Pastel*Palettes feat.ゲゲゲの鬼太郎〜BanG Dream!ガールズバンドパーティ!外伝〜   作:キプkeep

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バンドリとゲゲゲの鬼太郎のクロスオーバーシリーズです!
この小説はpixivで投稿されているものを加筆修正しています。


第一話「妖怪との出会い、鏡爺」

妖怪。

それは、日本の民族伝承で語られる非日常的で非科学的な存在。

多くの人は古くから妖怪の存在を漫画やアニメ、映画などでその存在を知り、そして親しんでいった。

そんな迷信とも言われる妖怪がもしも現れたら…?

これは、五人の少女たちと妖怪たちとの物語…。

 

深夜、街から遠く離れた山奥の森。

ここに懐中電灯を持った女性たちが肝試しにやってきていた。

 

「ね、ねぇ…本当に行くの…?」

「当たり前じゃない。この先にある山小屋に行って噂を突き止めないと!」

 

彼女たちはこの先の山小屋で度々人が行方不明になっているという噂を聞きつけ、この山にやってきたのである。

しばらく歩き続けていると、古びた山小屋を見つける。

 

「!あったわ!あそこよ!」

 

先頭を歩いていた女性が山小屋の扉のドアノブに手をかけると、一瞬何者かの気配を感じるが、気に留めることもなく扉を開ける。

山小屋の中は何もなく、代わりに大きな鏡が暖炉の前に置かれていた。

 

「鏡…?なんでこんなところに…?」

「あ、危ないよ…」

 

不思議に思った女性は友人が止めるのを聞かずにその鏡に近づく。

すると次の瞬間、鏡の中から腕が伸びで女性を捕まえるとそのまま鏡の中に引きずり込む。

 

「わぁっ!?た、助けて!嫌ぁぁぁっ!!」

 

女性はそのまま鏡の中に吸い込まれ、更に鏡の中から伸びた腕は今度は友人の女性も捕まえる。

 

「い、嫌ぁぁぁぁっ!!」

 

その女性もそのまま鏡の中に吸い込まれ、懐中電灯だけがその場に残された。

するとその時、茂みの中から何者かが姿を現す。

その人物は薄汚い黄色いマントをロープのように羽織っている人物だった。

 

「ニシシシ…♪流石は大先生だ♪俺が噂を流しただけであっという間にカモが来るわね♪そうだ、明日はここに取材に来るって言ってたな〜♪先生〜、楽しみに待っててくださいよ〜」

 

その人物が山小屋に向かって手を振りながら言うと、鏡の中に光り輝く2つの目玉が現れた。

 

…………………………

 

翌日、渋谷のスクランブル交差点。

渋谷を行き来する人々が多く渡っている交差点の大型ビジョンでニュース番組が流れていた。

 

『続いてのニュースです。〇〇山付近で行方不明者が相次いでいます。行方不明者は全員若い女性で、警察は何らかの関係があると見て調査を続けています』

 

街の人々が立ち止まりながらニュースを見ている中、ビルの上に一人の少年がいた。

その少年は足を交互に振ってカランコロンと下駄の音を鳴らしながら、ビルの屋上に座り込んで手紙を読みながらニュース番組を見ていた。

 

「ふー、急がないと練習遅れちゃうな〜。ん?」

 

スクランブル交差点で信号待ちをしている少女、戸山香澄はふと顔を上げると、ビルの上にいる少年の存在に気づき、見間違いかと思い、目を擦ってからもう一度確認すると少年の姿はなかった。

 

「気のせいかな…?」

 

そう思いながら信号が青になっていることに気づいて慌てて交差点を渡って行った。

そして場所は移り変わってとある山の山奥。

ここに五人の少女たちの姿があった。

アイドルバンド、Pastel*Palettes。

通称、パスパレと呼ばれる五人のガールズバンドたちである。

彼女たちはここでの噂の真相を探るためにテレビ番組の企画でやって来たのだった。

 

「みなさーん、こんにちは〜♪まんまるお山に彩りを♪Pastel*Palettesのボーカル、丸山彩で〜す♪」

 

テレビカメラの前で自己紹介をする彼女はPastel*Palettesのボーカルであり、リーダーの丸山彩。

彼女はへんてこな決めポーズを取りながら自己紹介をしていた。

 

「こんにちは。ベース担当の白鷺千聖です。よろしくお願いします」

 

彼女はPastel*Palettesのベース担当の白鷺千聖。

幼い頃から女優として芸能界で活動しているのである。

 

「はーい!ギター担当の氷川日菜でーす!」

 

氷川日菜。

Pastel*Palettesのギター担当で、双子の姉でありRoseliaの氷川紗夜の双子の妹の天才少女である。

 

「ど、どうも。上から読んでも下から読んでも「やまとまや」。ドラム担当の大和麻弥です」

 

大和麻弥。

元スタジオミュージシャンのPastel*Palettesのドラム担当の眼鏡っ娘である。

 

「キーボード担当の若宮イヴです!ブシドー!」

 

若宮イヴ。

フィンランド人と日本人のハーフの元モデルで、Pastel*Palettesのキーボード担当である。

全員がそれぞれ自己紹介を終えると、ディレクターが彼女たちに声をかける。

 

「では、皆さん。これからガイドの方が案内しますのでガイドさんの指示に従ってくださーい」

 

彼がそう言い放つと、彼の背後から一人の人物が現れる。

薄汚い黄色いマントをローブのように身に着けているネズミのような髭を生やした男性である。

 

「ニヒヒヒ〜♪こんにちは可愛いお嬢ちゃんたち♪」

 

彼が彩たちに挨拶をすると彼の全身からこれまで嗅いだことのないような凄まじい悪臭が漂い、近くにいたディレクターやスタッフたちは慌てて鼻をつまみ、何人かのスタッフは悶絶して失神していた。

 

「な、何この臭い〜…!」

「くさ〜い…!」

 

彼の臭いを嗅いでしまった彩と日菜はあまりの悪臭に鼻をつまみ、麻弥とイヴも顔をしかめていた。

 

「み、みんな失礼よ…あの、貴方は…?」

 

千聖が彩たちを注意するが、彼女も鼻をつまんでおり、そのまま男性に問いかける。

 

「申し遅れました。あたくしこういう者ですのよ。はい」

 

男性は懐から一枚の名刺を差し出す。

その名刺には「怪奇専門家、妖怪コンサルタント・ビビビのねずみ男」と書かれていた。

 

「ね、ねずみ男…さんですか?」

「妖怪コンサルタントって、どういう意味ッスか?」

 

名刺を読んだ麻弥が疑問に思ってねずみ男に問いかけてみると、彼は自慢げに説明し始める。

 

「よく言ってくれました!この私ねずみ男は怪奇大学の不潔学科を卒業し、なまけ大学院に入ってなまけ学の博士号を手に入れた妖怪研究家なのですよ〜!」

「よ、妖怪研究家…?」

「本当にあるのかしらその大学…?それに妖怪なんて実在するわけないでしょう…?」

 

彼の説明を聞いた彩は困惑し、その隣で千聖は彼の学歴を疑いながら妖怪の実在を否定する。

するとそれを聞いたねずみ男が何故か少し不機嫌そうな表情を一瞬だけ見せると、すぐにニヤニヤと怪しげな笑みを浮かべながら言い放つ。

 

「まぁ、とりあえず噂の山小屋に皆さんを案内致しましょう。アイドルちゃん5名ごあんな〜い♪」

 

ねずみ男は先導して歩き出し、彩たちパスパレは困惑しつつも取材陣たちと共について行った。

森の中は昼だというのにかなり薄暗く、カラスやカエルの鳴き声がやかましいほどに響いていた。

 

「な、なんだか不気味な森です…」

「そ、そうね…」

 

イヴが怯えながら千聖の腕に抱きつき、千聖も少し警戒しながら進んでいると、日菜が彩たちに声をかける。

 

「ねぇ、彩ちゃん。妖怪って本当にいるのかな〜?」

「え?うーん…どうだろう…?」

 

突然問いかけられたこともあるが、彩が日菜の問いに考え込んでいると、千聖が日菜の質問に答える。

 

「日菜ちゃん。妖怪なんているわけがないわ。妖怪は昔の人が作り出した創作の存在。漫画やアニメのキャラクターが実在しないのと同じよ」

「そっか〜」

 

千聖の答えに日菜が少しつまらなそうにすると、ねずみ男が立ち止まる。

 

「みなさーん、着きましたよ〜」

 

彼が前方を指差すと、目的の山小屋に到着していたようだった。

山小屋からは何やら異様な気配を感じており、彩たちは少し胸騒ぎを感じていた。

 

「な…なんかここすごく嫌な感じ…」

「うん…おばけが出そう…」

 

日菜と彩が不安げにそう呟くと、ねずみ男は優先して扉を開ける。

 

「さあさあ、アイドルの皆さんこちらへどうぞ〜」

 

ねずみ男はそう言って無理やり五人を山小屋の中に入れる。

 

「ちょ、ちょっと!そんな勝手に…!ん?」

 

千聖がねずみ男に文句を言おうとしたが、奥の方にある鏡の存在に気づく。

 

「あれは…鏡?」

「もしかしてこの鏡がその噂の…?」

 

千聖と彩がその鏡を見て噂の鏡であることに気づくと、ねずみ男がその様子を見てニヤリと笑みを浮かべる。

 

「そうそう♪もっとよく見て〜…はい!今ですよ先生!」

 

ねずみ男が突然そう叫んだ次の瞬間、鏡の中から二本の腕が現れ、彩たちの方に向かって伸びる。

 

「っ!?」

「彩さん危ないッス!」

「彩ちゃん!」

 

彩がその腕に驚くと同時に咄嗟に麻弥と千聖が彩を突き飛ばして山小屋の外に追い出し、二人が腕に掴まれるとそのまま鏡の中に引きずり込まれる。

 

「う、うわぁぁぁっ!?」

「きゃあぁぁっ!!」

「ま、麻弥ちゃん!?千聖ちゃん!?」

 

二人を引きずり込んだ腕は今度は近くにいた日菜とイヴを掴んでそのまま引きずり込む。

 

「ひゃあぁぁっ!?」

「嫌ぁぁぁぁっ!!」

 

捕まった日菜とイヴは千聖や麻弥と同じように鏡の中に引きずり込まれる。

 

「日菜ちゃん!イヴちゃん!」

 

その光景を見た彩は二人の名を叫び、ディレクターや撮影スタッフたちもその光景を見て恐怖し、彩を置いてその場から逃げ出そうとする。

 

「逃がしちゃだめですよ先生!証拠隠滅よ!」

 

ねずみ男がそう叫ぶと、鏡の中から再び腕が伸びてディレクターや撮影スタッフたちを捕まえると全員纏めて鏡の中に引きずり込む。

 

「ひ…ひいぃ…!!」

 

その場に一人取り残された彩は恐怖に震えており、逃げ出そうとするが腰が抜けて動けなかった。

 

「ヒッヒッヒッ…♪悪いなお嬢ちゃん。可愛い女の子をここに連れてきたら先生が俺に金をくれるんでね♪先生!メインディッシュが残ってますよ〜!」

 

ねずみ男が鏡に向かってそう言うと、再び鏡の中から腕が伸びて彩を捕まえる。

 

「っ!嫌ぁぁっ!!助けて!誰か助けてぇっ!!」

 

腕に捕まった彩が抵抗しながらも引きずり込まれそうになったその時である。

 

カラン…コロン…カラン…コロン…。

 

何処からか下駄の足音が響き渡り、その音が聞こえる方向から無数の銀色の針のようなものが飛んでくる。

その針は腕に直撃し、腕は悶絶しながら彩を落とす。

 

「っ!た…助かったの…?」

「ゲゲッ!い、今の…!嫌な予感…!」

 

その針を見たねずみ男が額に汗を浮かべながら嫌な予感を感じていると、先程の下駄の足音がこちらに近づいてくる。

カランコロンと下駄の音と共に現れたのは青い学童服と黄色と黒のちゃんちゃんこを身に着け、下駄を履いた左目が前髪で隠れた銀髪の小柄な少年だった。

 

「大丈夫かい?」

「だ…誰…?」

 

少年が彩の安否を確認し、彩がその少年に気づくと、少年は彩の顔を見る。

 

「僕は鬼太郎。ゲゲゲの鬼太郎だ」

 

その少年の名はゲゲゲの鬼太郎。

かつてこの地球に存在した妖怪の一族、幽霊族の末裔の少年である。

 

「き…鬼太郎…?…!」

 

彩はその名前に聞き覚えがあった。

数週間前、彩は日菜からネットのとある噂話を聞いていた。

それは、ポストに手紙を入れることで悪事を働く妖怪を退治してくれる銀髪のちゃんちゃんこを羽織った下駄を履いた少年、ゲゲゲの鬼太郎の噂話を。

 

「ひ、日菜ちゃんが言ってたネットの噂話の…本当だったんだ…」

 

半信半疑ながらも彩がそう呟くと、鬼太郎はねずみ男に気づく。

 

「あ、あら〜、鬼太郎ちゃん…お久しぶりね〜」

「ねずみ男。お前また悪さしてたのか?このバカ!」

 

後退りをするねずみ男に鬼太郎が近づくと、鬼太郎は彼の胸ぐらを掴んでそのままねずみ男に往復ビンタをする。

 

「ウビビビビ!勘弁してちょ〜!」

 

ねずみ男が鬼太郎の折檻を受けていると、鏡の中から再び腕が伸びて襲い掛かる。

 

「っ!逃げるぞ!」

 

鬼太郎は彩とねずみ男を抱えると、その場から一旦退却する。

しばらくして三人は山小屋から少し離れた場所に避難していた。

 

「ここなら大丈夫かな…?」

「あ、あの…鬼太郎…くん…助けてくれてありがとう…えっと…」

 

彩が鬼太郎に礼を言うと、彼の髪の中から小さな何ががぴょこんと顔を出す。

 

「やはり妖怪が絡んでおったか」

 

それは鬼太郎の唯一の肉親である眼球に体が生えた手のひらサイズの小さな父親、目玉おやじだった。

 

「っ!!?ぎゃあああっ!!?め、目玉が喋ったぁーーっ!!?」

 

目玉おやじを見た彩は絶叫を上げながら驚く。

 

「これ!そんなに驚くんじゃない!わしはこう見えても鬼太郎の父親じゃ。目玉おやじと呼ばれておる」

「ち、父親…?お父さんなの…?」

 

彩は恐る恐る問いかけると、鬼太郎は微笑みながら答える。

 

「えぇ。僕の大切なたった一人の父さんですよ」

「そ、そうなんだ…あっ、私は丸山彩。アイドルバンド・Pastel*Palettesのボーカルで、テレビ番組の企画でそこにいるねずみ男さんに案内されて…」

 

彩は自己紹介をしながらコソコソと逃げ出そうとするねずみ男を指差しながら事情を説明する。

 

「これねずみ男!またお前か!」

「ゲッ!い、いや〜…あはは〜…」

 

目玉おやじがねずみ男を怒鳴ると、鬼太郎が代わりに彩に謝罪する。

 

「迷惑をかけて済まない…コイツは僕の腐れ縁でね。人間と妖怪のハーフの半妖なんだ」

「に、人間と妖怪のハーフ!?そういえば妖怪が絡んでるって、おやじさんがさっき言ってたけど…妖怪って本当にいるの…!?」

 

彩が驚きながら問いかけると、目玉おやじが説明する。

 

「そうじゃ。妖怪は人間の知らないところでひっそりと暮らしているのじゃ。じゃが、今回のように人間に悪さをする困った妖怪もいるのじゃ。ねずみ男、お主一体どんな妖怪と手を組んだのじゃ?」

 

説明を終えた目玉おやじがねずみ男に問いかけると、ねずみ男は苦笑いを浮かべながら説明する。

 

「え〜っと…封印されてた鏡の中に住んでる妖怪でよ〜。女の子を連れてきたら俺に報酬として金をくれるって言ってたから協力して…」

「全くお前は本当に金にがめつい奴じゃ!鬼太郎、今回の事件を起こしているのは鏡爺かもしれん!」

「鏡爺…?どんな妖怪ですか?」

 

鬼太郎が目玉おやじに問いかけると、目玉おやじは鏡爺がどんな妖怪なのか説明する。

 

「鏡爺は鏡の中に住む老人の妖怪じゃ。女好きのスケベな妖怪での。女の子を攫ってはその姿を奪ってコレクションにしているのじゃよ。あまりにもスケベな妖怪じゃから封印されていたんじゃ」

「エッチな妖怪だなぁ」

 

鬼太郎がそう言い放つと、彩が鬼太郎に頼み込む。

 

「ね、ねぇ、鬼太郎くん!お願い!私の友達を助けて!私を守るためにあの鏡の中に引きずり込まれて…」

「わかっていますよ。僕も手紙で呼ばれて行方不明になってた人を探すためにここに来たんだ。鏡爺の仕業なら話は早い。君はねずみ男と一緒に安全な場所に隠れるといいよ」

 

鬼太郎はポケットの中から妖怪ポストに届いていた行方不明になった女性たちの家族や友人たちからの手紙を彩に見せると、先程の小屋に向かおうとする。

 

「あ、あの!私も連れてって!」

「いかん!危険じゃ!お友達は鬼太郎に任せるんじゃ!」

「で、でも私だってみんなを助けたいし…それに手伝えることがあったら手伝いたいよ!」

 

目玉おやじが反対するが、彩はそれでも食い下がり、鬼太郎は少し考え込む。

 

「うぅむ…わかったよ。ただし危なくなったら逃げるんだよ」

「…!ありがとう!」

「で、では俺はここで〜」

 

彩は鬼太郎から了承を得てねずみ男がその場から逃げようとする。

 

「お前はダメだ。ついて来い」

「やっぱり〜」

 

鬼太郎はねずみ男のひげを掴んで引きずり、彩は彼らに着いていく。

しばらくして山小屋に戻ってくると鬼太郎たちは扉を開けて慎重に山小屋の中に入る。

そこには鏡以外何もないように見えていた。

 

「鬼太郎どうじゃ?」

 

目玉おやじが問いかけてみると、鬼太郎の妖気探知毛、妖怪アンテナが立つ。

 

「鏡から強い妖気を感じます。どうやらまだ鏡の中にいるようですね」

 

鬼太郎は鏡に近づこうとしたその時、何かに躓いて転んでしまう。

そのまま床に倒れ込むと、何か柔らかいものに触れてしまう。

 

「きゃあっ!?どこ触ってるのよ痴漢!」

 

するとその時、何もない場所から声が聞こえると同時に鬼太郎は頬を殴られる。

 

「ぶっ!?と、父さん!ここに誰かいるようです!」

「誰かって、誰もいないけど…?」

 

鬼太郎の言葉に彩が困惑していると、目玉おやじは鬼太郎から降りると鬼太郎のいる辺りを触り始める。

 

「ぷっ!アハハハ!くすぐったいッスよ〜!」

「!?その声は麻弥ちゃん!?」

「ふぅむ…どうやら鏡爺に姿を奪われたようじゃな。鬼太郎、妖怪メガネを使うといい」

「はい、父さん」

 

目玉おやじが鬼太郎にそう言うと、鬼太郎は丸みを帯びた黒いサングラスのようなものをかけてみる。

この眼鏡は妖怪メガネと呼ばれるもので、目に見えないものを見ることができるのである。

 

「ふぅむ…あっ、これは!彩ちゃん。君もこれをかけてみなよ!」

 

鬼太郎は彩に妖怪メガネを貸し与え、彩は言われた通りにその眼鏡をかけてみる。

すると、そこには姿を奪われ、透明人間となってしまった千聖たちがいた。

 

「!千聖ちゃん!みんな!」

「彩ちゃん!無事だったのね!」

 

ふと彩が周りを見ると、同じように鏡爺に連れ攫われた女性たちやディレクターたちもいた。

 

「お、おやじさん…なんでみんな透明に…!?」

「鏡爺は人間の姿を奪うのじゃよ。姿を奪われた者はこのように透明人間になるのじゃ」

 

目玉おやじが彩に説明したその時である。

 

「んっふっふ〜、カモが戻ってきたようですね〜」

 

鏡の中から声が聞こえると同時に鏡の中から腕が現れて彩に向かって伸びる。

 

「!危ない彩ちゃん!」

 

鬼太郎は咄嗟に彩を突き飛ばし、腕に掴まれた鬼太郎は鏡の中に引きずり込まれる。

 

「鬼太郎くん!」

「あらま〜!鬼太郎ちゃんが捕まっちゃったわ!」

 

ねずみ男がそう言うと、鏡の中に何かが映し出される。

そこには鬼太郎が倒れている様子が映し出されていた。

 

「鬼太郎くんが鏡の中に!?」

「こりゃまずいぞ!鏡爺は鏡の中だと無敵じゃ!」

「そ、そりゃまずいんじゃねぇのおやじ!?」

「鬼太郎くん…」

 

目玉おやじの言葉に心配しながらも鬼太郎の様子を見守ることにする。

 

「ん…うぅん…?ここは…?」

 

鏡の中の世界にいる鬼太郎は目を覚ますと、目の前に何者かが現れる。

 

「んっふっふ〜、ようこそ私の世界へ…!」

 

現れたのは頭に角のようなコブが生えた鏡の世界に住む老人の妖怪、鏡爺であった。

 

「お前が鏡爺か!お前が連れ去った人たちの姿はどこにやった!?」

「ここにありますよぉ〜」

 

鬼太郎の問いかけに鏡爺が無数の鏡を召喚すると、そこには連れさらわれた人々の姿があった。

その中には千聖たちの姿もあった。

 

「鏡爺!何故こんなことをしたんだ!?」

「そりゃ簡単ですよ〜。どんなに美しいものでも老いたら美しくなくなる。私は美しい女性や可愛い女の子を永遠に美しいまま残しておくために攫っているのですよぉ」

「そんなことはお前のエゴだ!お前の好きにはさせないぞ!オレがお前を止めてやる!」

 

鬼太郎は鏡爺に向かってそう言い放つと、髪の毛を逆立て、その毛を無数の針状にして発射する。

鬼太郎が持つ超能力の一つであり、妖力の源である髪の毛を針に変化させて発射する技、髪の毛針である。

 

「なんの!」

 

それを見た鏡爺は杖を掲げて鏡を作り出すと、それを盾にして髪の毛針を反射させる。

 

「おっと!この!」

 

鬼太郎は反射された髪の毛針を躱して履いている下駄を飛ばす。

鬼太郎の下駄は脳波でリモートコントロールが可能であり、その下駄は鬼太郎の武器の一つであるリモコン下駄である。

 

「んっふっふ〜、私は野球が大得意なんですよ〜!あらよっと!」

 

鏡爺は杖をバットのように構えると、そのままリモコン下駄を打ち返す。

 

「くっ!コイツ、強い…!」

「んっふっふ〜♪もう終わりですか〜?今度はこちらの番ですよ!」

 

鏡爺は再び鏡を作り出すと、その鏡からビームを発射し、鬼太郎はそれを躱す。

しかし、外れた先にも鏡が現れてビームを反射して再び鬼太郎に向かって放たれる。

 

「くっ!避けてもキリがない!」

 

鬼太郎は再びビームを避けるが、そのたびにビームは新たに生成された鏡に反射して鬼太郎に襲い掛かり、そのまま直撃する。

 

「ぐあぁぁっ!」

 

ダメージを受けた鬼太郎が倒れ込むと、鏡爺が鬼太郎の首を絞める。

その様子を見ていた彩たちは不安げな表情を浮かべていた。

 

「鬼太郎くんが危ない…!」

「くぅ〜…このままじゃ鬼太郎がやられてしまう…!どうすればいいんじゃ〜!」

 

目玉おやじが頭を抱えていると、彩はあることを思い出す。

それは、目玉おやじが言っていた鏡爺は鏡の中では無敵だと言うことである。

 

「…!そうだ、鏡の中から出したら…!」

 

彩は急いで外に出ると、大きめの石を見つけてそれを持って小屋の中に入る。

 

「あら?どうする気なのそれで?」

 

ねずみ男が不思議に思うと、彩は重そうに石を運びながら鏡に近づく。

鏡の世界では鏡爺が鬼太郎にトドメを刺そうとしていた。

 

「ぐぅ…!」

「んっふっふ〜♪これで終わりですよ〜。ん?」

 

すると、鏡爺は外の世界を見ることが出来る鏡の方に目を向けると、彩が今にも石を鏡に叩きつけようとしている場面に気づく。

 

「あーーっ!!それやっちゃダメ〜!!」

 

それを見た鏡爺は慌てて鏡の世界の外に腕を伸ばそうとする。

 

「!させるか!」

 

鬼太郎は祖先の霊毛で編まれたちゃんちゃんこ、霊毛ちゃんちゃんこを脱いで投げると、霊毛ちゃんちゃんこはまるで生き物のように自ら動いて鏡爺に巻き付いて拘束する。

 

「ぬぁっ!しまった!」

 

それと同時に鏡の世界の外の彩は石を持ち上げる。

 

「え、えーい!」

 

そのまま勢いよく投げつけて鏡を叩き割る。

次の瞬間、割れた鏡から光が溢れ出てそこから無数の魂のようなものが現れると透明人間になっていた人々が元の姿になる。

 

「おぉっ!姿を奪われた人間たちが元の姿に戻ったぞ!」

 

目玉おやじがそう言うと同時に千聖たちの姿も元に戻る。

 

「!体が戻った!」

「助かりましたー!」

「千聖ちゃん!みんな!元に戻ったんだ!」

 

すると、割れた鏡の中から光と共に鬼太郎とちゃんちゃんこで拘束された鏡爺が現れる。

 

「おっと」

「おぉっ!鬼太郎!」

「鬼太郎!」

 

目玉おやじとねずみ男が鬼太郎に駆け寄ると、鬼太郎は鏡爺から離れたちゃんちゃんこを身に着ける。

 

「鏡爺!もう悪さはしないか?」

「は、はい…ごめんなさい…もうしません…反省してます…」

 

鏡を割られた鏡爺は懲りたのか、反省して戦意喪失していた。

そしてしばらく経ったあと、連れ攫われていた被害者たちやディレクターたちを先に帰し、山小屋には鬼太郎たちと彩たちが残っていた。

 

「鬼太郎くん、みんなを助けてくれてありがとう!」

「いやぁ、当然のことをしたまでだよ」

 

彩が鬼太郎に礼を言うと、千聖たちは鬼太郎を見てかなり困惑している様子だった。

 

「よ、妖怪って本当にいたのね…」

「そ、そうみたいッスね…」

「すごーい!るんってくるー!」

 

千聖と麻弥は驚きながらそう呟き、日菜は興味深そうに目を輝かせながら鬼太郎たちを見ており、麻弥の後ろに隠れているイヴは少し怯えながら見ていると、目玉おやじが千聖たちの方を向く。

 

「そうじゃ。妖怪は本当におる。お嬢ちゃん達、目に見える世界だけが全てではないのじゃよ」

「鬼太郎。そろそろ帰ろうぜ」

「そうだな。じゃあ、僕たちはこれで。もう会うことはないでしょう」

 

そう言って鬼太郎親子とねずみ男は鏡爺を連れてその場から立ち去ろうとしたその時、彩が鬼太郎たちを呼び止める。

 

「待って鬼太郎くん!私、もっと鬼太郎くんたちのことを知りたい!」

「彩ちゃん!?何言ってるの!?」

 

彩の発言に千聖が驚いていると、鬼太郎が振り返る。

 

「しかし、僕たちに関われば貴女たちも怪異に巻き込まれてしまいますよ。だから関わらないほうが鉄則です」

 

鬼太郎がそう言い放つと、彩は食い下がらずに言い放つ。

 

「それでも構わないよ!私たち、鬼太郎くんや妖怪さんたちのことをもっと知りたい!だから、友だちになってほしいよ!」

「彩さん…」

「あたしは彩ちゃんの意見に賛成だよ!妖怪と仲良くなれるなんてるんってくるし!」

「わ、私は少し怖いですが、アヤさんが言うなら!」

「日菜ちゃん…イヴちゃんまで…全くもう…」

 

彩に感化された日菜とイヴがそう言い放ち、千聖が少し呆れつつも微笑んでいると鬼太郎は熱意に押されたのか、少しため息をつく。

 

「ふぅ…仕方ないですね…父さんもいいですよね?」

「構わんよ。彩ちゃんたち、わしらに会いたかったら妖怪ポストに手紙を入れるといい。そうすれば必ずまた会えるぞ。それじゃあ、また何処かで会おう」

 

そう言って鬼太郎たちは景色に溶け込むかのように消えてその場から立ち去っていった。

 

「き、消えちゃいました…」

「もう会えないのかな…?」

 

イヴが消えていった鬼太郎たちに驚き、日菜が彩に向かってそう問いかけると、彩は森の奥からジッとこちらを見る妖怪、あまめはぎとがんぎ小僧、岩魚坊主を目撃する。

彩が彼らに気づくと彼らは一目散に逃げていった。

 

「…!会えるよ。きっとまたね」

「…そうね。さぁ、帰りましょうか。どうせ番組もお蔵入りだと思うし」

「うん!」

 

千聖が微笑みながらそう言い放つと、彩たちもその場から立ち去っていった。

これは、彩たちと鬼太郎たち妖怪の交流の物語の始まりなのであった。

 

 

続く。

 

次回、第二話「夜叉」

 




各キャラの設定は後ほど公開予定です!
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