Pastel*Palettes feat.ゲゲゲの鬼太郎〜BanG Dream!ガールズバンドパーティ!外伝〜   作:キプkeep

5 / 12
今回はぬらりひょんが登場します!
この小説はpixivで投稿されているものを加筆修正しています。



第四話「ぬらりひょん」

深夜の東京。

夜中でも所々のビルや建物では電気がついており、人々が仕事を行っていた。

そんな中、就業時間が過ぎて社員たちが帰った後の電気が消えているビルの前に一人の和装の老人が通りかかると、老人はビルの前にガラス玉のようなものを置くと立ち去っていった。

すると次の瞬間、ガラス玉は爆発を起こし、ビルはあっという間に倒壊した。

翌日、千聖と共にショッピングを楽しんでいる彩はスマートフォンのニュースアプリを開いていた。

 

「千聖ちゃん。またこの辺りで連続爆破事件が起きたみたいだよ」

 

彩が見ていたニュースはここ最近起きている連続爆破事件であり、どの事件も共通して爆発物でビルを爆破されており、未だに犯人は明らかになっていないのである。

彩は昨晩の爆破事件の記事を見ながら千聖にそう言う。

 

「そうね…うちの事務所は今のところ大丈夫だけど少し不安ね…無差別で狙われているらしいから」

 

千聖がそう言いながら周りを見ていると、何やら野次馬たちが集まっていることに気づく。

 

「?何かしら?」

「行ってみようよ千聖ちゃん!」

 

彩が千聖の手を引いて野次馬の集まっている場所に向かうと、そこは昨晩起きた爆破事件の現場だった。

よく見ると野次馬たちの中にはそのビルの社員らしきスーツ姿の人たちも集まっていた。

 

「ここ事件の現場だよ千聖ちゃん!」

「そ、そうみたいね…あら?」

 

すると、千聖は呆然と立ち尽くしているスーツ姿のメガネ出っ歯の男性の側に寄り添っている鬼太郎の姿を見かける。

 

「あそこにいるの鬼太郎君じゃないかしら?」

「あっ!ホントだ!おーい、鬼太郎くーん!」

 

彩たちは鬼太郎を呼びかけながら近づくと、鬼太郎は二人の方を振り向く。

 

「ん?彩ちゃん。それに千聖ちゃんも」

「こんなところで会うなんて奇遇だね!どうしたの?」

「いや〜、父さんの大好物のさくらんぼを買いに出かけたら野次馬を見つけてね。知り合いがいたから…」

 

そう言いながら鬼太郎はメガネの男性の方を向く。

呆然と立ち尽くしている彼は瓦礫の山となったビルを見つめていた。

 

「鬼太郎君。この人は?」

「この人は山田さん。前に妖怪絡みの事件に巻き込まれたときに助けてから親しくなったんだよ」

 

鬼太郎が彼を紹介すると、彼は瓦礫の山を見ながらボソッと譫言のように呟き始める。

 

「…鬼太郎さん…僕の会社…無くなってしまいました…思えば初めて出会った時もふくろさげという妖怪のせいで会社がめちゃくちゃになってしまいましたね…まぁ、あれは僕のせいなんですが…また無職になってしまってどうやって家族を養えばいいのでしょうかね…あはは…」

 

絶望している彼の姿を見た彩と千聖はかなり気まずそうな表情を浮かべていると、目玉おやじが鬼太郎の髪から顔を出す。

 

「本当に不運じゃのうアンタは…そうじゃ鬼太郎。このビルから僅かじゃが妖気を感じるぞ」

「本当ですか父さん!?」

「じゃあ、今までの爆破事件も妖怪が!?」

「おそらくそうじゃろうな。もう少し調べる必要があるみたいじゃな…」

 

目玉おやじはビルの瓦礫の山を見つめながら言った。

その日の夜、路地裏でねずみ男がゴミ箱を漁っていた。

 

「はぁ〜…なんか食いもんねぇかな〜?おっ、賞味期限一日切れの弁当見っけ♪しかし、人間はまだ食えるっていうのにすぐに食いもんを捨てるな〜…食品ロスなんかしてる場合だったら俺に恵んでくれってんだ」

 

ねずみ男は食品ロスに対する皮肉を言いながら弁当を食べていると、誰かに声をかけられる。

 

「貴方の言う通りですね」

「むしゃむしゃ…まだイケるわねこれ…ん?」

 

声をかけられたねずみ男が顔を上げると、そこには和装の老人が立っていた。

 

「誰だ爺さん?そんなに賞味期限切れのもん食ってるのが珍しいのかよ?金持ちみたいな雰囲気出しやがって…」

 

そう言いながら弁当を食べ続けると、老人はニヤリと笑みを浮かべながら自己紹介をする。

 

「初めまして。私の名前はぬらりひょんと申します」

「ブゥーーッ!!?ぬ、ぬ、ぬらりひょんって、あの泣く子も黙る極悪人の!?」

 

彼の名を聞いたねずみ男が思わず吹き出してしまうと、ぬらりひょんの部下である真っ赤な顔の妖怪、朱の盆が現れる。

 

「げへへ〜、この人があのぬらりひょん様だぞ〜!」

「これ朱の盆。ねずみ男君。儂の仕事を手伝ってくれないか?簡単な仕事だ。資源を無駄遣いする傲慢な人間たちのビルを何でもいいから破壊し、儂の恐ろしさを広めるのだ」

「は、破壊しろって言われても…」

「報酬は出しますよ」

 

そう言いながらぬらりひょんは懐から100万円の札束を取り出すとそれをねずみ男に差し出す。

 

「100万!?ニシシシ〜♪ぬらりひょん様のためならどんなことでもしますぜ〜♪」

 

ねずみ男は金を受け取ると、ぬらりひょんは懐からガラス玉を取り出す。

 

「これを使いなさい。これは特殊な爆弾でね。妖気で爆発する代物です」

「ニシシ♪それじゃあ、100万円分働かせてもらいますよ〜♪」

 

ねずみ男はぬらりひょんから爆弾をいくつか受け取ると、その場から立ち去っていった。

しばらくしてねずみ男は人気のない場所にやって来ると、爆弾をビルのすぐ側のゴミ箱の中に入れて一目散に逃げ出す。

それと同時に大爆発を起こしてビルはあっという間に倒壊した。

 

「うほ〜♪派手にぶっ壊れたわね〜♪よーし、もういっちょ!」

 

ねずみ男はその様子を眺めながら次のターゲットを探しに行く。

その様子をとある人物が電柱の裏から目撃していた。

翌日、鬼太郎がねずみ男によって爆破されたビルを見ていた。

 

「父さん、また爆破事件ですね…」

「うむ…昨日の夜だけでも5件もとはのう…」

「鬼太郎くーん!」

 

すると、鬼太郎たちの手伝いで聞き込みをしていた彩たちパスパレの面々が鬼太郎親子に駆け寄る。

 

「みんな。どうだったの?」

「ぜんぜーん。ここ全然人通らないから誰も見てないみたいだよー」

「警察もまだ捜査が進展してないッスからね〜…」

 

日菜と麻弥がそう言い放つと、とある人物が通りかかって彼女たちに声をかける。

 

「あら?日菜。それに丸山さんたちも」

「あっ!おねーちゃん!」

 

声をかけて来たのは日菜の双子の姉でRoseliaのギター担当、氷川紗夜だった。

 

「紗夜ちゃん。こんなところで何してるの?」

「白金さんのところに向かうところでして。それよりもその方は?」

「あっ、この子は鬼太郎くん。私達の友達だよ」

 

鬼太郎の存在に気づいた紗夜が問いかけると、彩は鬼太郎を紹介する。

 

「そうでしたか。ん?ここって…」

「えぇ。爆発事件があったらしいわよ」

「やっぱり…あっ、そういえば昨日妙な人を見かけたわね」

「妙な人?」

「えぇ。とても汚いマントを着たネズミみたいな人で…その人がビルを爆破させたところを見たわ」

 

紗夜が昨晩目撃した人物の身なりを説明すると、イヴがあることに気づく。

 

「ネズミみたいな人…?あっ!ネズミオトコさんです!」

「まさかねずみ男さんが…!?鬼太郎くん!」

「うん!アイツの妖気を辿ってすぐに行くよ!」

「おねーちゃん!また後でね!」

 

そう言って彩たちは鬼太郎と共に慌ててその場から立ち去っていった。

 

「な、なんなの一体…?」

 

突然のことで紗夜はかなり困惑していた。

同じ頃、ねずみ男はとある大企業のビルの前に立っていた。

 

「ニシシシ…♪チマチマやらずに派手にやったろうじゃないの♪それ!」

 

ねずみ男はビルに爆弾を投げて逃げ出すと、どこからか霊毛ちゃんちゃんこが飛んできて爆弾を包む。

 

「あらっ!?」

「ねずみ男!お前が犯人だったのか!」

 

ねずみ男が驚くと、ちゃんちゃんこに包まれた爆弾を回収した鬼太郎たちがいた。

 

「あらやだ!ち、違うのよ!オレは頼まれただけで…!に、逃げろ〜!」

 

ねずみ男は言い訳をしようとするが、慌てて逃げ出す。

すると、ねずみ男の前にぬらりひょんと朱の盆が現れる。

 

「先生〜!失敗しちまったよ〜!」

「あっ!鬼太郎!アイツはぬらりひょんじゃ!」

「ぬらりひょん?」

「普通のおじいさんみたいだけど…?」

「勝手に人の家に上がりこむ妖怪じゃ!アイツが犯人じゃったのか!」

 

目玉おやじがそう言い放つと、ぬらりひょんは鬼太郎たちを見る。

 

「ふむ…ここは退却するとしましょう。朱の盆」

「はい!」

 

朱の盆は用意していた車に乗り込むと、ぬらりひょんとねずみ男を乗せて走り出す。

 

「待て!」

「鬼太郎。君の相手はコイツですよ」

 

鬼太郎が追いかけようとすると、地面の中から突然、1つ目の巨人のような妖怪、見上げ入道が現れる。

 

「わっ!?妖怪!?」

「お、お前は見上げ入道!?」

「久しぶりだな鬼太郎。妖怪大裁判以来だな。ぬらりひょん様の命令でここを通すわけにはいかんよ!」

 

そう言って見上げ入道は息を吹きかけると、その息はまるで突風のようになり、鬼太郎を吹き飛ばそうとする。

 

「うわっ!凄い風!」

「吹き飛ばされます〜!」

「ぐっ…!この!」

 

鬼太郎は髪の毛針を飛ばすが、見上げ入道の突風によって吹き飛ばされ、彩たちの足元の地面に刺さる。

 

「ひゃあっ!?危ない!」

「だ、大丈夫かみんな!?」

 

鬼太郎が彼女たちを心配すると見上げ入道は鬼太郎を掴む。

 

「し、しまった!」

「お前を食ってやる…!」

 

見上げ入道はそう言って鬼太郎を飲み込もうと口を開ける。

 

「鬼太郎くん!どうすれば…?っ!」

 

すると、彩は以前図書館で読んだ妖怪図鑑に記された見上げ入道の対処法を思い出す。

 

「た、確か対処法は…!み、見上げ入道見越したり!」

「っ!?ぐあぁぁぁっ!!そ、その呪文は〜…!あぁぁぁっ!!」

 

彩がとっさに叫んだ呪文を聞いた見上げ入道は苦しみながら縮んでいき、そのまま鬼太郎を残して消滅した。

 

「やりました!アヤさんが妖怪さんを退治しました!」

「えへへ…!鬼太郎くん大丈夫!?」

「なんとかね…!それよりもぬらりひょんたちを追いかけないと…!」

 

鬼太郎は妖怪オカリナを取り出してその音色を奏でると、空の彼方から一反もめんが現れる。

 

「鬼太郎ど〜ん。呼んだと〜?」

「一反もめん!オレを乗せてくれ!ぬらりひょんを追いかけたいんだ!」

「コットン承知ばい!」

「あっ!私達も!」

 

一反もめんは鬼太郎や彩たちを乗せると、そのまま飛び去っていった。

ぬらりひょんの妖気を辿って人里離れた山奥に到着する。

 

「この辺りにいるはずなんだけど…?」

 

一反もめんから降りた鬼太郎たちは辺りを見回すと、何処からか爆弾が転がってくる。

 

「!父さん!みんな!危ない!」

「わっ!?」

 

とっさに霊毛ちゃんちゃんこで彩たちを払い除け、目玉おやじを放り投げると、爆弾は爆発し、それによって出来た穴に落ちてしまう。

 

「うわぁぁぁっ!!」

「き、鬼太郎!」

「鬼太郎くん!」

「ふっふっふ…!まんまと罠にハマったな」

 

すると、ぬらりひょんたちが現れる。

 

「ぬらりひょん!」

「ニシシ〜♪これで鬼太郎もおしまいですね先生♪」

「何を言っている?お前も用済みだ」

 

ニヤニヤと笑みを浮かべるねずみ男にぬらりひょんがそう言い放つと、ねずみ男を穴に蹴り落とす。

 

「あらら〜〜!?」

 

そのままねずみ男は鬼太郎が落ちた穴に落ちてしまう。

 

「ねずみ男…お前も落ちたのか…」

「イテテ〜!おいコラよくも裏切りやがったな!」

 

ねずみ男が怒鳴ると、何処からかミキサー車がやって来る。

 

「!ミキサー車?」

「あの車、さっきの赤い妖怪が乗ってるッスよ!」

 

麻弥が言うようにそのミキサー車には朱の盆が乗っており、穴の前に停車すると、その中にコンクリートを流し込む。

 

「こ、これは妖怪コンクリートじゃ!鬼太郎たちを生き埋めにする気じゃ!」

「えぇっ!?」

「くっくっく…!私の邪魔をするものは死んでもらうぞ…!」

 

ぬらりひょんは笑みを浮かべながらコンクリートが流し込まれていく穴を見つめる。

穴の中はコンクリートで既に満たされており、ねずみ男は藻掻いていたが、鬼太郎はなんとか這い上がろうとしてコンクリートから右手を出す。

 

「!鬼太郎くん!」

 

彩が声を上げるが、コンクリートはすぐに固まり、手を出したまま鬼太郎も固まってしまった。

 

「そ、そんな…!?キタローさんが…!」

「トホホ…!鬼太郎〜…!」

「くっくっく…!これで幽霊族も終わりじゃな。どれ、握手でもしてやろう」

 

そう言いながらぬらりひょんが握手をした次の瞬間、手はぬらりひょんの手を掴む。

 

「んなっ!?は、離せ!」

 

慌ててぬらりひょんが手を離そうとすると、すぐに手は離れると同時に鬼太郎の手は消滅してしまう。

 

「な、なんだったんだ…?まぁいい。引き上げるぞ朱の盆!」

「あの人間のおなごたちはどうします?」

「構わん。放っておけ」

 

ぬらりひょんは朱の盆にそう言い放つと、その場から立ち去っていった。

 

「どうしよう…鬼太郎くんが…」

 

彩がそう呟くと、鬼太郎の手が出ていた場所を見ていた目玉おやじが言い放つ。

 

「心配はいらん。すぐに奴も痛い目に遭うじゃろう。一反もめん、すぐにぬりかべを呼んでくれ!」

「ほいきた!」

 

一反もめんは目玉おやじの命令を受けてゲゲゲの森に向かった。

 

「大丈夫って、どういうこと?」

「まぁ、話せば長くなるが…」

 

千聖が不思議そうに問いかけると、目玉おやじは理由を説明した。

その頃、ぬらりひょんと朱の盆は街を歩いていた。

 

「朱の盆。邪魔者もいなくなって今日は気分がいい。ビルを壊しに行く前に飯でも食いに行こうか」

「はい!ぬらりひょん様!」

 

ぬらりひょんが朱の盆にそう言った次の瞬間、ぬらりひょんの右手が勝手に動いてそのまますぐ横を通りかかったチンピラの顔を殴る。

 

「イデッ!?何しやがるクソジジイ!?」

「は?いや、私は何も…?」

 

突然のことにぬらりひょんは困惑するが、そのまま右手は勝手に動いてチンピラを何度も殴る。

 

「あだっ!?この野郎!」

 

そのままチンピラはぬらりひょんを力いっぱいに殴り飛ばす。

 

「ぎょえぇぇっ!?」

 

殴り飛ばされたぬらりひょんは電柱に激突した。

 

「ぬ、ぬらりひょん様〜!」

「ケッ、クソジジイが…」

 

チンピラが立ち去っていくと、朱の盆が慌ててぬらりひょんに駆け寄る。

 

「だ、大丈夫ですか〜!?」

「アイタタタ…!一体何で…ん?」

 

ふとぬらりひょんが右手を見ると、そこには手形がくっきりと残っていた。

 

「な、何じゃこれは!?」

 

手形を見たぬらりひょんはかなり驚いていた。

数分後、二人はとある小屋を訪れていた。

 

「蛇骨婆!いるか?」

 

ぬらりひょんが呼びかけると、ふすまが開いて老婆のような妖怪、蛇骨婆が現れる。

 

「なんのようじゃ?」

「実は…」

 

ぬらりひょんは事情を蛇骨婆に説明すると、蛇骨婆は右手を見る。

 

「ふむ…どうやらこれは鬼太郎憑きのようじゃな。鬼太郎の手がお主の手に入り込んで操っておるのじゃ」

「てことは鬼太郎は生きているのか!?」

「そうじゃ。待ってろ、すぐに祓ってやる」

 

そう言って蛇骨婆は七輪に特殊な炭を入れて火をつけ、その煙をぬらりひょんの右手に浴びせると、手形は完全に消えた。

 

「おぉっ!手形が!」

「これで右手は鬼太郎のもとに戻った。奴を倒すには封印するしかない。この封印の壺に鬼太郎を封じ込めるしかない」

 

そう言いながら蛇骨婆は封印の壺を取り出すと、朱の盆が口を開く。

 

「なら、妖怪の大好物、甘酒で誘い出しましょうよ!」

「そうじゃな。蛇骨婆、お主もついて来い」

 

ぬらりひょんたちはそう言って鬼太郎を封じ込めた山に戻っていった。

その頃、一反もめんが連れてきたぬりかべと共に彩たちはコンクリートを壊そうとしていた。

 

「ぬり、ぬり」

「それにしても、鬼太郎君の手があのぬらりひょんっていう妖怪の手に入り込んでるなんて信じられないわね…」

「それも鬼太郎の能力じゃよ」

 

千聖の言葉に目玉おやじがそう言い放つと、コンクリートの中から鬼太郎とねずみ男が現れる。

 

「鬼太郎くん!大丈夫!?」

「な、なんとかね…」

 

彩たちが鬼太郎を引っ張り出すと、ぬらりひょんたちが現れる。

 

「やぁ、鬼太郎さんたち」

「!ぬらりひょん!」

「鬼太郎さん。このぬらりひょんと朱の盆が申し訳ないことをしましたねぇ。お詫びにこの甘酒を飲みましょう」

「甘くて美味しいぞ〜」

 

蛇骨婆は甘酒と偽った封印の壺を見せる。

 

「甘酒か〜。最近飲んでなかったな〜」

「き、鬼太郎さん!絶対罠ッスよ!」

 

麻弥がそう言うと、鬼太郎は耳元で囁く。

 

「大丈夫。僕にも作戦があるから。では、みんな僕についてきてください。いい場所があるので」

 

そう言って鬼太郎は未だにコンクリートに埋まっているねずみ男を放置して全員を連れてどこかへ向かった。

しばらくしてとある洞窟の中に入る。

その洞窟には何故か石臼があった。

 

「これは一体なんですかな?」

 

ぬらりひょんが問いかけると、鬼太郎は説明する。

 

「この石臼を回すとこの壁に映像が映し出されるんだよ」

「ほぉ〜!活動写真というものか?」

「蛇骨婆〜。今では映画って言うんだよ」

 

鬼太郎が蛇骨婆にそう言い放つと石臼を回す。

すると、壁に江戸時代の日本の景色が映し出される。

 

「わぁっ!?なにこれ!?」

「すごいです!江戸時代の日本です!」

 

それを見た彩が驚き、イヴが目を輝かせていると、鬼太郎は石臼を回し続ける。

回すたびに弥生時代、縄文時代と時代が移り変わり、ついには恐竜の時代である白亜紀後期の世界が壁に映し出される。

 

「きょ、恐竜!?」

「おぉ〜!こりゃすごいのう!」

 

ぬらりひょんたちがその映像に釘付けになっていると、鬼太郎は後ろからこっそり近づく。

 

「えい!」

「へっ?」

 

そのまま鬼太郎はぬらりひょんたちを突き飛ばすと、何故かぬらりひょんたちは恐竜の世界の景色に入っていく。

 

「えぇっ!?」

「ぬりかべ!石臼を逆に回せ!」

「ぬり!」

 

ぬりかべは言われたとおりに石臼を逆に回し、縄文時代、弥生時代、江戸時代の景色が映し出されると映像が消えた。

 

「ふ〜。これでよし」

「ど、どうなったの?」

 

理由がわからずに彩が問いかけると、鬼太郎は説明する。

 

「ぬらりひょんたちをこの古代の石臼で恐竜の世界に送り込んだんだよ。先祖流しってやつだよ」

「うむ!流石鬼太郎じゃ!今頃ぬらりひょんたちも恐竜の世界で逃げ回っておるじゃろう」

「そ、そうなんだ…それにしても鬼太郎くんが無事で本当に良かったよ…!」

「心配かけてゴメン。じゃあ、そろそろ帰ろうか」

「そうだね」

 

鬼太郎たちと彩たちはその場を後にして街に帰っていった。

 

「お、お〜い…!オレを忘れてるぞ〜…!しかもこの金偽札じゃねぇか〜…!」

 

未だにコンクリートに埋まっているねずみ男の嘆き声が穴に響き渡った。

その頃、白亜紀後期の世界では…。

 

「た、助けてくれ〜!」

「ひいぃ〜!」

 

ぬらりひょんたちは恐竜たちに追いかけられていた。

 

「蛇骨婆!なんとかしろ〜!」

「無理じゃ〜!!」

「嫌〜〜〜!!」

 

ぬらりひょんたちは恐竜たちに追いかけられ、朱の盆の悲痛な叫び声が響き渡った。

 

続く。

 

次回、第五話「いやみ」




山田とは水木しげる作品に度々登場する脇役、サラリーマン山田が元ネタで、デザインもそのまま。
本作のぬらりひょんは妖怪総大将の設定が決まる前の3期以前の設定で、1期のような少々間抜けな妖怪として登場している。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。