デカグラマトンです、連邦生徒会対策室長をやってます   作:十文字マトン

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こっちも書くよ


1. 失われた黄金マスク

 黄金、地球の人類史にて数千年に渡って特別な立ち位置にされてる。

 

 世界各地にある太陽信仰の影響で金色神聖視され、また錆びないという性質から「永遠」や「不変」の象徴として扱われた。そして何より、その産出量の少なさでの希少性で、古くから貴重な金属として扱われている。

 

 たとえ貴金属貨幣時代から金本位制度、そして完全に信用貨幣時代へ移行しても、金は未だに投資対象や現物資産として世界中で重宝されている。

 

 それはキヴォトス(ここ)でも同じ...いや、地球とは比較にならないほどの電子機器生産量によって、その価値がさらに高めた。

 

 キヴォトスの発達した科学技術によって、採掘効率もかなり高いが、どれだけ効率を上げようと、元素の総量を変えることはできない。

 

 煉丹術や粒子加速器によって合成する手段も存在してるが、結局作れる黄金に対してコストの方が高いため、実用化に至らなかった。

 

 そのため、金の鉱脈を掌握することは富を手に入れること。そして富があれば武力、武力から影響力。まさに成功へのチケットとも言える。

 

 もちろん鉱脈だけあれば成功する話でもない。黄金に限らずに、強力な資源を持つ自治区は、しばし【資源の呪い】──地球での通称【オランダ病】。特定の資源を持った結果に衰退する現象。

 

 その中に、かつてその呪いを乗り越え、長きに渡る繁栄を築き上げた自治区が一つが存在していた。

 

 その名は──アビドス。

 

 最終的に滅びの運命から逃れられなかったが、数千年も続いた黄金帝国。今でもその影響力が完全に失われていない。

 


 

「......アビドスの黄金マスク?」

 

「アキラなら説明はいらないと思うけどやっぱり?」

 

「ええ、かなり有名なものですから」

 

 と、朝ごはんを食べたら一応仕事をするとした。この七日はティちゃんとアオちゃんが代わりに仕事をやってくれたから、ぶっちゃけ仕事の量自体は増えてない。でもちょっと面白そう(面倒くさい)なのは残してくれた。

 

 その一つは...というよりは二つが複合してるともいえるかな。

 

 まずは当たり前のように我の隣で我にくっついてる白髪猫耳ガールのことから説明しよう。

 

 そう、清澄アキラ。知ってる通り矯正局から脱走した凶悪......とは少し性質が違う。やった犯罪はシンプルの窃盗のみだから凶悪とは言えないかも。

 

 傷害ですら大した罪にならないのキヴォトスだけど、被害額が高すぎるから珍しく矯正局に収監された慈愛の怪盗。

 

 この前なんやかんやで改心...はしてないけど。出頭して罪を受け入れてくれた。今まで保護と称して盗んだ物はできる限り返還、もしくはこっちが代わりに買収する形で、被害者からの和解をとった。

 

 一応、地球の法律なら窃盗罪は和解しても罪自体はなくならないけど、被害者からの許すで罰が結構変わこともある。キヴォトスも普通の窃盗ならそもそも矯正局には送らないので、スケールがダウンした結果矯正局案件ではなくなって、晴れに指名手配状態から解消された。

 

 が、それはそれとして、脱獄した罪はまた別枠になったが、対策室からの司法取引でその怪盗の知識が我のために働くという条件で仮釈放された。

 

 で、二つ目はさっそくアキラが活躍できそうな案件、それは。

 

「約3000年前、アビドスで作られた黄金製の仮面。素材だけでも高価値、さらに歴史と美術的な価値を加算したら並みの自治区ごと買い取れるくらいの値段になる。まあキヴォトスの法律的には買い取ることはできないけど」

 

「それがブラックマーケットで競売された、しかも、例の()()()()()からの予告状が届いている......と。私の嗜好ではないのですが、世間の目線なら慈愛の怪盗が出てもおかしくありませんですね」

 

「まあ一般人からしたら、高いものだから慈愛の怪盗が出てもおかしくない、と安直に思われるのも仕方ない。しかもそれっぽい予告状が出されてる」

 

 そう、なんとアビドスの黄金マスクがブラックマーケットでオークションで競売されるだけでなく、自称慈愛の怪盗からの予告状が送られていた。

 

 もちろん、アキラが送ったものではないため、模倣犯なのか、責任を慈愛の怪盗に押し付けたいのか、それとも別の目的があったのか......どのみち、対策室案件なのは間違いない。

 

「『3000年の砂に眠る、仮面は嘲笑う

闇市に灯る偽りの光が星に染まる時

かつての栄光を取り戻します──慈愛の怪盗』

......ふふ、なんという美的なセンスが欠片もない予告状でしょうね」

 

 ......え、そうなの? わりと本物と似てると思うけど。

 

「ちなみにどこがダメだった?」

 

「まず、安直過ぎます。3000年と仮面だけで素人でも狙いが分かります」

 

「あーそういえばアキラのはもっと分かりづらいだね」なんだっけ、不遇の剣とかのように、その分野の専門知識を持ってないとわからないものが多い。

 

「次は、『灯る偽りの光』......どんな光でも、偽りと断言するのはあんまりにも浅い」

 

「たしか、芸術家は絶対自然の光だけを好きのも限らないよね。川の方の星月夜*1とかもうまく溶け込んだ」

 

「最後は栄光を取り戻すとか、何様のつもりですか? これではまるで自分こそが本物の王権を持ってると宣言するではありませんか」

 

「アキラの時はあくまで今の所有者が相応しくないと判断し、その前提でうば...保護してるから、最初から自分こそ所有者だと宣言しないもんね」

 

「ご理解いただけますと幸いです♥」

 

「それはよかった、でも尻尾をちょっと緩くしたら助かるけど」流石にちょっと締めがきつい。

 

 と、まあ。予告状は下手なのかはいいとして、むしろ分かりやすくて助かる。

 

「では、私をお呼びした理由は、その黄金マスクを偽怪盗が来る前に保護......ではないですね。メイのことですから、偽怪盗を阻止するのが目的でしょうか? このアキラにお任せください♥」

 

「いや、今回は先に盗むでいいよ」

 

「......ほう? これは少し面白くなってきましたね」

 


 

「アビドスの」

「黄金マスク?」

 

「そう、お前らも聞いたことあるか?」

 

「聞いたことはあるんけど〜都市伝説のようなものでしょうー? だって、純金で作られた黄金のマスクとか、絶対金欠した先輩達の妄想にきまってるじゃない」

「えー、でもホシノちゃんも、山で探すのを手伝ってくれたじゃん!」

 

「なんで山だよ」いや砂漠で掘るのも変だけど、アビドスに山がないやろ。

 

「だってアビドスにいなかったら、どこかの山に隠され!」

「それでミレニアムの山まで行ってさ~なんか変な遺跡と石のロボット? に襲われて、何とか最深部までたどり着いたけど、宝箱とかもなんもなかったよ」

 

「宝がないだけでインディージョーンズをやった?」

 

「い、インディー?」

 

「いやこっちの話だ」

 

「?」

「でもどうして急にその話? あ、もしかしてレプリカとかを作る? 観光促進とか」

 

「それがね、本物を見つけたんだけど」

 

「へー見つけたの〜? 流石メイちゃ......え?」

「実在してるの!?」

 

「なんで別自治区まで侵入して探す人達が実在を疑うんだよ」

 

「だって純金だよね? 流~石に昔のアビドス生徒会にも、そこまでバカのような使い方をしないとおもったよ」

 

「正確に言うと純金ではないが...まあ普通はやらないよね」

 

 説明しよう! アビドスの黄金マスクとは!

 

 過去のアビドスで作られた、()()の顔を模した黄金の面。高さ50センチ、重さ10キロで、流石に純金ではないがかなり高純度の黄金で構成され、それ以外にラピスラズリや黒曜石などの天然染料で、妙に輪郭が深い顔を書かれてる。

 

 まあ簡単に言うとツタンカーメンのマスクのキヴォトスバージョン、はい。

 

「で、それがブラックマーケットで発見した、正確に言うと出品された」

 

「うへ、よりによってブラックマーケットかよ~」

「ひぃん......アビドス生徒会として返却するのを要求するのは、ダメかなぁ?」

 

「相手が学校ならともかく、ブラックマーケットなら返却を了承しても相応の代金を要求されるよ。それこそ素直にオークションを参加するよりも高代金」

 

「そうか、そうなるよね。取り戻せれるならそうしたいけど、流石に今のアビドスはそんな余裕はないよね。電力会社と鉄道もまだ正式に運営されてないし......諦めよっか!」

 

「あっさり諦めたね?」

 

「だって、歴史的なものとはいえ、今のアビドスにとってはそこまで大事じゃないから。流石にそこの判断はできるよ!」しっかり考えたら、偉い。コレクション癖のある我ならしない判断。

 

「......メイちゃんが次の言葉大体察するけどダメだよ? 代わりに払うとか。それならユメ先輩を担保にして借りた方がいいよ」

 

「いやなんも言ってないし、それとノータイムで先輩を売るのはどうかと」

 

「わ、私でよければ!」

 

「お前ももう少し抵抗しろよ......そうではなく、今回は金で解決しないよ」というかホシノの件は確か金で解決するのを提案したけど、総合的に見たら我はそこまで金で解決するやつじゃない...よね?

 

「お~? 普通に競売する気はないね、メイちゃんは」

 

「察しがいい」

 

「おお、やっぱり強盗? シロコちゃんも呼ぶか?」

「え、ええー!? 強盗はダメだよ! あ、でもメイちゃんの判断なら...正しいかな?」

 

「とりあえずホシノをアビドスを代表にして返却の要求をして、おそらく拒否されるから。諦めずにオークションに参加するふりをして。費用はこちらで出すけど、あくまで競売するふりだけで、伝えた額を超えたら諦めるといい」

 

「ちょっと面白そう。おじ...私が一肌を脱いていこうか」

 

「あ、あれ? じゃあ私は?」

 

「ユメさんは向いてないのでお留守」

 

「そんな~!」

*1
ローヌ川の星月夜




雑知識
アルミが発見される初期、自然界に量が多いが精錬する方法が難しくて、黄金よりも貴重な金属とされてる

念の為に言うけど、アビドス黄金云々はもちろん捏造
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