デカグラマトンです、連邦生徒会対策室長をやってます   作:十文字マトン

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久々のエイプリルフールネタ、ちょっと短い


番外編19. 研修終了報告

 シャーレ、勤務室。

 

 先生はいつも通り仕事の準備をしたら、パソコンから通話が掛かってきた。

 

 よく見たら、シャーレの直属上司にあたる十文字メイだった。

 

 先生は慌ててコーヒーを置いて、通話を始めた。

 

「あー先生、ちょっといい?」

 

「"メイちゃん? どうかしました?"」

 

 画面の向こうは、心なしがちょっと楽しそうなメイ。

 

「先生がキヴォトスに来てからもう半年だよね? そろそろ研修終了報告書を提出しないとね」

 

「"研修終了......報告書?"」

 

「そうそう、先生の前の世界にもよくあるやつじゃん? まあ、めっちゃ簡単だよ。毎週書いてる研修レポートをまとめて私の方に送れば──」

 

「"......毎週? 研修? レポート??"」

 

 先生は、聞き慣れない単語で冷や汗をかいた。

 

「......え? 研修レポートとか全く書いたことない?」

 

「"その、そうかもしれません"」

 

「そ、そうか。ならほら、毎週何をしたのを頑張って思い出しながら、それっぽい書けばいいので」

 

「"先週ですら何したのを忘れました......"」

 

「え? あ、雑事やり過ぎで逆に何をやったのを覚えてない?」

 

「"は、はいぃ......"」

 

 シャーレの先生は「先生」という名前の職位ではあるが、どこかの学校で授業するではなく、その仕事の内容はほぼ何でも屋と言える。

 

 仕事はそれほど激務ではないが*1、街中のパトロール、猫探し、生徒のカウンセリングなどなど、ほぼ毎日が違うことをやっている。上司であるメイから直接任務を与えることはむしろ稀だから、毎日記録しないと忘れるのも仕方ないと言えば仕方ない。

 

「ふむ、これはちょっと大変なことになるかもしれないね」

 

「"えーと、提出しなかったら、どうなります...?"」

 

「ん? ああ、普通の企業なら、『契約更新の意思なし』として扱い、連邦生徒会との雇用関係が終わるよ」

 

「"雇用関係が終わるって、つまり..."」

 

「そう、そうなったら先生はシャーレの先生じゃなくなるね」

 

「"それは困りますーー!!!"」

 

 先生は椅子から立ち上がりながら叫んだ。

 

「いやー私に言われても......そういえば先生は、就労ビザでキヴォトスに滞在してるよね?」

 

「"就労、ビザ??"」

 

「え? もしかしてビザなど一切持ってないとか? それは大変なことになるね......もし先生はビザを持ってなかったら、前の世界にに強制送還されるね。いやー残念ながら今までお疲れ様」

 

「"強制送還!? 待て、メイちゃん! 今すぐ書く! 記憶を捏造してでも、いや、必死に思い出して書くから!"」

 

 これがオンライン会議ではなかったら、おそらく先生はすでに土下座した。

 

「まあまあ、そう焦なくていい。今日の日付けを見てから猶予期間がわかるよ。そういえば今日は何日だっけ?」

 

「"4...4月1日です"」

 

「あー、今日なんの日なの分かる?」

 

「"なんの日......あ、もしかして、エイプリルフール??"」

 

 先生はカレンダーを確認し、その日付に気づく。もしかして、という望みを抱いて震えた声で質問した。

 

「はーい、びっくりした? エイプリルフールだよ」

 

「"ビビり過ぎで心臓が止まると思いましたよ!?!?"」

 

「まあまあ、たまにはいいだろ? ちなみに嘘は言ってないよ? もしビザを持ってなかったら本当にその扱いになるけど......先生はしっかり特別永住権をあげてるよ。万が一シャーレの仕事を辞めたいとか、そのうち定年になってもキヴォトスに滞在できる。それこそ、誰かと結婚して永久就職って道もあるしね」

 

「"はは、当分その予定はないですね。もっとシャーレで仕事させてください!"」

 

「ふふ、やる気があるのヨシ」

 

 先生は力なく椅子に座り直した。

 

「"しかし本当に怖かったですよ? 今から必死に存在しない週報を捏造しながら報告書を書かないと解雇されると思いました......エイプリルフールのネタでよかった"」

 

「いや、ネタは『強制送還』の部分だけだよ」

 

「"え?"」

 

「研修終了報告。書いてくれ」

 

「"え?"」

 

 先生は、同じ言葉を繰り返すことしかできなかった。

 

「まあでもそう急ぐ必要もなく、来月いっぱいまで提出すればいいので。それと先生が毎週何をしたのは実は記録している。ほら、シッテムの箱に聞けばすぐに分かるよ」

 

 先生が持つシッテムの箱、ただのタブレットでしか知らないはずだが、中には超高性能AIであるアロナがサポートしてくれてる。

 

「"か、書かないとだめですか?"」

 

「出さないと雇用が終わるのは本当だよ」

 

「"えぇ?"」

 

「代わりに提出したら、正式雇用になるので。給料も上がるよ? このくらい」

 

「"......頑張ります!!!"」

 

 給料のためだけではなく、キヴォトスの生徒たちのために、先生は頑張ってレポートを書くことになった。

 

「......まあ、来月まで書かなくても、すでに用意してたけどね」

 

 通話が終わった後、メイが画面で用意した「研修終了報告」を出して簡単にチェックしてた。

 

 このキヴォトスは先生がいないと滅ぶという訳じゃないが、彼女がいないと困るから解雇されないようにメイがすでに用意していた。最も、先生が自力で書けるならこっちの出番がなくで済むが。

 

「まあ、AIで生成したけどね!」

 

 なお、AIと言っても今流行りのチャットAIとは全然違うAIであること、誰のツッコミを待ってるらしい。

*1
原作と違って

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