Pastel*Palettes feat.ゲゲゲの鬼太郎〜BanG Dream!ガールズバンドパーティ!外伝〜 作:キプkeep
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某日、都内。
とある人物が夜道を歩いていた。
その人物は仕事を終えたばかりのサラリーマン山田だった。
「ふ〜、今日も仕事終わり〜。早く帰ろう」
山田はそう呟きながら帰路についていると、突然大きな葛籠が転がってくる。
「ん?なんだこりゃ?」
山田が不思議に思って葛籠に近づいた次の瞬間、葛籠から化け物が現れる。
「えぇっ!?うわーっ!」
慌てて逃げ出そうとするが、山田は化け物に捕まって丸呑みにされてしまう。
すると、そこに一人の人物がやって来る。
「あ〜、勝手に出ちゃって〜ったくよ〜…さてと。一仕事始めますかね」
化け物を無理やり葛籠に押し込んで蓋をし、葛籠を背負ったその人物はねずみ男と全く同じ姿をしていた。
…………………………
翌日、とある公園にブルーシートを敷いたねずみ男が何かの商売を始めていた。
「さぁ、寄ってらっしゃい見てらっしゃい!この世にも珍しいネズミ印の育毛剤。使えば毛が生えるだけじゃなくて若返ったりするよー!一つたったの800円だよー!」
いかにも怪しげな育毛剤を販売しており、興味を持って客が集まっていると、後ろから誰かに声をかけられる。
「おい、ねずみ男」
「はいはい。げっ!」
ねずみ男が後ろを向くと、そこには鬼太郎と何やら怒ってる様子の彩たちがいた。
「あ、あら〜?どうしたの鬼太郎ちゃんたち?」
「どうしたのじゃないよ〜!ねずみ男ちゃん、さっき彩ちゃんに変なもの売ったでしょ〜!」
ねずみ男の問いかけに対して日菜がそう言い放つと、彩が鞄からあるものを取り出す。
取り出したのはサソリのミイラの詰め合わせセットと書かれた箱だった。
「あらやだ趣味悪いわね〜」
「私の趣味じゃないよ〜!ねずみ男さんが中身は高級アクセサリーって言って3000円で無理やり私に買わせたんでしょ〜!」
ねずみ男の言葉に彩は頬を膨らませながら文句を言う。
「俺が!?そんなの売ってねぇよ!サソリは食うと結構うめぇから俺のほうが欲しいくらいだよ」
「言ってる場合!?さっさと彩ちゃんのお金を返しなさいこの詐欺師ネズミ!」
否定しながらも舌舐めずりをして呑気なことを言い放つねずみ男を見た千聖が怒って彼に往復ビンタを喰らわせる。
「ビビビ〜!アイドルが暴力しちゃダメよ〜!」
「だったらお金返しなさいよ!」
暴力反対を訴えるねずみ男に対して千聖がそう言い放つと、彩があることに気づく。
「あれ?そういえばねずみ男さん。さっきまでおしゃれな服着てたのにもう着替えたの?」
「へ?あたしゃいつもこの服しか着てねぇよ?」
「え〜?おしゃれな模様の色違いの赤い服着てたでしょ?」
彩はねずみ男の服について指摘するが、ねずみ男は着替えていないことを告げ、彩は買わされたときに着ていたねずみ男の服の模様を言うと、目玉おやじはそれを聞いてあることに気づく。
「おしゃれな模様の色違いの服じゃと?ねずみ男が金儲けで着た背広以外で今までそんな趣味の悪い服を持ってたのは見たことないのぉ…もしやソイツはねずみ男の偽物か!」
「に、偽物!?」
「キタローさんの偽物の次はネズミオトコさんの偽物ですか!?」
目玉おやじの発言に鬼太郎とイヴが驚くと、それを聞いたねずみ男の顔が真っ赤になる。
「俺様の偽物だとぉ!?ちくしょう許せねー!縛り付けて警察に突き出してやる!」
怒ったねずみ男は偽物を捕まえに走り出す。
「ちょっ!ねずみ男さん!」
「僕たちも行こう!」
走り出したねずみ男を見て彩たちと鬼太郎たちは後を追う。
「何処だー!偽物ー!出て来やがれコノヤロー!」
ねずみ男は叫びながら走り回っていると、前方に人が集まっていることに気づく。
「さぁ、高級品がランダムで入ってるドッキリボックスだよー!中身は秘密だよー!」
それは葛籠を背負った柄付きの赤い服を着たねずみ男そっくりの人物であり、彩に売ったものと同じ形状の商品を売っていた。
「アイツか!コイツ〜!」
「ん?んなっ!?」
見物人たちをはらい除けながらねずみ男が偽物に突撃し、偽物が驚いているとねずみ男はそのまま偽物を馬乗りで殴り、見物人たちは逃げ出す。
「や、やっと追いついた…!あっ、あの人だよみんな!」
「ホントにねずみ男さんそっくりね…」
「落ち着けねずみ男!」
「落ち着けられるか!コノヤロー!」
「た、タンマタンマ!」
止めようとする鬼太郎の言葉を無視して殴りつけるねずみ男だったが、偽物は殴られながらも彼の顔を見る。
「ん…?あっ!?あ、貴方はまさか…生き別れになったボクの双子の兄さん!?」
「はぁっ!?」
「に、兄さん!?」
偽物の発言にねずみ男はもちろんのこと、ほかの全員も驚愕する。
「お、お前が俺の弟!?ホントかよ!?」
「当たり前じゃないですか〜!好きでこんな顔してるヤツが他にいると思いますか〜?」
「た、確かに…じゃあ、ホントに俺の弟か!うぅ…!生き別れの弟よ〜!」
「兄さ〜ん!ずっと探していた甲斐があったよ〜!」
弟を名乗る人物の言葉をあっさり受け入れたねずみ男は互いに抱きしめながら涙を流していた。
「な、なんて単純な…」
「それよりもねずみ男さん!彩ちゃんのお金はどうなるのよ!?」
「あぁ、それなら俺が立て替えておくよ!弟のやったことは兄貴の責任だからな!」
文句を言う千聖の言葉にねずみ男は財布から3000円を取り出すとそれを彩に手渡す。
「それならいいけど…」
「あはは…」
お金を手渡したところを確認した千聖がそう呟き、彩が苦笑いを浮かべていると、ねずみ男が弟に問いかける。
「そうそう。お前住んでるところあるのか?」
「いえ、放浪の旅を続けてましたので…」
「そっかそっか。それならいいとこあるから連れてってやるよ!」
そう言ってねずみ男は弟を連れて何処かへ向かう。
「忙しいね〜」
「う〜む。ねずみ男に弟なんていたかのぉ…?」
ねずみ男の姿を見て日菜がそう呟き、目玉おやじは弟の存在を不審に思っていた。
……………………
ゲゲゲの森。
ゲゲゲの森にやってきたねずみ男は砂かけ婆の妖怪アパートにやって来ていた。
「というわけで俺の生き別れの弟をここに住まわせてくれよオババ〜」
「どうかよろしくお願いします」
「おぉ〜、お主に弟が!?う〜む。ねずみ男よりもしっかりした感じじゃの〜。ええじゃろ。ただし、家賃はしっかり払うんじゃよ」
ねずみ男は砂かけ婆に弟を紹介し、砂かけ婆は了承すると、妖怪アパートの住人たちがアパートから出てくる。
「なんだなんだ?ねずみ男の弟か?」
「お前に弟なんていたのか〜」
ねずみ男の弟に興味津々な妖怪たちはあっという間にねずみ男の弟に集まっていた。
「もう人気者だな〜。よし!今からお前のためにごちそう買ってきてやるから待ってろよー!」
「はい、兄さん!」
ねずみ男はそう言ってその場をあとにし、彼の後ろ姿を見ながらねずみ男の弟はニヤリと笑みを浮かべていた。
…………………………
数時間後、ごちそうの材料が入った袋を持ったねずみ男はゲゲゲの森を歩いていた。
「〜♪アイツのためにすき焼きにしたぜ〜♪鬼太郎。鍋貸してくれてありがとよ」
「ちゃんと返せよ」
ねずみ男の弟のことが気になった鬼太郎と彩たちが彼について来ていると、彩が声をかける。
「それにしてもねずみ男さん。ホントに張り切ってるねー」
「当然だろ。ずっと天涯孤独だと思ってた俺に弟がいたなんて知ったら張り切るよ。鬼太郎がずっと目玉おやじのことを父さん父さんって言ってるのが正直羨ましかったからな〜」
「ねずみ男…」
嬉しそうにそう言い放つねずみ男を見た鬼太郎が少し嬉しそうに微笑むと、妖怪アパートにやって来る。
「おぉ、戻ったか」
妖怪アパートの前を掃除していた砂かけ婆が声をかけると、ねずみ男は辺りを見渡す。
「あら?弟はどうした?」
「アパートの住人に挨拶するって言ってたぞ」
ねずみ男の問いかけに砂かけ婆はそう答える。
その頃、ねずみ男の弟は妖怪アパートの住人のザリガニのような妖怪、あみきりに挨拶をしていた。
「どうもよろしくお願いします」
「おう。よろしくな」
あみきりが挨拶をすると、ねずみ男の弟は背負っていた葛籠を置く。
「そうそう。ちょっと見てほしいものかあるんですけど。この葛籠の中に珍しいものがあるんですよ」
「珍しいもの?」
葛籠に興味を持ったあみきりが蓋を開けようとしたその時、葛籠から勢いよく化け物が出てくる。
葛籠などの箱の中に潜む妖怪、折りたたみ入道である。
「えぇっ!?」
折りたたみ入道を見たあみきりが腰を抜かすと、折りたたみ入道はあみきりに襲いかかる。
「ギャーーッ!!」
あみきりの悲鳴が響き渡る。
「!?今の悲鳴は!?」
「あみきりの部屋からじゃ!」
「っ!」
あみきりの悲鳴を聞いた彩たちが驚くと、鬼太郎は真っ先に妖怪アパートの中に入る。
「あっ!鬼太郎くん!」
彩は鬼太郎を追って妖怪アパートの中に入る。
あみきりの部屋では折りたたみ入道があみきりを丸呑みにしていたところだった。
「ニシシ…!どうだった折りたたみ入道?」
「あぁ、昨日食った人間のおっさんよりも美味かったぜ。エビみたいな味だったよ」
「へへっ、そうかいそうかい。この調子でアパートの妖怪たちをみんな食っちまえよ。そうすればお前はもっと強くなるからな」
舌舐めずりをする折りたたみ入道に対してねずみ男の弟が笑みを浮かべながら言うと、鬼太郎と彩がやって来る。
「ねずみ男の弟!お前何してるんだ!?」
「うわっ!?妖怪!?」
彩が折りたたみ入道を見て驚くと、鬼太郎の髪の中から目玉おやじが出てくる。
「あっ!折りたたみ入道じゃ!あみきりは奴に食われたんじゃ!」
「なんですって!?ねずみ男の弟、お前なんてことを!」
「バレちまったらしょうがねぇ…ひとまず逃げよう!」
ねずみ男の弟は折りたたみ入道を葛籠に戻して葛籠を背負うと、窓を突き破って脱出する。
「待て!」
鬼太郎も窓から飛び降りると、ねずみ男の弟に飛びつく。
「おわっ!」
「お前、一体何を企んでるんだ!?白状しろ!」
鬼太郎がねずみ男の弟を問い詰めると、後ろから誰かに殴られる。
「ぐっ!?」
鬼太郎の背後には棒を持ったねずみ男がいた。
「鬼太郎!テメェ、弟に何しやがる!?」
「兄さん助けて〜!鬼太郎がいじめるの〜!」
怒りを露わにするねずみ男の背後にねずみ男の弟が隠れると、騒ぎを聞いた砂かけ婆や千聖たちがやって来る。
「ち、違うんだねずみ男!そいつがあみきりを妖怪に食わせたんだ!」
「俺の弟がそんなことするわけねぇだろ!いくらお前でも許さねぇ!」
そう言ってねずみ男が鬼太郎をもう一度殴ろうとしたその時、彩が慌ててやって来る。
「待ってねずみ男さん!弟さんが葛籠から変な妖怪を出してたのを見たよ!」
「彩ちゃんまでんなこと言いやがるのか!?」
彩の言うことを信じようとしなかったねずみ男だったが、ねずみ男の弟は笑みを浮かべる。
「フフフ…!その葛籠の妖怪って、これのことですかい?」
「お、弟…?」
ねずみ男の弟の発言にねずみ男が困惑していると、ねずみ男の弟は葛籠を開けて折りたたみ入道を出す。
「ウガーーッ!!」
「う、うわぁっ!?」
葛籠の中から飛び出した折りたたみ入道を見たねずみ男は腰を抜かし、鬼太郎は立ち上がって臨戦態勢に入る。
「よ、妖怪が出てきた!?」
「なんと!?奴は折りたたみ入道ではないか!」
「みんな逃げるんだ!」
鬼太郎が全員に逃げるよう言い放つと、折りたたみ入道に向けて髪の毛針を放つ。
「そんなチンケな技効かねぇよ!」
折りたたみ入道は息を吹きかけて毛針を吹き飛ばし、鬼太郎を殴り飛ばす。
「うぐっ!」
「鬼太郎!」
鬼太郎が怯んでいる隙に折りたたみ入道は彩たちに襲いかかる。
「ゲヘヘへ!女の子だーいすきー!」
「きゃあっ!」
「近寄るでない!これでも食らえ!」
大口を開けて襲いかかる折りたたみ入道に向けて砂かけ婆が砂を放つ。
「ぬおぉっ!?ぺっ、ぺっ!何やがるクソババア!」
口の中に砂を入れられたことで怒った折りたたみ入道は砂掛け婆を殴り飛ばす。
「あだっ!」
「砂かけさん!」
砂かけ婆を殴り飛ばした折りたたみ入道は近くにいたイヴと麻弥を捕まえると、そのまま口の中に放り込む。
「うわぁぁっ!!」
「イヴちゃん!麻弥ちゃん!」
二人を口の中に放り込んだ折りたたみ入道はそのまま丸呑みにする。
「ふ〜、やっぱ人間を食うなら若い女に限るな〜」
「い、イヴちゃんと麻弥ちゃんが食べられちゃった!」
「よくも二人を!」
二人が丸呑みにされたところを見て日菜が悲痛な声をあげると、鬼太郎は折りたたみ入道に飛びかかるが、折りたたみ入道は鬼太郎を捕まえる。
「お前もこのまま食ってやる!」
「うわぁっ!」
折りたたみ入道は鬼太郎を口の中に放り込み、その拍子に目玉おやじが落下する。
「あだっ!き、鬼太郎!」
「んぐんぐ…んまいんまい…」
目玉おやじは鬼太郎の方を振り向くが、既に折りたたみ入道に丸呑みにされていた。
「そ、そんな…!」
「鬼太郎くんまで食べられちゃった…!」
「やったやったー!これで折りたたみ入道の勝ちだー!」
鬼太郎が食べられたことで愕然とする千聖と彩をよそにねずみ男の弟は大はしゃぎで喜んでいた。
「お、おい弟!お前なんてことを!」
「いいじゃないですか兄さん♪鬼太郎が死ねばボクと兄さんが妖怪のトップですよ♪なっ、折りたたみ入道♪」
あまりの事態に流石に怒鳴りつけるねずみ男だったが、ねずみ男の弟は笑顔でそう言いながら折りたたみ入道の方を向くと、何故か折りたたみ入道は苦しそうにしていた。
「うぐぐ…!」
「あり?どうしたの?」
「い、息が吸えねぇ…!それどころか息を吐くこともできねぇ…!ぶげぇっ!!」
息を吸うことも吐くことも出来ず、苦しみ出す折りたたみ入道の喉が何故か膨らんでいた。
そして次の瞬間、折りたたみ入道の喉が破裂し、そこから風船のように膨らんだ鬼太郎が出てくる。
「おぉ!鬼太郎!」
「鬼太郎くん!」
目玉おやじと彩が生還した鬼太郎に喜ぶと、鬼太郎は空気を吐き出してもとに戻る。
「空気ポンプの術成功。飲み込まれたイヴちゃんたちを体内電気や熱放射で巻き込まないように使ったけど上手くいったよ」
鬼太郎はそう言いながら喉が破裂してもがき苦しむ折りたたみ入道の方を向くと、髪の毛を数本程抜いてそれを束ねると、髪の毛は一本の槍に変化する。
「髪の毛槍!」
鬼太郎はそのまま槍を投げると、槍は折りたたみ入道の額を貫く。
「ぐがっ…!!」
額を貫かれた折りたたみ入道は消滅し、葛籠だけが残った。
「やったわ!流石ね鬼太郎君!」
「あぁ〜、入道が〜!」
折りたたみ入道が倒されたことにねずみ男の弟が嘆くと、葛籠からイヴと麻弥が飛び出す。
「ひゃあっ!」
「し、死ぬかと思ったっす…!」
「二人とも!無事だったんだ!」
彩たちが二人に駆け寄ると、葛籠の中からあみきりと山田が出てくる。
「ふぅ〜、助かった〜」
「ひどい目にあった〜…」
「山田さん!貴方も食べられてたのですか!?」
「鬼太郎さん…昨日仕事帰りに食べられてしまって…」
鬼太郎の問いかけに山田がそう答えると、ねずみ男が突然土下座する。
「す、すまねぇみんな!弟のしでかしたことは全部俺の責任だ!未熟者の弟を許してくれ!」
「ね、ねずみ男…」
ねずみ男の土下座を見て全員が困惑していると、ねずみ男はそっぽを向く弟を怒鳴る。
「おい!お前も謝れ!」
「なんでボクまで謝るんですか?やですよ。ボクは妖怪のトップになるために折りたたみ入道を育ててたんですから」
「こんのぉ…!バカ野郎!」
ねずみ男の弟の態度を見た瞬間、怒ったねずみ男は彼の頬を殴る。
「いでっ!?何するんですか!?ろくでなしのくせに!」
「何すんですかじゃねぇよ!確かに俺ぁろくでなしの半妖だ!そのせいで今までみんなから嫌われてたよ!だからって、お前が俺みたいになるんじゃねぇよ!」
殴られたことで文句を言う弟に対してねずみ男は声を荒げながら説教を始め、言い続けているうちにねずみ男の目に涙が浮かぶ。
「えっ…?」
「お前は俺なんかよりもみんなに礼儀正しくしてるじゃねぇか!俺みたいになるよりも真っ当な人生を歩んでくれよぉ…!」
「ねずみ男さん…」
「…っ!」
目に涙を浮かべながら弟に説教をするねずみ男の姿を見た全員は言葉を失い、弟も自分のやったことに気づいて慌てて土下座する。
「み、みなさん!ボク、とんでもないことを…!本当にごめんなさい!!」
「俺からも頼む!許してくれ!」
土下座した弟は全員に謝罪し、ねずみ男も一緒に謝罪する。
「お、落ち着いて二人とも!」
「そこまで言われたら…今回だけ特別に許すよ」
「!ありがとう鬼太郎!良かったな弟!」
「は、はい…!すみません兄さん。ちょっと頭冷やしねきます…うぅ…!」
弟はそう言って両手で顔を隠しながら林の中に入って行った。
すると、それを見たねずみ男は微笑みながら鬼太郎に声をかける。
「鬼太郎。アイツのそばにいてやってくれねぇか?アイツのためにすき焼き用意して待ってるからよ」
「うん。わかったよ」
ねずみ男にそう言われて鬼太郎は弟の後を追う。
「あっ、私も行く!」
彩も気になっていたのか、鬼太郎と共に林に入って行った。
しばらく歩くと、蹲る弟を見つける。
「ねずみ男の弟。ねずみ男がお前のために…ん?」
すると、鬼太郎は弟の尻のあたりから毛に覆われた妙な物体が出ていることに気づく。
「何かなこれ?」
「あっ、それは…いぎっ!」
彩がそれを掴んで引っ張ると、弟に異変が起きる。
顔が徐々に毛に覆われると、鼻が天狗のように長くなる。
そして全身毛むくじゃらの大きな獣の妖怪になった。
「わっ!?」
「お、お前はむじなではないか!」
「ば、バレちゃった…」
ねずみ男の弟の正体はアナグマの妖怪、むじなであり、観念したむじなは服を脱いで正座する。
「ねずみ男の弟の正体はお前だったのか」
「はい…そもそも弟になったわけではありません…ねずみ男さんに私の悪事の罪をなすりつけるために化けましたが、ねずみ男さんに見つかったので弟だと偽りました…」
「てことは、ねずみ男さんの弟さんは最初っから存在しなかったってこと?」
白状してねずみ男そっくりの姿になっていた理由を話すむじなの言葉に対して彩がそう問いかけると、むじなはコクリと頷く。
「なんとまぁ、セコいことを…」
「はい…あの人は家族のことを何よりも大切に想う人だったとは思いませんでした…私は故郷に帰ります。ご迷惑をおかけしました…」
そう言いながらむじなが立ち去ろうとしたその時、鬼太郎が彼を呼び止める。
「待てむじな。今夜一晩だけもう一度ねずみ男の弟に化けてくれないか?」
「へ?」
「鬼太郎くん。どういうこと?」
鬼太郎の言葉に不思議そうにするむじなと彩が問いかけると、鬼太郎は答える。
「アイツ。お前のためにすき焼き用意してたんだよ。それに…弟が出来たって嬉しそうにするアイツをまた悲しませるわけにはいかないからな…そうすれば今回のことは水に流すよ」
「…わかりました。では、もう一度変身します」
鬼太郎にそう言われたむじなは再びねずみ男の弟に化けると、妖怪アパートへ向かった。
…………………………
それからしばらく経った頃、ねずみ男は弟に化けたむじなと酒盛りをしていた。
「さぁさ、もっと飲みな〜」
「へへっ、遠慮なく〜♪このお肉美味しいですね〜」
酒を飲み、すき焼きを食べながら二人は楽しく宴会を行っていた。
その様子を外から鬼太郎たちと彩たちが見守っていた。
「ふふっ、楽しそうね。でも鬼太郎君。なんであのむじなって妖怪にまたねずみ男さんの弟に化けさせたのかしら?」
不思議そうにする千聖が問いかけると、鬼太郎はねずみ男たちを見ながら答える。
「いや。別に深い理由はないよ。ただ、嘘でも兄さんって言われてるねずみ男が羨ましくなっただけだよ。僕には兄弟がいないからね…」
「鬼太郎…」
羨ましそうにしつつも、何処か寂しそうな表情を浮かべる鬼太郎を見た目玉おやじが申し訳なさそうな表情を浮かべると、彩が声をかける。
「でも、鬼太郎くんには親父さんや私たちがいるよ!」
「そうですよキタローさん!だからそんな顔しないでください!」
「みんな…ありがとう…」
彼女たちの言葉に鬼太郎が微笑むと、再び窓の方を眺めたのだった。
………………………
翌日、アパートの玄関前にねずみ男とねずみ男の弟が立って別れの挨拶をしていた。
「本当に行っちまうのか?」
「はい。自分を見つめ直すために旅立って、立派な妖怪になります」
「そうか…風邪には気をつけろよ」
「はい!さようなら兄さん!」
二人は互いに抱きしめ合うと、弟は走り去って行った。
「…行っちまったか…」
弟の後ろ姿が見えなくなるまで見届けていたねずみ男は弟が完全に見えなくなると、ねずみ男はその場を後にする。
ゲゲゲの森から出たねずみ男は河原にやって来ると、その場に寝転がって弟との思い出を思い出していた。
「…へっ、どうせ騙すならもう少し長く騙して欲しかったぜ…」
ねずみ男は弟の正体がむじなだったということに薄々気づいていたのか、微笑みながら呟くと、鬼太郎と目玉おやじがやって来る。
「ねずみ男。お前気づいてたのか?」
「あぁ…俺にあんな弟がいるわけねぇだろ」
「なら何故…?」
鬼太郎の頭の上にいる目玉おやじが問いかけると、ねずみ男は微笑みながら答える。
「理由なんてどーでもいいだろ?でもよ…嘘でも兄さんって言ってくれたのはホントに嬉しかったよ…弟は金で買えねぇからな…」
「ねずみ男…この後、ラーメン食べに行くか?」
「いいけど、お前金持ってんのか?」
鬼太郎の提案にねずみ男が唇を尖らせながら問いかけると、誰かが二人に声をかける。
「だったら私が奢ってあげるよ。お仕事のお給料が出たからね♪」
声をかけたのは彩であり、彩は微笑みながらラーメンを奢ることを言う。
「彩ちゃん…じゃあ、お言葉に甘えようかな」
「へへっ、だな」
鬼太郎とねずみ男が立ち上がると、彩と共にラーメン屋へと向かったのだった。
続く
次回、最終話「がしゃどくろ」
折りたたみ入道は水木しげる先生創作の妖怪で、アニメや原作ではむじなとのコンビで登場していたが、6期ではむじなのみ登場していて、折りたたみ入道だけは未登場だった。
次回は最終回。最後までお楽しみください。