「呪骸に閃光弾を持たせて男たちの足元まで行かせて起爆したんですね」
「そうだ。まあ、こんなに上手く決まるのは稀だ。まだまだ研究中の術式だからな」
「そうなんですか? 便利そうなのに」
「研究が進めば人類の役には確実に立つだろうな。しかし、役に立つと言う事は悪用も出来ると言う事だ。気を付けねばならん」
「……一長一短ですね」
「ああ、さて男たちを拘束しよう。拳銃も回収せねばな」
「はい」
私はそう言うと展開していた呪霊を収納し私より前を歩いている夜蛾さんに駆け寄ろうとした。
『避けろ』
その時、ザラザラとした不明瞭な声が私の両耳に聞こえた。
「え?」
何を避ければ良いのか。そう思い、立ち止まった私は始めに倒した一際大きい拳銃を持った男の持っている拳銃の銃口が私に向けられ、発砲されるのを見た。
「くっ!?」
咄嗟に拳銃と私の間に呪霊をを展開し身を守った……が銃弾は呪霊をものともせず突き進み、私の眼前まで迫った。
銃弾がゆっくりと私に迫る。ああ、これが走馬燈か。突如として去来する私が経験した様々な記憶。小学校の入学式、初めて呪霊を見た日、それを伝えた時の親の顔、そして八雲泉が敗北が濃厚になった日本の国防を担っていた時や呪霊に爆弾を持たせアメリカを攻撃した時の記憶……をドキュメンタリー風に纏めたビデオを見た自習時間の記憶……危なかった。何故か存在しない記憶を思い出すところだった。存在しない記憶を思い出すのは私じゃないからな。うん……うん? これ走馬燈ですよね? こんなこと考えてて大丈夫なんでしょうか? 今私死にかけてるんですけど?
『避けろと言ったろ』
そんな走馬燈を……走馬燈か? に浸っていた私の頭を誰かが押さえ付けた。
銃弾は間一髪頭上を通りすぎ、私は命脈を保った。
「……外したか」
一際大きい拳銃を持った男はそう言うと、腰を摘まみ上げるように立ち上がった。
とても人の立ち上がり方では無い。私は立ち上がった男からコンコンと沸きだす呪力を感じながら思った。
『奴が持つ拳銃の名称はトンプソン・コンテンダー。発射される弾丸も魔弾だ。並みの呪霊じゃ壁にならない』
そして、私の頭を押さえた何者かがザラザラした声で言った。
「助かりました。ところで……どなたですか?」
私は顔を上げザラザラとした声を発する何者かを見上げた。そこには人型の靄の様なものが顔らしき所を私に向け立っていた。
『ん? 私かね? 私は通りすがりの……仮面ライダーだ!!」
人型の靄を纏った何者かはそう言うとかっこよさげなポーズをきめ、特撮番組で見て事がある様な黒いコスチュームを着た何者かになり、ザラザラとした声も無くなった。
……で? 結局何なの? 正体不明の靄が正体不明のコスプレイヤーになったんですけど、怪奇現象が不審人物になっただけなんですけど、危険度はそう変らないんですけど?
「仮面ライダーブラック。また私たちの邪魔をするのね」
え? 知り合い? 知らない人と知らない人が知り合い!? もうついて行けないんですけど? あと銃持った人、なんでいきなり女言葉? おネエ系? キャラが強すぎません?
「やはりな思った通り貴様は……レイブン」
レイブン? レイブンって何ですか? カラス?
「……当たり。で? 私は私の仕事がしたいだけなんだけど、邪魔しないでくださる」
「残念だったな。私の目的は貴様らワルプルギスの夜の野望を挫く事。夏油傑君はやらせない!!」
え? この人ワルプルギスの夜の人なんですか? 本当? ワルプルギスの夜って毒リンゴ事件やトロイの木馬事件とか起してる激ヤバテロ集団ですよね……あ、思い出した。仮面ライダーブラックって指名手配されてる人だ。
「指名手配犯のオンパレードだな」
いつの間にか隣にいた夜蛾さんがポツリと言った。