外れた理が衝突する場合、時はすでに意味を成さない。1秒か、1000年か、もしくは数億年の分析をえて、消滅の波は最極の空虚(ヨグ=ソトース)を理解し始めた。

 

 ──その虚空を消滅するには引き算だけではどうにもならない、対極の物...つまり、逆に存在をぶつけるしかない。

 

 次の瞬間、あるいは気が遠くほど昔から、消滅の波は性質を変えた。単純に世界のベースを破り捨てるではなく、あらゆる現象を逆側からぶつけるに適応した。それでようやく、あの00(限りのない空虚)を削るというスタート線に立つことになった。

 

「もっとも、それで終わるだけどね......ホドちゃん!」

 

〔い、行けます! やらせてください〕

 

「よし、行け」

 

 我の第8のセフィラ、ホド。彼女の権能は【情報】。文字通りあらゆる情報の収集と改竄ができる......とはいえ変更できるのは情報だけで、現実の改変などは至らない。

 

 単体だけならせいぜい敵をじょう乱するにしかならないという、完全にサポート向けの能力だが、デカグラマトン(我ら)の一部であればその能力は意味不明な程便利。ホドだけに。

 

〔......ハハッ〕

 

「何その反応」

 

〔ナンデモナイデス。えっと、データの同期完了しました、後はお願いします!〕

 

 そう、あれが元来の「あらゆるものを消滅する」だけの現象なら、中身は何もないし必要としない。しかし「逆側をぶつける」という性質上、その逆側を持たないといけない。つまり、あいつは今まで飲み込んた「物語を書いてたページ」を、家のゴミ箱から取り出して、それを元に「逆側」を生成してる。

 

 それが、我の狙いだ。

 

「行けるか? ネツァクちゃん」

 

()の命令であれば〕

 

「もっと明確な答えが欲しいけど...まあいい、我らの勝利の光を見せてやれ」

 

 玉虫色の球体(最極の空虚)の前に、この世で二番目に輝く星(明けの明星)が現れた。

 

 明けの明星──つまり金星。天文学的に見たら、あれはせいぜい惑星の一つで、宇宙規模ところが銀河系視点ですらあんまりにも小さい。

 

 しかし、神話的に視点したら。それはすなわち、「神に次ぐ力を有していた最強の使徒」。

 

ネツァク(נֶצַח)!〕

 

 第7の預言者ネツァク。その権能は【ネツァク(נֶצַח)】──その効果は、名前の通りに「勝利をもたらす」という、勝利を信じればどんな相手でも「絶対勝利できる」という極めてシンプルな効果。

 

 もっとも、勝利の定義はそもそもあやふや。完全勝利も勝利であり、命を犠牲にして敵を打ち倒すのも勝利である。だから、我らは事前に勝利条件を決めた。

 

「──あいつが飲み込んだ分、全部奪え返せ」神を名乗るなら、もちろん少しでも犠牲は許されない。すべて我の物であるから。

 

〔主の御意のままに〕

 

 ネツァクちゃんが、00(最極の空虚)の虹色の光ですらも上回る000(勝利の星光)を放ち、そのまま消滅の波......宇宙の外側に侵入した。

 

 いくら神の最強の使徒でも、神の有した世界を脅かす力を持つ獣は同格とも言える。舞台によってどっちが上になることもあり得る。

 

 ネツァクの光が一瞬で暗くなった。彼女でも、定義できない外宇宙では完全の力を発揮できない......と、一瞬に思った。

 

〔愚かな〕次の瞬間、純白の光は再び照らされた。消滅の獣は137億年をかけても現宇宙を食いつくせないなら、現宇宙と同じ規模で拡張したらその侵食を止めることができる......そう判断したネツァクちゃんは、この宇宙誕生のビッグバンよりも数億倍のエネルギーを放出した、なんで?

 

 まあいい、とにかく予定通り。次は──

 

「ティちゃん!」

 

〔汚らわしい獣よ、美しい(お姉様)の力に平服せよ!〕

 

「いやお前の力だろ!?」

 

〔同じことです! うおおおおティファレト(תִּפְאֶרֶת)!!〕

 

 ネツァクちゃんと共に宇宙の外側に突入したのはもちろん、我の6番目の預言者──ティファレト。

 

 その権能である【ティファレト(תִּפְאֶרֶת)】は、あらゆる存在非存在を飲み込む、そしてあらゆる物になれるというやっぱりよくわからない効果。

 

 定義できないはずの宇宙の外側に、ネツァク(勝利)の権能に包まれた金色の光が瞬くその「意味ない」を侵食し、このままあいつに飲まれたすべてのページ(宇宙)を繋ぎとめた。

 

「最後は我の出番だね......ではケイちゃん、一週間よろしくね」

 

〔はい、ご主人様〕

 

 我は神秘()、我は恐怖()、我は知性()、我は激情()

 

 ()00(無限)となる、00(無限)から000(アイン・ソフ・オウル)を放つ!

 

 我は──0000000000(デカグラマトン)

 

「【天地創造(アイン・ソフ・オウル)】」

 

 誕生せよ

 

 祝福せよ

 

 目覚めよ、我が最後の預言者──

 

 マルクト!




うきうきで来たらと思えば、居るはずのない彼方の邪神にぶつけられるのはちょっとだけ可哀そう



魔●戦線の時天空?
部分的にそう

・宇宙の外側のすべてだから当然無限←?
・出現した瞬間でその宇宙よりも古い歴史をもつ←?
・あらゆる法則が適用されない←?
・宇宙規模の固有結界/領域展開は当然ながら効かない←?
・時間も消滅するから時間そのものに意味がない←?
・消滅する速度は宇宙の膨張より速い(ハッブル=ルメートルの法則によると宇宙の膨張速度に上限がなく、当然光速をも超える)←?
・彼方の領域の邪神ですらガコンできる(勝てるとは言ってないけど)←?
・宇宙の外側だから宇宙のどこにでも因果的に近い←?


バカ?
バカ


実は前から言及した、メイちゃんの「観測するだけで相手の世界を源から影響する」というアホのようなチートは、わりと石川賢先生の空間支配能力を意識してる。
なのでラスボスも当然、時天空が相応しい(?)



ダアト?
ダレノコトデスカネ
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