「あら、絶体絶命かと思いきや、仲間割れからの三つ巴かしら」
夜蛾さんとブラックさんの睨み合いが続く中、男が再びその満身創痍の体を起こし言った。
「仲間ではない」
「確かに味方同士では無いが、協力しろ。仮面ライダー」
夜蛾さんはブラックさんに一度向けた銃口を再び女性言葉を使うレイブンに操られていると思われる男に向け言う。
「……ダメだ。悪は滅ぼす」
「ブラックさん。その男を殺せばテロ集団への手がかりを失います。そうなればテロ集団の被害者は更に増えます。ブラックさんはそんな未来が望みですか」
夜蛾さんとブラックさんの言い争いの仲裁に私も口をはさむ。
「違う。その男は何も知らん。殺しても問題ない」
「問題ないからと言って殺していい理由になりませんし、それこそ今の理由なら殺さなくても良い理由になります」
「そうだぞ。仮面ライダー。正義の味方が子供の前で人殺しなどするな」
「俺は正義の味方じゃない。悪の敵だ」
「いいや、お前は正義の味方さ。じゃなきゃなんで仮面ライダーの格好なんてしてるんだ」
「……」
ブラックさんが歩みを止め、此方を見る……説得成功か?
「さあ、仮面ライダー(正義の味方)悪をしょっ引くぞ」
「……あら? もしかして、仲直りしまして? と言う事はわたくし、絶体絶命に逆戻りですのね……なら、そうね。そろそろフィナーレといきましょうか」
男がそう言うと男の影から黒い刺繍がほどこされた黒いドレスと黒いヴェールを被った人物が現れた。
「ご機嫌麗しゅう」
声を聴くに女性と思われるその人物は黒いヴェール越しに私の方を向くと挨拶をし……。
「領域展開」
殺しに来た。
「下がれ!!」
「巻き込まれるな!!」
ブラックさんと夜蛾さんが叫ぶ。夜蛾さんは黒いドレスを着たの人物に背を向けると私を抱え、黒いドレスを着た人物とは反対方向に走り出した。私は何が起こるのかと言う不安を夜蛾さんの腕の中で覚えていると、黒いドレスを着た人物を中心に黒い円が広がり夜蛾さんと私はその広がる黒い円にぶつかると……吹き飛ばされた。
「巻き込まない領域展開だと?」
「奴の狙いは……これか」
同じく広がり黒い壁と言って差し支えない黒い円にぶつかって吹き飛んできた私達三人のうち夜蛾さんとブラックさんが言葉を発する。二人には黒いドレスを着た人物の狙いを理解したようだが、私にはそれを理解するだけの知識が無かった。
しかし、すぐに理解することになった。私の耳には聞いた事も無い音が響き、下水道を形作っていたコンクリートが崩壊し、コンクリートが雪崩の様に迫ってきた。
下水道が崩落していく、私のすぐそばに巨大なコンクリートは落下してきた。周りには目に入れば痛いだろうなと思うぐらいの微細なコンクリート片から当たり所によっては死んでしまうのではないかと思えるほどの1メートル四方ほどありそうなコンクリート片まで様々なコンクリートが転がってくる。そして、より一層大きいと思えるコンクリート片が私目がけて飛んできた……。
再び始まる走馬燈。何でもない日常を歩んでいたはずなのに、呪霊が見える事が発覚するやいなや、東京まで連れていかれ、東京に着いたと思えば、ロケットランチャーで襲撃され、銃撃戦に巻き込まれ、最後はコンクリートの雨霰。私の顔より大きいコンクリート片が目と鼻の先まで迫る。私は顔の無くなった遺体での葬式を幻視し、ため息をつく、そこそこ自信があった顔なんだけどな。それが潰れるとは……嫌な事実だ。私はそっと目を細め――――。
「術式順転「蒼」」
全てのコンクリートが空に舞った。
短いけど、書きたいところまで書けたので投下。